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これからの世界で一層必要とされるメンタルヘルス

人間関係学部 人間福祉学科

尾久 裕紀 教授

2021/04/01

多岐にわたるメンタルヘルスの研究対象

若い頃、ある悩みを抱いた私はこの悩みというものがどこから生まれてくるのかを知りたいと思いました。そして悩みが生まれるメカニズムを知ることで悩む理由がわかり、気持ちが楽になったことが、精神科医を選び、メンタルヘルスの研究を始めるきっかけになりました。
メンタルヘルスの対象は、必ずしも「メンタル不調の人」だけではありません。メンタル不調になる原因には、その人の体質、育った環境、過去・現在のストレス、経済的要因、国や政治体制など幅広く関係しているため、それらを広い視野で捉えていくことが必要です。そのため、精神医学以外にも心理学、社会学、法学、経営学、倫理学など幅広い分野との関連が研究対象となります。
統合失調症、躁うつ病などの内因性精神疾患は、体質的な面が大きいため、時代を問わずほぼ同じ発症率ですが、ストレスが主要因である精神疾患は社会・環境要因によって大きく左右されます。たとえば、働いている人のメンタル不調の原因は70~80%は仕事がきっかけです。現在の働いている人を取り巻く環境、その背景となっている経営状況、社会状況など複数の視点で考え、解決策を見つけていかなければなりません。
メンタルヘルスの問題は、時代を映す鏡です。社会情勢の変化が激しい現在、この分野はますます重要視されています。

大切な人々を理解するための学びであること

私の講義では、職場、家族、学校の現状、貧困、移民問題など今現在起こっていることに目を向け、メンタルヘルスの問題を考えるようにしています。私自身が現役の臨床医ということもあり、プライバシーに配慮した上で、実際の臨床体験や、メンタルヘルスに関する最新のニュースや医学情報を取り入れています。メンタルヘルスは社会福祉士、介護福祉士、公認心理師など専門職を目指す人たちにも必要な知識ですが、新たな知識を身につけるだけではなく、さまざまな視点から、今何が起きているのか理解することで、それが自分や自分の大切な人を理解することにもつながっていくことを理解してもらうようにしています。

主な研究分野

メンタルヘルス、リスクマネジメント、法と倫理

主な論文・解説

  • 感染症が人の心理に与える影響とマネジメント(2021年)
  • 中小企業経営者のメンタルヘルスの現状―その課題と展望(2016年)
  • 親と子のメンタルヘルス(2014年)
  • 組織におけるリスクマネジメントとレジリエンス(2016年) ほか

主な著書

  • 新世紀うつ病治療・支援論(2011年)
  • 子どもの安全とリスク・コミュニケーション(2014年)
  • 子どもの安全とリスク・コミュニケーション 研究双書155(2012年)
  • カウンセラーになる―心理専門職の世界(2019年) ほか