第71回日本栄養改善学会学術総会で若手学会優秀発表賞を受賞 院生2年・北嶋さん(食物学科食物学専攻卒)
人間文化研究科人間生活科学専攻修士課程2年・北嶋優衣さん(家政学部食物学科食物学専攻2018年3月卒)が、2024年9月6~8日に開催された「第71回日本栄養改善学会学術総会」の学生部門・一般演題カテゴリー「臨床栄養」において、若手学会優秀発表賞を受賞しました。
同賞は40歳未満の学会員を対象に、「学生部門」「実務者部門」の2部門に分かれ、7つの一般演題カテゴリーごとに優秀発表賞1人が選ばれます。
北嶋さんは、宮崎県食品開発センター・湯浅友識さん、平川良子さん、本学家政学部食物学科・小治健太郎教授と共著で、演題「健常成人におけるブルーベリー葉茶が睡眠に及ぼす影響-ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-」を発表し、第一次選考の書類審査、第二次選考の口頭発表を経て今回の受賞となりました。
北嶋さんに研究のきっかけや受賞の感想、今後の目標について話を伺いました。
-今回の研究のきっかけを教えてください。
所属する食品学研究室の指導教員である小治先生がもともとトクホ関連の研究をされており、日頃から機能性表示食品の届け出に関連する研究の指導を受けていたので、大学院時代にできれば、機能性表示食品の研究開発に関わる研究を行ってみたいと思っていたところ、睡眠に関する臨床研究の話があり、今回の研究に至りました。
-受賞の感想をお聞かせください。
エントリーにあたって、初めは不安な気持ちもありましたが、本番に向けて繰り返し発表練習に取り組み、その都度いただく小治先生からの適格なフィードバッグのおかげで、次第に自信へとつながっていきました。実際に賞をいただくことができ、とてもうれしかったとともに、これまでの努力が評価されたという確かな手応えを感じることができました。そして何よりも日頃お世話になっている先生方や共同研究先の方々が喜んでくださったことが一番うれしかったです。
-本学家政学部食物学科食物学専攻を卒業されていますが、同専攻での学びはどのように生かされていますか。
食や栄養に関わる幅広い選択科目が充実していたことに魅力を感じ、食物学専攻への進学を決めました。実際に授業で学んだ調理科学や食品加工、食品機能、栄養代謝などの知識は、食品の機能性に関する研究や食品開発等に活かされていると感じます。
-今後の目標や抱負などありましたら、教えてください。
今回の研究成果をもとに、共同研究先の企業と機能性表示食品の商品開発を目指しています。機能性表示食品の届出には、今回の発表内容を学術論文にする必要があり、現在、私と小治先生の共著で国際誌への論文投稿に向けて準備中です。
また、私自身としては、今回の学会での発表を通じて自身の研究内容を広く伝える力を養うことができました。今後は、食品CRO※への就職が決まっているので、これまで学んだ専門知識やスキルをさらに深め、人々のよりよい生活や健康に貢献できるよう努力したいです。
※Contract Research Organizationの略で、医薬品開発業務受託機関のことを指します
本研究の要旨は以下のとおり。
- 演題 健常成人におけるブルーベリー葉茶が睡眠に及ぼす影響-ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験-
- 目的 睡眠は、健康の維持・増進に重要な休養活動である。厚生労働省は2024年2月、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定し、十分な睡眠時間だけでなく、睡眠の質を確保する重要性を示した。ブルーベリー葉に含まれるヒペロシドには、睡眠誘導ホルモンのメラトニンの前駆体であるセロトニンを増やす作用が報告されており、睡眠の質を維持・改善することが期待される。本研究では、ブルーベリー葉茶を3週間継続摂取したときの睡眠に及ぼす影響について、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験を用いて検討した。
- 方法 本試験は倫理審査委員会承認後、18歳以上70歳未満の健常成人男女から募集し、性別、年齢、ピッツバーク睡眠調査票得点で層別ランダム化して、群分けを行った。被験者は、ブルーベリー葉茶(Active群)、プラセボ茶(Placebo群)のどちらか一方を1日3回、3週間摂取し、アクチグラフによる睡眠解析パラメーターおよびOSA睡眠調査票MA版(OSA-MA)を用いた起床時の睡眠内省を評価した。なお、本試験は、UMINに試験計画を登録して実施した(UMIN000052337)。
- 結果 Sadehのアルゴリズムによる睡眠解析の結果、睡眠効率の経時変化において両群間に有意な差が認められ、摂取3週目でPlacebo群と比し、Active群で有意に高値を示した。また、中途覚醒時間においても両群間で有意な差が認められ、摂取2週目からPlacebo群と比し、Active群で有意に低値を示した。一方、OSA-MAにおいても因子2(入眠と睡眠維持)で両群間に有意な差が認められ、摂取1週目のActive群において、睡眠効率と有意な正の相関関係が認められた。
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