大学紹介
入試・入学
学部・短大・大学院
研究
就職・キャリア
​学生生活
​留学・国際交流
地域連携・社会貢献

科研費 過去の採択状況 平成23(2011)年度

採択課題一覧

大学

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
実施状況報告書・実績報告書研究成果報告書
新学術領域研究透明マントの設計とその応用研究

透明マントの設計とその応用研究

透明マントを実現させる上で困難になるポイントとしては、光を大きく曲げるときに、極端に高い(または低い)屈性率を持つ物質が必要となる点である。特に、波長が短くなればなるほど、その波長に対応するメタマテリアルなどの素材を作るのは難しくなる。この高い屈折率をもつ物質が必要となる困難を避けながら、物を隠す方法として、従来の透明マントとは別の方法としてカーペットクローキングが考案された。それは、フラットな鏡の中央部に膨らんだ窪みがあるが、光が入射すると窪みの周りを光が迂回して、外側から見るとあたかも完全にフラットな鏡にみえるという装置である。完全なクローキングを実現するには、高い屈折率が必要であり、技術的な難しさがある。それに比べて、カーペットクローキングはより緩和な屈折率で実現できる。カーペットクローキングを設計する方法のひとつとして、ラプラス変換を用いるやり方を提案したが、ラプラス変換に用いられる関数形と、カーペットクローキングの境界形状の関係が興味深くなる。通常、ラプラス変換に用いられる関数形が決まると、境界形状が決定されるが、この方法の逆問題として、カーペットクローキングの境界の形状からラプラス変換に用いられる関数形を推定する方法論を調べた。また、透明マントの設計方法には、座標変換を用いるもの以外にも、境界条件を用いて定式化する方法もある。これは、座標変換を用いる方法よりも直接的な方法であり、さらに深い知見を得ることができる。いままで考案してきた透明マントの設計を、境界条件を用いる方法で解析した。

CLOSE
落合 友四郎社会情報学部准教授H23-H24
基盤研究(A)アジア採集狩猟民児童~大都市児童の発育発達多様性と環境の相互作用、含む標準値作製

アジア採集狩猟民児童~大都市児童の発育発達多様性と環境の相互作用、含む標準値作製

東南アジアの都市と農村、海洋、高地に住む、狩猟採集民から現代都市に生きる3歳から10歳までの子ども4万人について、身体発達の様相を58項目にわたって調査した。対象民族にはビルマ、タイ、シャンをはじめシェルパのほか狩猟採集民のムラブリやモーケンも含まれている。調査項目は粗大筋スキル、微細筋スキルと生活スキルの発達であり、この研究によって人の身体発達と環境との関係を探求する基礎を作ったと考えている。

CLOSE
大澤 清二人間生活文化研究所所長H23-H26
基盤研究(B)アジアメガシティの多層化するモビリティとコミュニティの動態に関する経験的研究

アジアメガシティの多層化するモビリティとコミュニティの動態に関する経験的研究

本研究は、ジャカルタおよびバリのデンパサールを事例として、研究課題をめぐって資料サーベイ、ヒヤリング等を実施した。そしてそれらを通して明らかになったのは、(1)アジアメガシティがグローバル化の進展とともに「アジアの都市回廊」を越えて東京などのグローバルシティとの横のむすびつきを強め、ボーダレスなモビリティ(ヒト、モノ、カネ、情報などのフロー)の結節点となっていること、そして(2)そこでは多様なエスニシティがせめぎあうハイブリッド社会が構成されるとともに、コミュニティにさまざまな分岐(ディバイド)がもたらされ、それがメガシティのあらたな緊張要因となっていることである。

CLOSE
吉原 直樹社会情報学部教授H22-H24
日系国際児の二言語形成過程の質的研究

日系国際児の二言語形成過程の質的研究

本研究では、ドイツ居住の独日国際児の二言語形成過程を「親子の協働的・解釈的過程」と捉え、3つの調査(行動観察、フィールドワーク、二言語検査)を実施した結果、以下の成果を得た。1)二言語での読み聞かせや読書活動と現地校・補習校の宿題遂行が対象児の二言語での読み書き力を支える中核的な家庭内実践であり、親による支援の組み直しと子どもの変容が共起していた。2)対象児のドイツ語(学校言語)の力は当該年齢児の中でも高かったが、日本語(継承語)力の伸びはより緩やかであった。物語課題作文の分析から、構成力は二言語で共通しているが、表現の豊かさと使用の適切さにおいて二言語間に差があることも明らかになった。

CLOSE
柴山 真琴家政学部教授H22-H25
ホーリスティックデザインによる介護服の最適設計とその定量的評価・規格化

ホーリスティックデザインによる介護服の最適設計とその定量的評価・規格化

寝たきり高齢者は、終日ベッドで過ごしているために悪臭や皮膚疾患が問題となり、一方介護者は寝たきり高齢者の着衣の着脱が大きな介護負担となっている。本研究では、寝たきり高齢者の多くが発生する手指の拘縮による皮膚切創及び悪臭発生の防止を目的として、消臭抗菌繊維を応用して手指の拘縮度合にあったデザインの介護用品を制作した。臨床テストの結果、悪臭は軽減され、皮膚疾患の回復が認められた。さらに介護負担軽減を目的とした介護服の制作を開口部の改良により達成するため、腕および腰の筋活動量を測定することにより介護負担量を定量的に評価し、実際に介護負荷量が少ない開口部デザインを最適化した。

CLOSE
水谷 千代美家政学部准教授H22-H25
地域再生デジタル・ネットワーキングに関する調査研究

地域再生デジタル・ネットワーキングに関する調査研究

災害被災地と条件不利地域と地方都市中心市街地とが連携した地域再生の取り組みについて、「デジタル・ネットワーキング論」(インターネット等のデジタル・メディアや情報通信技術を活用した市民活動に着目した研究方法論)の観点から、霧島連山新燃岳火山災害の被災地の宮崎県高原町での火山灰を活用した特産品「灰干し」導入・普及による産業復興支援活動、また、東日本大震災被災地の宮城県南三陸町での福興市による地域経済再建支援活動及び気仙沼市での仮設住宅入居者支援活動と被災商店街再建支援活動を中心に、それぞれに参加しながら参与観察を行い、それらの実態と課題を明らかにした上で、よりよい地域再生のあり方を提案した。

CLOSE
干川 剛史人間関係学部教授H22-H25
基盤研究(C)肥満に伴う脂肪細胞の初期炎症状態を調べる動物実験系の確立と食餌予防因子の探索

肥満に伴う脂肪細胞の初期炎症状態を調べる動物実験系の確立と食餌予防因子の探索

57BL/6Jマウス、KK/Taマウス、B6系db/+マウス(レプチン受容体欠損ヘテロマウス)に、高脂肪食と低脂肪食を様々な期間給餌し、脂肪組織中の炎症マーカーのmRNAの発現量を調べた。その結果、4週目より高脂肪食群の脂肪組織重量と炎症マーカーのmRNA発現量が急増した。短期摂食では、炎症マーカーとしてNADPHオキシダーゼサブユニット、MCP-1、IL-6、レジスチンが適しており、さらに8から12週目で耐糖能悪化や脂肪細胞の肥大化が観察された。本実験系を食品の機能解析に適用した結果、大麦ならびに乳中のカルシウムに抗炎症作用があることが示された。

CLOSE
青江 誠一郎家政学部教授H20-H23
超微粒子プラスミド複合体を用いた腫瘍免疫遺伝子治療システムの構築

超微粒子プラスミド複合体を用いた腫瘍免疫遺伝子治療システムの構築

我々は、生体に投与後、腫瘍内で高い遺伝子発現を示すDNA複合体の調製法を確立している。サイトカインをコードしたプラスミドの複合体は、坦癌モデルマウスにおいて著しい治癒効果を示した。さらに効率よく免疫を惹起するため、結核菌タンパクESAT-6などの遺伝子についても検討した。これらは単独でも高い腫瘍増殖抑制効果を示し、さらにサイトカイン遺伝子を組み合わせると、抗腫瘍活性はさらに向上した。また、これらはイヌの原発性腫瘍に対しても高い治癒効果を示した。

CLOSE
小山 義之家政学部教授H21-H23
“機能性米粉”の開発に関する基礎的研究とその応用

“機能性米粉”の開発に関する基礎的研究とその応用

日本の米の消費量拡大のため米粉を用いた新しい調理について検討した。まず、グルテンフリー米粉パンには、形状保持剤として食用絹フィブロインとの混合物、ゾル状キサンタンガム(増粘多糖類)の添加、或いは、米粉の一部を米粉糊として代替および生地の一定時間"ねかし"処理などにより、米粉の特長を生かした米粉パンが調製出来た。

CLOSE
市川 朝子家政学部教授H21-H23
生涯発達の観点からみた高齢者の記憶の信念の特徴

生涯発達の観点からみた高齢者の記憶の信念の特徴

生涯発達の観点からみた高齢者の記憶の信念の特徴を明らかにするために、1)日常的な記憶行動や記憶課題の成績との関係、2)認知に関する暗黙理論との関係、3)社会情報との関係、この3点から、若年者(18~25歳)、中年者(30~50歳)、高齢者(65歳以上)の3世代合計約300名を対象に調査を実施した。これまでの分析で、高齢者の一般的な記憶の信念は他の年齢群と異なる特徴が見られた(下記4(1))。現在より詳細な分析を行っている。

CLOSE
金城 光社会情報学部准教授H21-H23
完全な透明マントの理論と設計の研究

完全な透明マントの理論と設計の研究

メタマテリアル科学の発展に伴い、いわゆる透明マントの実現可能性の探究がされるようになってきた。透明マントとは、光をうまく隠したい物の周りを迂回させて、あたかも直進してきたかのように光を誘導することのできる装置である。本研究では、3つの共形変換と正負の屈折率の組み合わせを用いることにより、2次元の等方性媒質による透明マントの設計図を完成させた。特に、位相遅れや反射による透明マントの不完全性の問題を乗り越えた新しい設計を導出できた。

CLOSE
落合 友四郎社会情報学部准教授H21-H25
音声と音を活用した教材と教授手法の開発

音声と音を活用した教材と教授手法の開発

紙の上に印字したドットコードに, 音声ペンやスキャナーペンで軽く触れることで,音声や動画などが再生される最新の IT 技術を用いて教材を開発し,特別支援学校や通常学校で教育実践を行った。一つのドットコードに複数の音声をリンクでき,かつ,同じドットコードに動画などのマルチメディアをリンクできる特徴を活かして, 教材を制作し,児童たちが楽しみながら学習に取り組むことができる教育実践を生み出すことができた。 また,個々の特別支援学校では,児童生徒一人ひとりの困り感に対応した教材シートを作成し,自立活動や学習活動の支援を行い,児童生徒が自立感,達成感を味わうことができた。

CLOSE
生田 茂社会情報学部教授H22-H24
企業の地域農業囲い込み戦略と農協・農業委員会の対応

企業の地域農業囲い込み戦略と農協・農業委員会の対応

企業の地域農業進出には二つのタイプがある。一つは耕作放棄地等が発生している地域に対して、農業者の不足を補う形での進出であり、地場建設業等の事例が多い。もう一つは園芸地帯等におけるもので、農業者は十分に存在するが、企業サイドはIT技術等の農業への応用によるビジネスチャンスの拡大を狙い、農業サイドは経験と勘による農業から科学的管理への脱却を図るものである。また東日本大震災の被災地では外食産業等が野菜工場等を単独に建設し、技術的に失敗したり、販路確保に苦労している事例もある。総じて、大きな問題が生じている現状にはない。

CLOSE
田代 洋一社会情報学部教授H22-H24
任意配列オリゴペプチド合成を目指した新規ポリアミノ酸合成酵素の機能解析

任意配列オリゴペプチド合成を目指した新規ポリアミノ酸合成酵素の機能解析

ペプチドは近年注目を集めている機能性食品や医薬品原料として期待されている。本研究では、ポリアミノ酸合成酵素の機能解析を目指して、種々の新規なポリアミノ酸生産菌の取得とライブラリー化、ならびに合成機構に関する検討を行った。色素排除を指標としたスクリーニングとMALDI-TOF MS解析により、 新規な塩基性ポリアミノ酸生産菌を含む種々の生産菌を取得した。また、 NPRS様配列の取得と発現解析を通してNRPS様遺伝子の解析を行った。

CLOSE
石井 義孝社会情報学部准教授H22-H24
「学校に行かない」子どもの教育権保障をめぐる教育臨床社会学的研究

「学校に行かない」子どもの教育権保障をめぐる教育臨床社会学的研究

本研究では、長期間にわたり学校に行かないでいる多様なタイプの子どもの問題を、教育権の保障という観点から「学校に行かない子ども」として統一的に捉えることにより、日本の教育問題の理解に再考を迫るとともに、現行の法制度や行政システムを批判的に検討した。分析の主な対象は、不登校問題や高校中退問題であり、それらと社会経済的要因との関連である。また、諸問題に対応するために学校の福祉的機能を強化していこうとするイギリスの拡張学校(エクステンディッド・スクール)の取り組みに学ぶために、同国マンチェスター市を訪問し、現地の学校視察を行った。最後に理論面で社会的排除の概念を参照し、「学校に行かない子ども」は公教育ならびに社会の諸制度の機能不全と関わらせて分析されるべきであると指摘するとともに、学校に行かないことは累進的な社会的排除の過程における初期段階の重大事であるとして警鐘を鳴らした。

CLOSE
酒井 朗教職総合支援センター教授H22-H24
呉昌碩と日本人士

呉昌碩と日本人士

中国清末民初、詩・書・画・印四絶を誇り、「中国最後の文人」と称された呉昌碩と、当時の日本人士との交流を検証し、近代日中芸術文化交流の重要な一断面を明らかにすることができた。「中国最後の文人」との交流を求めた日本人士の多くが、中国の文墨趣味をたしなんでおり、そのことが、当時の急激な欧米化のアンチテーゼとなっていたこともうかがえ、これが大きな成果といえよう。

CLOSE
松村 茂樹文学部教授H23-H25
富永太郎直筆原稿の画像データベース化による文学テキストの生成研究

富永太郎直筆原稿の画像データベース化による文学テキストの生成研究

大正後期に優れた詩、翻訳、絵画作品を残した富永太郎の資料(原稿、書簡、草稿、日記、手帖、絵画等)を画像データベース化し、富永太郎における文学テクストの生成の具体相を解明することを目的とした。データベースの作成にあたって、画像に対し、推敲過程を含む翻刻(テキストファイル)の付加の必要性、及び、その記述におけるTEI(Text Encoding Initiative)の有効性を明らかにした。また、全詩篇の生成過程を解明した。

CLOSE
杉浦 静文学部教授H23-H25
メディアの所有規制と市場縮小の多様性に与える影響分析

メディアの所有規制と市場縮小の多様性に与える影響分析

地上放送局とBS放送局の番組編成を分析したところ、公共放送と民間放送局、地上放送局とBS放送局でジャンル別番組放送時間に差異があり、多元性の確保と新たなチャンネルの登場が多様性の向上に貢献することが示された。一方、資本関係がある地上放送局とBS放送局の番組編成の方が、資本関係のない放送局の番組編成よりも差異が大きいことが示された。このことは、多様性確保を目的とする放送局の所有規制に疑問を呈することを意味する。また、地上放送市場の番組編成の変化は、視聴者のニーズの変化に対応した結果というよりも供給側の要因によるところが大きいことも示された。

CLOSE
浅井 澄子社会情報学部教授H23-H25
言語機能分析を用いた心理療法の効果研究

言語機能分析を用いた心理療法の効果研究

心理療法の中でクライエントとセラピストによって使用される言語とその言語がともなう感情について、言語学の視点と臨床心理学の視点から分析した。言語学的な視点からは、家族療法における評価言語の分析から関係構築のメカニズムが量的・質的に明らかにされた。また、心理学的な視点からは感情表現の内容と強さ、またそれらに関するクラエントへのインタビューが分析された。全体として、評価言語や感情表出が心理療法のプロセスに関する重要な指標となりうることが示唆され、また、セラピストは心理療法のとくに中盤において、クライエントの感情表出を促進するような働きかけをする必要があることが明らかになった。

CLOSE
福島 哲夫人間関係学部教授H23-H25
個人化社会における社会的包摂の研究-ドイツの市民労働を事例として

個人化社会における社会的包摂の研究-ドイツの市民労働を事例として

本研究の目的は、ドイツの社会学者U.ベックが90年代後半に提唱した市民労働という政策理念が実際にどのように機能しているかを探ることであった。調査地はバイエルン州ミュンヘン市とした。調査の結果、以下のことが判明した。市民労働の政策理念を構成する諸要素は、それが政策的実践に移される過程で、ワークフェア政策とボランティア政策とに二分され採り入れられた。その結果、ワークフェア政策およびボランティア政策としては、それぞれ一定の成果をあげているが、自発的参加により市民労働への参加者に生存保障と社会的アイデンティティを附与するという、市民労働の政策理念の本来の重要な目論みは、現在のところ果たされていない。

CLOSE
伊藤 美登里人間関係学部准教授H23-H25
無文字社会の伝承染織技術の保存と学校における教育課程最適化プログラムの開発

無文字社会の伝承染織技術の保存と学校における教育課程最適化プログラムの開発

独自の文字を持たないタイ北部山地民(カレン)は口伝と身体技術の模倣により染織技術を伝承してきた。代表者らはこれまでに項目反応理論(現在最も科学性を持ったテスト理論)を用いて、染織技術を易しいものから順番に(その最適な年齢において)習得していくプログラムを開発した(基盤研究(C)2008-2010)。本研究ではさらにこれを発展させて、(1)タイ語教育を受けている児童生徒が、学校教育において染織技術を習得し得る「指導モジュール」を開発し、(2)タイ北部の公立M中学校の正課授業「職業教育」に導入してもらい実習授業において活用した。

CLOSE
下田 敦子人間生活文化研究所助手H23-H25
地域再生プロジェクトの本格的スタートを促進するための調査研究

地域再生プロジェクトの本格的スタートを促進するための調査研究

本研究では、地域再生プロジェクトの計画段階と実行段階の間に深刻なギャップ(地域再生版の"The Valley of Death" )が存在することを見出し、それがどのようなメカニズムによって生み出されているのかを明らかにするとともに、これらを克服するための現実的な解決策として持株会社システムを活用した地域再生スキームの導入を提案した。

CLOSE
寺石 雅英キャリア教育センター教授H23-H25
近世中国におけるムスリムの「釈疑」言説の研究

近世中国におけるムスリムの「釈疑」言説の研究

金天柱が著した『清真釈疑』の内容を分析した結果、以下のことがわかった。イスラーム教徒である金天柱から見ると、漢民族は儒教の教義にしたがっておらず、仏教や道教の習慣に染まっている。それに比べるとイスラーム教徒は日々の礼拝を実践している。神に祈りを捧げることは、儒教の最高神である上帝に祈りを捧げることと同じであり、イスラーム教徒のほうが漢民族よりよっぽど真摯に儒教の教義に忠実ししたがっている。金天柱はそう述べることで、漢民族からイスラーム教徒にむけられた疑いの目を払拭しようとした。

CLOSE
佐藤 実比較文化学部助教H23-H26
若手研究(B)新聞・雑誌メディアにおけるジェンダー編成と小説--大正・昭和の言語態分析

新聞・雑誌メディアにおけるジェンダー編成と小説--大正・昭和の言語態分析

ジェンダーの観点から確認できる大正・昭和期の言説論理の特徴について、新聞・雑誌メディアと小説を言語態分析することにより、考察を行った。メディアにおける植民地主義の論理が小説に引用される際、ジェンダーをめぐる表現をつうじて、逆転の力学が作動すること、そのことにより、国民国家が正当化されることを明らかにした。また、韓国の研究者との交流により、帝国と植民地の非対称性と検閲のシステムをかかわらせ、ジェンダー論的に検証するという成果が得られた。

CLOSE
内藤 千珠子文学部講師H20-H23
《文学》の生存戦略--戦時下日本語文学の再審に向けて--

《文学》の生存戦略--戦時下日本語文学の再審に向けて--

本研究では、1930年代から40年代にかけての戦時体制下に生きた文学者たちが行った国策への協力や政治的な活動の再評価を試みた。具体的には、1930年代から1940年代にかけての同時代言説の分析を通して、文学者たちが、戦時体制下の政治的・社会的な状況といかに向き合い、みずからを適合させていったかを明らかにした。

CLOSE
五味渕 典嗣文学部講師H21-H23
占領期日本におけるGHQ日本民主化政策と翻訳許可アメリカ図書

占領期日本におけるGHQ日本民主化政策と翻訳許可アメリカ図書

GHQが占領下日本に読書奨励を図った翻訳図書は、戦後冷戦期米国の理想的自己像を投影していた。特に開拓時代の西部がその理想的国家像を表す要素として重要視された。日本人の図書解釈は、米国を受動的に理想化する一方、他方では米国を戦後日本と重ね合わせる二重解釈が見られた。この日米の図書解釈は、図書が両国の戦後の主体形成の闘争の場となった事を示す。本研究により、翻訳図書が占領及び冷戦期の政治的役割と機能を果たした事が強く再確認された。

CLOSE
鈴木 紀子文学部助教H21-H24
日本における家庭用洗濯機の成立過程に関する研究

日本における家庭用洗濯機の成立過程に関する研究

日本における国産家庭用洗濯機の成立には、米国からの輸入機が大きな影響を及ぼしている。このことを踏まえ、当時の機体を保有する米国の博物館における実地調査を実施し、観察・記録を行った。また、調査結果から歴史的資料として洗濯機本体を保存することの重要性を確認し、国内に現存する洗濯機を含む初期家電製品資料データベースの構築に着手することとした。現在までに東京都におけるアンケート調査を完了している。

CLOSE
林原 泰子家政学部助教H22-H23
山地民から探るモチ食文化の起源と伝播-東アジアの人々がモチに込めた意義

山地民から探るモチ食文化の起源と伝播-東アジアの人々がモチに込めた意義

タイ北部一帯は,モチ食の起源センターと言われ,複数の山地民が居住しており,彼らの風土や文化を反映した伝統的なモチ食文化がある.本研究では,当該地域に居住する主要山地民のモチ食文化について,作り方や道具など詳細に調査し,民族間比較分析した.搗きモチは,各民族の正月には必ず作られており,接触しあうことでモチ食文化は伝播した.皆で労力をかけて作ったモチを祖先や神に捧げることで,村や家族の安寧や健康への願いが,チマキは♂♀の型があり,そこには「生」の意図が込められていた.

CLOSE
宇都宮 由佳家政学部助教H22-H24
特別養護老人ホーム入居家族への支援方法に関する研究

特別養護老人ホーム入居家族への支援方法に関する研究

本研究では、支援が必要な入居者家族の姿を明らかにし、さらにSTAI を使った不安感情の測定を手掛かりに、家族同士による支援の有効性を検討した。本研究の調査対象は、G県内の特別養護老人ホームで、当方の調査に対して協力の意思のあった施設(4カ所)の家族 24 名である。インタビューの前後で、STAI(状態-特性不安尺度)の日本語版を用いてアンケートを実施し、入居者家族の心理状態の変化を測定した。測定の結果、インタビュー後の状態不安は 43.4 から 39.6 に低下した。このことから、入居者家族同士のピアサポートの機会が家族の不安軽減に有効に作用したと推察できる。

CLOSE
井上 修一人間関係学部講師H22-H24
道徳性知覚による集団間葛藤解決過程の解明

道徳性知覚による集団間葛藤解決過程の解明

集団間葛藤解決過程において、知覚された外集団の道徳性が与える効果について量的調査を用いて検討した。葛藤関係にある外集団成員は一般的にネガティブな特性知覚が成されるが、それをポジティブな方向へ変換することで、外集団に対する道徳性知覚も強まり、それが外集団に対する積極的・協力的態度を促進すると予測し、質問紙調査を中心にその点について検討した。結果は予測通り、道徳性の知覚は葛藤のある外集団からの交換留学生の受け入れ態度を促進し、また過去の葛藤に対する謝罪や賠償といったよりマクロな葛藤解決への建設的態度を促進していた。この結果は今後日本の国際交流への効果的な取り組みに役立つと考えられる。

CLOSE
熊谷 智博文学部助教H22-H25
超微粒子DNA複合体による抗腫瘍免疫の惹起とその抗癌効果およびメカニズムの解析

超微粒子DNA複合体による抗腫瘍免疫の惹起とその抗癌効果およびメカニズムの解析

我々は生体内で、特に腫瘍組織で高発現する、プラスミド三元複合体の調製に成功した。高い抗腫瘍免疫を惹起するためには、腫瘍細胞膜上に免疫原生の高いタンパクを提示させることが有効であると考え、種々の微生物タンパクをコードしたプラスミドを作成し、その効果を調べたところ、結核菌抗原タンパクの遺伝子が高い抗腫瘍活性を持つことを見出した。結核菌抗原タンパク遺伝子は、CTLや抗原提示細胞の腫瘍内への集積を高めること、また、腫瘍内のINF、IFN-γ、MCR1の濃度を大きく向上させることが確認できた。中型動物における原発性腫瘍においても高い抗腫瘍効果が見られた。

CLOSE
芳原 智恵子家政学部助手H23-H25
利用者の・支援者による・当事者のための「福祉ライフログシステム」の実証研究

利用者の・支援者による・当事者のための「福祉ライフログシステム」の実証研究

日本の福祉現場は「書類にはじまり書類に終わる」とまで言われ、その硬直化が指摘されてきた。本研究は介護・療養記録、そしてそれらが無い高齢者や障害児といった当事者に対しては介護のさいの会話などといった、“支援者のための記録”を高齢者や障害者が自らの生活向上と主体性の源泉としうるような「ライフログ」へと転換していく情報システムの構想と試験的実証をおこなった。具体的には高齢過疎化が進む地域、特に被災地も視野に入れた、福祉社会の背景を精確に踏まえ、タブレットの活用をおこなった。その成果として、生活に即したライフログとしてのメディアとしての可能性を見出すことができた。

CLOSE
柴田 邦臣社会情報学部准教授H23-H25
流れの構造解析に基づく街区空間の換気通風設計に関する基礎的検討

流れの構造解析に基づく街区空間の換気通風設計に関する基礎的検討

屋根形状と建物配置の異なるモデル街区を対象にCFD解析を行い、屋根形状・建物配置が歩行者レベルの平均風速・平均濃度に影響を与えることを確認した。次に建物配置が整列と千鳥のモデル街区を対象にLES解析を実施し、各種乱流統計量を取得、運動エネルギー収支、運動エネルギー散逸率を算出した。今回の計算ケースでは建物高さが一定の場合、整列から千鳥に配置を変更することで運動エネルギー散逸率の総和は増加し、同じ整列配置でも建物高さを一定から非一様にすることでエネルギー散逸率の総和は増加した。さらに風洞実験結果のある不安定乱流境界層下の街区内の汚染物質拡散の解析を実施し、その予測精度を検証した。

CLOSE
白澤 多一社会情報学部助教H23-H25
フェアトレード製品の公正性を探る-開発途上国の産業階層別労働者の不公正構造の解明

フェアトレード製品の公正性を探る-開発途上国の産業階層別労働者の不公正構造の解明

近年、経済のグローバル化の中で先進国と開発途上国の共生を主旨とする「フェアトレード」の取り組みが浸透しつつある。しかし、日本の消費者のフェアレード製品への関心はとても低く、消費行動にも結びついていない。多くの消費者が抱く「フェアトレード製品の公正性とは何か」という問いに対して明確な解を与えるべく、本研究では、先進国主導の評価軸の中で議論されていた「フェアトレード製品の公正性」を開発途上国の生産・製造に従事する労働者のフェアトレード観、労働と生活の環境モデル、現在直面する不公正さの構造を実証的・計量的に明らかにした。

CLOSE
榮 光子人間生活文化研究所助手H23-H25
研究成果公開促進費(学術図書)看取りの文化とケアの社会学

看取りの文化とケアの社会学

本研究は在宅医療と看取りの社会学的研究として、2008年から2010年まで行われたインタビューと訪問見学を中心とする社会調査の実施とその考察に基づいている。予想される今後30年間の志望者数の増加とがん死の増大から、在宅の看取りは近年、社会的関心が高まっているが、在宅療養支援診療所や訪問看護だけでこれを支えることはできない。ホスピス有床診療所の医療実践を1つの実験的社会モデルとしてとらえることで、当事者と家族や地域を支える仕組みの多様性と選択可能性を保証する必要性が明らかにされる。

CLOSE
大出 春江人間関係学部教授H23

短期大学部

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
実施状況報告書・実績報告書研究成果報告書
基盤研究(C)「量産衣料用デジタル仮縫い工房」開発のための人体の3次元形状推定システムの検討

「量産衣料用デジタル仮縫い工房」開発のための人体の3次元形状推定システムの検討

量産衣料のカスタマイズを最終目標とする。本研究では人体の3次元形状を簡便に推定するシステムを構築するために、人体が胴衣を着装した状態を想定した体幹部の凸閉包モデルを生成しその特性を調べた。凸閉包モデルを左右平均形状に変換することにより、人が着装した衣服モデルとして使用できる可能性が示唆された。日本人成人女性55名の左右平均の体幹部凸閉包相同モデルを主成分分析した結果、6つの主成分軸で個人差をあらわす形状特性の88.4%が説明できた。推定したい個人差の要因は以下のようである。バスト寸法の大小、背丈と身体の厚みのプロポーション、反身体と屈身体、肩の傾斜角度、前肩と後肩、背中の傾斜。

CLOSE
土肥 麻佐子短期大学部
家政科
准教授H23-H25
分裂酵母新規DNA領域局在化RNA群の解析

分裂酵母新規DNA領域局在化RNA群の解析

分裂酵母の核内のDNA領域に局在する新規RNAについて解析した。新たに解析した6個のうち、5つは約700塩基内に、残りの1つは約2,700塩基内に局在化配列が存在することが明らかになった。先行して解析を進めているB1199については、B1199と相補的なRNA配列もDNA領域に局在することが明らかとなった。また、B1199の局在化配列の付加によってmRNAが核内に係留されることが示唆された。

CLOSE
竹内(安東) 知子短期大学部
家政科
准教授H23-H27
挑戦的萌芽研究欧米との比較を介した日本近代文学及び映画における死の表象の再構築

欧米との比較を介した日本近代文学及び映画における死の表象の再構築

日本近代文学及び映画において、死の表象がどのように生産され、社会に流通してきたのかを、欧米との理論的・歴史的な対比において明らかにすることで、実際には思考することも表象することも不可能な「死」といった超越的な審級を、文学及び映画がいかに経験論的な次元へ導入しようと試みてきたのか、その言語的・視覚的な思考の臨界におけるイメージ形成の分析を行い、臨床の場で発達してきた死生学に、学際的な表象分析の観点を付け加えた。

CLOSE
城殿 智行短期大学部
国文科
准教授H23-H25

全国学校別 採択件数・配分額一覧表

※文部科学省ホームページ「 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

大学

短期大学部