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科研費 採択状況

本学における科学研究費助成事業の採択状況をご紹介します。

採択課題一覧 令和6(2024)年度

大学

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(B)ファミリービジネスの企業家活動と地域創生に関する実証的研究

ファミリービジネスの企業家活動と地域創生に関する実証的研究

日本社会は、経済の再生と活性化による地域創生が課題であり、企業家活動によって旧来の制度やビジネスシステムを再構築して新たな価値を創造するイノベーションの創出が必要である。地場産業の仕組みや地域の資源を環境に応じて変換し、価値を創造するには地域で長く存続する中小企業の主流であるファミリービジネスの理論を包含した視座から、地域の変革を一過性ではなく持続させる要因を明らかにする必要がある。本研究は、ファミリービジネスの社会情緒的資産が企業家活動にいかに関連し、その企業家活動が地域創生にいかに貢献するかについて、実地調査を基礎に公表資料を併せて内容分析・テキストマイニングで比較分析を試みて考察する。

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山田 幸三社会情報学部教授R2~R6
(繰越延長)
日本の産婆史料のデジタル化と出産記録に基づく助産の歴史社会学的研究

日本の産婆史料のデジタル化と出産記録に基づく助産の歴史社会学的研究

本研究は、戦前期の産婆雑誌の収集、助産所に保管されている助産録、日誌等のデジタル化と収集をおこなう。この作業を通じ、産婆・助産婦が果たしてきた役割と実践を位置づけるとともに、日本の出産の記録として保管し、歴史社会学的に評価し位置づけることを目的とする。産む女性と助産者との相互作用によって成立する<正常>な出産を成立させる社会的環境を考察し、それを通して、現代社会の出産環境を捉え直す。本研究によってデジタル化された収集資料を「日本の産婆・助産婦データベース」(仮)として構築する。それを通じ国内外に向けて女性と助産者と研究者が広く活用できる文化資源として整備し、次世代に継承することをめざす。

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大出 春江人間生活文化研究所特別研究員R3~R6
(繰越延長)
経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

本研究では、帰属集団の相違によって発生する権力関係、意識の齟齬、係争等について、これまで理論的に議論されてきたポジショナリティという概念を用いて分析する。実際に齟齬や係争が発生している事例を調査することにより、経験的な概念としてポジショナリティを再検討し、ポジショナリティに意識的であることが、帰属集団の違いを超えた協働を可能にする条件であることを示したい。そのため、日本と沖縄などの集団関係、ジェンダー、外国人問題、障がい関連の4つの領域で、文献調査、聞き取り調査、アンケート調査を組み合わせた調査を実施する。また日本と韓国でアンケート調査を行い、ポジショナリティに対する意識の国際比較も行う。

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池田 緑社会情報学部准教授R3~R6
着衣によるアレルギー症状の誘発機構の解明とかゆみ度の定量化

着衣によるアレルギー症状の誘発機構の解明とかゆみ度の定量化

着衣により皮膚にアレルギー症状を訴える人が年々増加している。我々は、これまでの研究成果により繊維表面の特性と皮膚への刺激がアレルギー症状発症の大きな要因であることが分かっている。本研究は、抗アレルギー効果が認められている合成繊維であるポリ乳酸と弱酸性ポリエステルを素材に用いて衣服を構成する布帛(繊維)の表面構造を変化させた試料布を調製し、3次元表皮皮膚モデルを使用して皮膚の安全性を評価する。また、試料布の水分率、熱伝率、濡れ特性,ゼータ電位などを調べ、被験者を用いた着用実験により皮膚の抗菌効果、皮膚pH、水分率などの結果からアレルギー症状発症の誘起因子を明らかにする。

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水谷 千代美家政学部教授R5~R7
項目反応理論の応用による民族服製作技術文化保存のための最適学習過程の探究

項目反応理論の応用による民族服製作技術文化保存のための最適学習過程の探究

消失の危機に直面する東南アジア諸民族の伝統民族服の製作技術を後世に残すことが研究目的である。80民族をカバーする民族服製作技術要素を抽出、数量化し、技術要素の難易度がより低いものから順次高い技術要素へと系統的に技術学習プログラムを項目反応理論を利用して形成し、これを実際の教育現場で検証する。本研究では80民族をクラスター化し、クラスターごとに一般化できる民族服製作技術伝承プログラムを提案する。

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下田 敦子人間生活文化研究所准教授R5~R8
視線と身体の引き込みによる自己認知発達過程の再記述:質的および量的な縦断研究

視線と身体の引き込みによる自己認知発達過程の再記述:質的および量的な縦断研究

我々はこれまで乳幼児の自己認識を評価する課題として有名なマークテストを骨格検出と拡張現実(AR)によってクロス・リアリティ(XR)化し、身体表象の評価課題となる側面を見出してきた。本提案では、我々が開発したXRマークテストに視線計測の技術を新たに加え、自己映像、すなわち対象化された自己身体の制御獲得における視線の役割を検討する。さらに、自己像認知に至る前の幼児の、自他像に対する反応や親子遊びの様子を、家庭での動画撮影により縦断的に収集する。自他像に対する身体の使い方の個体内発達を追うことで、自己像認知を視線と身体の引き込みという観点から質的・量的に捉え直す。

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宮崎 美智子社会情報学部准教授R5~R9
近現代日本の出産記録の歴史社会学的研究-リプロダクティブヘルスの実質化にむけて

近現代日本の出産記録の歴史社会学的研究-リプロダクティブヘルスの実質化にむけて

本研究は近現代日本における産婆・助産婦が行ってきた助産実践を助産録の分析と、出産主体となった女性の記録した「出産ノート」、および参考資料として産婆雑誌の分析を加え、助産実践を言語化していく。日本の出産の複眼的かつ歴史社会学的な再構成によって出産の医療化を批判的に検証する。さらに収集資料はデジタル化し次世代に継承することをめざす。具体的には産婆助産婦コレクションとしてNWEC女性アーカイブシステムにて提供していく。この研究は、JSPS KAKENHI 17K04151と21H00775の研究成果を踏まえたもので、社会学、文化人類学、助産学の共同研究によりこれを展開するものである。

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大出 春江人間生活文化研究所特別研究員R6~R9
基盤研究(C)学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

区立小学校にて以下の測定・調査項目でインフォームドコンセントを5月に実施した。
踵骨骨密度測定、Inbody による体組成(筋肉分布・体脂肪率)測定、歯科医師による咀嚼力測定、(体力テスト) 、食生活、運動習慣等の生活習慣アンケート調査、体力テストを実施予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大により、咀嚼力についてはアンケート調査のみの実施となった。
参加者は小学生5・6年生 74名であり、身体状況の概要(mean±SD)は、身長(cm) 147.9 ± 19.3、体重(kg) 40.9 ± 11.0、体脂肪率(%) 21.2 ± 7.8、骨格筋量(kg) 16.8 ± 4.0、基礎代謝料(kcal) 1058 ± 188、骨密度(OSI) 2.62 ± 0.38 であった。
体力テストと正の相関があった項目は、握力は身長、体重、体脂肪、骨格筋量、基礎代謝量、骨密度、反復横跳びは、身長、骨格筋量、基礎代謝量、骨密度、立ち幅跳びは身長、骨格筋量、基礎代謝量、骨密度、運動頻度、中休みの運動時間、昼休みの運動時間であった。負の相関があった項目は、立ち幅跳びと体脂肪率であった。

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上杉 宰世家政学部准教授H30~R6
(期間再延長)
糖尿病合併脂質異常症に対する最適な脂質摂取量および脂肪酸組成の解明

糖尿病合併脂質異常症に対する最適な脂質摂取量および脂肪酸組成の解明

糖尿病患者の合併症として心血管疾患の発症が増加している。日本人2型糖尿病患者において、血中中性脂肪とLDLコレステロールは、血糖コントロール指標であるHbA1cよりも心血管疾患の強い危険因子であることが示されており、血中脂質の管理が重要となる。糖尿病の食事療法において、血糖管理のための「炭水化物」と血中脂質管理のための「脂質」をそれぞれ単独に指導することは不可能である 。本研究は、糖尿病患者の血糖管理と脂質管理を両立するための、炭水化物と脂質の摂取比率および適正な脂肪酸組成を明らかにすることを目的とする。
第一段階として、脂肪酸組成の違いによる食後インスリン抵抗性の評価(食事負荷試験)の準備を進めた。具体的には、先行論文の調査、倫理委員会の審査、被験者の募集、予算計画と物品の調達、研究デザインの詳細考案、測定ツールの検討、試験食の調整と試食、実験手順書の策定、実験スタッフへの教育である。2020年3月に、健常人を対象とした食後負荷試験を計画していたが、COVID-19感染拡大予防のために中止せざるを得なかった。状況が整い次第、実験を実施できる段階となっている。
当初の計画の代替として、糖尿病の食事療法における脂肪酸の指導方法を検討した。長年栄養指導に用いられている『糖尿病食事療法のための食品交換表』を使って、脂質の量だけでなく、脂質の質(脂肪酸の種類、食事性コレステロール量)を調整するためには、各食品群からどのように食品を選択すればよいのかを明らかにした。
また、脂肪酸組成に配慮した糖尿病食の献立データベースを作成し、研究成果を糖尿病をもつ人や医療機関に活用していただく準備を進めている。

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深津 章子家政学部准教授H31~R6
(期間再々延長)
ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

2021年度は、2020年度に実施した「ジョブコーチに求められる知識・スキルに関する質問紙調査」で得られたデータをもとに更なる分析を行い、日本職業リハビリテーション学会愛知大会において、3つに分けて口頭発表を行った。発表(1)「訪問型および企業在籍型ジョブコーチの実情」については、普段行っている業務の上位2つは、訪問型では「就労(職業)相談」「対象者のアセスメント」、企業在籍型ジョブコーチでは「人間関係およびコミュニケーションの向上支援」、「対象者の特性や関わり方、仕事の教え方」であった。必要な知識及びスキルのトップは、訪問型・在籍型ともに、「障害特性に応じた支援」であった。また、職場適応援助者助成金を活用していない者が83%と大多数を占めており、助成金要件としての研修よりも専門性習得のための研修の性格が色濃くなっている状況が伺えた。発表(2)「支援者の所属機関による相違」については、就労移行事業群及び障害者就業・生活支援センター群が、企業群と特例子会社群より行う頻度が多い項目が、「就労(職業)相談」等11項目あった。また、必要とされる知識・スキルについては、特に、就労移行支援群が、企業群と特例群より重視する項目が「障害者の管理とエンパワメントに関する知識」等11項目あった。発表(3)「支援対象者の障害種類による相違」では、主に知的障碍者を対象とした支援と、精神障害者を対象とした支援で顕著な差異が見られなかったことは、調査前の仮説と異なっていた。今後の課題として、職場適応援助者助成金を活用して活動している者と、助成金を活用していない者の差異、就労支援の経験年数による差異など、より詳細な内容の分析が必要と考えられた。

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小川 浩人間関係学部教授H31~R6
(期間再々延長)
戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

住宅市街地では、近年、家族による住宅継承が行われず、住宅更新の遅れや空き家・空き室化が顕著となっている。そのため、これまでの市街地更新とは異なる更新過程を明らかにしていく必要がある。本研究では、これらの更新過程を明らかとし、その結果として出現する住環境の実態とその問題について考察するものである。家族による住宅更新・住宅継承の促進および市街地環境面を考慮した市街地整備や建築行為のコントロールのあり方を示すことを目的としている。
そこで、新たな更新過程の一つとして賃貸併用住宅に着目した更新活動の実態および居住する家族の意向を把握し、その今後の動向を整理することを試みた。とりわけ、空き家の増加について、その経緯を把握するため、事例調査を行った。世田谷区および狛江市空き家等対策協議会における空き家事例に関する協議会資料の整理を行った。
対象とする住宅市街地における空き家化では、住宅更新のおくれには家族による居住継承や住宅継承の難しさが存在することが確かめられた。親子世帯が別居する傾向が強まるとともに、親世帯の長寿化によって、別居した子世帯との同居が行われることは少なくなり、親世帯の居住する住宅の更新がおくれ、空き家化する要因であることが分かった。従来、住宅資産として価値の高い住宅市街地の場合、居住継承・住宅更新が行われる可能性が高いと考えられていたが、近年では相続にともない更地化して売却されることが多くなり、市街地環境に変化を生ずることが確認された。

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松本 暢子社会情報学部教授R2~R6
(期間再延長)
都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の公共空間の利用と都市の再開発計画のための風速と体感に関する基礎データを整備するとともに、都市の公共空間の利活用への展開を目標とした風に関するソーシャルマップを試作することが本研究の目的である。
昨年度同様に新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、計画通りに調査を実施することはできなかったものの、風速と体感、目撃した事象や風の強弱の評価、衣服・髪の乱れへの影響などに関するデータを収集した。
昨年度と今年度の調査結果に準備段階から実施してきたこれまでの調査結果を加え、測定時に目撃した事象や体感の自由記述について、頻出語、語と語の関連性を分析した。その結果、風に関する自由記述の内容が大きく①風の強弱、②木や枝、旗などへの影響、③天候、気温、④人や自転車、⑤温冷感、⑥場所や建物、についての6つに分けられることがわかった。また平均風速、最大瞬間風速と自由記述から抽出された語との関係性について分析し、風速が強くなるにつれて自由記述で使用される語も変化していることを確認した。さらにこれまで得られているデータを用い、風速と風に関する強弱評価、風の髪・服装へ影響についても、平均風速と最大瞬間風速との関係を整理した。その結果、風速と風の強弱に関する主観評価には強い相関があることを確認した。また髪への影響に比べ、服装への影響は小さい傾向にあること、平均風速で整理した場合も最大瞬間風速で整理した場合も風速の値は違うものの概ね同様に評価割合が変化していたことを確認した。

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白澤 多一社会情報学部教授R2~R6
(期間延長)
分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

近年、地球温暖化対策や電力供給の安定化のために、再生可能エネルギーなどの分散型電源の普及と活用が重要課題となっている。本研究では、分散型電源を効率的に普及させ、災害に強い電力インフラの整備を実現するビジネスモデルとは何かを解明する。そのため、分散型電源の導入と運用管理に影響する社会的相互作用や社会経済要因を特定し、分散型電源の普及に最適なビジネスモデルの立案と効果の実証実験を行うことを予定している。
令和3年度は、自動車税制が自動車市場に与える影響を分析した研究が国際学術誌Economics of transportationに掲載されることが決定した。具体的には、Berry et al. (1995)のランダム係数ロジットモデルにより自動車の需要構造を分析し、燃料税の増税は平均燃費を改善するが、車体課税の増税はより大きな自動車への需要のシフトをもたらし、平均燃費を悪化させる効果を持つことを明らかにした。また、電気自動車の普及に必要な補助金額の推計も行った。
太陽光発電の普及策に関する研究では、市町村レベルでの普及に関するデータの構築を行った。具体的には、再生可能エネルギーの固定価格買取制度における導入や認定のデータ、地域属性に関するデータ、太陽光発電システムの導入や運用に係わる費用に関するデータなどを収集した。また、多項ロジットモデルにより太陽光発電システムの需要構造の分析を開始した。研究成果については、令和4年度に学会での報告を計画している。

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桑島 由芙社会情報学部准教授R2~R6
(期間延長)
拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

本研究は、実際に使用される容認性の低い文の意味を、母語話者がどのように意味理解するかについて、母語話者の「構文」に関する文法的知識の観点から明らかにしようとするものである。特に節を含む種々の構文を実例観察することにより、柔軟な文の意味理解の過程と文法的知識との関係を明らかにしようとしている。
本年度は、これまで個別に考察されてきた「ノガ節」を含む構文群(「太郎がピアノを弾くのが見える」などの明確な格を構成するノガ動詞述語文・「重大な傷を見過ごしたのが事故の原因だ」などの前項焦点のノガ名詞述語文・「中でも特にお勧めなのがこれだ」などの後項焦点のノガ名詞述語文・「応募者数が10年前は100人だったのが今は5人になった」などのサマ主格変遷構文)を包括的に考察することに着手した。これまでの研究の成果から、仮説として、多様な「ノ節」構文における「ノ」には、共通する意味があること、それは、発話者の想定にある概念を指示する〈既定性〉であることを見込んだ。その検証として、「大多数が工学科生だ」のような「ノ節」を持たない文と「大多数なのが工学科生だ」のような「ノ節」を持つ文の意味的差異を分析し、「構文の意味の研究―現象の包括的考察と言語理論の構築へ向けて―」(『国語と国文学』99:5)にまとめた。
また、逸脱的特徴を持つ文を考察・分析する方法論を整理し、内省判断および実例観察が重要であり、この二つの手法は相互に補い合うものであること、それらの補足として多数者に対する言語意識調査が有用であることを「現代日本語文法研究の二つのアプローチに関する考察」(『大妻国文』53)にまとめた。

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天野 みどり文学部教授R2~R6
小学校教員のための「教科としての英語」指導研修プログラム開発

小学校教員のための「教科としての英語」指導研修プログラム開発

2020年度から実施されている新学習指導要領では小学校5・6年生に「教科としての英語」指導が求められ、児童に英語の4技能の力を身につけさせる必要がある。多くの小学校教員は英語力不足・指導力不足に直面していると同時に、早期英語教育指導者に必要な第二言語習得に関する知識も不足している。
本研究の目的は、小学校教員が効果的に「教科としての英語」の指導を、第二言語習得理論に基づき実施できるための、継続的に実施可能な研修プログラムの開発をすることである。研修では「教科としての英語」を担当する小学校教員が抱える授業実施にかかわる「不安要因」を特定し、「不安要因」を解消しながら英語の授業を実施するための英語力と指導力を身につけることが大切だ。しかし、研修はそれだけでは不十分である。
これからは小学校教員が早期英語教育を効果的に行うために必要な第二言語習得に関する基本的な専門知識を身につけていることが求められる。小学校に英語教育が導入された理論的根拠となっているのが臨界期仮説である。第二言語環境とは異なる日本のような外国語環境での、教育実践者にとって必要な臨界期に関する知識を整理する必要がある。また第二言語習得では学習者要因が重要な役割を果たしている。外国語環境で学習する日本では、内的要因がとても重要である。本研究では、第二言語習得理論の視点を踏まえた小学校教員に必要とされる知識を取り扱う英語教育学の本質を捉えた研修プログラムの開発を行った。

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服部 孝彦英語教育研究所教授R3~R6
(期間延長)
グローバル化と企業のコロナ対応対面接触削減に関するミクロデータ計量実証分析

グローバル化と企業のコロナ対応対面接触削減に関するミクロデータ計量実証分析

新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業に様々な対応を強いた。その中でも、在宅勤務をはじめとするテレワークによる対面接触の削減は、企業の取引関係、企業の内部組織、個々人の働き方、企業立地など幅広い影響を及ぼすと考えられる。緊急事態宣言発出中においても企業によりテレワークの導入状況に大きな差が見られたことから、その要因を探ることは重要である。本研究では、企業のグローバリゼーションに着目し、その影響を分析する。特に、感染症拡大以前に既にグローバル活動を展開していた企業においては、異なる文化・法制度の下での遠距離における調整に関する経験が蓄積していると見られるので、テレワークの導入にも積極的だったのではないかと予想される。
この可能性を検証するため、日本企業に対する調査を本研究の初年度(2021年度)に実施し、その結果を集計するとともに、記述統計的分析を加えた。その結果、コロナ以前にグローバリゼーションが進んでいた企業の方がコロナ禍においてテレワークの導入を進めた傾向が見受けられた。この成果は、査読学術誌に掲載された。更に、より精緻な計量分析のために、種々の企業特性に関する企業ミクロデータと接合し分析を進めている。回帰分析の枠組みで、コロナ禍以前における様々な企業特性をコントロールした上でも、コロナ禍以前において当該企業が輸出、輸入、海外直接投資を行っていたかがコロナ禍におけるテレワークの導入と有意な関係を持つことを確認した。併せて、取引相手企業数との関係についても考察している。今後は、研究成果を学術論文としてとりまとめていく。また、グローバリゼーションや企業関係など本研究課題に関連する他のトピックスについても研究を進めた。

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冨浦 英一新学部設置準備室教授R3~R6
(期間延長)
環境DNAを用いた魚類多種同時遺伝的多型分析法の開発と淡水魚類メタ群集研究の実践

環境DNAを用いた魚類多種同時遺伝的多型分析法の開発と淡水魚類メタ群集研究の実践

本研究の目的は、魚類における環境DNAメタバーコーディング法として広く用いられているMiFish法を基盤とした魚類遺伝的多様性評価手法を開発することであり、そのために、(1)DNA配列増幅(PCR)条件の最適化および(2)増幅された変異配列のエラーを取り除くデノイジング手法の検討をおこなう。
本年度は、(1)について、現状利用可能なPCR試薬の中からPCRエラーが少なく、かつPCR阻害への耐性が高いものを選定する基礎実験を行い、その選定を終えた。また、この実験においてPCRの温度サイクル数がPCRエラーを含むリードの生成に及ぼす影響を検討し、基盤となるデータを得た。さらに、以前から知られていたMiFishプライマーで増幅されにくい種について、MiFishプライマーの部分改変プライマーを合成して同時に増幅に使用するという検討を行い、大幅な検出感度の向上を確認した。MiFish領域を遺伝的多様性の評価のために利用するには前提として、多くの種がしっかりPCR増幅されることが重要である。当該領域を対象とする場合には、このようなマルチプレックス用プライマーをこまめに設計して利用することで、より包括的な評価が可能になることが示唆された。
(2)に関しては、PCRによるDNA配列の増幅過程を説明する数理モデルを精査し、増幅産物中の真の配列とそれを鋳型として生成されるエラー配列を統計的に判別する手法を開発した。また、開発した手法を統計解析向けプログラミング言語Rにおいて実行するための解析パイプラインを構築し、公共データベースにアーカイブされている複数のメタバーコーディングデータを用いた手法の性能評価および既存手法との比較をおこない、本手法の有効性および既存手法と異なる特性を明らかにした。

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小関 右介家政学部准教授R3~R6
旧英領カリブの多文化共生を実現する少数派としての白人性とその構築過程の解明

旧英領カリブの多文化共生を実現する少数派としての白人性とその構築過程の解明

研究初年度の2021年は、当初の研究計画、すなわち旧英領カリブ地域のトリニダードとバルバドスにおける白人性構築に影響を与えている要素を明らかにすること、を中心に研究を進めた。白人性とは時と場所により異なる意味を持つ流動的な概念であり、多くの場合、非白人に対する根拠のない差異と優越性の信仰、社会的・経済的特権を含意する白人の意識を指す。研究初年度に計画していたトリニダードとバルバドスにおけるヨーロッパ系市民を対象とした現地聞き取り調査は新型コロナウィルス感染拡大のため、現地渡航が叶わず、次年度以降に実施延期とした。現地で収集予定であった一次資料を研究協力者に収集依頼し、新たに貴重な資料を入手することができた。その文献調査に基づき、先行研究時に入手した「語り」の再分析を行ったところ、主な研究成果は以下のとおりである。
かつて英国植民地トリニダードにおいてヨーロッパ系白人エリートたちの邸宅であったグレートハウスは、現代21世紀社会においては奴隷制度の副産物とみなされている。なぜならグレートハウスはヨーロッパ系白人エリートがアフリカ人奴隷などの非白人の労働力を搾取し続けたことによって築いた巨富を元手に建設したものと認識されているからである。そのようなグレートハウスの代表格であるマグニフィセント・セブンとカントリー・クラブを事例に挙げ、現代のヨーロッパ系白人トリニダード人にとって、それらのグレートハウスがどのような意味を持つのかを探った。マグニフィセント・セブンは大した意味を持たない一方、カントリー・クラブは白人としての意識の核心としての役割を担っていることが明らかになった。
バルバドスのヨーロッパ系白人に関しても、ヨット・クラブや、あるゴルフコースの会員であることがヨーロッパ系白人社会に属す、また社会階層の上部に属す認識を強めるようである。詳細の分析は次年度以降の課題としたい。

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伊藤 みちる国際センター准教授R3~R6
読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

本研究は、文章を正確に読み解き、目的や所与の条件等に応じて的確に記述する、「読解を経由する記述力」の向上を図ることを実証化して示すものである。
記述力の向上は、国内外の学力調査や学力に関わる試験がコンピュータを使った試験方式(CBT)へ移行していく時勢においても重要な価値がある。
我が国のPISA 調査におけるCBT 対応の遅れが指摘される中、その基盤となる読解を経由する記述力の向上は喫緊の課題である。
本研究は、小学校段階における記述力向上プログラムの開発を図り、それを全国の小学校で試行し実証することにより、成果を波及させていくことを意図している。

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樺山 敏郎家政学部教授R4~R6
『竹取物語』を中心とした9世紀文学圏における仏教受容の研究

『竹取物語』を中心とした9世紀文学圏における仏教受容の研究

物語文学の誕生について明らかにするためには、現存最古の物語である『竹取物語』の典拠の徹底的な調査が必要となる。特に、『竹取物語』成立のための必須の教養であった仏教の受容に関する研究は不可欠といえる。
本研究は、『竹取物語』を中心に、同時代テクストにおける仏教の受容について調査するものである。物語文学が創造された9世紀において、その作者層がどのような仏教的教養を身につけ、それをどのように創作に活かしていたのかを明らかにし、物語文学誕生の背景に光を当てたい。

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久保 堅一文学部教授R4~R6
最新科学データを用いた立体天文教材の開発

最新科学データを用いた立体天文教材の開発

学校教育では、天文学の最先端の科学成果についてほとんど触れられていない。最新の研究成果を基に、児童・生徒に宇宙の中の我々の位置を理解させることができれば、人類と地球の持続可能性を宇宙的視点から考えさせることも可能である。本研究では、教員志望の学生を対象に、最新の天文学データに基づく教材を作成する。

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下井倉 ともみ社会情報学部准教授R4~R6
バーチャルリアリティ体験の事後効果を活用したパフォーマンス発揮に関する研究

バーチャルリアリティ体験の事後効果を活用したパフォーマンス発揮に関する研究

人はVR体験中に行動や思考が変化する影響を受ける.ユーザがその影響を活用してVR体験後の行動(デスクワークなど)に対するパフォーマンス(作業速度など)を適切に発揮できるのではないかと考えた.本研究の目的は,VR環境での体験から受ける影響を活用し,ユーザが体験後の行動におけるパフォーマンスを適切に発揮できるようにすることである.パフォーマンス発揮の促進刺激として,モニタ視聴・VR視聴・VR体験などの刺激を提示し,その後のパフォーマンスへの影響の違いを明らかにする.

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磯山 直也社会情報学部専任講師R4~R6
ギリシア神話に回収されるキリシタン:近世擬古典ラテン語文学における日本の受容

ギリシア神話に回収されるキリシタン:近世擬古典ラテン語文学における日本の受容

近世ラテン語文献は大量の学界未見史料が世界各地に散在しているが、本研究はその内、日本情報をギリシア・ローマ神話と融合させ受容している諸作品を扱う。具体的には1628年スペインで刊行された金羊毛伝説とザビエルおよび日本人殉教者達を重ねた書籍1点と、ほか17~18世紀中東欧で作成されたギリシア・ローマ神話の神々が登場する英雄叙事詩や古典劇の形式で日本宣教史を語った2点のラテン語作品を調査し、内容、日本情報の同定や伝達の経緯、成立の文脈を明らかにする。

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渡邉 顕彦比較文化学部教授R4~R6
化学と環境・歴史・倫理の融合を目指した教育コンテンツの開発と実践

化学と環境・歴史・倫理の融合を目指した教育コンテンツの開発と実践

環境を含む科学技術政策等の意思決定に参加する市民には、地球環境に配慮し且つ過去の化学兵器の利用等による化学の負の側面への理解を深めた人間性と高い倫理観が求められる。一方で、急激に変化する社会情勢に対応できる市民の育成手法として、文理が融合した統合的な思考力を修得するための教育が重要視されている。本研究では、化学を軸に環境、歴史、倫理、法律などへのつながりを示した大学教養科目レベルの教育コンテンツを開発し、授業や市民公開セミナーなどにて実践使用する。また、探究型授業を行う上での研究倫理に関する教育コンテンツを開発し、これらの普及・浸透に向けての活動を行う。

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四ノ宮 美保社会情報学部教授R4~R7
フグ肝臓におけるフグ毒の輸送を担うトランスポーターの特定とその制御機構の解明

フグ肝臓におけるフグ毒の輸送を担うトランスポーターの特定とその制御機構の解明

これまでに我々は,トラフグの肝臓によるフグ毒の取り込み速度がトランスポーターによる担体輸送の特徴を示すことを明らかにしたが,「フグ毒トランスポーター」の特定には至っていない。
そこで本研究では,性成熟期にフグ肝臓の毒量が低下して卵巣の毒量が増加する天然フグでの現象に着目し,トラフグ肝臓組織スライスを性成熟関連ホルモンで刺激して発現変動する遺伝子を次世代シーケンスで解析することにより,フグ毒をトラフグの肝臓内外へ輸送する取り込み型と排泄型のトランスポーターを特定し,肝臓におけるフグ毒の蓄積と排泄の制御機構を明らかにする。

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松本 拓也家政学部准教授R5~R7
近代日本における洋式製本の移入と定着

近代日本における洋式製本の移入と定着

本研究は、日本に洋装本が登場してから定着するまでの19世紀後半から20世紀初頭までを範囲として、書物製作の技術と書物に対する意識の変遷を関連付けつつ、近代日本の洋式製本移入史を構築することを目的とする。具体的には、①解体調査を含めた書物の実物調査によって、洋式製本移入期の技術的な実態と日本における技術的展開の過程を明らかにする。②製本語彙の語彙史的調査および書店の目録や出版広告の調査を行うことによって、洋式製本移入に伴う職人・書肆・読者における書物の用法や書物観の変容を明らかにする。③官民の初期洋装本刊行の出版史的な調査を①と接続することによって、洋式製本の移入と展開を歴史的に跡づける。

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木戸 雄一文学部教授R5~R7
仮名本『曽我物語』後期本文の劇文学としての萌芽

仮名本『曽我物語』後期本文の劇文学としての萌芽

『曽我物語』の作品世界は、非常に伝承性が強く、真名本、訓読本、仮名本それぞれに、本文が整えられていった時代や地域特有の伝承世界を投影している。そして本作品が後代の作品、文化に与えた影響は大きく、様々な領域へ広がりを見せる作品である。特に、仮名本『曽我物語』出現の背景には、歴史の「物語化」と「大衆化」があると考えている。そこには、物語の劇化が進んでいくために普遍的な展開があると考えられる。人々が物語に求めるものはなにか、そして物語本文はどのようにそれに応えていったのか、という点を明らかにしようとするものである。

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小井土 守敏文学部教授R5~R7
民生委員の活動意欲向上および負担感緩衝に向けたネットワーク構築プログラムの検討

民生委員の活動意欲向上および負担感緩衝に向けたネットワーク構築プログラムの検討

本研究では、地域福祉の重要な担い手である民生委員への質的研究をもとに、民生委員活動における社会的ネットワークの形成プロセスを明らかにする。また、質的研究および先行している量的研究の結果をもとに、民生委員のネットワーク拡充のための支援策を検討し、民生委員や関係する専門職を対象に実施、効果評価する。本研究により、民生委員活動における意欲向上・負担感緩衝に効果的な民生委員の社会的ネットワークの様態と、その形成・拡充に向けたプログラムの効果を示す。

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飛田 和樹人間関係学部専任講師R5~R7
日本人の共生意識に基づいた子育て・子育ちのための共生型集住に関する研究

日本人の共生意識に基づいた子育て・子育ちのための共生型集住に関する研究

本研究は居住者のニーズに合わせて柔軟に協力関係をつくる共生型集住(コウハウジング)を研究対象として、日本および海外の先進事例の実態を日常の生活行為の共同性と集住形態の対応関係から分析し、日本人の子育て世代の共生意識に基づく、子育て・子育ちのためのゆるやかな共生型集住の複数パタンを提案する。

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大橋 寿美子社会情報学部教授R5~R7
モバイル顕微鏡を用いた新たな海洋教育実践例の提案

モバイル顕微鏡を用いた新たな海洋教育実践例の提案

本研究では、初等教育において、学校内の授業で取り入れることができ、かつ子どもたちが主体的かつ体験的に取り組むことのできる新たな海洋教育実践例を構築し、海洋教育の裾野を広げていくことを目的とする。
具体的には、入手しやすい海産物を教材とし、タブレットに装着して使用するモバイル顕微鏡を活用した授業の実践例を構築する。さらに授業の前後で子どもたちの海洋リテラシー(海に関する知識や理解)などを問うアンケート調査を行い、授業実践の効果について検証しながら、内容の改善を図る。
以上のような取り組みを通じて、海洋教育の裾野拡大に有効な実践例の構築を目指す。

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細谷 夏実社会情報学部教授R5~R7
「お家で観察」を「皆一緒に」で充実させる!オンライン星空観察会を伴う天体学習新案

「お家で観察」を「皆一緒に」で充実させる!オンライン星空観察会を伴う天体学習新案

初等中等教育の現場は、子ども一人に一台端末の整備が完了し、タブレット端末を持ち帰り家庭で学習する効果についても期待されている。そこで本研究では、夜間自宅での観察が求められる「星の動き(4年)」の単元で、タブレット端末を用いた新しい星空観察の方法を構築する。
子どもは「自分たちの学校にある星座カメラi-CAN」の星空を自宅で「共有」し、これまで星空観察時に子どもが感じていた「孤独感」に対し、なかまと一緒に観察する「協働的」な学習方法を提案する。さらに、新i-CAN設置校と協力の得られた学校の交流を図り、天候に左右される星空観察について、新しい学習方法を開発する。

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木村 かおる家政学部准教授R5~R7
加工食品に着目した食事評価法と簡便な食事法-日本版Plate Method-の構築に関する研究

「加工食品に着目した食事評価法と簡便な食事法-日本版Plate Method-の構築に関する研究

糖尿病の食事療法において、自宅での調理を前提として食材の組み合わせを示す指導が難しくなっている。調理の手間をかけずに満足感を得られる加工食品の利用が増えていることが一因とされる。高度に加工処理された食品を多く摂取する人の食事の質は低く、生活習慣病にも罹患しやすいことが報告されている。
本研究では、日本の食生活において高度な加工食品をどのように分類するかを検討したうえで、糖尿病患者における加工食品摂取と疾病管理との関連を明らかにする。次に、加工食品の摂取が多くなりやすい多忙で調理技術が低い者でも実践できる食事法として日本版Plate Methodを確立し、血糖高値の対象者に対する効果を検証する。

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深津 章子家政学部准教授R5~R8
再生可能エネルギーとモビリティの効率的接続に関する制度設計の経済学的研究

再生可能エネルギーとモビリティの効率的接続に関する制度設計の経済学的研究

本研究では、エネルギー消費効率の改善や環境負荷の低減を目的として、太陽光発電と蓄電池、電気自動車を統合したシステムの普及を促進する税制や料金体系、規制とは何かを解明する。その際、消費者が現在と将来の費用をどのように評価するのかに着目し、導入段階の補助金と運用段階の税制のどちらが普及に効果的なのかを実証的に分析する。そして、長期的な視点に立った普及政策の効果を反実仮想シミュレーションにより検証する。

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荒川 潔社会情報学部教授R5~R8
冷戦期、太平洋地域におけるアメリカ軍事・民間航空政策に関する研究

冷戦期、太平洋地域におけるアメリカ軍事・民間航空政策に関する研究

本研究は、1945年から1974年の「フライ・アメリカ法」成立までの太平洋地域おけるアメリカ航空政策を考察することを目的としている。「フライ・アメリカ法」とは、アメリカ政府関連で海外に渡航する場合に、アメリカ合衆国の航空会社を使わなければならないというもので、アメリカ政府が標榜してきた自由競争に反するような政策である。なぜこのような法律が制定されたのかを明らかにするために、本研究は、アメリカ政府による民間航空会社の軍事動員とその解除がもたらしたアメリカ民間航空会社の苦境と、それに対する日本航空の競争力の強化について研究するものである。

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高田 馨里比較文化学部教授R5~R8
古代中世宮廷女性の生活空間と儀礼-舗設の復原と後世における伝承過程-

古代中世宮廷女性の生活空間と儀礼-舗設の復原と後世における伝承過程-

代表者は、11世紀から13世紀頃を中心に、女性が参加した儀礼と生活の空間、舗設の復原的研究を推進する。特に、打出・几帳・御帳などの使い方を分析する(赤澤)。
研究分担者は、絵画・古典籍の所在把握、調査時の史料の筆跡や年代把握、知見の提供、各史料の制作環境、空間を構成する襖・屏風・杉戸の画中画について分析する(河田)。また、宮廷主題の絵画及び、近世宮廷絵師の古典主題の絵画の図像、調度・工芸品の意匠、宮廷女性の生活文化等の分析を担当する(大口)。舗設や衣服の染織品の文様・形状・色彩・装飾などを分析し、平安時代中期から後期、院政期・鎌倉時代における、唐風から和風、変容までの過程を分析する(伊永)。

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赤澤 真理家政学部准教授R5~R8
高齢者の下部尿路症状を予測する遂行機能評価と介入法の開発

高齢者の下部尿路症状を予測する遂行機能評価と介入法の開発

本研究は、介護者・要介護者双方にとって心身の負担が大きい排泄に係る問題(下部尿路症状:Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)に焦点を当て、一般高齢者から要介護高齢者を対象に排泄自立の維持に有効な評価および介入法の開発を目指す。そのために、申請者が既に見出している(1)LUTSを予測する遂行機能評価とその応用可能性の追検討および排泄問題の実態調査、客観的な裏付けを得るための(2)MRIによる脳画像解析を駆使したLUTSの高次神経基盤の解明、そして、以上(1)(2)の成果を踏まえた(3)排泄自立へ向けた介入プログラムの作成および介入法の検証を5ヵ年計画で行う。

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原野 かおり人間関係学部教授R5~R9
発酵性食物繊維摂取による高脂肪・高タンパク質誘発性の腎機能低下の抑制効果の検証

発酵性食物繊維摂取による高脂肪・高タンパク質誘発性の腎機能低下の抑制効果の検証

本研究では、軽度の腎障害を誘発したマウスを用いて、高脂肪・高タンパク質食による腸内細菌叢の乱れとその代謝産物の動態を調べ、発酵性食物繊維の摂取によりこれら悪影響を改善できるかを検証する。次に、デキストラン硫酸誘発性の腸管透過性を亢進させたマウスを用いて高脂肪・高タンパク質食による腸内毒素の産生と腎機能への影響、ならびに発酵性食物繊維による制御を検証する。発酵性食物繊維は、発酵特性の異なる複数の素材を検討する。高タンパク質食を否定するのではなく、メリットを活かしてデメリットを制御するエビデンスを提供し、新たな食事療法を提案する。

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青江 誠一郎家政学部教授R6~R8
障害や困難を抱えるこどもの声を聴くための早期ダイアローグに関する研究

障害や困難を抱えるこどもの声を聴くための早期ダイアローグに関する研究

本研究では、声をあげにくいこども、特に障害や困難を抱えるこどもの声を聴くため、フィンランドで開発された、早期ダイアローグ(以下、ED)を実践し、①こどもの意見、声を聴く前に、大人がEDを通して「声を聴いてもらう」「声を発する」体験をすることの意義、②障害や困難を抱えるこどもにとってのEDの効果、③EDにおけるファシリテーターの役割と在り方、以上について検討することを目的とする。
本研究の成果は、ともに社会を創るパートナーとしての聴き手となる、こどもに関わる大人を支え、障害や困難を抱えるこども障害や困難を抱えるこどもたちの『声』に耳を傾けるという、意見形成支援と意見を聴く文化の醸成が期待できる。

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高橋 ゆう子家政学部教授R6~R8
算数科・理科の学習における児童が転移させる基盤となる「知識」は何か

算数科・理科の学習における児童が転移させる基盤となる「知識」は何か

本研究は、「子供は、いかなる基盤となる「知識」を転移させ新たな「知識」を創る学びを算数・数学や理科で行っているのか。こうした学びを行う上で、算数・数学や理科においてはどのような「知識」を転移させているのか。」を明らかにすることである。具体的には、①算数・数学の「数と計算」及び理科のエネルギー領域において子供はもつ「知識」を想定し指導展開を組み、授業を行う。②想定した「知識」を子供は、転移させて新たな「知識」を創り出す学びを行っていけるのかを検証する。③個々の子供がもつ「知識」を紐解き、算数・数学の「数と計算」並びに理科のエネルギー領域における基盤や基底となる「知識」を明らかにする。

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石井 雅幸家政学部教授R6~R8
保育実践の質向上への転換を図る保育者の専門性開発に関する研究

保育実践の質向上への転換を図る保育者の専門性開発に関する研究

近年の保育の質をめぐる議論は、主に量的(業務量や配置基準等)な側面からの議論が多い。それに対し、本研究では、これらの議論の基底に横たわる潜む本質的な保育の質にまつわる課題をとらえることを目指す。保育実践の背景として潜在的に存在する保育者の「観念」を捉え、これを視覚化するプロセス並びに方法について検討する。近年では、不適切な事案や重大なインシデントの話題も絶えないが、これらにも保育者の「観念」が潜在的に影響していることが考えられる。保育者の観念をキーワードに、保育者の専門性開発の考え方を用いて、組織的に吟味、改善していくプロセスをモデル化し、明らかにする。

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坂田 哲人家政学部准教授R6~R8
1950年前後の女性雑誌を中心とした〈女子大生〉と〈BG〉表象をめぐる総合的研究

1950年前後の女性雑誌を中心とした〈女子大生〉と〈BG〉表象をめぐる総合的研究

本研究では、1950年前後の女性雑誌を中心に、(1)〈女性解放〉という枠組みの問い直し、(2)1950年前後の女子大学創設および〈女子大生〉をめぐる言説の分析、(3)社会と女性の関わりを語る際の〈BG〉=〈ビジネスガール〉をめぐる言説の分析を行う。戦後、復刊・創刊した雑誌の中で〈女性解放〉はいかに語られたのか、そして、学び・働くために歩み出した多くの女性たちがどのように表象されたのか、戦後社会の幕開けを象徴する〈女性解放〉の内実を、文学表現を含め当時の言説から多層的に捉えることで女性表象の有様を解明する。

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井原 あや文学部准教授R6~R8
ミャンマー連邦共和国における民主化政権の教育遺産とその継承に関する研究

ミャンマー連邦共和国における民主化政権の教育遺産とその継承に関する研究

民政移管された2011 年以降、ミャンマー連邦共和国では国際水準の教育をめざした大規模な教育改革が進められてきたが、2020年度はコロナ禍で丸1年以上教育は停滞した。さらに、2021年2月に起きた軍部クーデターにより、政権を握ったSAC(国家行政評議会)と政権を追い出された旧政権が樹立したNUG(国民統一政府)との軍事的争いが勃発し、社会は分断され、教育は危機的状況に陥っている。大改革を短期間に進めて得た様々な教育成果(今後に残る遺産)を総括し、それが今後どう継承され、生かされるかの見通しを多方面から検討する。

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牟田 博光人間生活文化研究所特別研究員R6~R8
思春期の危機における若者を支える社会関係資本と居場所・地域空間に関する研究

思春期の危機における若者を支える社会関係資本と居場所・地域空間に関する研究

アイデンティティ危機に直面する若者の受け皿が地域にないという都市計画上の不備に着目し取り組んだ研究は未だない。よって思春期のアイデンティティ危機(以降、思春期の危機という)は主体性の確立の契機でもあり、それを支える社会関係資本がそなわった居場所等の地域空間を探ることを目的とする。そのために国内外において居場所となる空間とその社会関係資本の実態と変遷、また新たな地域参画の行事や活動の調査を通じて、3つの指標軸(空間的居場所、地域参画機会、社会関係資本)で分析し、思春期の危機を受け止め、主体形成への転換へと支援する社会関係資本がそなわる居場所、地域空間の要因を探る。

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木下 勇社会情報学部教授R6~R8
児童生徒の心停止の救命率改善に向けた疫学研究:網羅的データベースの構築と分析

児童生徒の心停止の救命率改善に向けた疫学研究:網羅的データベースの構築と分析

我々がこれまでに構築した日本全国の学校で発生した心停止を網羅するデータベース(SPIRITSデータベース)に新規データを追加し、また他のデータベースとの連結を図る。これにより、以下の4つの課題をテーマとして研究を実施する。

①気象や環境汚染物質等の環境要因と心停止発生との関連の検討
②生命にかかわるアナフィラキシーショックの発生と現場対応の実態把握
③コロナ禍による心停止の発生状況や現場での救命行為の変化の検討
④運動中に起こる心臓震盪の発生状況と生命予後の実態把握

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清原 康介家政学部准教授R6~R9
越境する「日本型教育」の拡散・借用・再文脈化過程の動態的研究:EDU-Portを事例に

越境する「日本型教育」の拡散・借用・再文脈化過程の動態的研究:EDU-Portを事例に

本研究では、文部科学省が立ち上げた官民連携の「日本型教育の海外展開事業(EDU-Port)」の枠組みにおいて、「日本型教育」として開発途上国に輸出されている教育実践が、モデルの輸入国において拡散・借用・再文脈化されるダイナミズムを実証的に解明する。具体的には、ベトナムを事例とし、現地での聞き取り調査を通じ次の3点を検証する。すなわち、(1)現地の日本関係者(日本大使館、JICA、JETRO、日本事業者の現地法人)が教育モデルの拡散に果たした役割、(2)ベトナム側による「日本型教育」借用の政策的意図と過程、(3)教育モデルの受容・再文脈化とその過程におけるベトナム側当事者の主体性・従属性である。

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興津 妙子文学部教授R6~R9
環境と調和した国産コーヒーの栽培環境と栽培手法の探求

環境と調和した国産コーヒーの栽培環境と栽培手法の探求

コーヒーは環境への負荷が高い農産物として知られているが、栽培方法によっては森林との共生が可能であり、熱帯ではアグロフォレストリーの構成種の一つとなっている。そして沖縄県では、周辺環境と調和して栽培されることが多い。世界的な需要増による供給不足と昨今の国際情勢から農産物の自給率アップに寄与するために、また農業による地域経済の発展や耕作放棄地の増加などの地域環境問題の解決のためにも、その増産が望まれる。本研究は、国内コーヒーの生産地の中で、沖縄県における環境と調和したコーヒーを栽培する農園に焦点を当て、コーヒー結実のための栽培環境、コーヒー栽培手法などを明らかにすることを目的とする。

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甲野 毅家政学部教授R6~R10
美的達成を反快楽主義の立場から再検討する:非エキスパートの教育という観点から

美的達成を反快楽主義の立場から再検討する:非エキスパートの教育という観点から

本研究は美的価値の規範問題をめぐる論争を、教育論の観点から再検討する。
本研究では、理想的観賞者の快楽を軸としていたエリート主義的な美的価値論・美的判断論を改訂し、非エキスパートの成長・教育を説明できる実践的な理論をつくることを目指す。
研究は、A)美的知覚の理論化、B)美的理由の検討、C)美的教育論の改訂という、三段階で進められる。本研究の独自性は、非エキスパートの成長を説明するために徳の涵養と美的領域の拡張という徳美学の論点を導入する点、および、近年の反快楽主義者たちが見逃している「美的謙虚さをベースとした他者理解の喜び」という論点を組み込む点にある。

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森 功次国際センター准教授R6~R10
挑戦的研究(萌芽)車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

車両用座席シートの白色化が生じるメカニズム解明と白色化を防止することで座席シートの審美的快適性を求めることを目的にしている。
学生を対象にした座席シートの審美的快適性のアンケート調査を2020年度に予定していたが、アンケート調査は緊急事態宣言、蔓延防止などの発令により、授業がオンラインとなり学生のアンケート調査が困難となった。しかし、コロナ禍により気になる点をオンラインにより調査したところ、「電車の座席」という回答が多くあり、電車の座席シートのアンケートをオンラインで実施した。学生だけでなく世代が異なる電車を多く使用する30歳代~60歳代前半の男女についても座席シートの審美的効果のアンケート調査を行うことにし、アンケート用紙の作成をした。コロナ禍もあり、在宅勤務者が多く、被験者を募るのが大変でアンケート実施までに至っていない。
白色化の再現実験、未使用座席シートと白色化座席シートの測色値により、白色化していると認識する色差、白色化した時の表面形状の観察実験は、コロナ禍により進めることができなかった。

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平井 郁子キャリア教育
センター
教授H31~R6
(期間再々延長)
若手研究ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

本研究では、アパレル商品を購買するショールーマーとリバース・ショールーマーの購買行動を解明することを目的とし、以下の3つのテーマにて実証分析を行うことを計画した。(1)研究テーマ1:アパレル商品を購買するショールーマーとリバース・ショールーマーの行動プロセスと購買行動傾向の研究、(2)研究テーマ2:対象消費者の満足度を高める情報内容の研究、(3)研究テーマ3:対象消費者に影響を与えるビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)の研究である。当該年度においては、上記3つの研究テーマに取り組んだ。まず、研究テーマ1では、ショールーミングあるいはリバース・ショールーミング購買した消費者(1,460名)を対象として2022年2月にアンケート調査を実施した。そして、SNS等の外部情報についてのアンケート調査(研究テーマ2として)、及びVMDに関するアンケート調査(研究テーマ3として)を、研究テーマ1の調査に合わせ、調査対象者も同一として行った。尚、3つの研究テーマ共に仮説を立ててアンケート調査を行い、その結果については、主として共分散構造分析と回帰分析の手法にて分析を行った。本実証分析により、コロナ環境下でのリアル店舗とネット店舗をめぐる、対象消費者の情報探索行動や知覚リスク低減行動を含む購買性向等についての理解を深めることが出来た。特に、これまでの3年間の調査結果を比較考察することで、コロナ環境下での購買行動の変化を理解することが出来た。本研究成果は、消費者行動研究、マーケティング研究面等への波及的な貢献だけでなく、企業のマーケティング実務面にも貢献出来るものと言えよう。

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吉井 健家政学部教授H31~R6
(期間再々延長)
公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

昨年度の研究ではおもに、Morrison文学における<癒し>の神秘主義的意味合いについて考察した。JazzやParadiseなどの作品において、Morrisonはキリスト教の異端的神秘主義思想であるグノーシス主義の文書を引用している。先行研究ではこの宗教的文書の政治的解釈がなされてきたが、本研究ではむしろ、Morrison文学が政治を超越しようとしていた可能性を探っている。魔術的リアリズムと称されることもあるMorrisonの作品世界において現実は、客観的・物質的な境界線を引けるような経験ではなく、個人の主観的な意識にかかわる無限の可能性として広がっている。特にSula, Paradise, Loveなどの作品においてはきわめて明白に「あの世」の存在が示されており、そうした現実の複層性が認識されているからこそ死者の蘇生を含むような<癒し>の表象が可能となるのだというひとまずの結論に至った。
神秘主義への傾倒は黒人女性文学においてモリスンが最初の例ではないということも、これまでの研究において突き止めることができた。Zora Neale Hurstonがインドの神秘主義に深い影響を受けていたことを指摘した論文「霊的結婚という夢--Their Eyes Were Watching Godにおける神秘主義」を出版できたことは、昨年度の大きな成果の一つであった。
神秘的な<癒し>に焦点を当てることにより本研究は、政治的議論に終始しがちなアフリカ系アメリカ文学研究が闘争ではなくその超越を目指すことを提唱するものである。昨今、米国において人種やジェンダー、性的指向などをめぐる議論は、激しい二極化の様相を見せている。こうした社会的緊張の中、繰り返し絶望的状況を描きながら希望を照らし出したMorrison、そしてその先駆者としてのHurstonの重要性は増しているように思われる。

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石川 千暁文学部専任講師H31~R6
(期間再々延長)
学校建築の社会学的研究

学校建築の社会学的研究

今年度は、これまでの研究蓄積が一定量のものになったと判断し、研究成果を学術書にまとめる一年になった。これまでに検討してきたのは、本研究のメインテーマである学校建築に加え、それと同種のアクティビティを誘発する仕掛けを備えるオフィスデザインおよび公共空間デザインだが、このように異なるビルディングタイプを一貫した観点のもとに比較分析するため、年度の前半は建築学の蓄積および社会学・人類学における建築研究の蓄積を参照し、整理していく作業にあてられた。この作業のなかで、当初念頭に置いていたアクターネットワーク理論という理論枠組のメリットとデメリットが改めて吟味され、本研究の遂行にあたっては、アクターネットワーク理論を標榜することのデメリットが大きい(用いることの認識利得よりも、それを用いたことへの批判が大きい)と判断され、その結果ミシェル・フーコー中期の権力論を参照する方針に改められた。年度の後半は次のようなコンセプトが掲げられた学術書の執筆にあてられた。「自発性を育む学校、アイデアが生まれやすいオフィス、さまざまな人々がかかわり、にぎわう公共空間。私たちが日常的に利用する空間は今日、どのような問題意識と希望のもとでどのように設計され、私たちのふるまいや心理にどのような影響を与えようとするものなのか。フーコー派社会学の立場による学校建築・オフィスデザイン・公共空間デザインの分析から、現代的建築空間が創出するハイブリッドな『主体性』のあり方を明らかにする」。

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牧野 智和人間関係学部准教授H31~R6
(期間再延長)
訪問介護事業所における利用者からのハラスメントの要因分析

訪問介護事業所における利用者からのハラスメントの要因分析

介護福祉職は利用者と接する機会の多い専門職である。利用者の介護、心身のケアを中心に行う専門職のため、他職種と比較し、利用者と接する機会が非常に多い。機会が多くなると、高齢者の認知症症状や、障がいのある方の症状による暴言や暴力といったハラスメントを受けやすい専門職であるといえる。本研究では、そのような介護福祉職に焦点を当て、利用者からのハラスメントの対策に必要なハラスメント誘因要因を分析することとしている。また、対象として、施設の介護福祉職に比べ、より密室での被害を受けやすいと考えられる訪問介護事業所を中心にハラスメントの実態調査と対策について検討する。
ハラスメント行為は看護師に対する被害や、虐待案件として報告されているものがあるものの、介護職員が直接的な被害者となった報告は少ない。わが国では、介護職員に対するハラスメントの予防対策として、予防・対策マニュアルが策定されているものの、実際には事業所の注意喚起や対策を目的としているものが中心であり、実際にハラスメント被害に遭わないようにするあるいは、ハラスメントを受けた際の対応策に関しての方策は乏しい。よって、本研究を通して介護福祉職がハラスメント被害を受けないようなマニュアル、ハラスメントにあった際の対応マニュアルの作成を目指したいと考えている。
現在は文献調査、先行研究調査を中心に行なっている。先行研究レビューとして学会誌投稿予定である。先行研究から、介護福祉職は、ハラスメント被害を受けても報告することはせず、自身の成長の機会であると捉えていたり、自分の力不足であることを示している。しかし、対照的にハラスメント被害を受けて、介護職員を続けることが難しい状況まで追い込まれてしまう職員もいた。
本研究を通して介護職員と介護保険サービス利用者の適切なサービス受給関係が築けるようになることを目指していく。

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古市 孝義人間関係学部助教R2~R6
(期間再々延長)
ポスト#MeToo時代におけるジャーナリズム―メディア労組の取り組みを中心に

ポスト#MeToo時代におけるジャーナリズム―メディア労組の取り組みを中心に

本研究は、#MeTooをきっかけとした「ポスト#MeToo」時代のジャーナリズムの変容を、メディア労組を中心とした議論と取り組みに注目し、実証的、理論的に考察し、東アジア地域の日韓における変容を比較社会的に考察することである。2021年度は、その準備段階として、日本のメディア関連労組の整理とともに労組におけるジェンダー関連の取り組みについて歴史社会的に研究することを目標としていた。
2021年の研究実績としては、こうしたメディア労組関連の書籍や情報を収集、整理する一方で、#MeToおよび性暴力(性被害)をテーマとした報道やドキュメンタリーの言説分析と報道制作過程の分析を行った。このように#MeToo報道の言説分析や記者へのインタビューを行った理由は、まず日本の#MeToo報道ではどのような特徴があり、その背景にはどのような要因があるのかを把握、検討するためであった。こうした分析を行うことによって、記者たちが抱えているジャーナリズム組織文化および構造に対する認識、ジャーナリズムの慣行などを確認することができた。
具体的な研究実績については、まず、新聞媒体における#MeToo報道の言説分析と記者に対するインタビュー調査を行った。その成果としては、2022年刊行予定のReporting on sexual violence in the #MeToo era (Routledge)における一つのチャプターを書いている。(“Marginalizing the reporting of #MeToo 2.0 with structural bias in Japan”)また、2020年日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリ、中央審査報道部門最優秀賞をとったテレビドキュメンタリー「がらくた~性虐待、信じてくれますか~」に対する内容分析及び制作者へのインタビューを行った。テレビという現場で、性暴力報道に関わる女性制作者の実践とそれをめぐる組織的、構造的背景を探ろうとした。その成果として、SCMS(Society for Cinema and Media Studies)学会で研究発表を行った。

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李 美淑文学部准教授R3~R7
日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

本研究では、研究活動スタート支援「「法と文学」の基礎的研究:日本近現代文学のなかの戦争裁判」(課題番号:19K23052)に継続しつつ、日本文学に描かれた戦争捕虜(POW)にさらに焦点を当てて進めることを目的としている。日本文学描かれた捕虜を通志的に研究するにあたって、日本文学が国際法やレイシズム問題をどう取り上げているのかを重点的に研究する。したがって、研究成果は、前の研究課題の最終年度と時期的にも内容的にも重なる部分がある。今年度の最も重要な企画は、BC級裁判で特に問題になった捕虜への待遇や国際法の理解を、文学作品がどう描いたのかを研究するための第一歩として、2021年12月19日にシンポジウム『日本文学から考えるPOW・国際法・レイシズム』を開催したことである。このシンポジウムは、文学研究者のみならず、POW研究の専門家である内海愛子先生をコメンテーターとして迎えることができ、戦争捕虜を描いた文学が形成する主題のなか、とりわけ国際法への理解とレイシズムの問題がいかに重要であるかを再確認することができた。そこで概観的に「日本文学のなかの戦争捕虜」という題で研究発表も行い、今後の研究の基盤となるような問題意識を共有することができた。継続する課題としては、戦争責任や戦時性暴力といった問題を女性文学の観点から考える研究発表も二回行った。(「現代韓国の女性文学における歴史/法の担い手たち-李琴峰『彼岸花が咲く島』に触発されて-」 (『研究会:現代女性文学における法・制度への眼差し』)同志社大学烏丸キャンパス、 2021年9月6日 および、「沈黙を記載した現代史――キム・スム『聞き取りの時間』(2021)を中心に――(『第9回 東アジアと同時代日本語文学フォーラム』) 2021年10月16日)。

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金 ヨンロン文学部専任講師R3~R7
<日本型コンフルエント・ラブ>の文化社会学的研究

<日本型コンフルエント・ラブ>の文化社会学的研究

2022年度は、恋愛や結婚に関する言説として、1950年代と、1980年~1990年代における男性ファッション誌の資料を収集し、後者については前年度に行った女性ファッション誌の分析結果と比較しながら分析を進めた。
また、このような雑誌メディアの分析とともに「コンフルエント・ラブ」の現代的展開の一側面として捉えることのできるマッチングアプリを利用した出会いやその困難についての考察を行った。これらは、2023年度の成果として発表される予定である(『ガールズ・アーバン・スタディーズーー「女子」たちの遊ぶ・つながる・生き抜く』法律文化社 収録)。
インタビュー調査については、前年度に引き続き、JSPS科研費21K12511「性に関する若者のインタビュー調査ー人権とジェンダー平等の観点から」(代表 明治大学 平山満紀)と共同で実施した。

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木村 絵里子人間関係学部准教授R3~R7
アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

近年、リアル店舗を持たないメーカーがネット店舗経由で直接消費者に販売するビジネス、すなわちD2C(Direct to Consumer)事業が活況を呈している。本研究では、D2Cのネット店舗にてアパレルを購買する消費者(D2Cショッパー)の知覚リスク低減に影響を及ぼす情報内容やその購買行動を体系的に整理・解明すると共にD2Cに取り組む企業、特に国内の縫製メーカーに向けたマーケティング施策の提案をすることを目的とし、実証研究を行う。本実証研究では、複数の企業が運営するネット店舗やSNSを対象とした分析、連携するリアル店舗調査、そして調査会社を経由したインターネットでのアンケート調査等を行う。

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吉井 健家政学部教授R4~R6
オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

本研究では19世紀末から20世紀初頭に的を絞り、イギリスとアメリカでオーストラリア文学がどのように受容されたのか考察する。一方の国で売れ行きを伸ばした書物が、他方の国では、出版を拒否されたケースが存在しており、オーストラリア文学に対して英米が示した「異なる態度」の原因を明らかにすることを目指す。この問題を考えることは、当時のイギリスやアメリカを特徴づける文化的・時代的な様相を、「北半球の外」から捉えなおす営為であり、それは南半球との関係という視点の弱い、世紀転換期の英米のモダニズム研究に新たな方法論を提示することにつながるため、学術的意義があると考える。

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加藤 彩雪比較文化学部専任講師R4~R8
米粒内部の糊化の可視化・定量化に基づく新しい米飯評価方法の確立と食感制御への活用

米粒内部の糊化の可視化・定量化に基づく新しい米飯評価方法の確立と食感制御への活用

食感は米飯の美味しさを決める重要な因子で澱粉の糊化状態の影響を受ける。炊飯による澱粉の糊化は,米外周部から内部に向けて進行するため,炊飯過程の粒内糊化状態は均一ではない。申請者は一粒を機器で一定厚さに圧縮した米飯粒の顕微鏡観察による画像解析情報から,粒内部の性状を評価する手法(圧縮米飯粒法)を独自に考案した。本研究では,糊化度と相関性の高い画像解析条件を見出し,米粒内の糊化の進行や不均一さなど,炊飯過程から炊飯後までの一連の変化を可視化・定量化する新しい方法を確立する。さらに,圧縮米飯粒法で取得した糊化情報と米飯食感の関係を明らかにする。

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大田原 美保家政学部教授R5~R7
教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究:教科書分析を通して

教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究:教科書分析を通して

統計的知識は様々な教科・科目で現れるものの,それらの関連付けはほとんど図られておらず,一貫性のない統計教育カリキュラムになっている。本研究は,教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究として,次の3つの問いに取り組む:1. 各教科・科目ではどのような統計的な知識や活動がどのように位置づいているか,2. 各教科・科目で扱われる統計的な知識や活動にはどのような特徴があるか,3. 各教科・科目の統計的な知識や活動をどのように関連付けることができるか。

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大谷 洋貴家政学部専任講師R5~R7
コミュニティソーシャルワーク機能に基づく単身高齢者の居住支援モデルの検討

コミュニティソーシャルワーク機能に基づく単身高齢者の居住支援モデルの検討

近年、単身高齢者の多様なニーズに対応した居住支援実践において、「個別支援と地域支援を結びつける」という特質を持つコミュニティソーシャルワークの展開の重要性が認識されている。単なる物理な住環境支援ということだけではなく、単身高齢者が地域社会の中で社会関係を保ちながら、安定した暮らしができるよう、包括的支援体制の構築が求められる。本研究は、居住支援担当者または当事者を対象にインタビュー調査を行い、単身高齢者の地域居住に向けた「地域支援」と「個別支援」の実態と課題を明らかにし、有用なCSW機能を解明する。そのうえで、地域を基盤とした居住支援モデルの構築について検討する。

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コウ シンロ人間関係学部助教R5~R7
近世後期の日朝外交―幕府対外政策の統合的理解―

近世後期の日朝外交―幕府対外政策の統合的理解―

幕府の対外関係の関心が欧米列強へと移り、「日朝外交への関心を失った」ように見える近世後期を対象にして、
(Ⅰ)対馬藩による日朝交渉の実態を、具体的に掘り起こしながら明らかにする。
(Ⅱ)対外関係を担った幕閣およびその官吏集団における朝鮮外交の位置を見極める。
(Ⅰ)で明らかにされる実態が(Ⅱ)にどのように反映されているのか、あるいはその逆はどのように影響しているのかといった、相関関係に着目しながら、幕府の対外政策とくに日朝外交政策を統合的に考察する。

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酒井 雅代比較文化学部専任講師R5~R8
里親家庭の子どもの支援に関する包括的研究

里親家庭の子どもの支援に関する包括的研究

本研究は、2016年の児童福祉法改正等により、様々な政策が進められてきている里親制度における子ども支援に着目した研究を行う。これまで国内の里親支援に関する研究や実践は主に里親に対する支援が中心であり、里親家庭の子どもの支援の検討は十分に行われていない。本研究において、国内外の他分野や他領域で行われている子ども支援の取り組みを調査し、里親家庭で生活した経験者へのインタビュー調査をすることによって里親家庭の子どもの必要な支援を明らかにすることを目的とする。多角的な視点から子ども支援を俯瞰することにより、他領域の支援を里親家庭の子どもの支援に応用し新たな支援方法を明らかにすることを目指す。

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山本 真知子人間関係学部准教授R5~R8
資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を引き起こすメカニズムの解明

資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を引き起こすメカニズムの解明

社会ではしばしば自集団の中に存在する異質な人々を排除しようとする風潮が強まり、それが暴動や紛争に繋がることもある。従来の研究はこうした現象の背後に資源不足の影響があることを示唆している。しかしそれらは資源不足時に人が異質な他者を排除したいという欲求を高めることを示すにとどまり、それが集団内葛藤や集団間紛争まで導くのか、導くならばどのようなメカニズムによるのかは未解明である。そこで本研究では、資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を導くメカニズムを解明する。このメカニズムを解明し、それを基にした介入方法を検討することで、現実社会で生じている暴動・紛争を改善・予防する糸口が得られることが期待される。

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竹部 成崇文学部専任講師R6~R9
研究活動スタート支援メディア経験・実践論に基づくメディア記憶の構築過程の分析と太平洋戦争の記憶

メディア経験・実践論に基づくメディア記憶の構築過程の分析と太平洋戦争の記憶

本研究では、人々の経験や実践の多くがマス・メディアやソーシャル・メディアを経由する現代社会において、メディア経験・実践による集合的記憶(過去の出来事に関する社会的に共有されたイメージ)の構築過程を明らかにする。
具体的には、人々のメディア経験・実践の多様性と多層性を分析するメディア論的な視点と集合的記憶論を理論的に接合したうえで、アジア・太平洋戦争の記憶の構築過程を実証的に分析する。戦後75年以上が経過した現在でも、アジア・太平洋戦争の記憶はさまざまなメディアを通じて構築されている。この構築過程を実証的に分析することが、本研究の実証的な課題である。

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佐藤 信吾社会情報学部専任講師R5~R6
特別研究員奨励費戦間期のポーランド共和国(1918-39 年)における言語政策の研究

戦間期のポーランド共和国(1918-39 年)における言語政策の研究

本研究は、戦間期ポーランド(1918-1939 年)で実施された民族的少数者に対する言語政策を研究するものである。戦間期ポーランドに関する事象は歴史学などで頻繁に取り上げられるテーマであるが、言語政策論の分野ではいまだ先行研究に乏しく、法律文書にもとづく実証的研究が求められる。今年度は本研究の基礎資料である書籍や法令文書の翻訳が進捗し、その一部を外部に公開することができた(下記 [1] から [3])。また、本研究と間接的に関係する業績として、現代ポーランドの少数者問題をテーマとする以下の論文を刊行した(下記 [4])。

[1] 日本言語政策学会第 24 回大会口頭発表(2022 年 6 月 18 日、京都大学、題目:[資料紹介]T・オルシャィンスキ『クレスィの辺境 スタニスワヴフ未だ滅びず』2016 年)
[2] 北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター公開セミナー(2022 年 9 月 1 日、北海道大学、題目:戦間期ポーランドの言語政策に関する基盤研究 いわゆる「クレスィ諸法」を中心として)
[3]『上智ヨーロッパ研究』14 号特集論文(2023 年 3 月 5 日、上智大学、題目:戦間期ポーランドの「クレスィ諸法」について 第一次世界大戦後の国際秩序の枠組における少数者保護)
[4] 『スラヴ学論集』 22 号論文(2022 年 5 月 31 日、日本スラヴ学研究会、題目:The Silesian Problem in Poland through the Prism of the Monitoring Cycles of the Framework Convention for the Protection of National Minorities: Comprehensive Analysis from the First Cycle to the Fourth.)

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貞包 和寛家政学部専任講師R5~R6
研究成果公開促進費(学術図書)長尾雨山研究松村 茂樹文学部教授R6

短期大学部

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(C)タゴール仏教文学とその思想的背景―英語文学が繋ぐタゴールと近代日本仏教

タゴール仏教文学とその思想的背景―英語文学が繋ぐタゴールと近代日本仏教

ラビンドラナート・タゴールは、詩人としてのみならず思想家としても高い評価を受けているが、その特色は大乗仏教についての深い理解にあった。だが、その背景と原因については、これまでほとんど論じられることがなかった。
本研究は、タゴールの独自の思想形成の背景にあったものが、岡倉天心をはじめとする日本の思想家たちとの親密な交流であり、彼らが著した膨大な英文の著作であり、そこに見られる大乗仏教の独自の解釈であったことを明らかにするとともに、19世紀後半から20世紀初期の時代において、国境を越えたアジアの思想交流に果たした英語文学の重要な役割に光を当てようとするものである。

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大平 栄子英文科教授R5~R7
大規模スクリーニングで得た出芽酵母局在化RNA、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの解析

大規模スクリーニングで得た出芽酵母局在化RNA、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの解析

遺伝情報は、遺伝子の本体であるDNAからRNAに写し取られて発現する。したがって、RNAの細胞内局在化は、遺伝情報を空間的に制御するための重要な現象である。RNAの局在化により、細胞内では情報の偏りが生じ、細胞の極性形成や分化が誘導される。我々は、真核生物のモデル系である出芽酵母を用いて、細胞内で特異的な局在を示す新規の局在化RNAを多数発見した。本研究では、これらの新規局在化RNAのうち、細胞周期に関わるMSA1 mRNAとタンパク質の安定性に関わるEGD1 mRNAについて解析する。将来、RNAの局在化制御が可能となれば、医療分野や農業分野等への幅広い応用が期待できる。

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竹内 知子家政科教授R5~R7
アメリカ公立図書館児童サービスに関する批判的・歴史的研究と失われた記憶の再生

アメリカ公立図書館児童サービスに関する批判的・歴史的研究と失われた記憶の再生

アメリカ公立図書館における児童サービスの形成・確立・発展期である19世紀末から20世紀初頭を中心に、(研究課題1)児童サービスの思想、(研究課題2)児童サービスの実践、(研究課題3)児童サービスの組織・指導者という3つの研究領域を設定し、児童サービス全体にジェンダー、階級、人種、権力関係が浸透していた現実を探究する。それらの成果を土台として「児童サービスの理想と現実の確執」の解明を目指す。その結果、児童サービスの研究にジェンダー、階級、人種、権力関係の考察が不可欠なことを示し、現在及び、将来に向けて児童サービスの理論と実践に寄与することを研究目的とする。

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中山 愛理国文科准教授R6~R8

※大学および短期大学部の過去の採択状況は、科研費 過去の採択状況をご覧ください。

全国学校別 採択件数・配分額一覧表 令和6(2024)年度

※文部科学省ホームページ 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

大学

※2025年2月頃 掲載予定

短期大学部

※2025年2月頃 掲載予定