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科研費 過去の採択状況 平成29(2017)年度

採択課題一覧

大学

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研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
実施状況報告書・実績報告書研究成果報告書
基盤研究(A)人が生育する限界的環境に於ける発育発達(生活技術の発達を含む)と成熟の総合的研究

人が生育する限界的環境に於ける発育発達(生活技術の発達を含む)と成熟の総合的研究

発育発達過程に関する研究は19世紀後半からヨーロッパ、アメリカ、日本を含む東アジアなどの四季のある産業が発達した先進的な国々で行われてきた。よって子供の発育発達に関する知識はこれら以外の地域では蓄積されてこなかった。本研究によってこれまで未知であった東南アジア諸民族の発育発達に関するデータを収集・蓄積し、またこれまでに定説として信じられてきた重要な学説の弱点、誤謬を修正することが出来た。例示すると思春期の身長スパートの普遍的一律性の修正、狩猟採集民の思春期長期化の確認などである。2次的には各地域・民族のデータによって発育発達評価基準値が得られ、不適切な発育発達診断が是正される基礎を提供した。

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大澤 清二人間生活文化研究所所長H27-H30
基盤研究(B)東南アジア伝統衣服製作技術体系の解明と伝承教育最適化のためのプログラム開発

東南アジア伝統衣服製作技術体系の解明と伝承教育最適化のためのプログラム開発

東南アジアの無文字社会に伝承される身体を用いた衣服製作技術は急激な社会の変貌により現在消失の危機に瀕している。そこで本研究では①「地(じばた)による衣服製作技術」が現存する諸民族を対象としたフィールド調査によってそれらの技術を映像と文字に置き換え、後世に伝えるべく保存した。②同時にこの技術の伝承過程を技術要素に分解し、項目反応理論によって難易度を計量し、③この難易度に従って最適化した習得過程を見出し併せて習得最適年齢を求め、これによる伝承方法とそのプログラムを開発した。

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下田 敦子人間生活文化研究所講師H26-H29
日系国際児のバイリテラシー形成過程の質的探究とその展開

日系国際児のバイリテラシー形成過程の質的探究とその展開

本研究の学術的意義は、次の2点にある。第1点は、児童期に複数の言語で読み書きを習得する国際児のバイリテラシーの発達は、定期的かつ協働的な家族内実践に支えられていることを独日国際児の事例を通して具体的に開示したことである。第2点は、日本語を複数言語の1つとして習得する児童の作文力の発達過程は、日本語母語児とは違う道筋を辿ることをドイツ語を優勢言語とする児童の例に基づいて具体的に示したことである。これらの知見は、これまでほとんど未解明であった日系国際児の継承日本語リテラシーの伸び方に関する基礎資料となり、日本語補習校における作文指導の改善という実践的課題にも貢献し得るものである。

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柴山 真琴家政学部教授H26-H30
臭いの快不快評価定量化の試みと在宅介護不快臭対策への応用

臭いの快不快評価定量化の試みと在宅介護不快臭対策への応用

我が国の高齢者人口は、2016年3459万人で総人口に占める割合が27.3%となり、2065年には約4割を占めると予想され、日本は高齢化が急速に進んでいる。近年、75才以上で介護が必要な人数が増えて高齢者施設の需要が急増している。しかし、介護保険法の改定によって特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上とされ入所を制限されている。また、平成24年に行われた内閣府の調査では、60歳以上の男女を対象として日常生活を送る上で介護が必要となった場合、どこで介護を望むかという質問に対して、男女共に自宅での介護を望むが一番多い結果であった。これらのことから、今後は在宅介護が中心になると予想される。
在宅介護現場、病院および高齢者施設では、においが問題視されている。においが原因で、介護に負担を与え、被介護者と家族の家族関係を悪化させることがある。一方、在宅介護は、閉ざされた環境下で家庭の生活状況に応じてにおいが異なり、様々な生活臭と介護臭とが混合した状態で存在すると考えられる。高齢者施設や病院では、においに対して換気扇、消臭カーテン、消臭壁紙など大規模な設備を用いて対策が講じられている。しかし、家庭での介護では、悪臭除去のための設備に限界があり、市販の消臭剤を用いた簡便な消臭方法で対策をしているのが現状である。
本研究は、実際に在宅介護家庭の臭気を収集して不快臭の種類と原因物質を調べることを目的とした。在宅介護における被介護者の居室に捕集材を一週間放置後、捕集された成分を抽出してGC-MSに供した。その結果、尿臭、排泄物臭、加齢臭のような身体から発生する不快臭で、汗や加齢臭を想起させる脂肪酸類やノネナール、尿などの排泄物を想起させるフェノール類が検出された。

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水谷 千代美家政学部教授H29-H32
基盤研究(C)中高年女性の健康力と若年期の食生活・生活習慣に関する縦断研究

中高年女性の健康力と若年期の食生活・生活習慣に関する縦断研究

本研究の対象者は49 - 63歳女性、調査は、更年期症状、健康状態、既往歴、食への意識および習慣に関する自記式調査票と食物摂取頻度調査にて実施した。さらに対象者が大学在籍時に記入した3日間の食事記録調査票も合わせて解析を行った。その結果、更年期症状と関連のあった大学在籍時の栄養素等摂取量は、動物性たんぱく質、脂質、食塩、多価不飽和脂肪酸、食物繊維であった。脂質は総脂肪だけでなく、動物性脂質、植物性脂質も更年期症状のうち、くよくよする、疲れやすい、動悸、胸のしめつけ、関節痛、手足のしびれと正の相関があった。

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上杉 宰世家政学部准教授H25-H29
属性付きグラフのレスポンシブ可視化の研究

属性付きグラフのレスポンシブ可視化の研究

オープンソース開発コミュニティやソーシャルメディアなどでは、大規模なネットワーク構造のデータがよく出現し蓄積される。 本研究では、ユーザがこのようなネットワークデータの構造特性を容易に発見できるようにする新しい可視化手法を提案する。また、このようなネットワークの成長の過程を3Dアニメーションで簡単かつ直観的に表現する可視化ツールを開発した。そのツールはthree.jsおよびNeo4jグラフデータベースを使用して実装され、Webブラウザ上で簡単に操作可能である。

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藤村 考社会情報学部教授H26-H29
(期間延長)
「表現の自由」とヘイト・スピーチ法規制をめぐる社会学的研究

「表現の自由」とヘイト・スピーチ法規制をめぐる社会学的研究

初めてヘイトスピーチを聞いた時「反感を感じた」71.9%、「驚いた」61.1%、「恐怖を感じた」49.7%の一方、「共感した」8.3%。「街頭で一緒にヘイトスピーチを唱えたい」1.7%、逆に「街に出てカウンター行動に参加したい」は10.4%。ヘイトスピーチを繰り返し聞くうち「違和感が増加した」52.8%、逆に「違和感が減少した」10.4%。ヘイトスピーチを「表現の自由」と見なすのは23.4%、「法で規制すべき」は47.6%。法規制すべきなのは、「人権を侵害する言動」76.3%、「特定の社会的弱者への憎悪表現」10.9%、「表現の自由を侵害する言動」38.2%、「思想信条の自由を侵害する言動」37%、「特定の政治家への憎悪表現」10.9%。外国人が増える結果として「日本の文化が豊かになる」70.7%、「社会の活性化」70.4%、「経済の活性化」59.2%、「日本人の働き口が奪われる」34%、「日本の文化がそこなわれる」22.5%。グローバル化で競争は激化、労働条件は悪化し、貧富の格差も拡大、将来への不安や閉塞感が増す中、少子高齢化で日本経済の停滞が懸念されるため、外国人に肯定的期待を寄せる者は少なくないが、外国人が対等・優位になり自分の既得権益が脅かされたり、追い抜かれる場合に排他的な傾向が強まる。「全体主義、排外主義ではなく、一人一人が大切にされ、お互いの個性、豊かさを尊重する、豊かさを分け合い、共に生きる社会を望んでいます。ヘイトスピーチをする人々は社会の中で自分が大切にされているという実感がないのではないでしょうか」(日本籍女性・自由記述より)
ヘイトスピーチのターゲットとされた人々のアイデンティティにダメージを与える、特に子どもの成長に悪影響が大きいと考えられている。コミュニティの中で生きる場合より、孤立無縁でカミングアウトせずに生きる方がダメージが深いと思われる。

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鄭 暎惠人間関係学部教授H26-H29
(期間延長)
ユーザーにフレンドリーな高精度3次元ファッション・デザインシステムの開発

ユーザーにフレンドリーな高精度3次元ファッション・デザインシステムの開発

情報通信技術を利用したファッションオーダーシステムの開発において,着装シミュレータが“3次元”で一般消費者に使いやすく,かつ精度の高いシミュレーションを実現できるための要件を検討した.その結果,既存のソフトウェアについて開発メーカーとのカスタマイズの検討と改善を行い,3次元の基準点測定表示可能なシミュレーションソフトウェアを開発した.また,タイトスカートとフレアスカートの3次元測定値から,幾何学的なパラメータとして,点集中のガウス曲率,点集中の測地的曲率,点集中の平均曲率を計算して,加齢による体型変化や,使用するテキスタイルの力学物性との間に関係を見出すことができた.

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團野 哲也家政学部教授H27-H29
1960年代のG10とOECD/WP3

1960年代のG10とOECD/WP3

国際金融システムの不安定は現在も継続している。その背景には、現在の国際金融制度の国際金融市場との不適合や国際政策協調の機能不全がある。こうした金融不全への対応として、IMF、FSB、G20、OECD、バーゼル委員会などの役割が検討されているが、これを明らかにするためには、それらの組織の起点まで戻る必要がある。本研究は、1960年代のG10、OECD/WP3、主要国政府国際金融部門の一次資料を新たに発掘することを通して、主要国間の政策対立、とくに米と欧州諸国やBISとの政策対立の存在を検出することができた。また、国際金融機関内部での内的な金融理論の形成も検出しえた。

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伊藤 正直その他の部局学長H27-H29
ガバナンスのリスク社会論・監査社会論的研究――資本主義と民主主義の現代的変容

ガバナンスのリスク社会論・監査社会論的研究――資本主義と民主主義の現代的変容

1980年代以降、現代社会の統治構造は、国家による垂直的な統治(ガバメント)から、国家・企業・NPO等、多様な主体による水平的な統治(ガバナンス)へと移行してきている。本研究では、このような統治構造の変化を「リスク社会論」や「監査社会論」に関連づけて分析した。研究をつうじて、「リスク管理」や「監査」の概念が当初の意味を超えて大幅に拡大解釈され、組織や社会の日常的・全般的な活動にわたって適用されるようになったこと、さらに、リスク管理や監査が組織や社会の統治原理を構成する基本的な要素になってきたことを明らかにした。

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正村 俊之社会情報学部教授H27-H29
制度環境における企業の戦略的対応と組織間関係構築に関する研究

制度環境における企業の戦略的対応と組織間関係構築に関する研究

制度環境において、企業が戦略的に対応し、組織間関係を構築するのかについて明らかにしている。組織論特に新制度理論の成果をもとに、制度企業家、埋め込まれたエージェンシー、制度的対応などの考え方により、制度環境に対応する戦略・組織・組織間関係のモデルを構築した。企業とステイクホルダーとのパワーや信頼とともに、組織内要因として、部門間パワー、対境担当者のポジションとパワー、トップのリーダーシップが影響を与えることを明らかにした。

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山倉 健嗣社会情報学部教授H27-H29
移行期における次世代自動車の開発と普及のための税制と規格,規制の理論・実証分析

移行期における次世代自動車の開発と普及のための税制と規格,規制の理論・実証分析

本研究の目的は、移行期における次世代自動車の開発と普及を図るための効果的な税制と規格、規制を解明することである。理論分析の結果、次世代自動車の市場規模が小さい場合、税制がイノベーションを効果的に促すことを明らかにした。また、電気自動車の普及のためには、車体価格に応じた補助金より充電池容量に応じた補助金の方が効果的であることを明らかにした。そして実証分析では、自動車税制が技術革新に強く影響を与えること、そして次世代自動車の普及には維持に関する税制上の優遇が効果的であることを明らかにした。

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荒川 潔社会情報学部准教授H27-H29
近世中国におけるムスリムの問答体文献の研究

近世中国におけるムスリムの問答体文献の研究

本研究では中国ムスリム哲学者、王岱輿の弟子達がまとめた問答集『希真正答』の特徴を検討した。『希真正答』において、王岱輿はムスリム以外に道教徒、仏教徒、そして儒者達と問答を行っている。ムスリムとの問答ではイスラームの教義に関するもの以外に、身の回りにおける自然科学分野に関するものもあった。一方、相手が非ムスリムの場合は王岱輿に説得、納得させられる形になっている。まとめた弟子達によれば、ムスリムは問答によって人間的な成長をするという考え方がある。『希真正答』は文字ではなく問答によって真の知を追い求めようとした書であるといえる。

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佐藤 実比較文化学部教授H27-H29
ラテン語詩と近世初期日本の交差

ラテン語詩と近世初期日本の交差

研究期間中に1)P.Palumbo (1573) Non Recedat Volumen Legis Huiusの背景および近世初期日本における受容について、2)ヴァティカン写本(MS. Reg. lat. 426)の最後部にあるラテン語寸詩および叙事詩断片計4点の内容および源泉について、3)B.Pereira (1640) Paciecidos Libriの背景や内容について、調査や発表を行った。特に2)の、近世初期日本人神学生によって筆写されたのではないかと推定される擬古典ラテン語詩4点が、1588年にリスボンで刊行された書籍から採られているとほぼ同定できたことが最大の成果である。

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渡邉 顕彦比較文化学部准教授H27-H29
日本語文学における検閲とジェンダー

日本語文学における検閲とジェンダー

大正・昭和期の新聞・雑誌メディアの言語と小説の言語を主な分析対象とし、ジェンダーをめぐる言説論理が検閲制度とのかかわりによってどのように形成されたのかを明らかにしようとするのが、本研究の目的である。戦前期の検閲は、制度としての伏字を基軸として実践されたが、本研究では検閲とジェンダーという主題に基づき、伏字とジェンダーの力学の関係性を検証した上で、伏字のもつ記号的効果を理論化し、検閲という観点から、日本語文学におけるジェンダー編成を明らかにすることを目指した。
本年度は、(1)明治期の言説編成をめぐる資料調査、(2)現代における明治・大正期の物語の表象という2点を念頭に、資料調査と考察を行った。大妻女子大学図書館、国立国会図書館、国文学研究資料館、都立図書館等で、1次資料を収集するとともに、調査を進めた。その過程で、不可視にされた戦時性暴力の構造について考察し、可視と不可視の境界線がどのように記述されるかという観点から、女性身体と暴力の構造、セクシュアリティをめぐる規範の生成、それにかかわる検閲的な禁止の問題について考察を進めた。また、ジェンダー論やセクシュアリティ研究、クィア理論に関する理論的文献について、研究会等での発表や討議を通じて、新たな理論的地平を獲得することにつとめた。そのなかで、プライベートな領域の策定と公への「現れ」を規制するセクシュアリティの制度について検証するとともに、ナショナリズムをめぐる情動の構成をジェンダー論的な観点から考察し、国内学会等で研究発表をおこなった。かつての検閲をめぐる感性がナショナリズムの情動とどのように切り結ぶのか検証し、その情動には不可視化されたかたちで性暴力の構造が伴われるというテーマ設定のもと、分析をおこない、考察の一部を論文にまとめた。

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内藤 千珠子文学部准教授H27-H31
金融市場の高頻度データ解析とリスク管理への応用

金融市場の高頻度データ解析とリスク管理への応用

金融データーにはネットワークデータ(企業間ネットワーク、株式保有関係、取引関係など)と時系列データ(企業業績、株価)の2種類のデータ構造がある。これらのタイプの違うデータ構造をもつデータを統合して解析する手法の開発を目指した。特に、ネットワークの各ノード上に時系列データが付随した複合的なデータに対して畳み込みニューラルネットワークを適用する方法を検討した。
具体的には、畳み込みニューラルネットワークなどの学習マシーンにデータを入力する前に、スペクトラルクラスタリングによって次元圧縮を行い学習時間を圧縮する方法を検討・応用した。この手法を用いる対象データとしては、ネットワークデータと、そのネットワークのノードに付随した時系列データである。金融データとしては株式市場における企業間ネットワークと株価・業績などの時系列データを想定している。
今回用いたスペクトラルクラスタリングは、ネットワークの隣接行列からラプラシアンを構成して、その固有値問題(主成分分析)を解いて、寄与の大きい固有値・固有ベクトルを求める。それを2次元グラフ上に表現して、そのグラフ上で時系列データを表現すると画像データと類似したデータ構造となる。そのうえで畳み込みニューラルネットワークを適用することによって、次元圧縮で高速に学習されるアルゴリズムとなる。今回、これを他分野のデータに応用したが今後金融データ(企業業績、株価データ)に応用する予定である。

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落合 友四郎社会情報学部准教授H27-H31
星座カメラi-CANを活用した,日本中の小学校で星の学習ができる教材の開発

星座カメラi-CANを活用した,日本中の小学校で星の学習ができる教材の開発

星座カメラi-CANを日本中どこの小学校でも一斉に使えるようなシステムを構築し、日本中の小学校の理科の授業で星の学習を行う時期には、全ての理科教科書が扱っている星座等の星の集まりにカメラを向けて、小学校の理科授業中に星座カメラの映像を使って星空の観察ができるような体制をつくった。
九州から北海道までの10カ所の小学校で星座カメラを使った理科の授業を実施、星座カメラi-CANを使った後に、子どもたちが星を観察してきた記録とi-CANを使わずに観察してきた場合の記録の精度を見ることで、i-CANを活用する効果を評価することができた。

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石井 雅幸家政学部教授H28-H30
伝統的農法「稲田養魚」の高い米魚生産性を支える生態系プロセスの科学的検証

伝統的農法「稲田養魚」の高い米魚生産性を支える生態系プロセスの科学的検証

稲田養魚の高い生産性を支えるメカニズムを解明するため、炭素窒素安定同位体比を用いて水田内の有機物フローを評価した。養魚水田は慣行水田に比べて動物性有機物の供給が大きかった。この養魚水田の動物性有機物は、魚(フナ)のふんによってかなりの程度説明されたが、養魚飼料の食べ残しのほうがより大きな割合を占めた。フナの餌に占める天然餌料の割合は一定程度あるものの、養魚飼料の貢献のほうがより大きかった。以上のことから、養魚水田生態系内部の食物連鎖が土壌肥沃化に一定の役割を果たすことが示された一方、系外から投入される養魚飼料が土壌の栄養状態により大きく作用し、本農法の高い生産性をもたらしていることがわかった。

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小関 右介家政学部准教授H28-H30
手芸文化データベースの構築と教育現場への活用

手芸文化データベースの構築と教育現場への活用

本研究は明治~昭和時代の女子教育で行われた高度な手芸教育の再評価と、教育現場への活用方法を見出すことを目標に行った。関東の女子大学4校所蔵の手芸作品881点と手芸技法書5冊の画像からデータベース(非公開)を作成した。このデータベースを学生30名、手芸をする一般ユーザー4名に試用してもらった。この結果を受け、一般的なHP型とSNS型を作成し、データベースとリンクさせたことで、検索性と情報発信力が高まり、ユーザーの使用性が向上した。手芸文化を広く発信し活用するには、データベースは有効な手段であり、さらに汎用性の高いSNS等のフォーマットを併用することが重要であることが明らかとなった。

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中川 麻子家政学部准教授H28-H30
エジプト・コプトの染織品とインド更紗の制作年代および制作地の特定に関する研究

エジプト・コプトの染織品とインド更紗の制作年代および制作地の特定に関する研究

平成30年度の研究実績として、国内調査を女子美術大学で実施した。約50点のコプトの染織品と40点のインド更紗(コプトの遺跡から発掘されたと考えられている作品)の調査を終えた。またこれらのインド更紗のうち8点については、放射性炭素年代測定(AMS-14C法)を実施し、各作品の制作年代を検討した。その結果、それぞれ15世紀が6点、13-14世紀が1点、8世紀が1点の3群に分類できるような結果が出た。8世紀と制作の可能性が指摘された作品は、藍で染色された作品であり、染料の影響を慎重に評価する必要があるが、相当量の染料成分が残留しないと年代をずらすことは難しいので、8世紀頃に制作された作品と考えることができる。本調査の結果はイギリス・オックスフォード大学アシュモリアン博物館が永年行ってきたコプトの染織品に含まれるインド更紗の制作年代に関する研究に照らし合わせても、妥当な結果と考えられる。
平成29年度の調査研究の成果として『大妻女子大学家政系研究紀要』第55号に「Report on Coptic Textiles in the Collection of Ashmolean Museum」を発表した。また放射性炭素年代測定の結果を踏まえた報告は、『月刊 考古学ジャーナル』No.725,2019に「エジプト・コプトの染織品とインド更紗の制作年代およ制作地の特定に関する研究」として2019年5月に発表した。今後はコプトの染織品と日本のコレクターとの関係について『文化資源学』への投稿を考えている。

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須藤 良子家政学部講師H28-H30
学校の教員と取り組む合理的配慮指針に基づく教材開発と授業手法の開発

学校の教員と取り組む合理的配慮指針に基づく教材開発と授業手法の開発

児童生徒一人ひとりの抱える困り感の軽減や解消を目指して,手作り教材を制作し,日常の教育活動の中で実践を行い,「これまで不可能だったことを可能にする」本研究活動は,国内だけでも 200 名を超える一大研究プロジェクトとなっている。これまで,発語のない児童生徒,知的障害を持つ児童生徒,自閉症の児童生徒,場面緘黙の児童生徒,視覚障害を持つ児童生徒,読みの困難な児童生徒,肢体不自由の児童生徒,学習障害を持つ児童生徒などが,多岐にわたる活動に取り組み,自立感,達成感を味わい,仲間意識を育み,学校に自分の居場所を作ることに成功するなど,これまで不可能だったことを可能にする取り組みを行うことができた。

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生田 茂社会情報学部教授H28-H30
家庭における日々の家事/活動をゲーミフィケーション化する研究

家庭における日々の家事/活動をゲーミフィケーション化する研究

家庭における日々の家事や行動にゲーミフィケーション要素を追加することで,少しでも楽しく家事や行動が行えるようにし,かつ,継続するためのモチベーションを向上させることが本研究の目的である.ゲーミフィケーションは,遊びや競争など, 人を楽しませて熱中させるゲーム要素や考え方を, ゲーム以外の分野で応用していこうという取り組みである.平成28年度および平成29年度においては幼児対象歯みがき支援に取り組み,平成30年度においては,幼児を対象とした食育支援を追加して取り組んだ.歯磨き支援の成果は情報処理学会が主催するDICOMO 2018において発表した他,国際会議CollabTech'18に採択されて発表した.
平成30年度から開始した幼児を対象とした食育支援については,子供が好き嫌いをしないように完食のサポートをするということと親子間のコミュニケーションを支援することを目的として実施した.スマートフォンに搭載されている加速度センサーを用いて,幼児が何をどのように食べているかを推測する機能を備えている.具体的には幼児の食事プレートの底にスマートフォンを置き,スマートフォンに内蔵されている加速度センサーがプレートの傾きを検知することで検出するようになっている.食べている料理に応じて異なる動物の鳴き声が出るようにした.これによって,最後まで飽きずに食事ができる且つ「楽しく」食事をすることができ,それをきっかけに親子間のコミュニケーションが増える手助けをすることを目指している.

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市村 哲社会情報学部教授H28-H30
中世後期ロンドンの「外国人」と都市社会

中世後期ロンドンの「外国人」と都市社会

本研究では、中世ロンドンを、都市の「外部」との関係性の中で考察するための第一歩として、「外国人」(alien)とされた人々を取り上げた。まず、中世ロンドンの「外国人」に関わる研究動向を整理し、その結果を、研究会や国際学会において発表した。そのうえで、代表者は、15世紀ロンドンの「外国人」の出身地・居住地・職業などの概要をまとめて発表した。また、ロンドン市立文書館において、14~15世紀ロンドンの「外国人」が残した遺言書を収集した。分担者の佐々井真知氏は、同職ギルド(同業者組合)が「外国人」とどのように関わったのかを考察するため、金細工師ギルドを取り上げ、当該ギルドの規約の分析を行った。

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上野 未央比較文化学部准教授H28-H30
穀類の摂取による高血圧症の予防効果と腸内代謝を介したメカニズムの研究

穀類の摂取による高血圧症の予防効果と腸内代謝を介したメカニズムの研究

β-グルカン含量の異なる2系統の大麦(ホワイトファイバーとファイバースノウ)を食餌性肥満モデルマウスに給餌し、血圧に及ぼす影響を検討した。本実験の対照群の収縮期血圧が120.7±8.2mmHgであったことから食餌性高血圧が発症したと考えられた。それに対し、ホワイトファイバーでは有意に血圧を低下させる作用が示された。収縮期血圧では、ファイバースノウも低下傾向(p=0.05)であったことから両大麦ともに高血圧予防または改善作用があると考えられ、β-グルカン量が多いほど効果が顕著であることが示された。大麦の血圧低下作用のメカニズムを調べるため、血清アンジオテンシンⅡ濃度とACE活性を調べたが、有意差が認められなかった。したがって、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系による調節作用ではないことが示された。同様に、内臓脂肪蓄積低減に伴う、脂肪組織からのアンジオテンシノーゲンの発現量低下によるメカニズムも認められず、逆に発現量が高まることが示された。また、交感神経系を介したレプチンの血圧上昇促進作用が報告されている。本結果より、ホワイトファイバー群で血清レプチンが有意に低かったため、血清レプチン低下が血圧低下の要因と考えたが、血圧と血清レプチン濃度との間に相関性は認められなかった。したがって、レプチン濃度でも説明ができなかった。
一方、盲腸重量と血圧との有意な負の相関が認められたため、短鎖脂肪酸を介した血圧調節が考えられた。大麦の血圧低下作用は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系を介さない、短鎖脂肪酸を介した作用の可能性が示唆された。今後、盲腸内短鎖脂肪酸解析を行い、血圧との相関性を検討していく。

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青江 誠一郎家政学部教授H28-H31
現代日本語の自他に関する構文的研究

現代日本語の自他に関する構文的研究

本研究の目的は「構文」に関する文法的知識が実際に使用される文の生成・解釈において重要な役割を果たすことを、現代日本語の自他構文を例にして明らかにすることである。本年度は、接続助詞的な意味を表す「のが」と「のを」を持つ文を、自動詞構文・他動詞構文からの拡張と位置付け、それぞれ自動詞構文・他動詞構文の基本的な意味をどのように受け継いでいるか、どこまで元の意味を失っているかを詳細に検討した。その結果、「のが」「のを」は、状態変遷性を表す自動詞構文の主格・対抗動作性を表す他動詞構文の目的格という格助詞の意味から、二つの事態を「逆接」「対比」の意味でつなぐものへと拡張した実例が見いだせるものの、拡張するにつれ(自動詞構文・他動詞構文の特徴が失われるにつれ)許容度は下がり、動的事象の変化の解釈が得られない状況での「逆接」「対比」用法は受け入れがたいことが明らかになった。この拡張の結果としての逸脱的な「のが」の文と「のを」の文の意味は接近しているが、「のを」の文が「のが」の文に近づく関係にあることも明らかにした。「のが」「のを」を用いて動的事態変化ではない、「対比」を表す場合、発話者は自動詞構文・他動詞構文の構文的意味である「変化」の意味を、《対比する》という思考のプロセスに写像して表現したものと考えられ、「に対して」などの表す「対比」とは意味が異なることを明らかにした。「逆接」や「対比」の意味そのものが発話者の主観と言われるが、その「逆接」「対比」を、自動詞構文・他動詞構文の持つ構文的意味を鋳型として主体的に捉え表現するという意味でも、「のが」「のを」文の「逆接」「対比」は主観的であると言える。

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天野 みどり文学部教授H28-H31
近代ボストン美術館における日中米文化交流

近代ボストン美術館における日中米文化交流

米国のボストン美術館には、「中国最後の文人」と称される呉昌碩の手になる「与古為徒」扁額が掛けられている。これは、当時上海在住の漢学者・長尾雨山が、ボストン美術館中国・日本美術部長であった岡倉天心に贈ったものである。岡倉は、ボストン美術館のために中国美術収蔵活動を行い、成果が高く評価されているが、本研究では、その根底に長尾や呉昌碩の助力があったことを指摘し、岡倉の活動が中国の文人的教養に基づいた高度なものであったことを提示し、近代において画期的成果を収めたボストン美術館を舞台とする日・中・米文化交流の重要なる意義を明らかにすることを目的とする。
この研究目的を達成するため、2018年度は、2017年度よりのボストン美術館所蔵資料分析、検討を引き続き行うと共に、あわせて、日本、中国における資料収集のための研究調査を行った。「研究実施計画」に記した米国ボストンでの研究調査は、研究の進捗状況に鑑みて、2019年度に実施することにしたい。2018年度に刊行された関連研究論文は、「足未踏日本、名仍震東瀛―従与日本人士交流的角度看呉昌碩芸術的本質」〔中文〕2018・4 紫禁城(北京故宮博物院)2018年第4期、「河井セン廬的印学」〔中文〕2018・10 世界図紋与印記国際学術研討会論文集(西レイ印社出版社)、「呉昌碩と『呉氏宗譜』2019・3・20 大妻女子大学紀要-文系- 51号、「呉昌碩の官途」2019・3・31 中国近現代文化研究20号の4本であるが、すでに入稿済の研究論文として、「長尾雨山の近代日中美術交流における貢献」アジア遊学 特集日本から見た東アジア近代美術、「日本人士による呉昌碩展覧会と図録」関西大学論文集山本竟山の書と学問、「長尾雨山と依水園」中国文化第77号、「長尾雨山と書画文墨趣味ネットワーク」書論第45号の4本があり、2019年度刊行の予定である。

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松村 茂樹文学部教授H29-H31
17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

1643年の王位継承から1715年の死までフランスの歴史の中で最も長い治世の中で、ルイ14世は対外的な行動力と内政においてヨーロッパの頂点を極めた。そしてその功績は現在もパリの至る所に記されている。絶対王政確立におけるルイ14世の政治的手腕の一つとして文化政策があげられるが、その中で国王のイメージ戦略を含む演劇というライヴ・パフォーマンスは欠かせない。そこにはルイ14世のもとで彼の要望に応え続けた喜劇作家モリエールの存在がある。彼の古典ラテン喜劇作家から受け継いできた理想の喜劇を作り続ける劇作法、為政者と観客が求めるものを提供した作品は、「愉しませながら教え諭す」という喜劇の理論を具現化し、21世紀の我々に娯楽としての魅力と17世紀のフランス社会を写しだした文化史としての魅力を提示している。モリエール劇団の一員ラ・グランジュの『帳簿』と、彼によって劇作家の死後出版された全集、アンドレ・フェリビアンによるヴェルサイユ宮殿における祝祭の公式報告書、モンティニ神父やバラールによる報告書、『ガゼット』、シャルル・ロビネの書簡、財務省に呼ばれたオランダ人ホイヘンスの報告書などがそれらを証明している。モリエールが古典ラテン喜劇作家の後継者であることは、第一に彼の作品がその死後も評価され続けていることに見て取れる。同時に、世紀末になって古典ラテン喜劇作家が再び仏訳され、テレンティウスの作品が翻案されたことにより、フランス喜劇の神髄に古典ラテン喜劇作家が息づいていることが明らかとなった。

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榎本 恵子文学部講師H29-H31
住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

今年度は2年目であり、住宅市場における賃貸併用住宅の建築動向の把握を行った昨年度(住宅展示場の調査など)に引き続き、賃貸併用住宅の建築動向に関するデータの収集の一環として、既存統計調査での取り扱いについて検討を行った。住宅メーカー各社の建築実績の概要が把握できたものの、定量的な把握は困難であることが確認できた。さらに、賃貸併用住宅の建築がこれまでの東京23区外延部から、郊外部へと広がっていることや、それらの地域へ向けた営業が徐々に行われていることが分かった。また、D社の建築した賃貸併用住宅の平面図・配置図の分析を行い、これらの住宅建築の建築設計上および敷地や立地上の特性についての検討を行い、敷地の広さや接道条件などとの関係により、住宅平面が異なることも分かった。近年、賃貸住宅の空き家化が問題視されるなか、賃貸併用住宅の建築が活発な要因をさぐるとともに、地域的課題を明らかとする必要があり、賃貸住宅建築のなかでの賃貸併用住宅の比重、オーナー住宅との関係などが重要な点であることが確認された。さらに、賃貸併用住宅としての特殊性や、その他の賃貸住宅と比較して有利な点を明らかとすべく、賃貸併用住宅の管理を行っているD社の管理部門他へのヒアリングを実施し、建築企画段階および建築後の入居者管理・建物の維持管理における問題を把握することができた。比較的敷地が広く、その地域に定住意向の強い持家層の建築が多いことや、賃貸住宅経営の経験があるなどの、賃貸併用住宅建築を行った居住者像をより明らかにした。

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松本 暢子社会情報学部教授H29-H31
日本の出産文化の歴史社会学的研究―リプロダクティブヘルスと助産所の機能を中心に

日本の出産文化の歴史社会学的研究―リプロダクティブヘルスと助産所の機能を中心に

2018年度は研究代表者、研究分担者、研究協力者間の研究交流を深めるとともに、それぞれの研究を深めた。京都府助産師会と大阪府助産師会には資料の電子化とリスト修正作業終了後に、返却をおこなった。特に京都府資料は、図書・雑誌類は少なく、その多くが産婆会時代の事務にかかわる様々なタイプの資料だったことから、資料リストを修正する必要が増えた。このため、資料返送の際に研究代表者大出と研究協力者の岡本が京都府助産師会館にて立ち会い、修正リストと資料との照合作業をおこなった。当初の予定された電子化作業とは別に、大阪府助産師会で保管されていた戦前期の助産カルテについて(2017年度段階では電子化の対象外としていた)、劣化が著しいことから、資料の電子化の依頼があり、郵送にてこれを受け取った。また京都府助産師会からは1936年に実施された大日本産婆会(京都大会)にかかわる資料が会館内で保管されているとのことで、すでに電子化済みの資料に加えて、これらの資料の電子化の依頼を受け、作業を継続している。
大阪府助産師会が保管していた「堺市赤ちゃん審査会写真帖(帳)」資料をもとに日本社会学会にて学会発表(ポスター)を行った。また戦前期の産院について19世紀末期からおよそ半世紀にわたる法律の変遷を整理し制度的に跡づけ、これを日本助産学会学術集会にて学会発表(ポスター)を行った。2018年度は研究代表者が戦前期の産婆会の全国組織化にかかわる産師法制定運動についてまとめた論文を中心に『産婆と産院の日本近代』という単著を出版した。著書がきっかけになり日本助産師会出版から2019年2月号の依頼原稿と出産ケア政策会議主催のシンポジウムにおける基調講演の依頼を受け実施した。戦前期産婆会関連資料リストの修正、電子化資料の確認作業(ページの漏れ、ページレイアウトの統一など)を進めた。この作業は今年度も継続中である

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大出 春江人間関係学部教授H29-H31
スーパーヴァイザー養成のためのメタ・スーパーヴィジョンに関する研究

スーパーヴァイザー養成のためのメタ・スーパーヴィジョンに関する研究

以下の組み合わせでメタ・スーパーヴィジョンの実践とそのプロセスおよび効果の分析、検討を進めている。スーパーヴァイジー(Svee)4名:20歳代の臨床心理士もしくは大学院生、スーパーヴァイザー(Svor)4名:30歳代から40歳代でSvorの経験が初めてかもしくは少ない臨床心理士。これらに対してメタSVor(50歳代の臨床心理士でSVor経験20年以上、メタSvor経験5年以上)1名。スーパーヴィジョンの対象となった事例は、医療機関や大学の心理相談室、公的機関の従業員相談室等の事例であった。すべての事例と組み合わせに関して、まずメタSV無しのSV数回をおこない、カウンセラー自己効力感測定の後に、2,3回のSVごとにメタSVの実施を3回繰り返す。そして再びカウンセラー自己効力感測定と振り返り用紙の記入を求めた。また、すべてのセッションを録画・録音し、さらに毎回のSVとメタSV終了直後にSV満足度尺度、SV作業同盟質問紙を実施した。結果としては、まずSVを受けたSVeeからは、以下に代表される振り返りが得られた。「SVorが私の考えを理解しようと寄り添ってくれるようになった」「メタSV以前は、SVorの見立てや方針に沿わなくてはいけない、そしてSVorの求める正解があって、それを理解しなければいけないような気がしていたが、メタSV開始後はそれらの気持ちが薄れて自由に考え、それを自由に伝えられるようになった。」「メタSV以前は、約束しているから行くという受動的な面もあったが、最近は意識的に考えたとことをもっていくようになりVorの意見を聞きたいと思うことが増えた。」。また、メタSVを受けたSVorからは「SVee理解の深まり」「SVeeに応じた介入」「介入スキルの増加」「自身の臨床の非言語的な部分の振り返り」等に大きな効果があったと報告された。

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福島 哲夫人間関係学部教授H29-H31
ジェンダーからみる近代日中女性関係史の総合的研究――月曜クラブと一土会を中心に

ジェンダーからみる近代日中女性関係史の総合的研究――月曜クラブと一土会を中心に

  • 関連史料の所蔵状況に関する調査及び収集・・・研究代表者(上海社会科学院歴史研究所、台湾中央研究院近代史研究所他)と分担者それぞれの個別の史料調査を行った。
  • 研究会の開催・・・2018年5月6日、6月23日、7月27日、11月23日、2019年2月24日の5回、それぞれ例会を開催した。具体的には月曜クラブと一土会の史料に関する講読、研究方向と方法の検討等を行った。なお、7月27日には、ゲスト報告者の江上幸子氏(フェリス女学院大学名誉教授)による「『女声』、田村俊子と関露」に関する報告を、11月23日には、同じく島田大輔氏(立命館アジア・日本研究機構専門研究員)による報告「太田宇之助と中国:中国専門記者の戦前・戦中・戦後」も行った。
  • 笠間杉子氏所蔵書簡等の調査・・・5月5日には姫路において、当地在住の笠間杉子氏(竹中繁の教え子である石川忍の孫)へのインタビューと所蔵書簡等の調査を行い、貴重な情報と資料を得ることができた。翌日6日の例会では、それらの資料に関する整理と情報共有を行った。
  • 国際シンポジウムへの参加と報告・・・11月8~11日に、上海社会科学院歴史研究所・神奈川大学非文字資料研究センター主催の円卓会議「中国・上海都市研究の新動向」(於上海社会科学院歴史研究所)に、研究代表者の石川照子が参加し報告を行った(「上海のキリスト教ーー戦後・建国後・そして現在」)。また、中国の研究者たちとの学術交流も行った。
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石川 照子比較文化学部教授H29-H31
第二次世界大戦期、空爆標的地図にみる米英連合国の空爆戦略の転換

第二次世界大戦期、空爆標的地図にみる米英連合国の空爆戦略の転換

前年度までに第二次世界大戦期における米英連合国の地図作成協力体制について研究調査を進め、ヨーロッパ戦線で用いられた爆撃標的地図の作成過程を考察した。これにより、ヨーロッパ戦線における空爆作戦の変更(白昼精密爆撃からレーダーを用いた爆撃へ)が、アジア・太平洋戦線における地域爆撃・じゅうたん爆撃にどう連なっていくのかを検証することが可能になったと考える。2018年度は、イギリスの英国図書館地図室と英国立公文書館で調査を進め、1943年から1944年にかけて米英豪連合国がアジア・太平洋方面の地図・海図を共有していたという地図史料コレクションならびに文書史料を調査し、分析している。これにより本研究が期間内に明らかにしようとする課題(2)戦線における地図作成を含む空爆作戦準備、実際の空爆戦略そして空爆評価という一連のプロセスを調査し、「精密爆撃」方針から「地域爆撃」へと転換したのかについて考察した。2018年度はこれら一連の研究調査を踏まえて、社会・国民に発信するため、愛媛大学で開催された第48回空襲・戦災を記録する会全国連絡会議で、二つの研究成果報告を行った。一つ目は、同じく愛媛大学で開催された第19回米軍史料の調査・活用に関する研究会で、第二次世界大戦期の米英両国の空爆地図調査方法について報告した。二つ目は、全国各地の空襲調査報告が行われる本大会で「第二次世界大戦における米英爆撃標的地図の変容」について報告した。参加者との質疑応答を通じて、ヨーロッパ戦線からアジア・太平洋戦線への空爆作戦の連続性と断続性について一層研究を進める重要性を認識することができた。

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高田 馨里比較文化学部准教授H29-H31
旧英領カリブの多文化共生社会に関する実証的研究:白人性のオーラルヒストリー分析

旧英領カリブの多文化共生社会に関する実証的研究:白人性のオーラルヒストリー分析

本研究は、時と場所により異なる意味を持つ流動的な概念であり、多くの場合非白人に対する優越性信仰と社会経済的特権を意味する「白人性」の多様性に着目し、①複合的な社会階層・階級の中での人種間の軋轢の中で、他者との交流を通じた白人としてのアイデンティティの構築過程、②差別を生み、差別化の根源となる集団で、経済的・文化的強者である白人と白人性についての理解、③偏見や差別の構造解明、④異文化許容・多文化共生を可能にする個人の4点について、旧英領3国(トリニダード・バルバドス・ジャマイカ)における事例を総合的に比較し、その特徴を究明することにある。今年度の研究実績は以下のとおりである。

  • 資料収集:2019年2月後半~3月前半、トリニダードで現地のヨーロッパ系市民に対しオーラルヒストリー聞き取り調査を実施。なお、2019年1月後半に予定していたジャマイカでの現地調査は、体調不良により未実施。
  • 研究発表:2018年11月、コスタリカで開催された国際学会において、トリニダードとバルバドスの白人性を比較した “Questioning whiteness: ‘Who is white?’in Barbados and Trinidad”を発表。
  • 論文発表:①「旧英領カリブ海地域における白人性の多様性-バルバドスとトリニダードの比較」人間生活文化研究. 2018.28. pp.63-98. ②「カリブ社会のグローバル化とグローカル化-トリニダードのカーニバルを事例に-」人間生活文化研究. 2018.28. pp.721-730. ③“Questioning whiteness: ‘Who is white?'-A case study of Barbados and Trinidad-”. International Journal of Human Culture Studies. 印刷中。
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伊藤 みちる国際センター講師H29-H31
十九世紀の絵入本における画文一体構成に着目した書物(メディア)史研究

十九世紀の絵入本における画文一体構成に着目した書物(メディア)史研究

今年度は、手元で見られる浮世絵の図録や展覧会のカタログなどから、填詞入り浮世絵を見出し、主として填詞とその書き手に関するデータベース化を進めてきた。ただ、管見に入る資料の多くは揃物の端物が多く、揃物の全貌を知るための所在調査が不可欠であり、手間暇を費やす必要があったが、発見できないことも多かった。消費された商品としての浮世絵は、完全な保存が期待できるのは、主として海外のコレクションで、幕末から明治初期に来日した西欧人が、浮世絵の芸術的文化的価値を見出してくれなければ、壊滅していた文化資源であることを痛感した。一方、フィールドワークとしては、国内調査として三重県の石水博物館へ出向いた。未だ広く一般に公開されているわけではないが、川喜田家の旧蔵コレクションは稀覯本の宝庫である。近年中には正式な目録が公開される由であるが、幸いにも他に所蔵の知られていない馬琴の中本型読本『敵討枕石夜話』の改題本『讎同士石與木枕』の早印本などの調査が出来た。海外では、昨年調査へ行ったアメリカ合衆国のサンフランシスコ州立大学バークレイ校とスタンフォード大学へも、本研究課題以外の研究経費で出向くことができたので、昨年の調査データで不明の点を確認してきた。また、フランス国立ギメ東洋美術館図書室蔵の填詞入り浮世絵と大量の絵入本の調査をした。調査資料は目下整理中であるが、最終的なデータに活かせる資料の閲覧が出来た。
今年度の調査を通じて、絵入本とりわけ地本と浮世絵の関係を明らかにするためには、今少し十九世紀の絵入本に関する調査も不可欠であることを認識しつつあり、今後の研究の方向として留意していきたいと思う。

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高木 元文学部教授H29-H32
育児期の女性の精神的社会的要因や地域・家族の支援と子どもの食環境や発達との関連

育児期の女性の精神的社会的要因や地域・家族の支援と子どもの食環境や発達との関連

国立成育医療センターで実施されている「成育母子コホート研究」の生後6年後の調査を子の母親・父親を対象に質問紙法により実施した。調査の内容は、子の食習慣、しつけ、世話について、母親・父親それぞれの食習慣についてである。これらの調査とあわせて簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食事調査の実施を行った。来年度も引き続き調査対象者の数を増やしデータ構築をすることによって、出産後うつ、不安障害、健康度等の子どもの栄養や発達、あるいは母親、父親の食事への影響について明らかにする予定である。特に、妊娠中および出産後の母親の栄養摂取状況を、エネルギー栄養素摂取量を算出して摂取量の過不足について評価することのみならず、食事バランスガイド、食事の多様性、食事パターンを用いた新しい評価方法によって把握するための検討を行い、出産後うつ、不安障害、健康度等の子どもの栄養や発達、あるいは母親、父親の食事への影響について関連を明らかにする。また、これらの関連に出産・育児に関するソーシャルサポート、家族のサポートが与える影響について明らかにする予定である。

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小林 実夏家政学部准教授H29-H33
挑戦的萌芽研究寝たきり高齢者のQOL改善のための機能性繊維の応用に関する研究

寝たきり高齢者のQOL改善のための機能性繊維の応用に関する研究

我が国の寝たきり高齢者の人口が福祉先進国よりも圧倒的に多い。福祉先進国では、介護器具を用いて身体の残存機能を活かして高齢者の自助を支援する。本研究は、介護システムや介護器具について調査した。また、尿臭、排泄物臭のような身体起源の悪臭が問題視されていることから、本実験では、寝たきり高齢者の病室内環境を想定した実験室を作り、消臭性繊維を悪臭源近傍で消臭する方法を検討した。まず、室内空気の流れをシミュレーションした装置を作成し、消臭性繊維の消臭機構および消臭効果を調べた。次に、排気ダクト内や換気マットレス内に消臭性繊維を設置または寝具に応用し、消臭効率を測定して消臭性繊維の適正化を提案した。

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水谷 千代美家政学部教授H27-H29
日中戦争の記憶と表象に関する総合的研究――1940-1960年代を中心に

日中戦争の記憶と表象に関する総合的研究――1940-1960年代を中心に

本研究では、日中戦争・アジア太平洋戦争の同時代に中国での戦争を描いた日本語のテクストを取り上げ、当時の書き手たちが現代進行形の戦争をどう表現したか、幅広く検討した。また、戦後の文学や映画において、中国の戦場における日本軍の加害の記憶がどう表現されたかについて、精しい調査と分析を行った。上記の研究の成果は、単著『プロパガンダの文学 日中戦争下の表現者たち』(共和国、2018年5月刊行)などの成果として公表した。今回の研究を通じて、20世紀の戦争をテーマとする国際的・学際的な共同研究への手応えを掴むとともに、文学研究の側から戦争とメディアの関係を問うことの意義を確認することができた。

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五味渕 典嗣文学部准教授H27-H29
作家の計量分類による日本近現代文学史の構築

作家の計量分類による日本近現代文学史の構築

本研究の目的は、日本の近現代作家の伝記的事実に関する情報等をもとに、その属性を計量的に分析・分類し、現在通行する文学史を検証することである。現段階では、文学史の検証を行うまでには至っていないが、この3年間で、日本の近現代において小説分野で活躍した84名の作家について1,847の属性項目を収録したデータベースを作成することができた。例えば、作家の活躍について数値で示した項目群などは、文学史の分析を行うに当たっては、これまでにない有用なデータである。

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高橋 寿美子人間生活文化研究所助手H27-H29
リアルオプション・アプローチを用いたプロスポーツチームの価値評価手法の開発

リアルオプション・アプローチを用いたプロスポーツチームの価値評価手法の開発

スポーツチームの価値評価は,一般の事業会社に比較するとはるかに難しい.それが困難性を有する最大の原因は,スポーツチームの価値が,移籍やフリーエージェントに関して選手あるいはチームが有する選択権,上位大会への進出の有無による年間試合数の変動,上位リーグへの昇格や下位リーグへの降格の可能性等に依存するからである.このような認識の下,本研究では,代表的な価値評価手法であるDCF法によっては評価が難しい上記の諸要素の価値を,オプション価格モデルを用いて算定する方法を開発した。

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寺石 雅英キャリア教育センター教授H27-H29
若手研究(B)「語り」の蓄積からコミュニティの物語を出力する地域デジタルアーカイブの構築と運用

「語り」の蓄積からコミュニティの物語を出力する地域デジタルアーカイブの構築と運用

本研究は、地域コミュニティでの「語り」に着目したアーカイブを構築することにより、地域における情報技術の新しいモデルを研究するものであった。具体的には、地域住民が多数出演した宮城県亘理郡山元町「りんごラジオ」の放送記録をデジタル化し、これを中心としたアーカイブシステムを構築、復興記録の地域における活用について調査した。それらの結果から、東日本大震災後に運営が長期化した臨時災害放送局のメディアとしての位置づけなどについて考察した。

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松本 早野香社会情報学部講師H27-H29
民族誌的アプローチにもとづく難民の定住プロセスの国際比較研究

民族誌的アプローチにもとづく難民の定住プロセスの国際比較研究

本研究では、タイのミャンマー(ビルマ)難民キャンプからフィンランドとオーストラリアに再定住した難民(カレンニー難民)の定住プロセスを民族誌的に明らかにする。移住第一世代の定住状況を明らかにするため、就労状況、難民のネットワーク、自助活動、民族的アイデンティティのあり方、難民経験の活用といった点に着目した。日本とアメリカが受け入れた難民の状況とも比較し、2005年以降に世界各地に再定住していった難民の定住状況が明らかになった。

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久保 忠行比較文化学部准教授H27-H29
台湾ニューシネマとそれ以降の台湾映画における「日本時代」表象研究

台湾ニューシネマとそれ以降の台湾映画における「日本時代」表象研究

本研究では、現代台湾映画における「日本時代(日本統治時代)」の表象について分析した。その結果、『海角七号』が公開された2008年をメルクマールとして、それ以降の現代台湾エンターテイメント映画に描かれる「日本時代」は、日本植民地統治への批判や評価というよりも、中国との緊張関係に直面している21世紀の台湾において、台湾の歴史物語の一部の創造および再記憶化のための素材として機能していることが明らかになった。

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赤松 美和子比較文化学部准教授H27-H30
視線随伴パラダイムを用いたAgency調整システムの発達過程の解明

視線随伴パラダイムを用いたAgency調整システムの発達過程の解明

本研究では、我々がこれまで行為主体感の発達評価のために用いてきた視線随伴課題を応用し、社会的文脈に応じた視線の合目的操作を8か月児が行えるかどうかについて、3つの実験を通じて検討した。具体的には、社会的な相互作用(攻撃行動)が観察されるアニメーションを見せ、自分の視線の操作が悪役キャラクターを懲らしめられるような文脈にすると、乳児は悪役を懲らしめるような目の動きを示した。しかし、視線の操作が悪役キャラクターをこらしめられないような文脈にすると、視線の操作が変化することが分かった。

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宮崎 美智子社会情報学部講師H28-H30
里親養育における里親と実子の意識とその支援のあり方

里親養育における里親と実子の意識とその支援のあり方

平成30年度の計画と実績の概要は以下のとおりである。


  • インタビュー項目の作成・協力者の選定:国内のインタビュー調査のインタビュー項目、大学内の倫理審査の認定、協力者の選定を行った。インタビュー項目の作成は、里親・実子それぞれのインタビュー項目を作成した。また、大学内の倫理審査では、科学研究費の執行・倫理に沿った審査を行っている。
  • インタビュー調査の実施:里親と実子へのインタビュー調査の実施の計画を行ったが、平成30年度はプレ調査を含む里親への4件の調査を行った。プレ調査では、里親家庭の実子にも面会することができ、年齢が計画よりも低いためインタビューは行わなかったが実際の里親家庭で考えたことなどを聞き取ることができた。インタビューでは実子と委託児童の養育においての課題や実子支援に関する内容を聞き取ることができた。
  • 平成28年に行った海外視察オーストラリアのフォスタリング機関(里親支援機関)への調査報告についてまとめ、実子支援についてのプログラムの内容や現状の実子支援についてまとめた。このまとめに関しては2019年7月に発行予定の論文に掲載する予定である。
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山本 真知子人間関係学部講師H28-H31
ハワイ語ラジオ番組を事例とする危機言語の復活とメディア利用に関する会話分析的研究

ハワイ語ラジオ番組を事例とする危機言語の復活とメディア利用に関する会話分析的研究

消滅の危機に瀕した言語(危機言語)の記述研究は、文法書や辞書の作成に重きが置かれ、話者間の相互行為という視点が十分でなかった。本研究は相互行為という視点から、危機言語の話し言葉データを収集・分析し、従来の危機言語研究を補完・発展させることを目的としている。危機言語を復活させる試みの成功例としてはハワイ語がある。しかし、ハワイ語の場合も話者間の相互行為という視点が十分でなかった。本研究の具体的な目的はハワイ語ラジオ番組の会話分析を通じて従来の記述研究を補完し、ハワイ語の復活とメディアの関係性を明らかにすることである。本研究では先住民語であるハワイ語ラジオ番組「カ・レオ・ハワイ」(以下KLH)における言語使用を分析している。KLHは「ハワイの声」という意味で、第1期(1972 年から1989 年)と第2期(1991年から2000 年)からなる。第1期はハワイ語の記録を目的とし、番組パーソナリティーが主に年配の母語話者をゲストとして招いてさまざまなトピックについて会話をし、時折、電話をかけてくる別の母語話者であるリスナーたちとも話すという番組形式であった。一方、第2期は母語話者の高齢化が進み、ゲストはハワイ語のイマージョン教育(没入教育)を受けた新たな、若い母語話者や大学などでハワイ語を学習した第2言語話者が占めるようになったという特徴がある。KLH の第1期と第2期に見られる言語実践をより詳細に比較していくために、平成30(2018)年度も研究協力者の協力を得て引き続き番組音声ファイルの文字起こしを進めた。特に第2期を中心に番組音声ファイルの文字起こしを進め、データベースを拡充するとともに、データの分析を行った。

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古川 敏明文学部准教授H29-H32
研究活動スタート支援貧困世帯の若者の移行と家族に関する研究

貧困世帯の若者の移行と家族に関する研究

本研究では、①生活保護世帯の若者がいかに学校から仕事へと移行するのか、②移行する前と後で、彼らと家族との関係性はどのように変化するのかを明らかにすることを目的とした。彼らの移行には、家庭生活での彼らの役割や家族の状況、生育環境が影響しており、次の移行へ移ったとしても彼らの家族への愛着は変わらないことが分かった。しかし、経済的負担によって、家族関係が変化することも示唆された。また学校から仕事へと移行するためには家族以外の第三者との関係が築けているかどうかがひとつの分岐点となっていることが見出された。

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林 明子家政学部講師H28-H29
特別研究員奨励費DV被害者支援と民間シェルターにおける米・加・日の比較研究

DV被害者支援と民間シェルターにおける米・加・日の比較研究

本研究では、アメリカ(米)・カナダ(加)・日本におけるDV被害者支援に携わる民間シェルターの現状と課題について比較検討を行ない、実効性のあるDV被害者支援を検討することを目的に研究を遂行してきた。平成29年度は、米加の現地実態調査を実施し、研究成果の一部を学会(国際学会2回、国内2回)等で報告した。
米ロサンゼルス調査では、民間シェルター支援者、加トロント調査では、民間女性NGOの代表・支援者へ聞き取り調査を行った。また、これまでの日本の民間シェルター及び民間女性NGO、行政、関係機関への聞き取り調査を基に考察を行なった。
米加では、女性への支援は民間女性NGOの活動からスタートしたが、現在では、州政府、関係機関、民間女性NGO、民間シェルター、医療関係者等多様な主体が連携をとりネットワークを構築し支援を行っている。一方、本調査から明らかになった米加の団体に共通する課題は、外国籍や複合的な困難を抱えるDV被害者への対応や女性の自立支援の難しさに直面していることである。日本では、DV防止法施行以降、DV被害者支援制度は整備されつつある。しかし、公的機関による支援がDV被害者の一時保護以降の継続的なアフターケアを含んでいない等未だに課題は多い。このような中、民間シェルターは先駆的に支援を行ってきた。本調査を通して明らかになった論点は、第1に、運営上の問題や行政による財政支援の不足は、日本の民間シェルターに際立った特徴であることである。有償ボランティアを余儀なくされている支援者の待遇の改善は喫緊の課題である。第2に、DV被害者支援において不可欠とされる関係機関の連携は、日本では二極化しており、関係機関間でも温度差がみられた。一方、米加ではDV被害者を中心とした支援と連携体制が整備されつつある。米加における法制度と支援との関連、官民の連携等については引き続き調査を継続し検討する。

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小川 真理子社会情報学部特別研究員(PD)H28-H30
研究成果公開促進費(学術図書)Development of a Methodology for Optimizing the Oral Transmission of Traditional Clothes-Making Techniques in a Preliterate Society下田 敦子人間生活文化研究所講師H29-H30

短期大学部

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
実施状況報告書・実績報告書研究成果報告書
該当なし

全国学校別 採択件数・配分額一覧表

※文部科学省ホームページ「 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

大学

短期大学部