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日本栄養・食糧学会「学会賞」を受賞 食物・青江誠一郎教授

家政学部食物学科・青江誠一郎教授が、令和4年度日本栄養・食糧学会「学会賞」を受賞しました。

同賞は、公益社団法人日本栄養・食糧学会が、栄養科学または食糧科学に関する基礎的あるいは応用的学問分野において顕著な業績があり、現在も研究に従事している者を対象に選出するもの。青江教授は「穀類含有食物繊維の肥満関連指標に対する改善効果に関する研究」の業績が評価されました。
同学会は、栄養学ならびに食糧科学の進歩をはかり、国民栄養の向上に寄与することを目的に、1947年に設立され、2,700人を超える正会員を擁します。
受賞式および受賞講演は、6月10日に開催される第76回 日本栄養・食糧学会大会(会場:神戸ポートピアホテル)にて行われます。

青江教授のコメント:
大妻女子大学で実施してきた約19年間の穀物の食物繊維の機能性研究が、日本の栄養学の最高権威の学会である日本栄養・食糧学会に評価いただけたことは、この上ない名誉なことです。「教育と研究の大妻」を具現化する一例となったのではと思います。研究を支援していただいた共同研究者の皆さま、食物学科の先生、事務職員の皆さまに感謝申し上げます。今後も本学の教育・研究に精進していきたいと考えております。

受賞研究題目:穀類含有食物繊維の肥満関連指標に対する改善効果に関する研究

    受賞研究業績:
  • 日本人の主食である穀物、特に大麦と全粒小麦の摂取意義を検証するために、これら穀物に含まれる食物繊維がヒトの肥満関連指標に及ぼす影響を明らかにし、次いで動物実験によりそのメカニズムを明らかにする一連の研究を行ってきた。
  • ヒト介入研究で明らかにした研究は以下の4項目である。
    1. 食後血糖値の上昇抑制作用(大麦ご飯、小麦全粒粉パン)
    2. 満腹感の持続作用(大麦配合食品)
    3. 内臓脂肪蓄積抑制作用(大麦ご飯、小麦全粒粉パン)
    4. 腸内環境改善作用(小麦フスマ及び大麦配合食品)
  • 次に基礎研究によりヒト介入研究で得られた大麦の効果の作用メカニズムについて以下の4項目を明らかにした。
    1. 大麦の場合は、全粒粉でも、搗精粉(外皮を削った粉)でもβグルカン量はほとんど変わらず、肥満関連指標改善効果も変わらないことを証明した。
    2. 高分子と低分子のβグルカンはいずれも肥満関連指標改善効果を示したが、前者は粘性による吸収抑制作用が、後者は腸内発酵による短鎖脂肪酸の作用が主体であることが示された。
    3. 大麦粉を摂取したマウスの肝臓と脂肪組織のマイクロアレイ解析の結果より、発酵による短鎖脂肪酸の増加は肝臓の脂肪合成遺伝子の発現を抑制し、脂肪組織のホルモン感受性リパーゼの遺伝子の発現を亢進することが見出され、肥満関連指標の改善効果における遺伝子レベルの変動を証明した。
    4. 大麦粉の長期摂取による耐糖能改善効果は、腸内発酵による短鎖脂肪酸の産生増加が小腸のL細胞数を増やし、GLP-1分泌を増やしたことが要因の一つとなっていることを証明した。また、大麦摂取による腸内細菌叢の変動と短鎖脂肪酸の増加を確認した。
  • 以上の研究結果が、日本人の穀物由来の食物繊維摂取量の増加を促す栄養指導・教育に寄与し、生活習慣病の予防と健康寿命の延伸に貢献している。