大学紹介
入試・入学
学部・短大・大学院
研究
就職・キャリア
​学生生活
​留学・国際交流
地域連携・社会貢献

デジタル時代の国際貿易の実態を、企業レベルのデータで実証する

データサイエンス学部 データサイエンス学科

冨浦 英一 教授

2026/04/06

目に見えない日中貿易の姿を、データから明らかにする

――研究内容を教えてください。

経済学の中でも国際貿易を専門に研究しています。経済学は、数式を用いて理論を構築する研究と、その理論が現実に当てはまっているかを検証する研究に大きくわかれます。私は後者の立場から、統計データを用いた実証分析を行ってきました。特に、国単位ではなく、個別の企業あるいは工場といった単位でデータを見ていき、分布のパターンを追ったり、国際経済の実態を細かく捉えたりする研究に取り組んでいます。

――具体的にどのような研究をされているのでしょうか。

現在進めているのは、デジタル化が進む現代において、日本企業が中国とどのような経済関係を持っているのか、独自のデータを収集して実態を明らかにする研究です。品物を売り買いする貿易は、税関の記録に基づくデータによって金額や取引量が分かりますが、特許や著作権など、形に残らない知識や技術、オンラインでダウンロードされるアプリなどの目に見えない国家間の貿易については、政府も情報収集が十分ではありません。業務を海外企業に委託するケースも同様です。そこで、企業への独自アンケートを実施して新たに情報を集め、公的統計と組み合わせながら計量分析を進めています。目に見えない「サービス貿易」の姿を、企業のミクロデータを用いて浮かび上がらせることが目的です。

細かなデータの積み重ねが、世界経済の全体像につながる

――この研究との出会いを教えてください。

きっかけは、海外からの部品や素材を輸入する企業が持つ特徴を明らかにする研究に取り組んでいたときのことでした。分析に必要なデータをさがして、さまざまな統計資料を見ていた途中で、当初は想定していなかった資料の中に関連深い重要なデータが見つかりました。日頃からデータに向き合っているからこそ、そうした偶然の発見につながったのだと感じる出来事でした。


――研究の魅力はどんなところにありますか。

国という大きな単位ではなく、企業一つひとつに目を向けることで、経済の新しい姿が見えてくる点です。企業ごとに異なる活動実態を丁寧に見ていくことで、これまで見過ごされてきた特徴が明らかになります。理論から導かれる予想がデータで裏づけられたときの達成感はもちろんですが、予想外の結果が出たときに「なぜだろう」と考え抜く過程にこそ、研究の面白さがあります。経済の理論は、現実を理解しやすくするために単純化されていますが、実社会はそれほどきれいには動きません。そのズレをどう解釈するか。データと向き合いながら考えることで、現実をより深く理解できる点に魅力を感じています。

経済学の奥深さに触れたのは、大学院で学んでいた頃でした。経済学は、経済の仕組みを理論的に解明するだけでなく、人間のさまざまな行動をシャープな角度から考える学問だと気づいたのです。心理学が人の気持ちや感情に注目するのに対し、経済学では、人はどんな条件のもとで考えて、どう選択するのかを筋道立てて考えます。つまり、進路、結婚など人生の大切な選択において、気分だけでなく、その人なりにきちんと考えて合理的に選択していると考えられ、研究分野の幅広さと奥深さに探究心が刺激されました。

身近な「なぜ?」を、仮説と検証で深める

――学生たちの教育で大切にしていることを教えてください。

データサイエンス学部では、統計学やプログラミングといった分析手法だけでなく、「何を明らかにしたいのか」を自分で考える力を重視しています。経済学の考え方はその基礎になります。社会の動きや人々の行動に関心を持ち、そこから検証可能な仮説を立てる。そして、実際のデータを使ってその仮説を確かめる経験を積み重ねる。高度な計算はコンピュータが担ってくれる時代だからこそ、人に求められるのは、問いを立て、結果を読み解く力です。データを集め、整理し、うまくいかない場合は試行錯誤する。この一連の過程を繰り返すことによって、問いを見出す力が磨かれていき、そうした力は社会に出てから必ず役立つと考えています。また、手を動かしてみることで分かることも多々あります。企業や自治体から情報を収集する大変さ、データを整える作業にかかる膨大な時間などを体感してはじめて、達成感を味わうことができるのではないでしょうか。

――受験生へのメッセージをお願いします。

大妻のデータサイエンス学部は、統計・情報系の学びに加え、経済学・経営学といったビジネスへの応用も学べる、特色ある学部です。実社会のデータに触れながら、自分の関心と社会で注目されている事柄を交差させ、検証していってほしいです。身の回りの「なぜ?」を大切にし、その答えをデータで探る面白さを、大学でぜひ体験してください。