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留学経験者のインタビュー
短期研修
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2024年度カナダ夏期語学研修
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研修先:ヨーク大学(カナダ・トロント)
(右)家政学部ライフデザイン学科2年 Kさん
(左)文学部コミュニケーション文化学科2年 Uさん
※研修参加当時の学年インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 お二人が留学しようと思ったきっかけを教えてください。
U 私は、小さい頃から英語が大好きでいつか留学したいとずっと思っていました。ただ高校時代はコロナ禍で留学プログラムが全部中止になったので、大学に入学してからは「今度こそ留学を実現させたい!」と思っていました。
K 私は、Uさんとは反対に留学については考えていなかったのですが、大学で課外英語力強化プログラムに参加していて、その中で留学への補助金制度について話を聞いたのがきっかけです。また父も昔留学をしていたようで、両親から海外の話をよく聞いていたので、さらに興味が湧いてきました。
森 課外英語力強化プログラムは、成績優秀者に英語圏地域への留学のための補助金が出る可能性があるのも魅力的ですよね。
※補助金制度は年度によって実施内容が異なります。U 補助金については、私も最初は知らなかったのですが、ただ英語が好きで、毎日英語に触れられることがすごく魅力的だったので受講しました。
カナダでの留学生活森 滞在先の寮の環境はどうでしたか?
K 日本人が多かったので安心でした。英語を使わずつい日本語で話してしまう時もありましたが…。1人部屋だったので、自分の時間を確保出来たのがとても良かったです。でも、トイレやシャワーなど水回りは、日本と同じ感覚でいると少し気になりました。シャワー室も4室と数は多くなかったです。
U そういえば寮の設備でトラブルもありました。 部屋のエアコンが動かなくてとても暑かったので、寮の窓口に相談に行ったのですが、まず状況確認をするということですぐには対応してくれず…結局、何回か交渉してようやく部屋を変えてもらえました。全て英語で交渉したので大変でしたが、今思えば良い経験になりました。
森 食事はどうしていましたか?
K 外食はやはり高かったです。ウォルマート(※スーパー)でパンなどの食材を買い、寮で食べることも多かったです。
U そのパンも、すごい量でした!日本のパンの感覚で買うと、全然食べきれず、余らせてしまいました。パンにつけるバターも、バケツみたいなサイズばかりでした(笑)。
森 治安の面で、不安なことはありませんでしたか?
U ヨーク大学から、事前に注意が必要な地域の情報提供はありましたが、実際に怖い目に遭うことはなかったです。
ヨーク大学での授業森 授業はどのような様子でしたか?日本とは違いましたか?
U 日本人が多いプログラムで、最初は日本語ばかり使ってしまうのではと不安でしたが、先生から「授業中は日本語禁止!」と強く言われていたので、みんな必死で英語を話していました。
K 日本では先生が前にいて学生が長机に並んでいる教室がほとんどですが、ヨーク大学ではコの字型に机を並べていて、授業中に他の学生の顔が見えたのが新鮮でした。
森 授業の内容は日本と比べてどうでしたか?
U コミュニケーション重視の授業で、ひたすら英語を話していました。日本では、プレゼンテーションの授業などで先生から事前準備の時間をもらうことが多いのですが、カナダでは突然「今からプレゼンテーションです」といった場面が多かったです。
K 翻訳アプリなども使えないので、自分の英語力のみで乗り越えていました。
U その他にも、ある日の授業の最後に、グループワークでカナダを紹介するvlog動画作成の課題が出されて、その発表が3日後ということもありました。動画編集の経験が全くなかったのでとても驚きました。 先生に相談しても、ただ「大丈夫!できる!」と励まされるだけでしたが、結局プレゼンテーションも動画作成の課題も無事できました。
充実の課外活動森 授業以外の課外活動はありましたか?
U 午前中で語学授業が終わり、午後はヨーク大学の学生が企画するカナダについての授業または課外活動がある日がありました。※課外活動のスケジュールは年度によって異なる可能性があります。
K 課外活動の中でヨーク大学の学生と交流できるのがすごく楽しかったです!
U ナイアガラの滝、カナダワンダーランド(遊園地)、トロントのダウンタウン、あと野球観戦にも行きました。初めての野球観戦でしたが、本場の応援は迫力があってとても面白かったです!あと8月のカナダはとにかく涼しくて驚きました!ノースリーブやハーフパンツなど夏服をいっぱい持っていったのに着る機会がなく、結局トレーナーを買ったので、事前にトロントの気温をきちんと確認すればよかったと思いました。
森 留学は事前の下調べも重要ですね。課外活動は全員参加でしたか?
U 自由参加ですが、バスなど全てヨーク大学が手配してくれたので、ほぼ全て参加しました。
留学がもたらした変化・後輩へのメッセージ森 留学を通して、自分の中で何か変化はありましたか?
U 英語でのコミュニケーションにとても自信がつきました。授業でも積極的に発言できるようになりましたね。
K 私は、授業を受ける姿勢が変わりました。また人前で話すことへの抵抗がとても少なくなりました。
U つい最近旅行でシンガポールに行きました。以前だったら「海外旅行なんて大変」と思っていましたが、今は行きたいと思ったらすぐに行動できるようになりました。
K 海外に行くことへのハードルがとても下がりましたね。
森 それは素晴らしい変化ですね!最後に、これから留学を考えている後輩たちへメッセージをお願いします。
U 留学は費用もかかるし大変なこともありますが、意外とどうにかなります!不安なことや大変なこと以上に、新しい発見や楽しい経験が手に入り、普段は関わらない人とも仲良くなれます。本当に、人生が変わるくらいの経験になると思いますので、少しでも留学してみたいと思っている人は、ぜひ勇気を出して挑戦してほしいです!
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2024年度中国夏期語学研修
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留学のきっかけ森 まず、留学を決めたきっかけは何だったのでしょうか?
N 中国語を話す友人の影響で元々興味はありました。大学1年生の時から授業も選択していましたが、本格的に勉強したいと思ったのは、2年生になる直前の2月に友人と上海へ旅行に行ったのがきっかけです。現地の街並みや人々の温かさ、食事、文化に直接触れて、もっと深く知りたいと感じました。
森 留学先として北京を選んだ理由は?
N 上海旅行で中国への関心が高まり、夏休みの短期留学プログラムで渡航先が中国のものを探しました。
森 留学の情報収集や手続きはどのように進めましたか?
N 家政学部には留学に行く学生が少ないので、情報は自分から積極的に集める必要がありました。同じ学部にオーストラリア留学に行った友人がいたので、その子に手続きなどを聞き、国際センターの存在を知りました。留学を決めたのは2年生の5月で、説明会もちょうど始まるタイミングだったので滑り込みで参加できました。わからないことや不安な事があれば、メールで国際センターへ連絡を取る事ができたので手続きはとてもスムーズで安心して進められました。
森 短期留学を選んだ理由はありますか?
N 本当は長期留学に行きたかったのですが、教職課程を履修しているので、スケジュールの都合上、夏休みの短期留学を選びました。
中国留学準備について森 留学前の語学力や、ビザなどの準備について教えてください。
N 語学力は大学の授業を1年受けた程度です。ビザ申請は、以前上海に行った際に経験していたので比較的スムーズでしたが、初めてだと少し大変かもしれません。申請書類が13枚くらいあって全て中国語なので、YouTubeの解説動画を見たり、中国語ができる友人に手伝ってもらったりしました。申請場所も豊洲で少し遠く、申請と受け取りで2回行く必要がありました。
森 スマートフォンの準備はどうしましたか?
N 決済アプリはアリペイを主に使いました。WeChat Payを使っている人もいましたね。生活用品の買い物は「淘宝(タオバオ)」という通販アプリが便利だと聞いていたので、事前に準備しました。あとは、GmailやX(旧Twitter)を使うために海外用のSIMの準備も行いました。留学の際に、現地で利用できる電話番号が必要だったため、大学のSIMやVPNに関する相談会に参加し説明を受け、電話番号が登録されているSIMと、ギガを多く使用できるSIMの二つを併用して使用することにしました。通信事業者と契約をするという方法もあるらしいのですが、費用が高いため、安く済ませたいのであればこの方法が一番費用を安く済ませられると思います。しかし、そのようなSIMを利用してもNetflixやSpotify、TikTok、ChatGPTなどは使えませんでした。
北京語言大学での授業森 現地での授業はどのように始まりましたか?
N まず、先生との簡単な会話によるクラス分けテストがありました。筆記テストではなく会話形式です。私は初め、下から2番目のクラスになったのですが、ピンインから学ぶレベルで私のレベルには合っていないと感じたため、クラス変更を申請しました。その日のうちにクラスの移動が許可され、真ん中程度のレベルのクラスに行く事ができ、自分に合った授業を受ける事ができました。自分のレベルに合ったクラスを見つけるためにいろんなクラスを行き来する人も多くいました。
森 授業の内容やクラスの雰囲気はどうでしたか?
N 授業の前半と後半で先生が代わり、授業スタイルも異なりました。前半はYouTubeを見たり雑談を交えたりと楽しい雰囲気で、後半は教科書に沿って進む形式でした。教科書は英語で中国語を説明するものだったので、英語がわからなくても日本人は漢字を読めるため、ある程度は理解する事ができ、特に問題はありませんでした。しかし、翻訳アプリは必須です。先生も英語で補足してくれました。クラスは20名近くおり、韓国、イタリア、ロシア、インドネシア、タイなど様々な国籍の学生がいました。年齢層も幅広く、大学生だけでなく社会人の方もいました。宿題はほとんどなく、テストは中間テストと最終テストで作文のテストと会話のテストがありましたが、事前に先生にチェックしてもらってから暗記して書く形式だったので、難しくはなかったです。会話のテストは少し難しかったですが、こちらも事前に質問内容を見る事ができたので準備をして望めば問題ありませんでした。
森 授業外でのコミュニケーションは?
N 基本的には中国語です。難しい時は翻訳アプリや英語も使いました。ジェスチャーを大袈裟に使って会話するため、とても賑やかで楽しくコミュニケーションを取る事ができました。また、世界中の学生と交流できたのはとても貴重な経験でした。今でもそこで仲良くなった友達とは連絡をとっており、お互いの生活を共有し合ったり、機会があれば会ったりしています。私たちは、異なる言語を話しますが、中国語を使ってコミュニケーションを取っているととても不思議な感覚になります。
留学生活について森 現地での生活について教えてください。
N 授業は午前中で終わるので、午後は自由時間でした。北京は日本の夏と比べて涼しく、最高気温が27~28度くらいで湿気も少ないため、過ごしやすかったです。移動はシェアサイクルと地下鉄をよく利用しました。シェアサイクルはアリペイなどで簡単に借りられますし、街中にたくさんあるので便利でした。地下鉄もアリペイのバーコードをかざせば改札を通れるため、切符などを買わずに済み、とても便利でした。また、タクシーもとても安いためたまに利用していたのですが、車内のにおいや運転の荒さが気になったため、できる限り避けていました。しかし、運転手の方はとてもフレンドリーな方が多く、私たちが日本人だと知るとソーラン節を歌って車内を盛り上げてくれる方もいました。
森 食事についてはどうでしたか?
N 食事は学食が安くて美味しかったです!特に麻辣烫(マーラータン)は自分で具材を選べて500円以下でした。辛さも調整できます。学食はフードコートのようになっていて、韓国料理などもありました。授業の終わりにそのまま学食へ向かうため、大きなテーブルでクラスの友達と一緒にご飯を食べるため、交流の場となっていました。飲み物も安く、レストランに入る時も持ち込みが基本的にOKなので、夏ということもあり、常に片手には飲み物を持っていました。
森 その他買い物はどのように済ませていましたか?
N 買い物は、服は高かったですが、生活用品は通販アプリ「淘宝」が本当に安くて便利でした。注文して2日以内に大学の専用ロッカーに届くんです。なので現金はほとんど使いませんでした。
森 自由時間はどのように過ごしましたか?
N 観光したり、大学の施設でスポーツをしたりしました。寮の敷地内にテニスコートや卓球台、バスケットコートなどがあって、学生だけでなく近所の人も利用していました。用具の貸し出しがないので、やりたい時は用具を持っている人に声をかけて混ぜてもらうんです。私もテニスをやりたくて、ラケットを持っている人に声をかけて一緒にプレイしました。最初は勇気がいりましたが、みんな親切で、良い交流の機会になりました。
森 その経験は素晴らしいですね!万里の長城などへは行きましたか?
N 万里の長城は大学の課外活動で連れて行ってもらいました。バスで移動し、現地では自由行動でした。結構な崖を登るので大変でしたが、壮大な景色は感動的でした。天安門広場や北海公園などへは、授業後に自分たちで行きました。
森 体調を崩した時などはどうしましたか?
N 北京語言大学のサービスのようなもので、日本人留学生が無料で利用できる病院のような施設が大学から少し離れたところにありました。日本語が話せる先生もいたので安心でした。連絡すればタクシーを手配してくれて、薬も無料でもらえました。おもてなしがすごく、薬以外にもお菓子やアイスをくれたり、中国の伝統的な衣装を着せてくれて、写真まで撮ってくれたりしました。北京を離れる前に挨拶をしに行ったときは、お土産をたくさん持たせてくれました。それぐらいフレンドリーで親切にしてくれたため、体調を崩しても安心できました。
森 それは良かったですね。北京の治安についてはどう感じましたか?
N 夜中に寮に帰ることもありましたが、危ないと感じることはなく、治安は良いと感じました。しかし、やはり海外なので、常に持ち物や歩く場所は警戒していました。
留学を終えた感想・後輩へのメッセージ森 1ヶ月の短期留学を終えて、いかがでしたか?
N 本当にあっという間で、1ヶ月では足りないと感じました。もっと長くいたかったです。でも、短い期間でも語学力は確実に上がりましたし、リスニング力も鍛えられました。何より、留学をしなければ出会わなかった世界中の人と友達ができたこと、中国の魅力や語学を学ぶことの素晴らしさを感じる事ができました。より一層中国語を話せるようになりたいと思ったし、世界中の人とコミュニケーションを撮りたいと感じるようになりました。留学という経験を通して、多くのものを得る事ができ、さまざまな価値観を得る事ができましたし、将来の道の幅も広がりました。
森 素晴らしいですね!最後に、留学を考えている後輩たちへメッセージをお願いします。
N 私は短期留学をして、新しい価値観や考え方に触れる事ができました。それらは生きていく上で役に立っていますし、これからもそうだと思います。最初は中国に対して少し怖いイメージがありましたが、実際に行ってみると、人々はとても親切で、拙い中国語でも一生懸命理解しようとしてくれました。先入観で判断せず、ぜひ自分の目で見て、体験してほしいです。留学は費用や時間の問題もあるかもしれませんが、卒業後や社会人になってからでも道はありますし、奨学金制度もたくさんあります。少しでも興味があるなら、諦めずに国際センターに相談するなど、まずは一歩踏み出してみてください。きっと素晴らしい経験ができると思います。この記事を読んで誰かのはじめの一歩を踏み出す勇気につながることを願っています。
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2024年度マルタ春期語学研修
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研修先:マルタ大学(マルタ共和国)
(右)比較文化学部比較文化学科2年 Sさん
(左)比較文化学部比較文化学科2年 Wさん
※研修参加当時の学年インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 まず、数ある国の中からマルタを留学先に選ばれた理由を教えていただけますか?
W 私は大学でスペイン語を専攻していることもあり、カトリック文化圏に元々強い関心がありました。マルタは地理、文化的にイタリアに近いですが、かつてイギリスの植民地だった歴史を持ち、カトリックとプロテスタントの文化が融合している点が非常に興味深く、地域そのものに惹かれました。
S 私は学部でヨーロッパの文化や歴史を学んでいて、元々ヨーロッパに行きたいという気持ちがありました。国際センターが主催している語学研修の中で英語圏の国を探していたときに、こちらのマルタ研修を見つけました。ゼミでイギリスの文化などを学んでいるので、マルタがイギリスの植民地だったという歴史的な繋がりに関心を持ったのと、期間や宿泊先を自分で選べるところもマルタに決めた理由の一つです。
森 なるほど、お二人とも学問的な関心も理由の一つだったのですね。留学先を決める上で、費用も考慮されましたか?マルタは他の英語圏に比べてプログラムの費用が比較的安いですが。
W はい、実はオーストラリアやカナダも視野に入れて検討したのですが、費用が高額な点がネックでした。海外は今インフレが進んで大変だと聞いていましたが、英語圏への留学としては、マルタが最もリーズナブルだと感じました。
S 私もマルタの他にオーストリアとカナダの3つで最後まで迷っていて、最終的にヨーロッパ圏内の中でも比較的安く色濃くヨーロッパを感じられるマルタに魅力を感じ、マルタに決めました。
留学生活について森 マルタでの実際の生活はどうでしたか?特に費用面や物価についてはいかがでしたか?
W 為替レートが良かったこともありますが、物価は、想像していたほど高くはありませんでした。ただ、外食が多いとそれなりにお金はかかりますね。外食が続くと2週間で7万円ほど使ってしまうこともありました。レストランの食事は一人分の量が多いので、私たちのグループ(6人)でシェアして頼むことが多かったです。
森 日々の食事は、基本的には外食だったのでしょうか?
W いえ、それが意外かもしれませんが、基本的には寮で自炊していました。朝食はホテルに付いていたので、ホテル滞在中はそこで済ませていました。お昼は学校の後に観光に出かけることが多かったため、寮に戻って自炊する時間がなく、外で簡単に済ませることが多かったです。夜だけはしっかり寮で自炊、という生活パターンでした。
森 ホテルなのに自炊用のキッチンが付いていたのですね。食材はどこで調達されていましたか?
W 大学の下にスーパーマーケットがあったので、そこで食材を買って帰っていました。留学中にこんなに自炊するとは思っていませんでしたが、費用を抑えるためにも自然とそうなりました。スーパーの雰囲気や食材だけでも文化の違いが見えて自炊も苦にはならなかったです。また、バレッタ(マルタの首都)に行くと地元のお惣菜店などがあり、手軽に郷土料理が購入できるので、各自気になったものを持ち寄りホテルでパーティーもよくしたりと充実していました。
S 私はWさんより1週間長く滞在していて、2週間は一緒にホテルに滞在し、最後の1週間は寮に移りました。食事の面では、寮にもキッチンがあり、朝は自炊していました。お昼と夜はマルタでの最後の週を満喫しようと思い、ほとんど外食していました。
森 寮はどのような感じでしたか?
S 寮はきれいで快適でした。ただ、一人一部屋ではあったのですが、キッチンとトイレは同じ大学の他の学生と共同利用でした。ホテルから急に共同利用になったので、最初は少し戸惑いましたね。それ以外はすごく良い宿泊先だと思います。とくに電子レンジ、電気ケトルもあってすごく便利でした。
留学先の授業について森 通われた語学学校の規模や雰囲気はどうでしたか?
W 学校全体としては、おそらく100名程度の学生がいたと思います。短期だけでなく、3年間通っているという学生もいました。私たちの大学からの参加者は多くはなかったのですが、他の日本の大学や海外からの学生が多くいました。
S 私たちが行った時期は、他の日本の大学から大人数のグループが来ていたりもしました。クラスサイズは15人から20人ほどでしたが、クラスによって日本人の比率はかなり違いましたね。
W 私のクラスは日本人が4人だけで、残りは全員海外からの学生でした。アジア系が3割くらいで、あとは中東やヨーロッパからの学生です。まさに国際色豊かといった感じで、コミュニケーションは基本的に英語でした。
森 様々な国の英語に触れるのは良い経験ですね。授業はどのような内容でしたか?
W 私のクラスは、先生がテーマについて説明した後、必ずグループワークがありました。毎回違う学生と組むように先生が配慮してくださり、積極的にコミュニケーションを取るスタイルでした。
S 私のクラスもテキストに沿って進めつつ、ペアワークやグループワークが多かったです。あと、私は会話に特化したプラスアルファの授業も取っていました。この授業では、いろいろな国籍の学生と話す機会が多く、とても勉強になりました。
森 先生方の英語はどうでしたか?マルタはイタリアに近いですが、訛りなどは感じましたか?
W 街中のレストランなどでは、結構イタリア語っぽい訛りを感じることがありました。マルタ語もイタリア語に似ていると聞きましたし。ただ、学校の先生方は訛りが少なく、はっきりと聞き取れてとても分かりやすかったです。私のクラスの先生はマルタ人でしたが、とても丁寧な英語でした。
S 私のクラスの先生はオーストラリア出身でした。先生方の英語は聞き取りやすかったですね。
森 マルタらしい文化を学ぶ授業はありましたか?
W マルタ人の先生だと、おすすめのお店を紹介してくれたり、祝日の写真を見せてマルタの歴史について英語で教えてくれたりすることはありました。先生は日本の文化にも興味をお持ちで、マルタの生活や文化を教えてもらうだけでなく、日本の文化についても先生に紹介することが多く、素敵な文化交流となりました。
S 私は午前の授業に加えて、午後に会話の授業があるコースを選びました。午前の授業はどちらかというと文法などリーディング、リスニング中心という形でしたが、午後の授業はテキストを使わず、英語を話すことに特化した授業でした。普通の自己紹介などだけではなく、グループで討論したり、役になりきって英語で演技したり、日本でいう人狼のようなゲームを英語で行ったり、単語を説明する単語当てゲームなどをしました。本当に楽しかったです。こちらを受けたおかげで、人前で恥ずかしがらず英語を話せるようになり、英語でいろいろなことを話すのが楽しいと思うようになりました。こちらのコースを選んでよかったなと思っています。
課外アクティビティについて森 授業以外では、どのようなアクティビティに参加されましたか?
W 学校主催の課外アクティビティがありました。バレッタを巡るガイド付きツアーや、船に乗るツアーなどです。現地のガイドさんが歴史なども交えて英語で説明してくれる本格的なものでした。
S スリーマ(マルタ市街地のひとつ)からバレッタへのフェリーで夜景を見るツアーや、ゴゾ島(マルタ島から北西にある島)へのバスツアーなども企画されていました。天候が悪くてゴゾ島ツアーに行けなかったのは少し残念でしたが、お休みの日個人でゴゾ島に観光しに行くことができました。
森 学校主催のツアー代金は、留学費用に含まれているのですか?
S 留学費用には含まれていませんでした。払えないほどではないですが、割と高額だったので、私たちはアクティビティにはあまり参加せず、自分たちで観光に行きました。
W マルタは島が狭いので、自分たちでバスに乗って移動するのが便利でした。周遊券を買えば、滞在中はずっとバスを使えるので、費用も抑えられました。
森 ガイド付きツアーの英語は、どのくらいのレベルが必要でしたか?
S 全部聞き取れなくても、ジェスチャーや雰囲気を掴めばなんとなく内容は分かりました。
W ただ、歴史や宗教に関わる内容が多いので、関連する単語を事前に調べておくと、より理解が深まると思います。逆に、その分野に興味があれば、英語力が完璧でなくても楽しめる部分はあるかもしれません。
留学中のトラブルとマルタの魅力について森 留学中に困ったことはありましたか?また、マルタの治安や街並みについて感じたことを教えてください。
N 基本的にマルタの人はとても優しく、困ったことはほとんどありませんでした。強いて言えば、雨の日です。日本の排水構造と違うのか、雨が降ると道が川のようになってしまい、靴がびしょびしょになりました。石畳が多いので、雨の日は一気に滑りやすくなる点には注意が必要です。滑りにくい靴を多めに持っていくと良いかもしれません。治安は本当に良いです。3年間マルタに滞在しているという学生と友達になったのですが、その方も夜一人で歩いても全く問題ないと言っていました。安心して過ごせました。
S 街並みは、写真で見ていた通りのヨーロッパらしい美しい石造りの建物が並んでいました。ただ、セントジュリアンズというエリアだけは雰囲気が全く違い、石造りの建物が少なく、東京のような高層ビルが多い近代的な街並みでした。急に国が変わったみたいで驚きましたね。
W カジノが見え始めたあたりから街の雰囲気が変わったと感じましたが、少し行くとまた伝統的な街並みに戻るので、そのコントラストも面白かったです。古い建物に囲まれて生活できるのは貴重な経験でした。ホテルも完全に田舎ではなかったですが、朝は鶏の声で起きるような、自然を感じられる場所でした。
留学を終えて・後輩へのメッセージ森 今回のマルタ留学を経験して、ご自身の中で何か変化や成長を感じる部分はありますか?
W はい、確実に英語学習へのモチベーションが上がりました。留学中は毎日英語に触れる生活だったので、帰国後も少しだけでも勉強してから寝ようとか、Duolingoなどのアプリを毎日続けようという気持ちになりました。帰国後、ギリシャでの研修に参加したのですが、その時に自分の英語に対する自信が少しついたことを実感する出来事がありました。現地の学生と日本の文化やギリシャの文化について英語で話す機会があったのですが、以前の私ならすぐにスマホの翻訳機に頼っていたと思います。でも、今回は翻訳機を使わずに、自分から積極的に英語で話してみようという気持ちになれたんです。これはマルタ留学を通して英会話へのハードルが下がった、大きな変化だと感じています。
S 私は帰国してすぐはあまり実感なかったのですが、マルタに行く前と行った後で、日に日に英語が聞き取りやすくなったと感じています。特にマルタ滞在の最終日近くになってくると、お店の人などに話しかけられても、それまで緊張していたのが、自信を持って聞き取れるようになった気がします。
森 これからマルタへの留学を考えている後輩の皆さんに、何かアドバイスやメッセージがあればお願いします。
W マルタ留学は本当におすすめです。女子大生ということもあり、ご家族は治安を心配されることも多いと思いますが、マルタは本当に治安が良いです。街の人も穏やかですし、祝日でお酒を飲んでいる人が多くても、物騒な事件は全くありませんでした。親も逐一心配して連絡してくれましたが、全く問題なかったと自信を持って言えます。歴史に興味がある人は、どこを見ても歴史的な建造物や美しい教会があって楽しめると思います。そうでなくても、街中を歩くだけで絵になる景色ばかりで、写真好きの人にもおすすめです。
S 私も夜に街を歩いていましたが、夜景もすごく綺麗で、写真撮影もより楽しかったです。ヨーロッパに行きたいという方や、きれいな海を見たいという方に特におすすめしたいです。 このマルタの研修は期間と宿泊先を選べるため、選択肢が多く、留学に行きたいけれどそんなに長い期間は難しいという方や、寮がいいという方、ホームステイしてみたいという方など、留学する上での自分の中の条件を満たして留学に行けるので、すごくおすすめです。
W 英語がすごく苦手でも、全く心配する必要はありません。地元の人も優しいですし、学校の先生方も、私たちがまだ学んでいる段階であることを理解してくれます。クラスメイトも同じように英語を学んでいる仲間なので、「一緒に頑張ろうね」という雰囲気です。先生方は親身になってくれますし、レベルが合わなければクラス変更も柔軟に対応してくれるので安心です。
S 先生方が本当に親身なので、すごく良い環境で英語が学べます。
W 授業がコミュニケーション重視なので、たとえ自分から話しかけるのが苦手な子でも、3日もすれば慣れてくると思います。本当に楽しく、貴重な経験ができたので、ぜひマルタに行ってみてほしいです!
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2024年度韓国春期語学研修
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留学のきっかけ森 まず、なぜ留学しようと思ったのか、そのきっかけを教えてください。
T 高校時代から韓国の音楽やドラマが好きで、韓国語や韓国文化に興味がありました。私が所属するコミュニケーション文化学科では第2言語まで選択できるため、韓国語を選びました。以前から韓国語や韓国文化の授業を受けるなど関心は持っていましたが、語学力はそこまで高くなく、本格的に留学を考えるようになったのは3年生になってからです。その中でも、特に大きなきっかけは3年次の春から始めたホテルでのアルバイトです。外国人観光客のお客様が多くいらっしゃる環境で、特に韓国人のお客様と接する機会が多かったことから、もっと韓国語を使ってコミュニケーションを取りたいと思うようになりました。もう一つのきっかけは、「コミュニケーション文化特殊研究」というゼミ活動の一環で行われた梨花女子大学の学生との交流です。3日間という短い時間ではありましたが、彼女たちと仲を深める中で、韓国語や韓国文化の理解や好奇心がさらに深まり、韓国で学びたいという思いが強くなりました。
森 韓国語は大学に入る前から勉強していたのですか?
T ハングル文字と簡単な挨拶を知っている程度でした。K-POPを聴いたり、韓国ドラマを観たりするうちに、自然と駅名の韓国語表記などのハングル文字が読めるようになっていました。
森 留学先に梨花女子大学を選んだ理由は何ですか?
T コミュニケーション文化特殊研究というゼミ活動の一環で行われた梨花女子大学の学生との交流が大きな理由です。3日間という短い時間でしたが、一緒に食事をしたりプレゼンをしたりする中で、初めて韓国の友人ができました。そのとき梨花女子大学や韓国の特徴や歴史についても教えていただいたのですが、何よりも印象に残ったのは彼女たちの温かい人柄です。 また、私がこれまで女子校に通ってきたので、女子大という点にも大きく惹かれました。
森 留学の準備として、何か特別なことはしましたか?
T 当時は学校の授業や就職活動で精一杯で、語学の勉強に十分な時間を取ることはできていませんでした。ただ、アプリを使って日常的に韓国語を勉強したり、アルバイト先で韓国人のお客様に積極的に話しかけたりして、少しでも韓国語に触れるように意識していました。また、初めての海外ということもあり、生活面の準備には特に気を配りました。例えば、渡航前に歯科検診に行ったり、万が一の紛失に備えてクレジットカードやパスポートの情報をすべて親に共有しておいたり、安心して渡航できるように心がけました。
現地での授業と学生生活について森 現地の授業はどのような雰囲気でしたか?
T 私は一番下のクラスに配属されたので、内容自体は比較的簡単で、既に習った部分も多く含まれていました。それでも、知らない表現や単語も数多くありましたし、先生や学生と直接やり取りするような実践的な練習を通して、確実にレベルアップできたと感じています。授業は本当に楽しい思い出ばかりです。クラスは中国人と日本人で構成されていて、日本人が8割を占めていました。毎日違う人とペアを組んで会話練習をしたり、前に出て発表したりしていました。すごろくを使った会話練習が印象的でした。同じクラスの学生、先生問わずみんなの仲が良く、毎日同じ方達と授業を受けるのは高校生ぶりの感覚で、とても新鮮で楽しかったです。
森 「トウミ制度」(チューター制度)も利用したそうですね。
T はい、とても有意義な時間でした。私は週に2回くらい、授業時間外に約束をして会ってもらっていました。トウミの方は私よりも一個下の大学生で、プリントを作って丁寧に教えてくださいました。私は一番下のクラスだったので授業では難しい内容まで学べなかったのですが、トウミの方にホテルでアルバイトをしていることを話したら、そこで使える敬語やフレーズを一緒に練習してくれました。テスト前には一緒にテスト対策をしていました。
※「トウミ制度」の内容については、参加する人数等によって変更の可能性があります。
森 授業以外の時間はどう過ごしていましたか?
T 短期プログラムは授業が午後からだったので、午前中は自由に過ごすことができました。洗濯をしたり、1人でカフェやショッピングモールに行ったりして、自分の時間を楽しんでいました。放課後には友達と一緒に夜ご飯を食べに行ったり、トウミの方にお会いして韓国の文化や言葉を教えていただいたりしました。梨花女子大学は立地がとても良いので、どこへ行くにもアクセスが便利で、とても過ごしやすかったです。とにかく短期間でできるだけ多くのことを体験したかったので、積極的にいろいろな場所へ出かけるように心がけていました。
森:授業以外に文化体験のアクティビティもあったそうですね。
T はい。テコンドー、舞台観劇、歴史博物館の見学に参加しました。特に印象に残っているのはテコンドーです。最初はみんなあまり気が進まない様子だったのですが、実際にやってみるととても面白くて盛り上がりました。先生がアイドルのような方で、みんなツーショット写真を撮りたがっていたのも楽しくて面白い思い出です。舞台観劇では、出演者の方がダンスや絵を描くパフォーマンスをしていて、終演後にはお気に入りの方と写真を撮れる時間もありました。普段の授業とは違った形で韓国の文化に触れられて、とても貴重な体験になりました。
森:キャンパス内の施設などは利用しましたか?
T はい。大学の方に案内していただくキャンパスツアーがあり、有名なECC(Ewha Campus Complex)や校舎を見学しました。中には映画館やジム、スターバックス、サラダ屋などがあり、とても広くて驚きました。私はコンビニやパン屋さんを数回利用しました。私はECC(Ewha Campus Complex)が好きだったのですが、寮からは少し遠かったので、最もよく利用したのは寮の中にあるコンビニと食堂でした。気軽に立ち寄れるので、とても便利でした。
留学の感想と成長森 留学を終えて、どのような成長を感じますか?
T 韓国語力の成長も感じるのですが、それ以上に大きかったのは、自ら挑戦する自信を得られたことです。私にとって初めての海外であり、旅行とは違い1人での行動が必要な留学そのものが大きな挑戦でした。慣れない環境で不安もありましたが、私は積極的に1人で街へ出かけ、お店の方に話しかけるようにしていました。現在でも学内のピアサポート制度に応募し、韓国からの交換留学生の方に日本語や日本文化について教えたり、韓国語能力試験TOPIKを受験したり、学内外で小さな挑戦から大きな挑戦まで日々積み重ねています。
森 今回が初めての海外だったそうですが、不安はありませんでしたか?
T はい、最初は1人で出かけるのも怖くて、寮にこもりがちでした。でも、少し経つと1人でカフェに行ったり街を歩いたりできるようになり、店員の方にも話しかけていました。あえて不安のある初めての環境に身を置くことで、自然と積極性が身についたと感じています。
森 帰国後、その経験がどんな影響を与えてくれましたか?
T ホテルのアルバイトで以前よりも自信を持って韓国語で案内できるようになりましたし、自分から積極的に話しかけられるようになりました。就職活動でも、面接では「なぜ韓国に留学したのか」「韓国語はどのくらいできるのか」といった質問をされ、自分の経験や培ったものをアピールすることができました。
後輩へのメッセージ森 最後に、これから留学を考えている後輩へメッセージをお願いします。
T 3週間という短い期間でも、海外に身を置くチャンスは今後それほど多くないと思います。小さなことでも挑戦してみることで、必ず良い経験になるはずです。初めての海外、友達や家族がいないという不安な環境であっても、その経験がご自身に良い影響を与えてくれると思います。留学で得られるものは、語学力だけではありません。また、梨花女子大学はアクセスも良く、先生方も素敵な方ばかりで、様々な人と出会う機会があるので、きっと素晴らしい経験ができるはずです。冬の韓国は乾燥が厳しく、肌がひび割れるほど寒いので、保湿クリームは必須です。観光する機会もたくさんあるので、素敵なお洋服や美味しい食べ物に何度も出会えると思います。そのため、大きめのスーツケースで行くと安心です。ぜひ迷わず一歩踏み出して、自分自身の可能性を広げてくださいね!!
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2024年度台湾春期語学研修
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留学のきっかけ森 まず、なぜ台湾での短期留学プログラムを選んだのか教えていただけますか?
G はい。もともと台湾にはすごく興味があって、以前、家族旅行で訪れた時の楽しい思い出があったのが一番の理由です。実は高校生の時にも留学を考えていたのですが、コロナ禍で断念せざるを得なくて…。大学に入ってからこの3週間のプログラムを見つけた時は「これだ!」と思いました。期間的にも大学の授業と両立しやすく、参加しやすいと感じて決めました。
留学の準備について森 中国語はいつから勉強していたのですか?
G 高校の第二外国語として週に1回授業があったのが始まりです。ただ、その時点では流暢に話せるレベルではありませんでした。留学に行く前にはHSK3級を取得していましたが、実感としては「単語が少し分かるかな」というくらいで、日常会話はまだ難しい状態でしたね。
森 留学に向けて、ご自身で何か特別な準備はしましたか?
G はい。大学の中国語の授業を受けるだけでなく、個人的に単語の暗記や文法の復習に力を入れました。基本的には、学校の授業で基礎を固め、自主学習で応用力をつける、という形で準備を進めました。
現地での授業について森 現地では、どのようなクラスで学んだのですか?
G 最初にクラス分けのための口頭試験があり、私は中間のレベルのクラスに入りました。このプログラムは参加者全員が同じ時期に留学を開始し、3週間後に修了するパッケージ型なので、クラスのメンバーは最後まで同じです。もしクラスのレベルが合わないと感じても、担当の先生に言えば、変更が可能だったので、安心して授業に臨めました。
森 語学の授業はどんな雰囲気でしたか?
G 1クラス10人から15人くらいの少人数制だったので、先生との距離が近く、とても発言しやすい雰囲気でした。特に面白かったのが、手を挙げて発言した分だけポイントがもらえるという仕組みです。ゲーム感覚で楽しみながら、積極的に会話に参加することができました。最後には、2人1組でプレゼンテーションを行い、とても楽しい授業でした。私のクラスは全員日本人でしたが、上のレベルのクラスにはアメリカや韓国からの留学生もいて、国際色豊かでした。
森 語学以外にも特徴的な授業があったそうですね。
G はい、文化授業が本当に楽しかったです。団扇、太極拳、カンフー、台湾茶道、書道の5種類から、3種類選ぶことができ、私は台湾茶道と、団扇とカンフーを選びました。台湾茶道の授業では、先生が3種類のお茶を用意してくれて、香りや味の違いをじっくりと楽しみました。団扇の授業は、先生のお手本を見ながら、墨でパンダの絵を書いていくのですが、とても難しかったです。先生の技術に感動しましたし、良い思い出になりました。カンフーは初めてやったのですが、全身を使って動いたので筋肉痛になってしまいましたが、楽しかったです。
森 1日のスケジュールや課題はどのような感じでしたか?
G 基本的に午前中(9時〜12時頃)が語学の授業で、午後が文化授業や校外授業という流れでした。教科書は現地で紙媒体のものが配布され、毎日予習・復習の宿題がありました。クラスによっては、スマートフォンの録音機能を使って自分の発音を提出する、といったユニークな課題もあったようです。最後に修了テストはありませんでしたが、3週間の学びや体験をペアでまとめて発表するプレゼンテーションがあり、良い総まとめになりました。
台湾での生活について森 留学中の生活について教えてください。滞在は寮だったんですよね。
G はい、学校から徒歩1分というとても便利な場所にある寮で、2人部屋でした。部屋には各自の机と冷蔵庫がありましたがキッチンはなかったので、夜市で買って部屋で食べたり、近くのお店でテイクアウトしたりしていました。朝食はスーパーで買ってきたコーンフレークとヨーグルトを何日かに分けて食べるという工夫をしていました。勉強は、主に部屋の机で宿題をしていました。また、授業が行われる校舎にもラウンジのような共有スペースがあり、友人と集まって勉強することも可能でした。最後のプレゼンテーションの準備も、各自の部屋で行い、データを共有してまとめていましたね。
森 食事は台湾の大きな楽しみの一つだと思いますが、いかがでしたか?
G 毎日の食事が本当に楽しみでした。美味しいルーローハンのお店を探して通ったり、大学の購買で売っているホットサンドがお気に入りでよく買っていました。一度だけ学食も利用しました。夜市にもよく行きましたが、ひとくちに夜市と言っても特色があり、大学から一番近い夜市は食事中心、少し足を延ばせばゲームなどが楽しめる大きな夜市もあり、その日の気分で使い分けていました。滞在中に気になるお店や食べてみたいものがどんどん増えていったので、毎日ごはんを決めることに迷いませんでした。予定を組んで、全て食べることができ、満足です。
森 生活費や物価はどうでしたか?
G 物価は全体的に日本よりは手頃だと感じましたが、昔に比べると高くなっているものもあるかな、という印象です。食事で特に困ることはなく、日本食が恋しくなることも全くありませんでした。
自由時間と交流機会について森 授業のない時間はどのように過ごしていましたか?
G 毎日午後に授業があるわけではなく、何もない日は自由に観光や買い物に出かける時間が十分にありました。友人と電車に乗って有名な台北101に行ったり、ショッピングを楽しんだりしていました。
森 授業以外にも、参加者同士で交流する機会はありましたか?
G はい、週に1回、ウェルカムパーティーのような交流会がありました。ランダムにチーム分けされてゲームをしたり、お話したりして、普段あまり関わらない他のクラスの留学生とも仲良くなる貴重な機会でした。それに加えて、『千と千尋の神隠し』のモデルになったと言われる九份(きゅうふん)などへの校外授業もありました。留学費用に含まれているプログラムの一環で、参加者全員でバス移動だったのでとても楽でした。現地での自由時間も多く、満喫できました。
森 現地大学の学生と交流する機会はありましたか?
G 残念ながら、サポーターやTA(ティーチングアシスタント)のような形で現地の学生と直接交流するプログラムはありませんでした。ただ、先生方は台湾の方なので、授業の合間などに会話をすることで、現地の文化に触れることができました。日本人以外の留学生とは、知っている中国語と分かる範囲の英単語を駆使して、なんとかコミュニケーションを取っていましたね。
森 留学中に何かトラブルはありましたか?
G 実は空港に着いた時にスーツケースが壊れてしまったんです。でも、現地に常駐しているサポートスタッフの方が航空会社との間に入って通訳をしてくださり、言葉の不安なく新しいものに交換してもらうことができました。その方は留学期間中ずっと大学にいてくださったので、何か困ったことがあればすぐに相談できる、非常に安心感のある体制でした。
※文化授業、課外活動の内容、寮の部屋タイプは年によって変わることがあります。
留学を終えて・後輩へのメッセージ森 3週間の留学で、ご自身が成長したと感じる点はありますか?
G 流暢に話せるようになったわけではありませんが、毎日中国語に触れることでリスニング力はかなり伸びたと感じます。そして何より、普段と違う環境で3週間、食事の選択から移動手段まで、自分たちで考えて生活したことで、少し自立できたかなと感じています。その一つ一つの小さな判断の積み重ねが自信に繋がりました。
森 その経験は、就職活動にも活きてきそうですね。
G はい。観光系の仕事に興味があるので、この経験を通して得られた行動力や異文化への適応能力は、面接での大きなアピールポイントになると思っています。留学を機に、さらに上のHSK4級取得を目指すという具体的な目標もでき、モチベーションが高まりました。
森 最後に、これから留学を考えている後輩へメッセージをお願いします。
G 大学生活の間に、いろんなことに挑戦するのはとても良い経験になると思います。このプログラムは、現地の文化に深く触れながら楽しく学べる貴重な機会です。語学力に自信がなくても、親切なサポートがあるので大丈夫です。少しでも興味があったら、迷わず飛び込んで挑戦してみてほしいです。応援しています!
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2024年度オーストラリア春期語学研修
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研修先:RMIT大学(オーストラリア・メルボルン)
比較文化学部比較文化学科2年 Tさん
※研修参加当時の学年インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 まず、なぜこのRMIT大学のプログラムを選んだのですか?
T 小さい頃から英語を親しんでいたため、英語を学ぶことが好きでした。ですが、実際に海外には行った経験はなく、現地の方と深く関わりたいという思いがずっと心の中にありました。なので、大学入学時から在学中に必ず留学に行くとは決めていました。その中でも「現地の方と一緒に生活をしたい」という気持ちが強かったので、プログラムの中でホームステイができるRMIT大学を選びました。オーストラリアに強いこだわりがあったわけではなく、英語圏であること、そしてホームステイができることが決め手でした。
留学の準備について森 留学に行く前に、どんな準備をしましたか?
T 学業面では、1年生の時に課外英語力強化プログラムに参加して、日常会話で使える英語をネイティブの先生から直接習得しました。そのおかげで、会話の際に使えるフレーズのレパートリーが増えて、現地で過ごすときに役立ちました。留学直前は、文法の復習などをしていき、現地にも単語帳など持っていきました。生活面では、出発時期が2月だったので、インフルエンザなどにかからないように体調管理を徹底しました。後は、オーストラリアに行くのが初めてだったので、オーストラリアがどんな国なのか、メルボルンがどんな都市なのか、観光名所、食事などを事前に調べてから行きました。渡航費用などは、2年生で留学に行くと決めていたので、1年生の頃から現地で使うお金をアルバイト代から少しずつ貯めていました。実際に現地では合計20万ほど使用しました。
現地での授業とクラスについて森 現地での授業はどのような感じでしたか?
T 留学前に事前にプレイスメントテストを受けて、テストの結果、真ん中のレベル3のクラスに入りました。最初のクラスは15人中14人が日本人だったので、1ヶ月という短い期間を有効活用するために、クラス変更を申し出ました。その際も引率の先生が手助けしてくれたり、現地の先生方が親身になって話を聞いてくれました。移動後のクラスは、日本人が半分、その他はアラブ系や中国、台湾からの学生がいる多様な環境でした。
森 授業の内容や進め方はどうでしたか?
T 授業はゲームやペアワーク、グループワークを通して楽しみながら学ぶスタイルでした。グループワークでは与えられたテーマについて英語で自由に話し合い発表をしたり、ペアワークでは互いのことを質問しあったので、相手のことも知れて仲も深まりやすかったです。課題は毎日ではありませんでしたが、週に2日ほど出ました。教材などはなく、課題もパソコンやプリントで行いました。授業は主にパソコンを使用するので、タイピングもこの1ヶ月でだいぶ慣れました。日本の授業との違いを最も感じたのは、英語の文法でさえも英語で説明されることでした。初めは聞き取るのに難しく戸惑い、周りの子に助けてもらったりしていました。後半になってくると、耳も慣れてきて自力で聞き取れるようになったのでリスニング力が上がったと思います。
森 授業の時間帯は選べるのですか?
T 午前と午後に分かれていて、どちらになるかは初日のオリエンテーションまで分からなかったです。私はクラス変更をしたので、両方経験できました。午前クラスは朝が早いですが、お昼に授業が終わるので、午後の時間を観光やホストファミリーとの交流の時間に使えます。午後クラスは朝がゆっくりでき、学校の近くのメルボルンセントラル駅周辺はとても栄えているので、ショッピングや食事などをそこでしてから学校に行ってました。観光も朝早く起きれば、授業前に行けたので午後でもメルボルンを大いに楽しめると思います。課外アクティビティも午後のクラスが終わってからの時間だったので、どちらの時間帯になっても参加できました。
現地での生活とホームステイについて森 ホームステイ先はどんなご家庭でしたか?
T フランス人のホストマザーと中学生のホストシスターの2人暮らしとペットにインコがいて、留学生は私1人でした。初めて会った時からハグで迎えてくれるような温かい家庭で、抱えていた不安や緊張が一気に解けました。ホストシスターは日本が大好きな子で、特にサンリオキャラクターが好きだと知ったので、その話をきっかけに初日からすぐ仲良くなりました。家では、彼女の趣味であるお絵かきを一緒にしたり、近くの公園に散歩をしたり、好きなアイドルの話をしたりして、本当の妹のように接してくれました。ホストマザーとは、平日の朝はお仕事に行っているので、夜に一緒にテレビを見たり、お話をしました。互いの家族の話をしたり、一度私の友達とビデオ通話も行ったりしてくれて、とてもフレンドリーな人でした。ホストマザーが「あなたは私の家族よ」と言ってくれた時は、心から嬉しくて、今でも忘れられません。
森 食事や生活のルールはありましたか?
T 食事はフランス人だったので朝は主にパン、昼は自分で購入し、夜はホストマザーが作ってくれる、という感じでした。オーストラリアは水不足の国なので、洗濯などは週に1回程度で、お風呂の時間は15分くらいで出てくるようにしていました。門限は特にありませんでしたが、暗くなる前、夜8時までには家に帰るようにしていました。夜ご飯を食べ終わった後は、ホストマザーと2人でテレビを見たり、お互いのことについて話したりして、そこでたくさん英語を話す機会がありました。
森 現地でのアクティビティには参加しましたか?
T はい、学校が企画してくれた休日のアクティビティで、グレートオーシャンロードに行ったり、スカイデッキに登ったりしました。そこではさまざまな国の留学生たちと交流できる機会でもあるので、ぜひ参加してほしいです。学校のアクティビティとは別に、遊びに行った時に友達とヤラ川でボートに乗って、そこで途中でボートが動かなくなるハプニングがありました。インストラクターに電話で助けを求めなければならず、英語で自分の状況を伝える実践的な訓練にもなったのも思い出です。笑
留学で得たものと成長森 この留学を通して、何を得られたと思いますか?
T 留学を通して得た1番の変化は、英語への熱意がさらに強くなったことです。1ヶ月間の留学生活では、毎日英語に触れる環境で過ごしたことでリスニング力が鍛えられ、英語で話すことへの抵抗もなくなりました。それにより「もっと話せるようになりたい」「もっと理解できるようになりたい」という意欲が高まり、帰国後に受験したTOEICでは約300点スコアが上がりました。自分の成長が数値として表れたことで、自信にもつながりました。また、現地では積極的に行動する姿勢が身につき、ハプニングさえ楽しめるようになりました。海外旅行でも自分から現地の人に話しかけるなど、行動の幅も広がりました。さらに、留学で出会った友人やホストファミリーとの繋がりは今でも続いており、異文化の人と関係を築くことの楽しさと大切さを実感しました。留学がなければ出会えなかった人たちと繋がれたことも、私にとって大きな財産です。
後輩へのメッセージ森 最後に、これから留学を考えている後輩へメッセージをお願いします。
T もし迷っている方がいたら、ぜひ留学に行ってみてほしいです。たくさんの出会いがあり、さまざまな文化や価値観に直接触れることができ、人生の中で貴重な経験になります。また、現地で過ごす1ヶ月は本当にあっという間です!だからこそ、1日1日を大切にして、やりたいことがあれば迷わず挑戦してほしいです。もし、不安なことや思うようにいかないことがあったら、すぐに先生に相談したり、友達と協力したりして、後悔のない時間を過ごしてしてください!
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2025年度アメリカ教師アシスタント研修
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留学のきっかけ森 まず今回のプログラムに参加したきっかけは何だったのでしょうか。以前、カナダに半年間の留学経験があり、テンプル大学の国内留学プログラムにも参加されていますよね。
I 2年生の時に半年間カナダへ留学し、その後テンプル大学の国内留学を経験しました。ただ、どちらの環境にも日本人がいたため、どこか助けられてきたという感覚があったんです。だからこそ、自分ひとりの力で何かに挑戦したい、海外で経験を積んでみたいという思いが強くなり、このアメリカでの教師アシスタントプログラムへの参加を決めました。
森 様々な留学を経験した上で、英語でのコミュニケーションには慣れていましたか?
I はい。特にカナダでの半年間の経験が大きく、日常会話で何を言っているかは理解できましたし、よく使う単語も把握していたので、コミュニケーションで困ることはありませんでした。
プログラム内容と小学校での活動について森 今回参加されたのは、具体的にどのようなプログラムなのでしょうか。
I 現地の小学校へ月曜日から金曜日まで週5日通い、先生のアシスタントをするという内容です。
森 かなり高い英語力が求められそうですね。参加にあたって、TOEICのスコアなど語学に関する条件はありましたか?
I 事前にZoomを通して英語での質疑応答はありましたが、厳しいスコア設定などはありませんでした。ただ、子どもが相手なので、こちらの意図を汲み取ってもらうのが難しく、はっきりと正確に伝える必要がありましたので、これまでのカナダ留学や国内留学で英語に慣れていた経験は大きかったです。
森 先生方が授業をされている時間は、どのように過ごしていましたか?
I 先生のサポート業務全般です。朝、学校に届く子どもたちの朝食を準備したり、授業で使うプリントを配ったり、子どもたち一人ひとりに「10-5はこうだよ」などと説明して回ったりしていました。私がまだ来たばかりで強く叱れないことを見越してか、子どもたちから「Help me!」と頻繁に声をかけられ、問題を解くのを手伝ってほしいと頼まれることも多かったです。
森 自分で授業を行う機会もあったのですか?
I はい、週に1回、自分で準備したオリジナル授業を実施しました。「着物」「日本の食文化と折り紙」「日本と現地の小学校の違い」という3つのテーマを用意しました。受け持ったのが小学校1年生だったので、あまり難しくならないよう、「日本では靴を脱いで校舎に入る」「ランドセルで通学する」といった身近なテーマで比較しながら紹介しました。
森 日本とアメリカの小学校では、授業のスタイルもかなり違ったのではないですか?
I そうですね、日本の小学校と比べると、全体的にとても自由な雰囲気でした。教室も日本の学校よりずっと広くて、1クラス20人前後の少人数制です。授業の進め方も独特で、日本のように45分授業と15分休憩を繰り返すのではなく、午前中はずっと授業が続きます。
森 長時間だと子どもたちが飽きてしまいそうですね。
I 子どもたちを飽きさせないように、教室内で場所を移動しながら授業を進める工夫がありました。机で勉強したかと思えば、次はカーペットのスペースに集まったり、時には運動を取り入れたり。常に変化があって面白かったです。
森 日本の小学校の授業とは、進め方にも違いがありましたか?
I はい、日本の小学校ではクラス全員が同じ授業を受けますが、私が行った小学校では、授業の途中でタイマーが鳴ると、一部の子どもたちが別のクラスへ移動して、自分の習熟度に合った授業を受ける、という時間がありました。例えば「この子は算数が苦手だから、この時間は別のクラスで補習を受ける」といった形です。子ども一人ひとりに合わせた柔軟な教育スタイルが印象的でした。
森 他の日本人参加者とは交流はありましたか?
I 基本的に単独での活動なので、他の参加者と会うことはほとんどありませんでした。一度だけ現地コーディネーターの方が集まる機会を作ってくれましたが、皆さん特に苦労している様子はなく、楽しそうにTA活動していると聞きました。
現地での生活と文化体験について森 ホームステイ先での生活について教えてください。
I フィリピン人のご家庭にお世話になりました。食事の面でもサポートしていただき、学校での昼食はホストマザーが用意してくれたお弁当を持参していました。
森 学校での一日の流れや食事はどのような感じでしたか?
I 朝7時50分には登校していました。驚いたのは食事の回数で、子どもたちは朝8時半頃に朝食を食べ、10時半にはもう昼食、そして帰る前の午後2時頃にもおやつを食べるんです。私は放課後家に帰って夕食を食べるか、友達と外食することもありました。現地の物価は高いと感じましたが、日本から来た私を歓迎してくれる友達と過ごす時間は楽しかったです。
森 週末はどのように過ごしましたか?
I ダウンタウンやグランドキャニオン、セドナなどへ遊びに行っていました。また、アメリカではボランティア活動が盛んで、週末にホストマザーと一緒にホームレスの方々の施設へ行き、サラダを作ったり食べ物を配ったりする活動に参加しました。とても楽しく、貴重な経験になりました。
森 カナダ留学の時と比べて、何か違いを感じることはありましたか?
I 発音の面で大きな違いを感じました。カナダは様々な国籍の人がいる異文化社会なので、多様な英語の発音に寛容で、少し訛りのある私の英語でも比較的通じることが多かったんです。ですが、今回のアメリカのプログラムでは、子供たちになかなか言葉が伝わらず苦労しました。例えば「the」のような基本的な単語ですら、正確な「TH」の発音でないと聞き取ってもらえませんでした。
森 より実践的なコミュニケーション力が求められたのですね。
I はい。また、私が滞在したアリゾナはメキシコ系の住民が多く、スペイン語を話す子どもたちがたくさんいました。英語がまだ話せない子に算数を教えるときは、スペイン語で「1(ウノ)」から一緒に数えるなど、工夫が必要でした。特に、友達とはスペイン語で話すけれど、私にはうまく自分の気持ちを伝えられない子もいて、そういった子たちにどう寄り添えばいいのか、とても難しかったです。
森 言葉の壁がある子どもたちとのコミュニケーションは、大きな挑戦だったのですね。
I はい。この経験を通して、多様な背景を持つ子どもたち一人ひとりと向き合い、コミュニケーションを工夫することの重要性を学びました。これは、今後ますます多様化していく日本の教育現場でも非常に大切な視点だと感じています。そうした意味でも、このプログラムは非常に学びの多いものだったと思います。
プログラムの魅力と参加を考える後輩へのメッセージ森 このプログラムに向けて準備したことはなにかありますか?
I インターンシップや就職活動の際に着用するようなオフィスカジュアルの服を準備しました。しかし、実際に参加してみると、アメリカの学校ということもあり、先生方は比較的カジュアルな服装をされていて、パンプスまでは必要なかったと感じました。
森 これまでの留学経験と比較して、このプログラムならではのメリットと、逆に大変だった点は何だと思いますか?
I やはり一番のメリットは、周囲に日本人が全くいない環境に身を置けることだと思います。他の留学プログラムだと、どうしても日本人のコミュニティができてしまうことがありますが、ここでは日常で日本語を話す機会は一切ありませんでした。日々英語漬けの毎日なので、本気で英語力を伸ばしたい、自分を試したいと思っている人には最高の環境です。 また、他の留学と大きく違うのは、団体行動が基本ではなく、完全に「単独行動」である点です。決まったアクティビティなどはないので、良くも悪くも「丸投げ」というか、個人の自主性に任されています。でも、だからこそ本当に自分がやりたいことに挑戦できますし、自分の力を試すという意味では、これ以上ないプログラムだと感じました。
森 逆に、その「単独行動」が大変な部分でもあったのでしょうか。
I そうですね。大学のキャンパスに通うわけではないので、同年代の友達と自然に出会う機会はほとんどありません。友人を作るには、自分から積極的に動く必要があります。受け身の姿勢でいると、少し寂しい思いをするかもしれません。
森 最後に、このプログラムへの参加を考えている学生にメッセージをお願いします。
I プログラムの内容を聞くと、英語力に自信がなくて不安に思う人もいるかもしれません。でも、一番大切なのは「やる気」だと思います。私自身、英語が話せない子どもたちとのコミュニケーションに苦労しましたが、どうすれば伝わるか工夫する過程で、自分自身が大きく成長できたと感じています。「自分の力で何かを成し遂げたい」「本当の意味で海外に飛び込んでみたい」と考えている人にとって、このプログラムは最高のチャンスになるはずです。周りに日本人がいない環境で、自分のやりたいことを見つけて行動する。その経験は、きっと大きな自信に繋がります。少しでも迷っているなら、ぜひ一歩踏み出して挑戦してみてほしいです。
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2025年度IMPACT ASIA主催「キミタビ」海外インターンシップinカンボジア
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留学のきっかけ森 まずは、この「キミタビ」というプログラムに参加しようと思ったきっかけから教えてください。1年生の夏に、しかも初海外で参加するというのは、大きな決断だったのではないでしょうか。
U はい。もともと高校生の頃から海外への憧れがあり、20歳までに留学という形で海外を体験したいと思っていました。最初はフランス留学を考えていたのですが、言語など様々な面でハードルが高いと感じました。そんな時にこのプログラムを知り、大学で行われた対面説明会に参加しました。一番の決め手は、運営スタッフの方との距離が程よく近く、サポートが手厚いと感じたことです。特にスタッフの方が親身に話を聞いてくださり具体的なアドバイスをしてくださったときに、「初海外でも安心できそうだな」と思えたのが大きかったですね。
森 なるほど。初めての挑戦だからこそ、安心できるサポート体制は重要ですね。語学研修ではなく、カンボジアでの社会課題解決をテーマにしたプログラムを選んだのはなぜですか?
U 語学、特に英語にはあまり自信がありませんでしたが、このプログラムは、SDGsに関連するテーマを扱いながら英語も学べるという点で、実用的に英語を学び使うことが出来ることをとても魅力的に感じました。カンボジアの歴史やアンコールワットにも興味がありましたし、語学研修では得られない経験ができるのではないかと期待して参加を決めました。そして自分たちで様々な問題に対して取り組む様子が楽しそうだと思いました。
留学準備について森 出発前の準備で大変だったことはありましたか?
U 心配性なので荷物が多くなりがちだったのですが、運営の方にLINEで気軽に相談できましたし、詳細な持ち物リストもいただけたので助かりました。また、出発1ヶ月前からプログラム費用に含まれるオンライン英会話レッスンが週2回あり、他の参加者と事前に顔合わせができたので、安心して現地へ向かうことができました。語学以外にも些細な心配事にも現地の様子などを教えてくださったり、多方面からのサポートがありワクワクする気持ちでいられました。
森 準備万端で臨まれたのですね。現地について何か予習はしましたか?
U はい、個人的にカンボジアの歴史、特にクメール・ルージュについては、事前に映画を観て少しだけ学びました。また、予防接種もサポートとして頂いたガイドブックに記載されており推奨されましたが、私はうっかり受け忘れてしまって…(笑)。でも、心配するような環境は全くなく結果的には体調も崩さず大丈夫でした。 虫が心配で日本の虫よけグッズを大量に持って行ったのですが、結局、現地で買ったスプレーの方が効果的で、現地のことは現地で調達するのが一番だと学びましたね。
現地での生活について森 生活面についてもお聞きしたいです。食事や移動はどうしていましたか?
U 滞在先のホテルにはキッチンがなかったので、食事は朝食以外すべて外食でした。プノンペンにあるイオンモールで日本食を食べることもありましたが、だんだんと現地の料理にも挑戦するようになりました。移動は「トゥクトゥク」という三輪タクシーが主で、配車アプリを使えば簡単に行き先を伝えられて便利でした。ただ、ドライバーさんとの電話がクメール語だったりして、翻訳アプリとジェスチャーを駆使して乗り切ったこともあります(笑)。
森 まさにサバイバルですね(笑)。ハプニングはありましたか?
I たくさんありました(笑)。特に印象的なのは一番大事な日に、チームでアンドン村というスラム街に向かうはずが、配車アプリで間違えて全く別の「アンドン村」に行ってしまった仲間がいたんです。 カンボジアの地名は似ているものが多くて…。現地ではそういうことが起こり得るので、自分たちでどうにかしなくてはいけないという緊張感がありました。こういうハプニングがあったときこそ臨機応変に対応する力や何とかして人に意思を伝えるコミュニケーション力を身につけられたと思います。もちろん本当に困ったときや緊急事態は現地に詳しい運営陣が助けてくれました。
プログラム内容について森 実際に参加してみて、プログラムはどのような内容でしたか?かなり密度の濃い2週間だったと聞いています。
U はい、朝から晩まで本当に密度の濃い2週間でした。 プログラムでは、まずカンボジアの歴史を学び、そこからなぜ貧困が生まれるのかという視点で探求します。そして実際にスラム街を訪問し、現地の子供たちに何が足りないのか、なぜ貧困が続くのかを自分たちの目で確かめました。そこで目の当たりにした現実から、自分たちのチームで取り組む課題を見つけます。
森 フィールドワークが中心なのですね。
U はい。プログラムの初期には市内観光も兼ねた活動があり、現地の大学生とチームを組んでトゥクトゥクで市内を巡りました。 彼らが案内役となって、決められたチェックポイントを回りながら、すべて英語で交流します。その時、現地の学生たちが自国の歴史について驚くほど詳しく、強い愛国心を持っていることに感銘を受けました。 またスラム街を訪問した日の夜にチームで意見を出し合い、次の日には街頭インタビューに臨みました。富裕層が集まる高級ブランドの入ったイオンモールと、庶民的なセントラルマーケット(市場)の両方で聞き込みをしたのですが、そこで出会う人々との対話を通して、話せる言語や社会に対する考え方の違いから、カンボジア社会の構造を肌で感じることができました。そして一日の終わりにその日の自分を振り返ってより成長するためにどうしたらいいかと考える時間がありました。そこで自分の感情を客観的に見つめることの大切さを学び、帰国してからも続けています。
森 インタビューはスムーズに進みましたか?
U 「英語を話せますか?」というところからスタートするので、断られることも多かったです。でも、「なんとしてでもインタビューを成功させる」という気持ちで、言葉が通じない時はGoogle翻訳を使ってクメール語を見せたり、相手に打ち込んでもらったりして、あらゆる手段を駆使してコミュニケーションを取りました。
森 それは貴重な経験ですね。英語を使う機会もかなり多かったのでは?
U はい、プレゼンはもちろんですが、平日は毎晩3時間、みっちり英会話のレッスンがありました。最初の週はホテルのロビーで、時には他の観光客の方々がすぐそばを通るようなオープンな環境で行いました(笑)。後半は現地の大学の教室を借りて、より集中できる環境で学びました。レッスン内容はとても実践的で、例えば次の日にクメール・ルージュの博物館に行くならその歴史について、スラム街を訪問する前には子供たちとの接し方や注意点について英語で学ぶ、といった形式でした。
森 常に次のアクションに繋がる学びがあったのですね。
U はい。そして最終的にはチームで課題解決のための企画を立案し、スタッフや現地のNGOの方々の前でプレゼンテーションを行います。そこで承認されると、予算をもらって実際に企画を実行できる形です。私たちのチームは、子供たちが将来の仕事を楽しく学べるように「職業神経衰弱カード」を作成して、スラム街で子供たちと一緒に遊びました。そして、プログラムの集大成として、最終日にはNGOや現地で活躍されている方々の前で、すべての活動成果を英語で発表する機会もあり、本当に緊張しました。特に質疑応答では学校の英語の授業では聞くことのないような単語も多くあり、理解すること自体も難しいこともありましたが、みんなで応援しあって目標を達成するというキミタビ自体の雰囲気もあり、助け合いながら乗り越えることができました。
プログラムに参加して森 この2週間のプログラムを通じて、一番成長したと感じる点はどこですか?
U 語学力はもちろんの事それ以上に「サバイバル能力」と「冒険心」が身についたと思います。もともと人見知りで、人に話しかけることに少し抵抗があったのですが、インタビュー活動などを通じて、実際に話しかけてみれば「人と話すことは楽しい事」と感じられるようになり、大きな自信につながりました。プログラム中に何度も発表する機会があったのですが、プレゼンも、最初は「ハロー」と言うのも緊張しましたが、最後はカンペなしで話せるくらい度胸がつきました。海外という日常とは違う環境が私を後押ししてくれました。 また、カンボジアでの生活は、日本とは全く違って「ありえないこと」の連続でした。その中で、「これがダメなら、あれにしよう」とか「こっちの道がダメなら、あっちに行ってみよう」というように、物事を柔軟に考え、色々な選択肢を見つけられるようになりました。 この経験を通して、視野が大きく広がったと感じています。沢山の失敗が自信につながりました。
森 まさに、人として大きく成長された感じがしますね。内面的な変化も大きかったのですね。
U はい。プログラムの最後には、一日かけて2週間を共にしたチームの仲間と、お互いの長所や短所を率直にフィードバックし合う時間がありました。そこで自分自身を深く見つめ直すことができ、今後の目標も明確になりました。帰国後にまずやれること、10年後までになりたい姿などプログラムを超えてこの先の人生に活かせるきっかけを見つけ、次につながる目標も立てました。キミタビでは今回の留学だけで終わらずこれからも成長し続けるモチベーションを得ることが出来ました。
後輩へのメッセージ森 最後に、このプログラムに興味を持っている後輩たちへメッセージをお願いします。
U 初めての海外や英語力に不安を感じて、参加を迷っている人もいるかもしれません。でも、「キミタビ」はスペシャリストの運営の方々がそろっているためサポートが本当に手厚いですし、安心感があります。何より「どうにかなる!」「あれもこれもしてみたい」ということを実感できるプログラムです。現地では色々なトラブルもありますが、あまり気にしすぎずポジティブでいることが一番だと思います。そして成長しかない2週間になり、沢山の人と出会いで視野も広がります。ぜひ他のどこでもできない素敵な体験をキミタビで挑戦してみてください!
森 視野を広げたい、自分を変えたいと考えている学生には特におすすめできそうですね。
U はい。「キミタビ」は、自分の「こうしたい」という想いを実現させてくれる場所です。たとえそれが未熟なアイデアでも、頭ごなしに否定されることはありません。どうすればもっと良くなるか、新しい考え方を教えてくれ、成長できるように程よい距離感で導いてくれます。だから、自分の見たい世界を広げたい人には本当におすすめです。きっと参加して後悔はしないと思います! また、自分の弱点を克服したい人にもぴったりだと思います。まずお互いの個性を認め合える仲間たちと出会えます。プログラム中は、意見を言うのが当たり前という環境なので、最初は嫌かもしれませんが、自然と自分の考えを発信できるようになります。仲間と意見がぶつかることもありますが、それも成長の一部として受け入れてもらえる雰囲気があります。失敗を恐れずに挑戦したい人、今の自分を変えたいと思っている人には、最高の環境だと思います。
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2024年度日本でできる国内留学プログラム
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プログラム参加のきっかけ森 今日はよろしくお願いします。まず、テンプル大学の短期プログラムに参加したきっかけを教えてください。
A はい。もともと両親から、自分でアルバイトして稼いだお金で行ける範囲のプログラムを探してみたらどうかと勧められていました。それで、大学1年生の間に貯めたアルバイト代で、春休み期間に参加できるこのプログラムを見つけました。
森 費用はすべてご自身のアルバイト代で? すごいですね。
A ありがとうございます。
森 なぜ海外ではなく、この「国内留学」を選んだのですか?
A 日本でのアルバイトや友人との時間を大切にしたかったので、今の生活環境を大きく変えずに留学を体験できる点に魅力を感じました。普段、大学の授業がある時間を、そのまま留学の学習に充てるような形で参加できたのが良かったです。
授業の雰囲気と内容について森 授業はどのような雰囲気でしたか? クラスにはどんな方がいましたか?
A 私が参加したクラスは最初から指定されていて、少人数でした。大学生だけでなく、社会人の方もいましたし、国籍も本当にバラバラでした。ご主人の仕事の関係で来日したアラビア系の方や、オーストラリアからの帰国子女で大学院進学を目指している方など、多様なバックグラウンドを持つ人たちと一緒に学べたのは刺激的でした。
森 授業では具体的にどんなことを学びましたか?
A エッセイの基本的な書き方から、プレゼンテーションのスキルまで、実践的な内容が多かったです。特に印象的だったのはプレゼンの違いです。日本では資料に文字をたくさん書き込みがちですが、海外のスタイルでは話す内容は頭に入れておき、資料は大切なイラストや要点だけを見せるということを学びました。3週間かけて「世界遺産」をテーマにしたプレゼンを作成する課題が中心でしたね。
森 授業のレベルはどう感じましたか?
A リーディングの課題が多くて大変でしたし、授業のレベルは高かったと思います。周りの学生は会話はできるけれど、アカデミックな書き方のルールは知らない、という人が多かったですね。私は話すのも書くのもまだ自信がなかったので、みんなのように細かく質問できず、少し悔しい思いもしました。ただ、クラスが少人数だったので、先生との雑談も多く、分からない単語があればすぐに質問できる環境だったのはとても良かったです。
授業外での交流と学生生活森 授業以外で、他の学生と交流する機会はありましたか?
A はい。授業が終わった後に、クラスメートと一緒にご飯を食べに行ったりしました。大学の近くにはテンプル大学の学生が多く利用するお店もあって、そこでは自然と英語が飛び交っていましたね。
森 サークル活動にも参加されたとか。
A バドミントンのサークルに参加しました。ここにはテンプル大学の学生だけでなく、昭和女子大学や学習院大学といった他大学の学生もいて、英語を話す人が多かったのでとても楽しかったです。他の大学の人たちとコミュニケーションをとる良い機会になりました。
森 大学が主催するイベントなどはありましたか?
A トランポリンをしに行くイベントなど、大学主催のアクティビティもたくさん企画されていました。私は体調を崩して参加できなかったのですが、普段は学長が学生にサブウェイを奢ってくれる交流イベントなどもあると聞いています。積極的に参加すれば、もっと交流の輪は広がると思います。
プログラムを通して得られたもの森 このプログラムを終えて、ご自身で何か変化や成長を感じた点はありますか?
A すぐにTOEICのスコアが上がったわけではありませんが、英語に対するマインドが大きく変わりました。アルバイト先がインバウンドのお客様が多いのですが、以前は完璧な単語を探そうとして話せなくなってしまうことがありました。でも今は、「意味が伝わればいい」と考えられるようになり、間違うことを恐れずに積極的に話せるようになりました。英語で話すことへの恐怖心がなくなったのが一番の収穫です。
森 素晴らしい変化ですね。
A あと、個人的なことですが、オーストラリア訛りの英語を聞き取るのが苦手だったんです。でも、クラスメートにオーストラリア出身の人がいたおかげで、毎日聞いているうちに自然と慣れることができました。
森 今後の目標について聞かせてください。
A 今回の国内留学を体験して、「もっと本格的に学びたい」という気持ちが強くなりました。まずは大学のプログラムを利用して海外での短期留学に挑戦し、将来的には卒業後か休学して長期留学もしたいと考えています。このプログラムが、次のステップへ進むための良いきっかけになりました。
これから参加する後輩へのメッセージ森 最後に、このプログラムへの参加を迷っている後輩へ向けて、何かアドバイスはありますか?
A 少し大げさかもしれませんが、留学費用の一部だけでも自分で稼いだお金で支払うことをお勧めします。私自身、自分のアルバイト代で参加したからこそ、「この時間を無駄にできない」という強い気持ちが生まれ、勉強へのモチベーションにつながりました。怠けがちな性格の私には、その少しのプレッシャーが良い刺激になりましたね。このプログラムは、国内で挑戦できるので、ぜひ一歩踏み出してほしいです。
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2024年度マレーシア春期語学研修
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留学のきっかけ森 なぜこのプログラムを選んだんですか?
N 私自身、海外に行ったことがなくて、いつか行きたいなと思っていました。ただ、留学は費用が高いイメージがあって。マレーシアは比較的費用が安く、物価も安いと聞いて、いいなと思いました。
留学前の準備について森 留学前に何か準備はしましたか?大学の授業以外で特別な勉強とか。
N マレーシアに留学していた友人から、文化などについて事前に情報を聞いていました。勉強面では、英語があまり得意ではなかったので、リスニングをしたり、YouTubeやポッドキャストを流し聞きしたりして、聞き取れる程度には練習していきました。
マレーシアでの生活スタイル森 マレーシアではどういう生活をしていましたか?
N ホテル滞在でした。平日の朝と昼は、事前にお金がチャージされたカードを使って学食で食べていました。日本食はもちろん、中華やインド系など色々な国の料理があって楽しめました。夜はキッチンのないホテルだったので、周りのレストランに行ったり、Uber Eatsのような配達サービスを使ったりしていました。
森 物価的にはどうなんですか?
N すごく安かったです。日本の3分の1くらいで、ローカルフードなら1食500円くらいで食べられました。味は濃いめですけど、すごく美味しかったです。
森 ホテルでの生活で疲れることはなかったですか?
N 特になかったです。ルームメイトだった同じ大学の子と性格が似ていて、すごく気楽に過ごせました。
授業やクラスの様子森 授業はどんな感じのクラスでしたか?
N 1クラス15人くらいで、中国やイエメンなど色々な国籍の学生がいました。授業は書くことより話すことが中心で、アクティビティやゲームを通して交流しました。先生もすごく明るくて、わからない単語は簡単な言葉に置き換えてくれたり、距離が近くて楽しかったです。
森 プレゼンテーションはありましたか?
N 2回ほどありました。自分のことや国について、みんなの前で発表しました。その日までにスライドと原稿を作って準備する形です。
週末のアクティビティと観光森 週末は何をしていましたか?
N 大学が企画してくれた課外アクティビティに参加していました。バスで有名な観光名所に連れて行ってくれて、ピンクモスクなどを見て回りました。現地の学生サポーターや職員さんも同行してくれたので安心でした。
森 授業後は自由時間ですか?
N はい、授業は14時くらいに終わるので、その後は自由行動でした。滞在していたホテルが都心に近かったので、気軽に買い物や遊びに行けました。特に週末には、バスで2時間ほどの場所にある世界遺産の街、マラッカへ友人たちと旅行しました。そこでヒジャブを貸してもらってモスクの中を見学するなど、とても良い経験になりました。
留学で得たものとは森 この留学で得たものは何ですか?
N 日本にいるだけではわからない文化や人々の雰囲気に触れ、自分の視野が広がりました。特に、現地でイスラム教の断食月「ラマダン」を肌で感じられたのは、すごく新鮮で貴重な体験でした。また、海外から日本を客観的に見ることで、日本の文化の良いところも悪いところも見えたのが大きな気づきです。
後輩へのメッセージ森 このプログラムに参加を迷っている後輩にメッセージをお願いします。
N 留学はハードルが高いと感じるかもしれませんが、マレーシアは費用も安く、英語もたくさん話せる環境です。色々な国の文化が混ざり合った国際色豊かな国なので、初めて海外に行く人にも、そうでない人にも、絶対に楽しめる場所だと思います。少しでも行きたいと思っているなら、ぜひ行くべきだとお勧めします。
長期留学
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ヨーク大学YUELI(2023・2024年度出発)
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研修先: ヨーク大学(カナダ・トロント)
(中央)比較文化学部比較文化学科4年 Nさん
(左)文学部英文学科3年 Kさん
※研修参加当時の学年留学期間:(Kさん)約6カ月間(2024年3月~2024年8月)
(Nさん)約6カ月間(2024年9月~2025年2月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 お二人が留学しようと思ったきっかけと留学期間について教えてください。
K 私は2024年3月から8月までカナダのヨーク大学に通っていました。高校時代から留学が夢でしたが、コロナウイルスの影響で一度は叶いませんでした。それでも諦めきれず、教職課程を辞めてでも必ず留学したいという強い覚悟を持って、今回の留学に臨みました。
N 私は2024年9月から2025年2月までヨーク大学に留学していました。新しい環境での挑戦や、より実践的な語学力の習得の意欲が、今回の長期留学を決めた大きなきっかけです。
留学準備について森 強い覚悟を持って留学に臨まれたとのことですが、具体的な準備はどのように進められましたか?特に大変だったことなどあればお聞かせください。
K 大学の学費は親のサポートがありましたが、生活費は自分で賄う必要があったため、アルバイトで必死に貯めました。教職課程を辞めるという大きな決断も伴いましたが、その覚悟があったからこそ、一日も無駄にせず留学生活を楽しむことができたと感じています。
N 私もKさんと同じく、高校時代からの留学の夢がコロナウイルスの影響で一度は叶わなかったため、プログラムが再開したら必ず留学したいという強い覚悟を持っていました。留学を志望したのが4年生になってからだったので、卒業が一年遅れてしまうことになりましたが、留学を終えた今ではこの決断をしてよかったと心から思えています。具体的な準備としては、現地で少しでも高いレベルのクラスに入れるよう、クラス分けテストの対策などをしていました。ライティングがあると聞いていたので、特にライティング対策に力を入れていました。
ヨーク大学での授業について森 授業は日本の大学と比べてどのような違いがありましたか?またクラスの雰囲気についても教えてください。
K 私は英文学科なので、日本でもオールイングリッシュの授業は経験していましたが、現地で英語を英語で学ぶことは難しく感じました。ただ、ヨーク大学の先生方は常に発言を促し、積極的に英語を使う環境を提供してくれました。
N 日本の大学と最も違うのは、先生が一方的に話すのではなく、学生が積極的に発言する形式だったことです。最初は戸惑いましたが、文法を気にせず自分の意見をひたすら発言する他の留学生の姿を見て、私も積極的に意見を言えるようになりました。課題は日本と比べて圧倒的に読書量が多かったです。次回の授業の準備として指定された記事を読み、意見を言えるようにする形式が中心で、自分で調べたり読んだりする時間が非常に増えました。
森 授業に関して特に難しかったことや、印象に残っているエピソードはありますか?
K 先ほどお伝えした通り、英語を英語で学ぶという感覚が非常に難しかったです。授業では常に発言を求められ、最初はなかなかできませんでした。でも、ある先生に「なぜそう思うの?」と聞かれたときに私が「英語ができないから」と答えたら、「あなたは英語ができないからここにいるのだから、恥ずかしがらずに発言しなさい」と言われたんです。この言葉で、積極的に英語を話すことへの抵抗がなくなりました。また、クラスメイトとコミュニケーションを取る授業が多く、日本人以外の学生は文法を気にせず話す姿を見て、自分もそうしようと思えました。先生方も、日本人が日本語で話していると「英語で喋って」と積極的に促してくださり、常に英語を使う環境が整っていました。課題も図書館で参考書を探したり、提出しなくても授業に参加するために必須なものがあったりと、能動的な学習が求められました。
N 授業では先生が頻繁に「どう思う?」と質問を投げかけてくるので、最初は本当にドキドキしました。例えば、「日本は少子化高齢化で大変だけど、どう思う?」といった日本人というだけで難しい質問を英語で聞かれることもありましたね。最初は緊張しましたが、周りの日本人以外の学生が文法などを気にせず、ひたすら自分の意見を発言しているのを見て、私も変わっていきました。セクションが上がるにつれてレベルが上がっていく中で、「これってこうじゃない?」と積極的に意見を言えるようになったのは、日本にいたらなかなか身につかない力だと感じています。
森 クラスの国籍構成はどのような感じでしたか?
K どのクラスも日本人が多かったものの、レベルが上がるにつれて中東、ヨーロッパ、中国、アジアなど、多様な国籍の学生が集まるようになりました。
N 私のクラスも最初は日本人が多い環境でしたが、みんな海外志向が強く、英語を勉強したいという意欲が高い生徒ばかりでした。そのため、授業中に日本語で話すことはせず、皆が英語で話すように心がけていました。レベルが上がるにつれて、他の国の学生が増えていった印象です。最終レベルのクラスでは、中東系、ヨーロッパ系、中国・アジア系など本当に様々な国籍の学生がいました。
留学生活について森 寮生活とホームステイ、それぞれ異なる滞在先を選ばれたお二人ですが、具体的な生活や体験についてお聞かせください。まず、Nさんが滞在された寮について詳しく教えてください。
N 大学キャンパス内の寮に滞在しました。部屋は個室で、プライベートな空間が確保できました。バスルームやトイレ、キッチンは共有スペースでしたが、快適に過ごせました。語学学校からも10~15分と非常に近く、徒歩で通学できるのが便利で良い点でした。
森 食事についてはどうでしたか?
N 食費は学費と一緒に支払われ、大学内で使えるミールチケットが提供されました。キャンパス内には様々な飲食店があり、スターバックスなどでも利用できたので、自分の好きなものを食べることができ、食事に飽きることはありませんでした。
森 寮滞在ならではの異文化体験や、施設の印象などあれば教えてください。
N カナダで旧正月を体験できたのは貴重でした。中国人学生がお祝いの食べ物を持ってきてくれるなど、日本では気づかない文化に触れることができました。施設は古いと感じる部分もありましたが清潔さには配慮されていました。
森 続いて、Kさんが滞在されたホームステイについてお伺いします。ホストファミリーや食事の様子はいかがでしたか?
K 私はフィリピン系のホストマザーと2人暮らしのホームステイでした。部屋は個室で快適に過ごせました。食事が本当に美味しく、日本食が恋しくならないようにと、サッポロラーメンや寿司を作ってくれることもあり、他のホームステイの学生からも羨ましがられるほど豪華でしたね。学校までは片道1時間程度かかりましたが、バスや地下鉄が頻繁に運行しており、夜間も治安が良かったので不便は感じませんでした。
週末の過ごし方や現地学生との交流について森 週末の過ごし方について教えてください。
K 週末はホストファミリーと一緒にカフェに行ったり、買い物に行ったり、車でドライブに連れて行ってもらうなど、深く交流する機会がたくさんありました。WhatsAppの日常的なやり取りも多く、コミュニケーションが向上したと感じています。
森 現地の学生とはどのように交流されましたか?特にコミュニティリーダー制度について教えてください。
K はい、コミュニティリーダーと呼ばれる現地大学生との交流の機会がありました。これは授業の一環で、週に2回、授業の前後などに予約して英語での会話練習ができるシステムです。これは成績にも反映されるものでした。会話のトピックは週末の予定など簡単なことから始まり、そこから話が広がっていきました。
森 そのコミュニティリーダーとの交流で印象に残ったことはありますか?
K 非常に良い関係を築け、帰国して3ヵ月後くらいに、そのコミュニティリーダーの学生が日本に遊びに来てくれたんです。今も交流が続いています。授業外でも積極的にコミュニケーションを取ろうとすることで、現地の学生とプライベートで関わるチャンスも多く得られました。
N 私が滞在した寮では、ヨーク大学の正規学部生と話す機会が多かったです。寮内には学生全員が参加するグループチャットがあり、落し物の連絡などで自然に交流が生まれました。コミュニティリーダー制度については、私が留学を終えた直後くらいに制度の変更があったようで、私の滞在期間中には存在しませんでした。でも、大学全体の施設を利用できたため、語学学校の学生だけでなく、大学の様々な学生と接する機会がありました。
森 カナダならではの異文化体験はありましたか?
K トロントにはチャイナタウンやコリアタウンがあり、本場の食文化を体験できました。商品パッケージや交通標識がフランス語と英語の両方で表記されているのを見て、多文化共生社会を肌で感じました。フランス語を母国語とするカナダ人学生も多く、授業中にフランス語が自然に出てくるのを聞いて、多様性を実感しました。
森 留学中に何かイベントなどはありましたか?
N 大学全体で開催されるオープンキャンパスツアーなどグループで参加する機会がありました。クリスマスやハロウィンのイベントもありました。ハロウィンにはお菓子を配ってくれたりもしましたね。寮内でもクリスマスパーティーやハロウィンのお菓子配りなどがありました。語学学校に学生もヨーク大学の学生証がもらえ、大学内の施設をすべて利用できたので、ジムなどで現地学生と交流する機会もありました。
森 留学中の週末はどのように過ごしましたか?良い週末と悪い週末の思い出があれば教えてください。
K 良い週末は、野球観戦に行ったり、トロントアイランドを訪れたり、長期休みの際にはオタワやケベックへ旅行に行ったりと、充実した時間を過ごせました。一方、悪い週末は、課題やプレゼンテーションの準備に追われることが多かったです。それでも、友達とお気に入りのカフェを見つけて、そこで一緒に勉強するなど工夫して楽しく過ごすようにしていました。
N 私にとっての良い週末は、寮の友人とご飯を食べに行ったり、トロントアイランドなどの観光地を巡ったりすることでした。一方で、悪い週末は「思い出したくない」と感じるほど課題が多かった時です。先生によって課題の量には大きな差があり、ほとんど課題を出さない先生もいれば、私の先生のように大量に出す方もいました。そうした週末は、カフェや寮の共有スペースでひたすら課題に取り組む日々でしたが、寮に住むネイティブに英語でわからない部分を質問する機会が多くありました。このような経験は、日本ではなかなか得られないものであり、英語力の向上にもつながったと感じています。
留学を終えて・後輩へのメッセージ森 留学を終えて、ご自身の成長や、今後の進路への影響についてどのように感じていますか?また、これから留学を考えている学生へのメッセージをお願いします。
K 留学を通して、何よりも「挑戦することへの恐怖心」がなくなりました。留学前は非常に慎重だったのですが、今では積極的に行動できるようになりました。この主体性は、英語力だけでなく、様々な面で私の自信に繋がっています。例えば、帰国後の英語の授業では、以前よりも自信を持って発言できるようになり、先生からも「明るくなったね」「本当に変わったね」と評価されるようになりました。日本から離れて半年間を過ごせたこと自体が大きな自信となり、英語と日本語の両方で、自分の考えを明確に伝える力が身についたと感じています。これから留学を考えている皆さんには、迷っているなら「ぜひチャレンジしてほしい」と伝えたいです。もちろん、留学中はつらいことや大変なこともありますが、今振り返ると楽しい思い出ばかりが浮かびます。私自身、高校時代にコロナで留学を断念した経験があるからこそ、行けるチャンスがあるなら、その機会を最大限に活かしてほしいと強く願っています。
N 私も「挑戦力」が大きく身についたと感じています。留学前は休学して卒業が遅れることに不安を感じていましたが、カナダでは様々な年齢層の人々が自分のやりたいことに挑戦している姿を見て、1年程度の遅れは些細なことだと感じられるようになりました。留学で得られるのは語学力だけではありません。異文化適応力や主体性、問題解決能力など、日本では絶対に身につかない多様な力が培われます。就職活動では、「英語が得意ですか?」という質問に対し、以前は「少しだけ…」と戸惑っていましたが、今では自信を持って「はい!」と答えられるようになりました。留学を考えている皆さんには、「一歩踏み出してほしい」と伝えたいです。準備を進めるほど、SNSなどでネガティブな情報に触れることで不安が大きくなるかもしれません。しかし実際に現地に行ってみるとなんとかなることが多く、予測以上に多くのことを学び、成長できます。不安な気持ちは私も経験したのでよくわかりますが、勇気を出して一歩踏み出すことが人生における大きな財産となるはずです。
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RMIT大学(2023年度出発)
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研修先: RMIT大学(オーストラリア・メルボルン)
(右)比較文化学部比較文化学科3年 Fさん
(左)社会情報学部社会情報学科3年 Sさん
※研修参加当時の学年留学期間:約11カ月間(2024年2月~2024年12月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 お二人が留学を決意したきっかけを教えてください。
F 高校の時から、英語圏で暮らしながら英語力を磨きたいとう思いが強くあり、以前から留学は考えていました。当時はコロナ渦で海外に行くことができなかったため、今回のプログラムで再度挑戦しました。英語圏で治安が良い且つ長期の留学を探していたため、このオーストラリア長期プログラムに参加しました。
S 私は以前、自分にあまり自信がなくネガティブに考えてしまう傾向があり、留学を通じて新しい環境に身に置き、友達を作り、自分自身を変えたいという強い思いがありました。また、私は大妻でプログラミングを学んでいましたが、もっと深く学びたい、そしてこれまでなかなか挑戦できなかった分野にも触れてみたいという思いがありました。RMIT大学のプログラムがその希望に合致していたため、留学を決めました。
留学生活について森 お二人は約1年間留学されていたそうですが、その期間の留学生活について教えてください。滞在先は違っていたそうですね。ホームステイと寮、それぞれの体験について教えてください。
F 私はホストファミリー宅に滞在しましたが、滞在中に3回家を変更してもらいました。最初の家は、飼っていた犬の世話を私が担うことになり契約にはない負担が生じたため4カ月で変更してもらい2つ目の家は、事前に知らされていなかった厳しいハウスルール(シャワー5分以内、夜10時以降のパソコン使用禁止など)があり、生活リズムが合わず2週間で変更してもらいました。3つ目の家はホストマザーの体調悪化により急遽移動となり、最終的に子供3人と犬3匹がいる賑やかで温かい家庭で楽しく過ごすことができました。多くのトラブルがありましたが、日本語と英語を使ってエージェンシーに何度もかけあい、乗り越えることができました。言いづらいことがあってもしっかりと自分の意見を主張するという力はここで身についたと思います。
S 私は寮に滞在しました。寮は新しく、とてもきれいでした。最初は6人部屋でしたが、6か月目からは1人部屋に変えました。エレベーターはセキュリティがしっかりしており、自分の階と共用部にしか行けないようになっていました。虫などが出ることもなく、快適に過ごせました。寮は大学のすぐ隣に位置していたため、授業の建物と同じ敷地内で生活でき、非常に便利でした。
森 食事や生活費についてはどうでしたか?
F ホストファミリー宅では、朝食は自分でシリアルなどを用意し、夕食はホストファミリーが作ってくれるので料理の手間がなく楽でした。昼食は自分で軽食を持っていくこともあれば、友人と外で済ませることもありました。ホストファミリー宅での生活費は比較的抑えられたと感じています。
S 寮では食事は全て自分で用意しなければならず、ほとんどの学生が自炊していました。私はよく外食していたため、1回約2,000円、1日約5,000円と出費がかさみました。食べ過ぎてしまい、体重が増えましたね。メルボルンには特定の「名物料理」と呼べるものが少なく、アジア料理が多かった印象です。
森 寮のキッチンは使いやすかったですか?道具などは揃っていましたか?
S はい、キッチンは新しくとてもきれいでした。ただ、調理器具や食器などの道具や寝具などは自分で用意する必要がありました。私は事前に寮のWebサイトで購入したセットを利用しました。
森 留学中に日本人学生はどのくらい見かけましたか?
F 日本人学生はほとんど見かけませんでした。RMIT大学のプログラムで来ている学生はアジアからヨーロッパまで多様な国籍の方が多くいました。専攻によってインド人や中国人が多いところもあったそうですが、私のクラスは8割以上がオーストラリア人でした。
S 寮も、日本人はほとんどいませんでした。寮生活を通じて多国籍な学生と交流する機会が多く、非常に国際色豊かな生活を送ることができました。
留学先の授業について森 授業はどのようなものを履修していましたか?
F 私は「メーキングメディアMaking Media」「インターカルチュラルコミュニケーションIntercultural Communication」「ミュージックインポピュラーカルチャーMusic in Popular Culture」の3つのクラスを履修しました。日本の大学での専攻とは異なりますが、興味のある分野を選びました。私は比較文化学部なので単位交換できる科目が多くあり、RMIT大学でとった単位は全て変換できました。
S 私は社会情勢学部情報デザイン専攻なので、プログラミングや機械学習、サプライチェーンマネジメントなど、単位互換が可能でかつ興味がある専門科目を重点的に履修しました。
森 授業形式や課題の量、難易度について教えてください。
F 各クラスはレクチャーとディスカッションに分かれており、それぞれ2時間ずつありました。レクチャーは聞いてメモを取るだけですが、ディスカッションはネイティブスピーカーである生徒や先生と2時間ずっと議論するため非常に大変でした。話すスピードが速いだけでなく、オーストラリア独特のスラングを使う学生が多かったため、何度も質問しながら必死で会話についていきました。毎週の課題の量も多く、テスト期間は毎日大学の図書館に通っていました。日本とは異なり、ディスカッションの発言やレポート、グループディスカッションなど全てが授業評価に影響するため、コツコツと頑張らないと単位がもらえないような形態でした。
S 授業は実践的なものが多く、課題を通してスキルを習得するような内容でした。
課外アクティビティについて森 大学でのイベントやサークル活動について教えてください。
S RMIT UP(RMIT付属の英語学校)のときは小旅行などの全イベントに参加していました。
F 大学にはダンスサークルがあり、RMIT生は無料で参加できました。週に2、3回、ヒップホップやジャズのレッスンを受け、私は大学内のダンスコンテストやイベントに参加することもあって、そこで多くの友人を作りました。また、大学が定期的に週末のイベント情報を出してくれていたので、それを参考に様々なイベントに参加していました。
森 週末はどのように過ごしましたか?
F 私は週末のどちらか一日を友達と遊びに出かけ、ショッピングをしたりお洒落なカフェに行ったりしてリフレッシュするように心がけていました。課題があるからといって、ずっとパソコンと向かい合っていると頭がおかしくなってしまうので、バランスをとることを意識していました。メリハリをつけることは本当に大事だなと実感しました。
S What’s On MelbourneというWebサイトが定期的に週末のイベント情報を出してくれていたので、それを参考に様々なイベントに参加していました。メルボルン市内から徒歩20分以内で大抵の場所に行くことが出来ました。治安も良く、夜も安全に外出できる環境でした。
留学を終えて森 留学を通じて、ご自身にどのような変化がありましたか?
F 学業面では、授業中の積極性が格段に向上しました。ディスカッションでは発言しないと評価されないため、間違えることを恐れずに自分の意見を伝える力が身につきました。前向きな考え方や行動力が養われ、精神面でも大きく成長できたと感じています。また、以前より他人の目を気にしなくなったというのも変化した部分だと思います。私はTypical Japaneseになりたくなかったので、「嫌なことは嫌だと言って遠慮しない」ことや「周りにどう思われるかを考えるのではなく、自分がやりたいことをやる」といった事は留学前から意識していましたが、帰国してようやく出来るようになったなと感じました。
S 日本ではなかなか挑戦できなかったプログラミングの応用を授業で学ぶことが出来ました。これは、以前から「やってみたいけど機会がない」と感じていた分野だったので、授業を通じて学ぶことができたのは大きな収穫です。また、現地でトラブルに直面した際に、自分で調べて解決していく過程を通じて、問題解決能力が向上しました。
後輩へのアドバイス森 これから留学を考えている後輩に向けて、留学準備や現地での生活についてアドバイスがあれば教えてください。
S 留学前に特にスピーキングに力を入れるべきです。高校や大学で勉強していても、実際に現地に行くとスピーキングが非常に重要になるので、日本にいるうちから英語を話す機会を積極的に作っておくことをお勧めします。
F 私は日本にいる時も、週に1、2回国際交流の場に参加して話す練習をしていました。また、本気で英語力向上を目指しているのなら、現地で日本人と関わるのは可能な限り避けるべきだと思います。同じ日本人同士で安心できる空間にいたいのは分かりますが、そこにいて得られる成長は無いと考えたからです。現地では英語だけを使うようにして、日本人の友達とSNSでのチャットでも日本語をあまり使わないようにしていました。また、最初の数か月間通っていた語学学校には日本人がいましたが、意識的に距離を置いて、他の国の留学生と英語を話すように徹底していました。このおかげで、現在は英語での日常会話はなんの問題もないですし、この1年でスピーキング力やリスニング力はかなり伸びたと思います。友人には「それはストイックすぎるんじゃない?」と指摘されたので、あくまで私のやり方は一例として紹介しています!自分の目標に合わせて、しんどくならない程度に努力していけば良いと思います!
S RMIT大学でStudy Abroadプログラムを受けるにはTOEFLやIELTSといった英語資格の取得が留学の要件になるため、早めにこれらの試験を受けておくといいと思います。
森 留学中の授業履修、単位互換については、何かアドバイスはありますか?
S もし留学を考えているなら、留学先で単位互換ができる可能性の低い学部共通科目や専門教育科目を先に取っておくことをお勧めします。一般教養科目は単位互換がしやすいことが多いので、専門科目を先に履修しておくと、留学中にスムーズに単位互換ができると思います。
F 帰国後、授業時間数に基づいてスムーズに単位が換算されました。
※ 単位互換は学部によって認定の条件が異なります。森 留学経験は、帰国後の就職活動にどのように役立ちましたか?また、後輩が就職活動で留学経験をどう活かせばよいかアドバイスお願いします。
S 留学中に得た経験や、現地でのトラブルをどのように解決し乗り越えたかといったエピソードは就職活動において重要なアピールポイントとなります。エントリーシートや面接で活用できるよう、自分の経験をしっかり記録し、言語化できるように準備しておくことが重要です。
F 留学中に経験した挫折やそれをどう乗り越えたかといった話は、まさに就職活動で求められるエピソードです。具体的な経験を通して得た学びや成長を伝えることで、説得力が増します。
森 最後に、留学中の心構えや留学を最大限に活かすためのメッセージをお願いします。
S 留学は自分自身を変える良い機会です。自分自身のことをもっと好きになったり、ネガティブな考え方を変えたり、新しいことに挑戦したり。間違えることを恐れず、積極的に行動することも大切です。失敗から学ぶ姿勢が重要だと感じました。
F 英語力、特にスピーキングを伸ばしたいなら日本人と距離を置くことです。私は留学中、SNSでもそれを意識して行動したおかげで英語力を最大限に伸ばすことができました。
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国立台湾大学附属中国語センター(2023年度出発)
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研修先:国立台湾大学附属中国語センター(台湾・台北)
比較文化学部比較文化学科3年 Kさん
※研修参加当時の学年留学期間:約6カ月間(2024年2月~2024年8月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学のきっかけ森 留学を決めたきっかけは何でしたか?
K 高校時代から海外にすごく興味があって留学を考えていたのですが、新型コロナウイルスの影響で留学に行くことができず、大学生になったら絶対に行こうと考えていました。また大学1年生から中国語の勉強を始めて、少しずつ文法や単語が身についてくるのがとても楽しかったので、本格的に海外で学んでみたいと思って留学を決めました。
森 留学というとまず英語というイメージを持つ人も多いと思いますが、英語圏ではなく、中国語圏を選んだ理由は何だったのでしょうか?
K まず英語よりも中国語が好きになったからです。また、将来的に海外で働いてみたいという気持ちがあり、中国語の方がビジネスに活かせる機会が多いというお話を聞きましたので、そちらに決めました。
森 台湾を選んだのは、安全面などを考慮されたのでしょうか?
K そうですね。実は元々は北京など中国の本土に行きたいと考えていたのですが、そのタイミングで日中米の関係が不安定になったり、中国本土への入国の制限が厳しくなっていたりしたので、中国語圏の選択肢が台湾しかありませんでした。台湾は元々学んでいた簡体字ではなく繁体字を使うので、中国語も少し違う形になるのですが、やはり現地で中国語を学びたいという気持ちの方が強かったので、先生にも相談し、繁体字について理解を深めてから留学を決めました。
留学準備について森 留学に向けて具体的にどのような準備をしましたか?
K まずは学習面では、大学1、2年生の時に使用していたテキストをもう一度復習するところから始めました。また中国語を実践的に少しでも使えるようにしてから行きたいと考えていたので、留学手配を担当してくれた留学会社のDEOW(ディオ)が毎週行っていた中国語の会話練習に毎回参加をしました。生活面では、私より前に台湾留学に行った先輩に話を聞いて必要なものを準備し、あと台湾はすごく虫が多いということでしたので、虫除けなどを準備しました。費用面では、高校時代から行きたいという風に親と話していたので、少しずつ続けていた貯金に加えて、JASSO(日本学生支援機構)の留学生向け奨学金が運よく受けられたので、それを合わせて準備を進めました。
大学での授業について森 授業はどのようなものを受講しましたか?
K 国立台湾大学付属中国語センターで、中国語の授業を受けました。入学前に事前のクラス分けテストがあるのですが、頑張って勉強していたつもりでも初級クラスに振り分けられたため、基礎からもう一度学び直すつもりで始めました。平日に毎日3時間授業がありました。午前と午後の部があるのですが、私は朝の8時20分から11時10分の授業に参加していました。文法の基礎や単語を押さえつつ、実践的に中国語を使用しながら、順番が回ってくるたびに自分の意見を発言するという流れで授業が進んでいきました。先生方が丁寧に発音や文法を教えてくださるので、正しいものを使うことができるようになります。1週間で1つの単元が終わるため毎週テストがあったり、よく単語テストを行っていたので少し準備が大変でした。
森 それは大変でしたね。クラスの雰囲気はいかがでしたでしょうか?
K 中国語センターのクラスは留学生が集まる国際クラスだったので、いろんな国籍の学生がいたのですが、やはり日本人が多かったと思います。授業は少人数制で、5〜8人くらいでした。クラスメイトも先生もとても親切だったたため、質問をしやすい雰囲気でした。
現地での生活について森 生活面ではどうでしたか?
K 生活は寮で過ごしておりました。国際系の寮で、10ヶ国以上の国籍の人と一緒に暮らしていました。コミュニティスペースや共同キッチン、コインランドリーや自習室があって、色んな人と交流することができました。一人部屋を希望したところ、運良く希望が通り室内にトイレやシャワーなど備え付けの部屋に滞在できましたが、部屋によっては共同トイレ・シャワーというところもありました。
森 それはいい環境ですね。他の国籍の学生との交流は中国語を使っていましたか?
K それぞれの中国語のレベルが異なっていたので、英語も使ってコミュニケーションを取っていました。そのおかげで、英語力も伸びたように思います。
森 台湾での食事はどうでしたか?
K 基本的に外食、もしくはUber Eatsを利用していました。物価は日本より少し安いくらいという印象です。食で困ったということはあまりなかったのですが、行って一ヶ月ぐらいでルーローハンなどの台湾の味に少し飽きてしまったので、大学にある食堂の中で特に日本食を出してくれる所に通っていました。また仙草ゼリー、豆花、マンゴーかき氷のお店や夜市にもよく行っていました。
森 学食が利用できるのはいいですね。その他大学の施設は利用しましたか?
K はい。大学はとても綺麗で、図書館や体育館もあって、何でも揃っているという印象を受けました。私はよく図書館を利用していました。授業後に図書館で友人と課題をしていました。
森 現地学生との交流や、現地学生からの授業や生活面のサポートなどありましたか?
K 何か交流イベントが定期的に行われたり、授業や生活面のサポートがあるわけではなかったのですが、台湾人の学生が台湾の夜市(寧夏夜市)を案内してくれるサークル活動のイベントがあって、それに参加しました。
森 なるほど。その他休日の過ごし方について教えてください。
K 台湾各地を回り、自分の目や肌で歴史や文化を感じたいと考えていたので、実際に生活をしていた台北や校外学習で訪れた苗栗(びょうりつ/ミャオリ)のほか、九份(きゅうふん/ジウフェン)、十份(じゅうふん/シーフェン)、基隆(きいるん/ジーロン)、宜蘭(ぎらん/イーラン)、台中、台南、高雄、台東などに旅行に行きました。建物など景色や食文化など各地の特色があり、とても興味深かったです。
森 留学ならではの経験が出来て良かったですね。そういえばちょうど留学直前(2024年1月)に台湾総統の選挙がありましたよね?
K はい。友人やクラスメイト、先生と政治について話す機会がありました。
森 それもまた貴重な経験ですね。
留学の成果について・後輩へのメッセージ森 今回の留学で得たものは何でしょうか?
K まず語学力が付いたという風に感じています。帰国後にさらに勉強を重ね、中国語検定試験3級を取得することができました。留学前は少し点数が足りなくて不合格だったので、勉強してきた成果が出たのかなと思います。また、現地で生活をしていたり、いろんな国籍の方と交流する中で、文化であったり歴史などについてその国と日本の違いを学ぶことができました。生活力も格段に上がったような気がしますし、何より積極的にチャレンジできるようになったので、自信がついたと思います。
森 留学の経験は就職活動に役に立ちましたか?
K はい、とても役に立ちました。やはり将来海外駐在をしてみたいという気持ちに対して、留学で培った語学力と、その裏付けとしての中国語検定試験の結果や海外生活の経験があったので、面接で話す時の説得力が増し、それだけ挑戦したいという気持ちが伝わったのかなと思います。
森 最後に、これから留学を希望する後輩に向けてメッセージをお願いします。
K まずはやってみる事がすごく大事だと感じています。帰国してから大妻の単位としてどれくらい認定されるのか、留学中に受けられない3年次のゼミをどう履修するか、3年生の夏のインターンシップに参加できないことが就職活動にどう影響するか、など不安なことは色々ありましたが、留学に行ったからこそ語学力だけなく現地の歴史や文化を直接学ぶことができ、その経験が自分自身の自信に繋がったので、留学を通して得たものの方が大きかったように感じています。迷っていたら一歩踏み出して挑戦していく事が大切だと思います。
交換留学
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国民大学校(2023年度出発)
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研修先:国民大学校(韓国・ソウル)
文学部日本文学科3年 Yさん
※留学参加当時の学年留学期間:約10カ月間(2024年3月~2024年12月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
短期留学から交換留学へのステップアップ森 Yさんは、短期留学を経て交換留学に挑戦されたと伺っています。短期留学を経験されたからこそ得られたものはありましたか?
Y 短期留学は行ってよかったと強く感じています。1ヶ月にも満たない期間でしたが、授業で初めて習う文法に触れたり、周りの学生のレベルを肌で感じたりする中で、やはり現地での学習はモチベーションが高まりました。日本で1人で勉強するよりも、韓国語の能力が伸びたのではないかと思っています。またこの短期留学を通して、交換留学への意欲が確信に変わりました。
森 短期留学に行った時点で、すでに交換留学も見据えていたのですか?
Y はい。大学入学前から交換留学に行きたいという気持ちはありました。実は、大妻女子大学に入学した理由の一つは「交換留学への行きやすさ」だったんです。共学の大学よりも人数が少ないため、交換留学に行く競争率が低いという点と、女子大ならではの国際センターのサポートの手厚さに魅力を感じました。ただ、入学当初はコロナ禍ということもあり、その時点ではっきりと行けるか分からなかったので、まず短期で行ってみようと考えました。
寮での生活について森 国民大学校での寮の生活について教えていただけますか?4人部屋で過ごされたそうですが。
Y はい。寮は4人部屋で、2段ベッドを2人で使う形でした。最初は友達も誰もいなかったので、どんなルームメイトが来るのか心配でした。ただ学校側が配慮してくれたようで、同じ日本人同士で部屋を組んでくれたので、言語の壁を感じる不安はありませんでした。また寮には門限もあったので、深夜1時から早朝5時まではドアが施錠され、出入りできませんでした。特に驚いたのは、週に一度、夜11時に点呼が行われ、学生が部屋にいるかどうかの確認があったことです。
森 門限や点呼もあったのですね。食事はどうしていましたか?
Y 食事については、夕食は申請すれば毎日提供されますが、私は申請しなかったので、学食やコンビニ、外食で済ませることが多かったです。また、韓国では宅配サービスが非常に発達しているので、友達と利用することも多かったです。寮にはキッチンがなく、電子レンジと冷蔵庫は各階に1つしかなかったため、自炊は難しい環境でした。
森 寮でのイベントなどはありましたか?
Y 寮でのイベントは、残念ながら何もありませんでした。寮はとても大きく、人数も多かったのですが、全員が集まるような機会は避難訓練くらいでしたね。 寮の中での交流は、1学期ごとに部屋を移動するシステムだったので、最初のうちは日本人のルームメイトや隣の部屋の人たちと仲良くなりました。ただ、他の国の学生とは、寮ではエレベーターで会う程度で、正直なところ交流はあまりありませんでした。しかし、韓国語の授業で一緒になるので、そこから知り合って仲良くなることもありました。
現地での授業について森 授業はどのようなものを履修していましたか?
Y 1学期目は韓国語の授業を2つと、日本学科なので日本に関する授業を3つ取りました。韓国語の授業の1つは詩を読んでそこから韓国語を学ぶ授業、もう1つは大衆文化でドラマや歌から韓国語を学ぶ授業でした。
森 それぞれの授業について教えてください。
Y 日本学科の授業の1つは、学科内で唯一の日本人教員が担当されていました。日本の文化に関する授業で、話すことと漢字を読むことがメインでした。日本人である私にとっては、日本語の授業なので比較的簡単でした。しかし、私以外に正規の留学生の日本人が2人いて、彼女達は大阪出身だったので、文化の話になった時に東京出身の私とはまた違う習慣があることが分かりました。先生は積極的に私たち日本人学生にも「皆さんの地域ではどうですか?」と質問を投げかけてくださるので、それぞれの答えが異なり、韓国の学生も「地域によって違うんだ」と興味を持っていましたね。この授業は日本語で行われるので、私は韓国語を話す機会は少なかったのですが、他の韓国人の学生も日本語で授業を受け、日本語で発表しなくてはいけませんでした。彼らにとってはかなり大変そうでしたが、日本語を学ぶ強い熱意を感じました。 もう1つの授業は日本語の読み書きの特訓のようなものでした。コラムを読んでその場で日本語に訳していくのですが、この授業では日本人学生が私一人だったため、私だけが韓国語で訳したり発表したりしていました。先生からは常に「この部分はどう訳しますか?」「この表現の意図は何ですか?」といった質問が飛び交い、時には、漢字が混じった日本語の文章をその場で読んで意味を訳すなど、実践的な内容でした。これは2年生や3年生向けの授業だったのですが、日本人が韓国語を学ぶよりもはるかに高いレベルだと感じました。韓国の学生たちの日本語学習に対する情熱と努力を目の当たりにし、とても刺激を受けました。
森 2学期目はどのような授業を履修していましたか?
Y 2学期目からは教養の授業(学部・学年に関係なく受けられるもの)も履修しました。日本の大衆文化に関する授業だったのですが、全て韓国語で行われる授業で、テストも韓国語でしたので難しかったです。ただ、内容は日本の大衆文化なので、ある程度は知っていることでした。しかし、すごく昔の歴史の話になると私たちも知らないことが多く、新しく学ぶ知識がたくさんありました。また、日本で習ったことでも、韓国人の視点から見ると日本の出来事が異なる捉え方をされていることを知り、歴史観の違いに触れることもできました。 さらに、卒業論文を書く授業も受講しました。これは日本学科の授業だったのですが、私は日本語学に興味があったので、日本で途中まで書いていた卒業論文を韓国で発表することになりました。驚いたのは、韓国と日本では論文の書き方が全く違っていたことです。韓国の論文作成方法を学びつつ、日本のやり方との違いを意識しながら論文を進めました。私は韓国語との比較研究を行っていたため、先生から論文作成に必要な会話のコーパスサイトや先行研究の探し方などを教えてもらい、大変助けられました。授業ではテーマが近い学生とペアを組み、一緒に先行研究の問題点を見つけて発表する機会もありました。これにより、学術的な議論を通じて深く学ぶことができたと実感しています。
森 特に印象に残った授業があれば教えてください。
Y 印象的だったのは「師弟同行セミナー」という授業です。先生が日本に関心のある学生と日本人を集めて、日本語学や将来の就職活動などについて話し合う授業でした。その一環として、山に登りながら話し合うという活動がありました。授業では、韓国にある日本大使館に勤めている方や、他にも何人かゲストが来てお話をしてくださる機会もありました。
森 ちょうどYさんが留学されていた時期に、ハンガンさんがノーベル文学賞を受賞されましたよね。授業でその話題は出ましたか?
Y はい、後期に授業でその話題を扱いました。文芸春秋が出している「2024年の論点100」という本を読んで、コラムの内容を発表する授業があったのですが、そこに女性作家が世界的に躍進しているという内容がありました。この発表でハンガンさんのことも話題に上がりましたね。韓国でこれまでノーベル文学賞受賞者はいなかったので、韓国人学生は皆とても喜んでいましたし、文学を知らない人でも話題にするほど現地は盛り上がっていました。 ただ、授業では、受賞のニュースとは別に、ハンガンさんの作品の内容は好き嫌いが分かれるという話題も出ました。受賞自体は喜ばしいが、内容に対する世論は少し割れている、といった発表もありました。
現地学生との交流や課外活動について森 留学中に現地の学生と仲良くなるチャンスはたくさんありましたか?
Y はい、様々な機会がありました。まず、学校では「GPS」という、留学生と韓国人学生の交流を目的としたイベントが開催されていました。日本人留学生には日本語が話せる韓国人学生がグループにつき、お互いに言語交換をしたり、一緒に食事に行ったりする活動がありました。これは学校が費用を補助してくれたので、積極的に参加することができました。さらに、授業の中でも交流が深まりました。特に印象的だったのは、ある韓国語の授業でドラマを制作する課題があったことです。ドラマを撮影し、編集して発表するグループワークだったので、同じグループになった他国の学生とは、たくさん話す機会があり、とても仲良くなれました。 普段の授業でも、日本人学生が私しかいないクラスでは、韓国人の友達が積極的に話しかけてきてくれました。その友達を通じて、また別の友達を紹介してもらうことも多く、韓国人の友達がたくさん増えました。また韓国語の授業は外国人学生しかいなかったのもあり、様々な国の学生とも交流を深めることができました。
森 部活動やサークルには参加されましたか?
Y はい、バレーボール部に入部しました。元々バレーボールのことはあまり知らなかったのですが、バレーボールが大好きな友達が、1人でやるのは心細いからと誘ってくれたことがきっかけです。入部してみると、バレーボールがとても楽しくて、なぜ今までやってこなかったのだろうと思いました。男女合同の部活動でしたので、色々な人に教えてもらい、試合には出られませんでしたが、先輩たちの試合を観戦するのもとても面白かったです。かなり本格的な部活動で、男子は試合で毎回優勝するほどでした。 他にも、日本学科がやっている「ゆい」というサークルにも入りました。これは日本人留学生と日本学科の学生が交流するサークルです。そこでは、日本が大好きな人たちが集まっていて、みんな日本語もペラペラでした。言語的な成長はあまり期待できませんでしたが、色々な場所に連れて行ってもらうことができました。
留学を終えて森 留学生活全体を通して、特に得られたものや、今後のキャリアに繋がりそうなことはありますか?
Y 一番成長したのは語学力だと感じています。留学前はTOPIK4級だったのですが、帰国後、少し期間が空きましたが4月に受けた試験で6級を取得できました。韓国に行っていなければ、語彙力や文法力がこれほど伸びることはなかったと思います。 また、日本で受けていた授業よりも発表する授業が多かったため、韓国語で発表する経験を積むことができました。準備は大変でしたが、この経験を通して人前で話すことに対する自信がついたと感じています。そして、多くの友達ができたことも大きな収穫です。日本人だけでなく、韓国人の友達もたくさんできました。
森 留学を終えて、今後の展望はどのように考えていますか?
Y 韓国にやはり1年留学してきて、もっと韓国に住みたいという思いが強くなりました。また、まだ韓国を全て知りきれていないと感じていますので、もっと韓国語や韓国の文化について学びたいという気持ちがあります。そのため、今後は韓国の大学院を目指したいと思っています。
後輩へのアドバイス森 最後に、今後韓国留学を目指す後輩たちへメッセージやアドバイスをお願いします。
Y 私自身も、留学当初は知り合いが誰もいなくてとても不安でした。しかし、実際に行ってみると、みんな同じ環境で、同じ思いを抱えています。そのため、みんながそれぞれ助け合って、楽しく留学生活を送ることができます。たくさん友達もできますし、学ぶことも多いので、もし迷っているのなら、絶対に行った方がいいなと思っています。 また、現実的な話になりますが、やはりお金はあった方が良いと思います。私は留学前にアルバイトを頑張って、滞在費用分のお金を貯めてから行きました。物価も高いので、留学生活を最大限に楽しむためには、ある程度の余裕が必要です。部活に入ったとしても、部活終わりにみんなで外食に行くとなると、やはりお金がたくさん必要になります。新しくできた友達と遊びに行く際にも、カフェでお茶をするなど、何かとお金がかかります。余裕があれば、より多くの経験ができて、楽しめることも増えると思います。 最後に、日本でできる準備はすべて済ませてから韓国に行くことをお勧めします。韓国の大学の開校時期の関係上、韓国到着後すぐに授業が始まってしまうため、慣れない環境でゆっくり準備している暇はありませんでした。特に「外国人登録証」の申請は前もって予約した方が良いと実感しました。外国人登録証がないと、銀行口座開設や携帯電話の契約など、生活に必要な手続きが何もできません。大学で外国人登録証の一括申請も行っていますが、長くて2カ月ほどかかってしまうため、日本にいる間に個人で予約すると早めに受け取ることができるので少し手間はかかってしまいますがお勧めです。
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明知大学校(2023年度出発)
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研修先:明知大学校(韓国・ソウル)
比較文化学部比較文化学科4年 Kさん
※留学参加当時の学年留学期間:約10カ月間(2024年2月~2024年12月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学準備について森 留学に行ったのは4年生の時だったそうですね。
K はい。大学に入学した時から「絶対に韓国に留学に行く」と決めていました。コロナで交換留学が再開したのがちょうど4年生になるタイミングで、卒業が1年少し遅れる形になりましたが、迷いはありませんでした。
森 なぜ明知大学校を選んだのですか?
K 選んだ理由の一つは、滞在先を自分で選べたことです。ちょうど私が行く時期に大学の寮が工事中で、大学側が提携している学校近くのシェアハウスなどを紹介してくれました。韓国の大学寮は2人部屋や4人部屋が多いと聞いていて、1年間という長期間、共同生活をし続けることに少し抵抗があったので、個室が確保できるシェアハウスを選べたのはすごくありがたかったです。
※留学先の滞在方法(寮・シェアハウス等)は変更の可能性があります。
森 そもそも韓国に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
K 高校生の時に、韓国のアイドルやドラマといった芸能の文化に興味を持ったのが始まりです。YouTubeなどでコンテンツでは、日本語の字幕がないものも多く、「韓国語が分からないと本当に楽しめないな」と感じるようになりました。韓国語を韓国語のまま字幕なしで理解したい、という気持ちから自分で勉強を始め、大学入学後も学習を続けました。
森 留学の準備はどのように進めましたか?
K 留学の条件がTOPIK(韓国語能力試験)の合格だったのでTOPIKの勉強をしていました。そして大学2年生の時にTOPIKを受けて6級を取得しました。短期留学は挟まず、いきなり長期で行きました。
森 旅行で韓国に行った経験はありましたか?
K 旅行で何回か行っていたので、留学に行ってから環境に慣れるのは早かったです。留学前の韓国語レベルは、日常会話には困らない程度で、韓国語で話しても問題ないくらいのレベルで臨みました。
森 大学の授業以外で、どんな語学準備をしましたか?
K 一日に一つ、必ず韓国語の新聞や記事を読んで、それを全部自分で日本語に訳すということを日課にしていました。難しい記事ではなく、芸能関係など自分の本当に興味があって読みたいと思った記事を読んでいたので、続けることは難しくはなかったです。それが単語や文法などの勉強になり、TOPIKの読解対策にもなりました。
大学や授業について森 明知大学校はどんな大学でしたか?
K 各国からたくさんの外国人留学生がいて、留学生のためのプロジェクトが充実している大学でした。ですが、ほかの大学に比べて日本人がすごく少なかったので、韓国語で会話することが当たり前の環境でした。日本語に頼れない環境に身を置けたのが、語学力を伸ばす上でとても良かったです。
森 立地はどうでしたか?
K 立地もすごく良かったです。バスの路線がたくさん通っているので、どこに行くにも交通手段には困りませんでした。特に若者が集まる繁華街の弘大(ホンデ)までバスで10分くらいで着くので、遊びに行くにも買い物するにもすごく便利でした。
森 授業はどのようなものを履修しましたか?
K 留学生向けの韓国語の授業(リスニング、発表、読解)と、現地の学生と一緒に受ける教養科目として心理学を履修しました。元々心理学に興味があり、敢えて日本の大学で受けていないものを選びました。
森 心理学の授業はかなり大変だったそうですね。
K はい。専門用語が多くて、正直最初は先生が何を言っているかも分からないくらいでした。50人のクラスで留学生は私一人だけで、周りは49人全員韓国人。毎時間、課題についてディスカッションし、グループで一人が発表するという形式だったので、プレッシャーが大きかったです。
森 その中でどうやって授業についていったのですか?
K 最初は緊張してディスカッション中にもなかなか話せず、「間違ったことを言ってしまったらどうしよう」という不安でいっぱいでした。でも、だんだん「ここで話さないと、ただの“空気”になってしまう」と感じ、そっちの方が辛かったです。そのため、授業の前に課題に関するわからない単語を全部調べていました。それと、自分の意見やわからない部分をあらかじめ文章に書いて準備してから臨むようにしました。授業が終わった後も、その日の内容を復習しないと次の授業にはとてもついていけなかったので、平日は予習復習にかなり時間を費やしていましたね。
森 レポートや試験も大変でしたか?
K とても大変でした。心理学の授業では、中間テストの代わりにWord3枚分くらいの韓国語でのレポートがありました。期末テストは韓国人の学生と全く同じ筆記試験でした。問題文を時間内に読み切るだけでも必死でしたね。
森 一年間留学するとなると、やはり行く前からかなり高い語学力がないと厳しいものでしょうか?
K そうですね、心理学のような専門的な授業の内容を完全に理解するには、ある程度の語学力が必要だと感じました。でも、日常生活や、留学生向けの韓国語の授業に関しては、そこまで心配しなくても大丈夫だと思います。特に留学生同士の会話は、お互いに完璧ではないので「間違っても大丈夫」という気持ちで気軽に話せますし、行ってから伸びる部分もすごく大きかったです。なので、授業以外の面では、そこまで高いレベルが必須というわけではないと感じました。
シェアハウスでの生活について森 住居はシェアハウスだったそうですが、どんな生活でしたか?
K 建物1棟がまるごとシェアハウスになっていて、私の階には5人が一緒に暮らしていました。日本人だけでなく韓国人や中国人の子もいて、部屋はそれぞれ個室。キッチンは共用で、バス・トイレは各階に2つずつあり、2〜3人で1つを共同で使う形でした。学期末には、皆でチキンやピザを買ってきて、リビングで朝までおしゃべりするパーティーをしたり、とても楽しかったです。
森 この写真は?
K これはシェアハウスの屋上で、大家さんが開催してくれたサムギョプサルパーティーの時の写真です。大家さんはとても親切な方で、ほぼ毎日様子を見に来ては、共用部分の掃除をしてくれていました。皆のために料理を作ってくれることもありました。
森 文化の違いからくるトラブルなどはありましたか?
K 生活スタイルの違いはありましたね。特に、海外の子は夜中まで気にせず電話をすることがあって、最初は「え?」って驚きました。でも、そこで黙っているのではなく、「ごめんね、ちょっと静かにしてほしいな」と勇気を出して伝えたんです。そうやってお互いの価値観を尊重しながら、皆で話し合ってルールを決めていったことで、より仲良くなれたんだと思います。シェアハウスでの生活で、自分の当たり前とは違うということを受け入れて理解しようとする姿勢が身につきました。
森 食事はどうしていましたか?
K シェアハウスに食堂はなく、キッチンだけでした。朝は家でシリアルなどを買って食べ、昼は大学の学食を利用したり、大学周辺に飲食店がたくさんあるので友達と外食したりしていました。夜も友達と外食することが多かったですね。韓国はテイクアウトできる安いお店も大学の周りにたくさんあったので、買って帰って食べることもよくありました。お米だけはシェアハウスに常備されていたので、自炊もしましたし、大家さんが料理を作ってくれることもあって、食事で困ることはなかったです。
森 生活費は日本と比べてどうでしたか?
K ちょうど円安の時期だったので、日本よりも少し高くなったなと思いました。何を買っても、結局日本で買うより高かったです。なのでそこは覚悟していきました。ただ、日本と比べて交通費や電気代などはとても安いので、節約できる部分も多くありました。
大学のサポートや課外活動について森 明知大学校のサポートはどうでしたか?
K 交換留学の提携校がすごく多く、世界各国から学生が来ていました。一番多かったのはフランスからの学生で、他にも中国、ベトナム、ブラジルの子もいました。大学主催で毎月、交換留学生向けのイベントが必須参加であり、キンパ作りやテコンドー体験、野球やサッカーなどのスポーツ観戦などがありました。また、「チュータリング制度」で現地の学生とペアになり、毎週韓国語で会話をする時間が設けられていたので、相談もしやすかったです。
森 サークル活動はしていましたか?
K 日本語学科がやっている日韓交流のサークルに入っていました。みんなで美術館に行ったり月に1回集まってご飯を食べたりする、そんなに頻繁ではない簡単なサークルでした。
森 他の国の留学生との交流はどうでしたか?
K 交換留学生向けのイベントでは、国籍に関係なくチームに分けられて活動していたので、自然と色々な国の子たちと仲良くなれました。韓国語がまだ上手ではない子もいたので、そういう時は簡単な英語で会話したりして、国際交流がすごくできたと思います。日本に興味のある子たちがすごく多かったので、周りから声をかけてくれて仲良くなりやすかったと思います。
留学で得たもの・価値観の変化森 留学をして、韓国に対するイメージは変わりましたか?
K ソウルだけ見ていると都会で人が多いイメージでしたが、釜山(プサン)など地方へ行くと、都会なのに人が少なくゆっくりできる場所もあると知りました。交通費が安く、釜山まで行っても片道5,000円かからないくらいなので、大邱や水原など色々旅行できました。
森 留学をして、韓国に対するイメージは変わりましたか?
K ちょうど帰国する前くらいに、大きなデモがありました。遊びに行った景福宮(キョンボックン)の辺りがちょうどデモの真ん中で、道路を人が埋め尽くして1時間以上バスが動かなくなってしまって家に帰れなくなってしまったことがありました。バスが動かないので、地下鉄はすごく混んでいて、大変な状況でした。でも、政治については学生とたくさん話す機会があって、地域ごとに支持する政党がはっきり分かれていることなど、日本にいたら知れなかったことを知ることができました。
森 留学を通して、ご自身に変化はありましたか?
K 留学に行く前は日本人と韓国人は似ている部分が多いと感じていましたが、実際に行ってみると、韓国人は自分の意見をすごくはっきり言う方が多いというイメージに変わりました。その影響で私も思ったことをズバズバと言えるようになりました。
森 その経験は就職活動にも活きましたか?
K はい、就職活動では留学の経験をたくさん話しました。特に外資系の企業などでは、韓国に支社があるところもあり、韓国語が使えるという点で評価していただけることが多かったです。
後輩へのアドバイス森 最後に、これから留学する後輩へメッセージをお願いします。
K 留学当初、私はバスの乗り方すら分からなくて、乗るだけでも緊張していました。でも、やってみたら意外と簡単だったという経験が多かったので、何でもとりあえず始めてみる、挑戦してみるという気持ちが大事だと思います。 また、語学についてですが完璧に話そうとしなくても大丈夫です。完璧を求めすぎると言いたいことが言えなくなってしまうので、気にせずに、自分の知っている単語と文法だけで相手に伝えようと努力することが、コミュニケーションの上で大切だったなと思います。
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仁荷大学校(2023年度出発)
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研修先:仁荷大学校(韓国・仁川)
文学部コミュニケーション文化学科4年 Yさん
※留学参加当時の学年留学期間:約4カ月間(2024年2月~2024年6月)
インタビュアー 国際センター 森功次(もりのりひで)准教授
留学準備について森 なぜ仁荷大学を留学先に選んだのですか?
Y ソウルにある他の大学よりも日本人の数が少ないと聞いたからです。周りに日本人がいると、気が楽ではあると思いますが、私はしっかりと韓国語を学べる環境に身を置きたいと思い、仁荷大学校を選びました。
森 留学の準備はどのように進めましたか?
Y 書類の準備が一番大変でした。ビザの申請に必要な書類を集めたり、大学に提出する書類を準備したりと、手続きが多かったですね。それから、半年分の荷造りも意外と大変でした。韓国は季節によっては日本より寒くなるので、服装には特に気を使いました。
森 語学の勉強はどのようにしていましたか?
Y 大学での韓国語授業の履修に加えて、独学でも韓国語の勉強に取り組みました。机に向かっての勉強はTOPIK等の資格試験のために取り組むことが中心でしたが、国際センター主催の韓国交換留学生との交流会に積極的に参加し友人を作りました。会話力はそこで友人ができたことで大幅に伸びたと思います。また、留学先の大学を迷っていた際にもアドバイスをくれたり、実際に渡航してからも助けになる場面が非常に多かったです。交流会で出会った韓国人の友達とは今でも交流が続いているため、参加して良かったと強く思います。
寮での生活について森 寮生活について教えてください。
Y 4人部屋に2段ベッドという環境でした。ルームメイトは日本人2人とカザフスタン人1人です。できる限り同じ国籍同士で部屋を割り当ててくれるのですが、日本人が少ないため他の国籍の学生と一緒になりました。正直に言うと、寮生活が一番大変でした。文化や生活スタイルがそれぞれ違う4人での共同生活なので、生活習慣の違いに合わせるのが難しかったです。同じ階には中国人やウズベキスタン人、アゼルバイジャン人など、いろいろな国の留学生が住んでいて、とても賑やかでしたね。ただ、その分プライベートな空間を確保するのが難しく、一人になりたい時はよくカフェに行っていました。図書館も利用しましたが、テスト期間前は席のオンライン予約をしないと座れないほど混雑していました。
森 食事はどうしていましたか?
Y 平日は朝昼晩のうち一食が無料で食べられる食券がもらえました。それ以外に食べたければ、お金を払って食堂を利用することもできます。ただ、私の口にはあまり合わなかったので、外食することが多かったですね。寮にキッチンはなかったので、火を使わない簡単な料理をするか、コンビニや外食で済ませるしかありませんでした。特に大変だったのは、野菜不足です。韓国では日本ほどサラダを食べる習慣がなく、意識しないと野菜がなかなか食べられませんでした。
大学の授業について森 授業や勉強についてはいかがでしたか?
Y 私は多くの留学生が所属するKLC(Korean language and Culture)学科にいましたが、授業は学部の垣根を越えて、比較的自由に選ぶことができました。例えば、私は日本語学科の授業で興味のあるものがあったので、直接教授にメールでお願いして受講させてもらいました。実際に履修したのは、「韓国語・韓国文化」「日本近現代文化」「世界と韓国の比較文化」「韓国語通訳翻訳」の4つです。単なる語学の授業というより、自分の専門分野や興味のある分野を深く学べる授業だったので、専門用語や単語もたくさん覚えられました。これは大学院進学に向けて、すごく良い勉強になったと感じています。「日本近現代文化」の授業以外は、ほとんどが他の留学生と一緒に受ける形式で、「日本近現代文化」は私以外全員が韓国人の学生でした。
森 それぞれの授業の違いについてはどうでしたか?
Y やはり韓国人の学生と受ける授業は難しかったですね。先生の話すスピードが速くて、ついていくのが大変でした。その分、留学生向けの授業はそこまで難しくありませんでした。課題の量も、テスト期間以外はそれほど多くはなかったです。ただ、成績の評価は日本より厳しい印象で、出席しているだけでは単位は取れず、普通に落とされることもあります。特に中間と期末のテスト期間は、レポートとテスト勉強を両立させなければならず、かなりしっかり勉強しないと単位は取れませんでした。
森 なるほど。それに対して仁荷大学からのサポート体制はありましたか?
Y 大学からのサポート体制としては、留学生一人ひとりにメンターとして韓国人の学生がついてくれます。私のメンターは同じ寮に住んでいたので、いろいろと助けてもらいました。ただ、大学側は連絡先を教えてくれるだけで、その後の交流は学生次第です。積極的に自分から連絡しないと、ほとんど会わずに終わってしまう人もいるようでした
現地学生との交流や課外活動について森 サークル活動や現地の学生との交流について教えてください。
Y 国際交流サークルに入っていました。週に1回、みんなで集まってご飯を食べたりお酒を飲んだりする活動です。韓国人と留学生が半々くらいの割合だったので、そこでたくさんの友達ができました。サークル活動以外にも、仁荷大学はバレーボールが強いことで有名で、ホームで試合がある時は応援に行きました。学校の体育館が会場で、応援グッズも配られて盛り上がりましたね。学園祭では、芸能人がライブをしに来たり、サークルや学科ごとに出し物があったりして楽しかったです。
森 サークル内でのコミュニケーションや、友人作りで工夫したことはありますか?
Y サークルでは韓国人の学生とは韓国語で、英語圏の学生とは簡単な英語で話していました。もともと仁荷大学の留学生は、韓国語を専門に学びにきている学生が少なかったですね。他の大学だと日本語に興味のある学生がサークルなどで積極的に関わってくれることが多いと聞きますが、仁荷大学ではそういった雰囲気はあまりありませんでした。その代わり、日本人が少ないので「日本に興味がある子がいるんだけど」と個人的に紹介してもらう機会が多かったです。公式な活動よりも、そういった個人のつながりで友人関係が広がっていきました。
森 充実した留学生活を送るためには、最初の頑張りが大事なようですね。
Y そう思います。私は最初のうち、友達を作るためにサークル活動に積極的に参加するようにしていました。そこで仲の良い友達ができてからは、その子たちと頻繁に遊ぶようになりました。一方で、ルームメイトの日本人の子は、なかなか生活に慣れずに最初の1,2カ月ずっと部屋にこもりがちで、辛そうにしている時期もありました。新しい環境に適応するのは大変ですが、特に最初の時期に頑張って外に出て友人関係を築けると、その後の生活が大きく変わってくると思います。
森 韓国ならではのイベントはありましたか?
Y サークルの合宿で「MT(メンバーシップトレーニング)」に行きました。韓国ではサークルや学科の仲間たちと親睦を深めるために、こういった合宿をよく行います。私のサークルでは、仁川空港がある島までみんなで行って、ペンションのようなところに泊まりました。海にも行けて、ソウルで遊ぶのとはまた違った楽しみ方ができました。寮としての大きなイベントは特にありませんでしたが、テスト期間前になると、食堂でチュロスなどの特別なデザートが配られて、「テスト頑張れ」と応援してくれるようなことはありました。
仁川での生活・仁荷大学留学のメリットについて森 ソウルではなく仁川市での生活はどうでしたか?
Y まず、物価が安かったですね。ソウルに比べて一食あたり100円から200円ほど安かったので、半年いると大きな差になりました。それに、ソウルまでは1時間半ほどで行けるので、週末に遊びに行くこともできました。大学の周りにも遊ぶ場所はたくさんあったので、特に不便は感じませんでした。
森 仁川での生活で気になったことはありますか?
Y 留学前から仁川は韓国の中でも少し治安が心配なエリアだと聞いていました。実際、大学の周りは学生ばかりで安全でしたが、ソウルへ向かうための大きな駅周辺は、夜遅くの一人歩きは避けた方がいいと感じました。また、ちょうど滞在中に北朝鮮から汚物風船が飛んでくるという出来事がありました。大学は海に近いので、正門の近くにも落下したようです。私はタクシーで通りかかっただけなので、直接歩いては見ていないのですが、学校からも「風船が飛来しています」というアナウンスのメールが届きました。報道で目にすることはありましたが、実際に何が入っているか分からないので、緊張感がありました。
森 仁荷大学に留学して良かった点、メリットは何だと思いますか?
Y たくさんありますが、一番は語学力を伸ばすのに最適な環境だったことです。ソウルと比べて日本人が少ないので、日常的に韓国語を使わざるを得ませんでした。また、予想外だったのは、英語力も向上したことです。韓国語留学目的ではない欧米系の学生も多く、彼らと話すには英語が必要だったので、忘れていた英語を必死に思い出して使ううちに自然と鍛えられました。経済的なメリットも大きかったです。ソウルより物価が安く、特に食費込みで4ヶ月13〜14万円という寮費は魅力的でした。国内旅行をする際も、釜山へ行くKTX(韓国の新幹線)のチケットがソウルからより安く買えたりして、お得でしたね。それから、多様な文化に触れられたのも良い経験です。仁荷大学は工学部が有名で、特にウズベキスタンに分校がある関係で、中央アジアからの留学生も多く、日本ではなかなか出会えない国の人たちと友達になれました。ソウルとは違ってローカルな雰囲気が強く、日本語もほとんど通じないので、“本当に韓国で生活している”という実感を持てたのも良かったです。手厚いサポートがあるわけではないので、ある程度の語学力があって、自分で色々と挑戦できるという人にとっては、すごく良い環境だと思います。
留学を終えて・後輩へのメッセージ森 留学経験はその後にどう影響しましたか?
Y まず、考え方が変わりました。海外の学生はグループワークなどで自分の意見をはっきりと主張するので、それに影響されて、私も必要な場面ではしっかりと自分の意見を言えるようになったと思います。学業の面では、卒業論文のテーマに直結しました。ちょうど韓国でデモが活発な時期だったので、実際にデモに参加した友達に話を聞いたり、インタビューをさせてもらったり、現地にいたからこそ得られる情報を論文に活かすことができました。進路にも大きな影響がありましたね。留学前は卒業後に就職するつもりでしたが、実際に韓国で生活してみて、もっとこの国に住みたい、もっと勉強したいという気持ちが強くなりました。それで、今は韓国の大学院への進学を準備しています。
森 最後に、これから留学する後輩へメッセージをお願いします。
Y 留学に行くかどうか迷っているなら、絶対に行った方がいいと思います。私はコロナの影響で交換留学が再開したのがちょうど大学4年生になる年でした。結果的に卒業が少し遅れることになりましたが、それ以上に得られるものがたくさんありました。現地でしかできない経験は本当に貴重です。私にとって仁荷大学はすごく良い選択でした。もともとソウルには何度も行ったことがあり、これからも訪れる機会があるだろうと思って、あえて仁川を選んだという理由もあったんです。そのおかげで、ソウルとはまた違う、もう一つの「知っている場所」、まるで第二の故郷のような場所が韓国にできました。留学を通して、本当にいろいろな体験ができて良かったなと思います。
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