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科研費 採択状況

本学における科学研究費助成事業の採択状況をご紹介します。

採択課題一覧 令和7(2025)年度

大学

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研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(B)経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

本研究では、帰属集団の相違によって発生する権力関係、意識の齟齬、係争等について、これまで理論的に議論されてきたポジショナリティという概念を用いて分析する。実際に齟齬や係争が発生している事例を調査することにより、経験的な概念としてポジショナリティを再検討し、ポジショナリティに意識的であることが、帰属集団の違いを超えた協働を可能にする条件であることを示したい。そのため、日本と沖縄などの集団関係、ジェンダー、外国人問題、障がい関連の4つの領域で、文献調査、聞き取り調査、アンケート調査を組み合わせた調査を実施する。また日本と韓国でアンケート調査を行い、ポジショナリティに対する意識の国際比較も行う。

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池田 緑社会情報学部准教授R3~R7
(期間延長)
着衣によるアレルギー症状の誘発機構の解明とかゆみ度の定量化

着衣によるアレルギー症状の誘発機構の解明とかゆみ度の定量化

着衣により皮膚にアレルギー症状を訴える人が年々増加している。我々は、これまでの研究成果により繊維表面の特性と皮膚への刺激がアレルギー症状発症の大きな要因であることが分かっている。本研究は、抗アレルギー効果が認められている合成繊維であるポリ乳酸と弱酸性ポリエステルを素材に用いて衣服を構成する布帛(繊維)の表面構造を変化させた試料布を調製し、3次元表皮皮膚モデルを使用して皮膚の安全性を評価する。また、試料布の水分率、熱伝率、濡れ特性,ゼータ電位などを調べ、被験者を用いた着用実験により皮膚の抗菌効果、皮膚pH、水分率などの結果からアレルギー症状発症の誘起因子を明らかにする。

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水谷 千代美家政学部教授R5~R7
項目反応理論の応用による民族服製作技術文化保存のための最適学習過程の探究

項目反応理論の応用による民族服製作技術文化保存のための最適学習過程の探究

消失の危機に直面する東南アジア諸民族の伝統民族服の製作技術を後世に残すことが研究目的である。80民族をカバーする民族服製作技術要素を抽出、数量化し、技術要素の難易度がより低いものから順次高い技術要素へと系統的に技術学習プログラムを項目反応理論を利用して形成し、これを実際の教育現場で検証する。本研究では80民族をクラスター化し、クラスターごとに一般化できる民族服製作技術伝承プログラムを提案する。

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下田  敦子人間生活文化研究所准教授R5~R8
視線と身体の引き込みによる自己認知発達過程の再記述:質的および量的な縦断研究

視線と身体の引き込みによる自己認知発達過程の再記述:質的および量的な縦断研究

我々はこれまで乳幼児の自己認識を評価する課題として有名なマークテストを骨格検出と拡張現実(AR)によってクロス・リアリティ(XR)化し、身体表象の評価課題となる側面を見出してきた。本提案では、我々が開発したXRマークテストに視線計測の技術を新たに加え、自己映像、すなわち対象化された自己身体の制御獲得における視線の役割を検討する。さらに、自己像認知に至る前の幼児の、自他像に対する反応や親子遊びの様子を、家庭での動画撮影により縦断的に収集する。自他像に対する身体の使い方の個体内発達を追うことで、自己像認知を視線と身体の引き込みという観点から質的・量的に捉え直す。

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宮崎  美智子社会情報学部准教授R5~R9
装置としての世帯1750~2000:生活存立の比較経済史

消装置としての世帯1750~2000:生活存立の比較経済史

経済生活の維持・再生産の過程において、「市場」では処理されにくい問題にどのような対応がなされてきたのか。本研究はこの問いに、生活の存立を支える「装置」としての「世帯」機能の歴史的な分析によって答えることを課題としている。方法としては、共に近世には強い領主制の下にありながら、世帯の機能が大きく異なっていた日本とドイツとの比較史を切り口とする。それは、現代福祉国家の達成とその問題性を歴史の深みから捉え返すことにも繋がると考える。

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谷本 雅之社会情報学部教授
R6~R7
(期間延長)
近現代日本の出産記録の歴史社会学的研究-リプロダクティブヘルスの実質化にむけて

近現代日本の出産記録の歴史社会学的研究-リプロダクティブヘルスの実質化にむけて

本研究は近現代日本における産婆・助産婦が行ってきた助産実践を助産録の分析と、出産主体となった女性の記録した「出産ノート」、および参考資料として産婆雑誌の分析を加え、助産実践を言語化していく。日本の出産の複眼的かつ歴史社会学的な再構成によって出産の医療化を批判的に検証する。さらに収集資料はデジタル化し次世代に継承することをめざす。具体的には産婆助産婦コレクションとしてNWEC女性アーカイブシステムにて提供していく。この研究は、JSPS KAKENHI 17K04151と21H00775の研究成果を踏まえたもので、社会学、文化人類学、助産学の共同研究によりこれを展開するものである。

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大出 春江人間生活文化研究所特別研究員R6~R9
消費構造と家事労働に関する比較経済史的研究

消費構造と家事労働に関する比較経済史的研究

消費サイドに関する知見を経済史研究に位置づけるには、消費の場としての世帯に視点を置くことが一つの有力な切り口になる。家内生産論を下敷きとして、消費と家事労働の構造的な関連の歴史を定式化したデ・フリースの議論は、そこでの有力な参照軸であるが、本研究は、アジア(日本・中国)とヨーロッパ(ドイツ・イギリス)を対象に、定量的・定性的の双方のアプローチを含んだ実証研究によって、あらためて消費と家事労働の構造的な関係性を問い直すことを試みる。その成果を共通の枠組みのもとで統合することで、北西ヨーロッパの経験を超えた、より一般的な消費と家事労働に関する歴史理論の構築を目指す。

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谷本 雅之社会情報学部教授
R7~R10
就学後の読み書き力の基盤を育てる継承日本語幼児に適した支援方法の開発

就学後の読み書き力の基盤を育てる継承日本語幼児に適した支援方法の開発

「学校言語(現地語)と親からの継承語(日本語)」という組み合わせで日本語を習得する補習校通学児が読み書き力を伸ばすことは容易ではない。就学前の日本語力が就学後の学習に影響するとの指摘があるが、就学前の状態はほぼ未解明である。本研究では、就学後の読み書き力の発達は就学前からの連続的な過程であると捉え、①就学前の萌芽的リテラシーの形成過程の特徴を解明し、それを踏まえて②就学後の読み書き力の基盤を育てる継承日本語幼児に適した支援方法を開発することを目的とする。これにより研究蓄積の少ない継承日本語力の発達における幼児期の重要性を示す学術的知見を提供でき、現場の実践の改善にも寄与できることが期待される。

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柴山 真琴家政学部教授R7~R11
基盤研究(C)読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

本研究は、文章を正確に読み解き、目的や所与の条件等に応じて的確に記述する、「読解を経由する記述力」の向上を図ることを実証化して示すものである。
記述力の向上は、国内外の学力調査や学力に関わる試験がコンピュータを使った試験方式(CBT)へ移行していく時勢においても重要な価値がある。
我が国のPISA 調査におけるCBT 対応の遅れが指摘される中、その基盤となる読解を経由する記述力の向上は喫緊の課題である。
本研究は、小学校段階における記述力向上プログラムの開発を図り、それを全国の小学校で試行し実証することにより、成果を波及させていくことを意図している。

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樺山 敏郎家政学部教授R4~R7
(期間延長)
化学と環境・歴史・倫理の融合を目指した教育コンテンツの開発と実践

化学と環境・歴史・倫理の融合を目指した教育コンテンツの開発と実践

環境を含む科学技術政策等の意思決定に参加する市民には、地球環境に配慮し且つ過去の化学兵器の利用等による化学の負の側面への理解を深めた人間性と高い倫理観が求められる。一方で、急激に変化する社会情勢に対応できる市民の育成手法として、文理が融合した統合的な思考力を修得するための教育が重要視されている。本研究では、化学を軸に環境、歴史、倫理、法律などへのつながりを示した大学教養科目レベルの教育コンテンツを開発し、授業や市民公開セミナーなどにて実践使用する。また、探究型授業を行う上での研究倫理に関する教育コンテンツを開発し、これらの普及・浸透に向けての活動を行う。

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四ノ宮 美保社会情報学部教授R4~R7
フグ肝臓におけるフグ毒の輸送を担うトランスポーターの特定とその制御機構の解明

フグ肝臓におけるフグ毒の輸送を担うトランスポーターの特定とその制御機構の解明

これまでに我々は,トラフグの肝臓によるフグ毒の取り込み速度がトランスポーターによる担体輸送の特徴を示すことを明らかにしたが,「フグ毒トランスポーター」の特定には至っていない。
そこで本研究では,性成熟期にフグ肝臓の毒量が低下して卵巣の毒量が増加する天然フグでの現象に着目し,トラフグ肝臓組織スライスを性成熟関連ホルモンで刺激して発現変動する遺伝子を次世代シーケンスで解析することにより,フグ毒をトラフグの肝臓内外へ輸送する取り込み型と排泄型のトランスポーターを特定し,肝臓におけるフグ毒の蓄積と排泄の制御機構を明らかにする。

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松本 拓也家政学部准教授R5~R7
近代日本における洋式製本の移入と定着

近代日本における洋式製本の移入と定着

本研究は、日本に洋装本が登場してから定着するまでの19世紀後半から20世紀初頭までを範囲として、書物製作の技術と書物に対する意識の変遷を関連付けつつ、近代日本の洋式製本移入史を構築することを目的とする。具体的には、①解体調査を含めた書物の実物調査によって、洋式製本移入期の技術的な実態と日本における技術的展開の過程を明らかにする。②製本語彙の語彙史的調査および書店の目録や出版広告の調査を行うことによって、洋式製本移入に伴う職人・書肆・読者における書物の用法や書物観の変容を明らかにする。③官民の初期洋装本刊行の出版史的な調査を①と接続することによって、洋式製本の移入と展開を歴史的に跡づける。

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木戸  雄一文学部教授R5~R7
仮名本『曽我物語』後期本文の劇文学としての萌芽

仮名本『曽我物語』後期本文の劇文学としての萌芽

『曽我物語』の作品世界は、非常に伝承性が強く、真名本、訓読本、仮名本それぞれに、本文が整えられていった時代や地域特有の伝承世界を投影している。そして本作品が後代の作品、文化に与えた影響は大きく、様々な領域へ広がりを見せる作品である。特に、仮名本『曽我物語』出現の背景には、歴史の「物語化」と「大衆化」があると考えている。そこには、物語の劇化が進んでいくために普遍的な展開があると考えられる。人々が物語に求めるものはなにか、そして物語本文はどのようにそれに応えていったのか、という点を明らかにしようとするものである。

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小井土  守敏文学部教授R5~R7
民生委員の活動意欲向上および負担感緩衝に向けたネットワーク構築プログラムの検討

民生委員の活動意欲向上および負担感緩衝に向けたネットワーク構築プログラムの検討

本研究では、地域福祉の重要な担い手である民生委員への質的研究をもとに、民生委員活動における社会的ネットワークの形成プロセスを明らかにする。また、質的研究および先行している量的研究の結果をもとに、民生委員のネットワーク拡充のための支援策を検討し、民生委員や関係する専門職を対象に実施、効果評価する。本研究により、民生委員活動における意欲向上・負担感緩衝に効果的な民生委員の社会的ネットワークの様態と、その形成・拡充に向けたプログラムの効果を示す。

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飛田  和樹人間関係学部専任講師R5~R7
日本人の共生意識に基づいた子育て・子育ちのための共生型集住に関する研究

日本人の共生意識に基づいた子育て・子育ちのための共生型集住に関する研究

本研究は居住者のニーズに合わせて柔軟に協力関係をつくる共生型集住(コウハウジング)を研究対象として、日本および海外の先進事例の実態を日常の生活行為の共同性と集住形態の対応関係から分析し、日本人の子育て世代の共生意識に基づく、子育て・子育ちのためのゆるやかな共生型集住の複数パタンを提案する。

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大橋  寿美子社会情報学部教授R5~R7
モバイル顕微鏡を用いた新たな海洋教育実践例の提案

モバイル顕微鏡を用いた新たな海洋教育実践例の提案

本研究では、初等教育において、学校内の授業で取り入れることができ、かつ子どもたちが主体的かつ体験的に取り組むことのできる新たな海洋教育実践例を構築し、海洋教育の裾野を広げていくことを目的とする。
具体的には、入手しやすい海産物を教材とし、タブレットに装着して使用するモバイル顕微鏡を活用した授業の実践例を構築する。さらに授業の前後で子どもたちの海洋リテラシー(海に関する知識や理解)などを問うアンケート調査を行い、授業実践の効果について検証しながら、内容の改善を図る。
以上のような取り組みを通じて、海洋教育の裾野拡大に有効な実践例の構築を目指す。

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細谷  夏実社会情報学部教授R5~R7
「お家で観察」を「皆一緒に」で充実させる!オンライン星空観察会を伴う天体学習新案

「お家で観察」を「皆一緒に」で充実させる!オンライン星空観察会を伴う天体学習新案

初等中等教育の現場は、子ども一人に一台端末の整備が完了し、タブレット端末を持ち帰り家庭で学習する効果についても期待されている。そこで本研究では、夜間自宅での観察が求められる「星の動き(4年)」の単元で、タブレット端末を用いた新しい星空観察の方法を構築する。
子どもは「自分たちの学校にある星座カメラi-CAN」の星空を自宅で「共有」し、これまで星空観察時に子どもが感じていた「孤独感」に対し、なかまと一緒に観察する「協働的」な学習方法を提案する。さらに、新i-CAN設置校と協力の得られた学校の交流を図り、天候に左右される星空観察について、新しい学習方法を開発する。

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木村  かおる家政学部准教授R5~R7
タゴール仏教文学とその思想的背景―英語文学が繋ぐタゴールと近代日本仏教

タゴール仏教文学とその思想的背景―英語文学が繋ぐタゴールと近代日本仏教

ラビンドラナート・タゴールは、詩人としてのみならず思想家としても高い評価を受けているが、その特色は大乗仏教についての深い理解にあった。だが、その背景と原因については、これまでほとんど論じられることがなかった。
本研究は、タゴールの独自の思想形成の背景にあったものが、岡倉天心をはじめとする日本の思想家たちとの親密な交流であり、彼らが著した膨大な英文の著作であり、そこに見られる大乗仏教の独自の解釈であったことを明らかにするとともに、19世紀後半から20世紀初期の時代において、国境を越えたアジアの思想交流に果たした英語文学の重要な役割に光を当てようとするものである。

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大平  栄子人間生活文化研究所特別研究員R5~R7
企業の環境認識と組織アイデンティティに関する理論的・経験的研究

企業の環境認識と組織アイデンティティに関する理論的・経験的研究

本研究では、企業ドメインの概念定義の精緻化と、企業成長・組織変革といった経営成果との関連性ついて、理論的・経験的な研究・考察を行うことを目的としている。先行研究では、組織ドメインの概念定義は十分に検討されてこなかった。本研究では、先行研究の体系的なレビューを踏まえて、企業ドメインの概念定義に関する理論的検討を行うとともに、事例研究による経験的研究によって、企業ドメインが企業成長・イノベーションなどの成果に結びつくメカニズムに関する理論仮説を構築することを目指している。

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網倉 久永データサイエンス学部教授R5~R7
プログラミング学習の学習行動と自動採点結果の分析による個別指導支援システムの構築

「プログラミング学習の学習行動と自動採点結果の分析による個別指導支援システムの構築

本研究では、小学校におけるプログラミング教育における個別最適化学習の実現に向け、生徒の学習状況を自動的に収集・分析し教員・生徒にフィードバックを行うことで、適切なプログラミング学習を可能とするシステムの構築を目的とする。この研究目的の達成のために、3年間の研究期間で以下の3つの研究、実証実験を行う。
1.Scratchプログラムの自動採点およびフィードバック機能の構築
2.プログラミング課題と解説の個別最適化された提示方法の確立
3.個別学習状況の把握のためのプログラミング学習編集履歴取得システムの構築

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尾崎 剛データサイエンス学部准教授R5~R7
加工食品に着目した食事評価法と簡便な食事法-日本版Plate Method-の構築に関する研究

加工食品に着目した食事評価法と簡便な食事法-日本版Plate Method-の構築に関する研究

糖尿病の食事療法において、自宅での調理を前提として食材の組み合わせを示す指導が難しくなっている。調理の手間をかけずに満足感を得られる加工食品の利用が増えていることが一因とされる。高度に加工処理された食品を多く摂取する人の食事の質は低く、生活習慣病にも罹患しやすいことが報告されている。
本研究では、日本の食生活において高度な加工食品をどのように分類するかを検討したうえで、糖尿病患者における加工食品摂取と疾病管理との関連を明らかにする。次に、加工食品の摂取が多くなりやすい多忙で調理技術が低い者でも実践できる食事法として日本版Plate Methodを確立し、血糖高値の対象者に対する効果を検証する。

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深津 章子家政学部准教授R5~R8
再生可能エネルギーとモビリティの効率的接続に関する制度設計の経済学的研究

再生可能エネルギーとモビリティの効率的接続に関する制度設計の経済学的研究

本研究では、エネルギー消費効率の改善や環境負荷の低減を目的として、太陽光発電と蓄電池、電気自動車を統合したシステムの普及を促進する税制や料金体系、規制とは何かを解明する。その際、消費者が現在と将来の費用をどのように評価するのかに着目し、導入段階の補助金と運用段階の税制のどちらが普及に効果的なのかを実証的に分析する。そして、長期的な視点に立った普及政策の効果を反実仮想シミュレーションにより検証する。

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荒川  潔社会情報学部教授R5~R8
冷戦期、太平洋地域におけるアメリカ軍事・民間航空政策に関する研究

冷戦期、太平洋地域におけるアメリカ軍事・民間航空政策に関する研究

本研究は、1945年から1974年の「フライ・アメリカ法」成立までの太平洋地域おけるアメリカ航空政策を考察することを目的としている。「フライ・アメリカ法」とは、アメリカ政府関連で海外に渡航する場合に、アメリカ合衆国の航空会社を使わなければならないというもので、アメリカ政府が標榜してきた自由競争に反するような政策である。なぜこのような法律が制定されたのかを明らかにするために、本研究は、アメリカ政府による民間航空会社の軍事動員とその解除がもたらしたアメリカ民間航空会社の苦境と、それに対する日本航空の競争力の強化について研究するものである。

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高田  馨里比較文化学部教授R5~R8
古代中世宮廷女性の生活空間と儀礼-舗設の復原と後世における伝承過程-

古代中世宮廷女性の生活空間と儀礼-舗設の復原と後世における伝承過程-

代表者は、11世紀から13世紀頃を中心に、女性が参加した儀礼と生活の空間、舗設の復原的研究を推進する。特に、打出・几帳・御帳などの使い方を分析する(赤澤)。
研究分担者は、絵画・古典籍の所在把握、調査時の史料の筆跡や年代把握、知見の提供、各史料の制作環境、空間を構成する襖・屏風・杉戸の画中画について分析する(河田)。また、宮廷主題の絵画及び、近世宮廷絵師の古典主題の絵画の図像、調度・工芸品の意匠、宮廷女性の生活文化等の分析を担当する(大口)。舗設や衣服の染織品の文様・形状・色彩・装飾などを分析し、平安時代中期から後期、院政期・鎌倉時代における、唐風から和風、変容までの過程を分析する(伊永)。

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赤澤  真理家政学部准教授R5~R8
高齢者の下部尿路症状を予測する遂行機能評価と介入法の開発

高齢者の下部尿路症状を予測する遂行機能評価と介入法の開発

本研究は、介護者・要介護者双方にとって心身の負担が大きい排泄に係る問題(下部尿路症状:Lower Urinary Tract Symptoms:LUTS)に焦点を当て、一般高齢者から要介護高齢者を対象に排泄自立の維持に有効な評価および介入法の開発を目指す。そのために、申請者が既に見出している(1)LUTSを予測する遂行機能評価とその応用可能性の追検討および排泄問題の実態調査、客観的な裏付けを得るための(2)MRIによる脳画像解析を駆使したLUTSの高次神経基盤の解明、そして、以上(1)(2)の成果を踏まえた(3)排泄自立へ向けた介入プログラムの作成および介入法の検証を5ヵ年計画で行う。

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原野  かおり人間関係学部教授R5~R9
発酵性食物繊維摂取による高脂肪・高タンパク質誘発性の腎機能低下の抑制効果の検証

発酵性食物繊維摂取による高脂肪・高タンパク質誘発性の腎機能低下の抑制効果の検証

本研究では、軽度の腎障害を誘発したマウスを用いて、高脂肪・高タンパク質食による腸内細菌叢の乱れとその代謝産物の動態を調べ、発酵性食物繊維の摂取によりこれら悪影響を改善できるかを検証する。次に、デキストラン硫酸誘発性の腸管透過性を亢進させたマウスを用いて高脂肪・高タンパク質食による腸内毒素の産生と腎機能への影響、ならびに発酵性食物繊維による制御を検証する。発酵性食物繊維は、発酵特性の異なる複数の素材を検討する。高タンパク質食を否定するのではなく、メリットを活かしてデメリットを制御するエビデンスを提供し、新たな食事療法を提案する。

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青江 誠一郎家政学部教授R6~R8
障害や困難を抱えるこどもの声を聴くための早期ダイアローグに関する研究

障害や困難を抱えるこどもの声を聴くための早期ダイアローグに関する研究

本研究では、声をあげにくいこども、特に障害や困難を抱えるこどもの声を聴くため、フィンランドで開発された、早期ダイアローグ(以下、ED)を実践し、①こどもの意見、声を聴く前に、大人がEDを通して「声を聴いてもらう」「声を発する」体験をすることの意義、②障害や困難を抱えるこどもにとってのEDの効果、③EDにおけるファシリテーターの役割と在り方、以上について検討することを目的とする。
本研究の成果は、ともに社会を創るパートナーとしての聴き手となる、こどもに関わる大人を支え、障害や困難を抱えるこども障害や困難を抱えるこどもたちの『声』に耳を傾けるという、意見形成支援と意見を聴く文化の醸成が期待できる。

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高橋 ゆう子家政学部教授R6~R8
算数科・理科の学習における児童が転移させる基盤となる「知識」は何か

算数科・理科の学習における児童が転移させる基盤となる「知識」は何か

本研究は、「子供は、いかなる基盤となる「知識」を転移させ新たな「知識」を創る学びを算数・数学や理科で行っているのか。こうした学びを行う上で、算数・数学や理科においてはどのような「知識」を転移させているのか。」を明らかにすることである。具体的には、①算数・数学の「数と計算」及び理科のエネルギー領域において子供はもつ「知識」を想定し指導展開を組み、授業を行う。②想定した「知識」を子供は、転移させて新たな「知識」を創り出す学びを行っていけるのかを検証する。③個々の子供がもつ「知識」を紐解き、算数・数学の「数と計算」並びに理科のエネルギー領域における基盤や基底となる「知識」を明らかにする。

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石井 雅幸家政学部教授R6~R8
保育実践の質向上への転換を図る保育者の専門性開発に関する研究

保育実践の質向上への転換を図る保育者の専門性開発に関する研究

近年の保育の質をめぐる議論は、主に量的(業務量や配置基準等)な側面からの議論が多い。それに対し、本研究では、これらの議論の基底に横たわる潜む本質的な保育の質にまつわる課題をとらえることを目指す。保育実践の背景として潜在的に存在する保育者の「観念」を捉え、これを視覚化するプロセス並びに方法について検討する。近年では、不適切な事案や重大なインシデントの話題も絶えないが、これらにも保育者の「観念」が潜在的に影響していることが考えられる。保育者の観念をキーワードに、保育者の専門性開発の考え方を用いて、組織的に吟味、改善していくプロセスをモデル化し、明らかにする。

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坂田 哲人家政学部准教授R6~R8
1950年前後の女性雑誌を中心とした〈女子大生〉と〈BG〉表象をめぐる総合的研究

1950年前後の女性雑誌を中心とした〈女子大生〉と〈BG〉表象をめぐる総合的研究

本研究では、1950年前後の女性雑誌を中心に、(1)〈女性解放〉という枠組みの問い直し、(2)1950年前後の女子大学創設および〈女子大生〉をめぐる言説の分析、(3)社会と女性の関わりを語る際の〈BG〉=〈ビジネスガール〉をめぐる言説の分析を行う。戦後、復刊・創刊した雑誌の中で〈女性解放〉はいかに語られたのか、そして、学び・働くために歩み出した多くの女性たちがどのように表象されたのか、戦後社会の幕開けを象徴する〈女性解放〉の内実を、文学表現を含め当時の言説から多層的に捉えることで女性表象の有様を解明する。

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井原 あや文学部准教授R6~R8
ミャンマー連邦共和国における民主化政権の教育遺産とその継承に関する研究

ミャンマー連邦共和国における民主化政権の教育遺産とその継承に関する研究

民政移管された2011 年以降、ミャンマー連邦共和国では国際水準の教育をめざした大規模な教育改革が進められてきたが、2020年度はコロナ禍で丸1年以上教育は停滞した。さらに、2021年2月に起きた軍部クーデターにより、政権を握ったSAC(国家行政評議会)と政権を追い出された旧政権が樹立したNUG(国民統一政府)との軍事的争いが勃発し、社会は分断され、教育は危機的状況に陥っている。大改革を短期間に進めて得た様々な教育成果(今後に残る遺産)を総括し、それが今後どう継承され、生かされるかの見通しを多方面から検討する。

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牟田 博光人間生活文化研究所特別研究員R6~R8
思春期の危機における若者を支える社会関係資本と居場所・地域空間に関する研究

思春期の危機における若者を支える社会関係資本と居場所・地域空間に関する研究

アイデンティティ危機に直面する若者の受け皿が地域にないという都市計画上の不備に着目し取り組んだ研究は未だない。よって思春期のアイデンティティ危機(以降、思春期の危機という)は主体性の確立の契機でもあり、それを支える社会関係資本がそなわった居場所等の地域空間を探ることを目的とする。そのために国内外において居場所となる空間とその社会関係資本の実態と変遷、また新たな地域参画の行事や活動の調査を通じて、3つの指標軸(空間的居場所、地域参画機会、社会関係資本)で分析し、思春期の危機を受け止め、主体形成への転換へと支援する社会関係資本がそなわる居場所、地域空間の要因を探る。

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木下 勇人間生活文化研究所特別研究員R6~R8
児童生徒の心停止の救命率改善に向けた疫学研究:網羅的データベースの構築と分析

児童生徒の心停止の救命率改善に向けた疫学研究:網羅的データベースの構築と分析

我々がこれまでに構築した日本全国の学校で発生した心停止を網羅するデータベース(SPIRITSデータベース)に新規データを追加し、また他のデータベースとの連結を図る。これにより、以下の4つの課題をテーマとして研究を実施する。

①気象や環境汚染物質等の環境要因と心停止発生との関連の検討
②生命にかかわるアナフィラキシーショックの発生と現場対応の実態把握
③コロナ禍による心停止の発生状況や現場での救命行為の変化の検討
④運動中に起こる心臓震盪の発生状況と生命予後の実態把握

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清原 康介家政学部教授R6~R9
越境する「日本型教育」の拡散・借用・再文脈化過程の動態的研究:EDU-Portを事例に

越境する「日本型教育」の拡散・借用・再文脈化過程の動態的研究:EDU-Portを事例に

本研究では、文部科学省が立ち上げた官民連携の「日本型教育の海外展開事業(EDU-Port)」の枠組みにおいて、「日本型教育」として開発途上国に輸出されている教育実践が、モデルの輸入国において拡散・借用・再文脈化されるダイナミズムを実証的に解明する。具体的には、ベトナムを事例とし、現地での聞き取り調査を通じ次の3点を検証する。すなわち、(1)現地の日本関係者(日本大使館、JICA、JETRO、日本事業者の現地法人)が教育モデルの拡散に果たした役割、(2)ベトナム側による「日本型教育」借用の政策的意図と過程、(3)教育モデルの受容・再文脈化とその過程におけるベトナム側当事者の主体性・従属性である。

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興津 妙子文学部教授R6~R9
環境と調和した国産コーヒーの栽培環境と栽培手法の探求

環境と調和した国産コーヒーの栽培環境と栽培手法の探求

コーヒーは環境への負荷が高い農産物として知られているが、栽培方法によっては森林との共生が可能であり、熱帯ではアグロフォレストリーの構成種の一つとなっている。そして沖縄県では、周辺環境と調和して栽培されることが多い。世界的な需要増による供給不足と昨今の国際情勢から農産物の自給率アップに寄与するために、また農業による地域経済の発展や耕作放棄地の増加などの地域環境問題の解決のためにも、その増産が望まれる。本研究は、国内コーヒーの生産地の中で、沖縄県における環境と調和したコーヒーを栽培する農園に焦点を当て、コーヒー結実のための栽培環境、コーヒー栽培手法などを明らかにすることを目的とする。

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甲野 毅家政学部教授R6~R10
美的達成を反快楽主義の立場から再検討する:非エキスパートの教育という観点から

美的達成を反快楽主義の立場から再検討する:非エキスパートの教育という観点から

本研究は美的価値の規範問題をめぐる論争を、教育論の観点から再検討する。
本研究では、理想的観賞者の快楽を軸としていたエリート主義的な美的価値論・美的判断論を改訂し、非エキスパートの成長・教育を説明できる実践的な理論をつくることを目指す。
研究は、A)美的知覚の理論化、B)美的理由の検討、C)美的教育論の改訂という、三段階で進められる。本研究の独自性は、非エキスパートの成長を説明するために徳の涵養と美的領域の拡張という徳美学の論点を導入する点、および、近年の反快楽主義者たちが見逃している「美的謙虚さをベースとした他者理解の喜び」という論点を組み込む点にある。

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森 功次国際センター准教授R6~R10
ゴシック大聖堂におけるソロモン図像の象徴体系

ゴシック大聖堂におけるソロモン図像の象徴体系

本研究の目的は、ゴシック期におけるソロモン図像の多層的な象徴体系を解明することである。ソロモン図像がゴシック期にその重要性を増したことをうけ、本研究では、本図像を特徴づける次のふたつのコンテクストに基づき捉えなおすことで、その象徴体系の解明を目指す。ふたつのコンテクストとは第一に聖母マリア図像あるいは聖母子図像との関係、および、第二に王権表象としての機能である。考察に際しては、ゴシック大聖堂という媒体を重視し、図像プログラムと建築の構成および構造との関係に注意を向け、包括的な分析を行う。

岩谷 秋美比較文化学部准教授R7~R9
日本企業の多面的対中国経済関係に関するミクロデータ計量実証分析

日本企業の多面的対中国経済関係に関するミクロデータ計量実証分析

本研究は、日本企業が中国との間でどのような経済関係を有しているのかを把握することを目指す。財の輸出入にとどまらず、今日の企業は、サービス貿易、海外直接投資、業務のアウトソーシング等の多面的な取引を行っている。財の貿易については、貿易統計が詳細な品目分類で相手国別にデータを蓄積しており、経済産業省企業活動基本調査がモノの輸出・輸入を調査項目に含めており、特に中国については国を別掲したデータの利用も可能である。しかし、それ以外の国際分業形態については、国際収支統計においてごく粗い分類の数値が公開されているにとどまる。本研究では、これら多面的関係につき実態把握を行う。

冨浦 英一データサイエンス学部教授R7~R9
労働市場の変化と家族形成

労働市場の変化と家族形成

未婚男女の家族形成意欲の低下という最近の日本の顕著な変化の背景に何があるのか、その要因として労働市場に着目する。米国ではすでに1970年代から妻の就業が世帯の格差拡大に寄与したと指摘されてきた。一方日本では2015年頃までは妻の就業が世帯の不平等を縮小するという分析が多かった。しかし最近では、日本でも夫婦とも正社員の世帯が増加する一方で、訓練機会が乏しい非正規雇用が若い男女に広がっている。それは家族形成意欲とどうかかわるのか。個人や世帯の収入の不平等の意識と実態について計測を行う。そして正社員と非正社員で分かれ、後者に女性が多い日本の二重労働市場の実態と、その解消に向けた政策について考察する。

永瀬 伸子データサイエンス学部教授R7~R9
ファミリービジネスの企業家活動による事業変革と地域活性化に関する実証的研究

ファミリービジネスの企業家活動による事業変革と地域活性化に関する実証的研究

地域の資源を基に課題を克服し、経済的、社会的価値を創出するにはアントレプレナーシップ(企業家活動)によって地域の独自性や優位性を実現できるイノベーション創出が必要である。
本研究は、地域を拠点に長く事業展開するファミリービジネスが、ファミリービジネスの特性に関わる資源の蓄積、企業家活動と事業変革を通じていかなる新機軸を打ち出し、地域の経済再生と活性化にどのような役割を果たすかについて、経営者への聞き取りによる実地調査を基に公表資料を併せた内容分析・テキストマイニングで比較し、企業年齢、規模、創業以来の理念、何代目の経営者か、外部株主等に関するデータなどを併せた定量的・定性的分析によって考察する。

山田 幸三社会情報学部教授R7~R9
心理療法におけるポジティブ感情の感情調節介入モデル構築とその実証的検討

心理療法におけるポジティブ感情の感情調節介入モデル構築とその実証的検討

ポジティブ感情調節不全への心理的介入の理想的なプロセスを明らかにすると同時に,それがどのような効果を及ぼすのかを,対照群を用いセラピスト要因を可能な限り統制する形で,実証的に明らかにすることを目的とする。これにより介入ユニットとしてのポジティブ感情調節の技法が確定され,今後の臨床研究や感情研究,さらに何よりも臨床現場での応用に資すると考えられる。

福島 哲夫人間関係学部教授R7~R9
xR環境での弓競技のリアリティ向上に関する研究

xR環境での弓競技のリアリティ向上に関する研究

本研究はアーチェリーや弓道などの弓を用いた体験を、xR(VR/AR/MR)技術によって限られた空間でも安全かつ高いリアリティで再現・拡張することを目的とする。従来のxR研究では体験は射撃動作のみに限定され、実競技との関連性、客観的評価、リアリティが不足していた。そこで本研究では①MRによる現実との融合でアスリートへの有意なフィードバックを実現し、②UXデザインを通して射撃前後を含む広範なセンシングと評価を行い、③新たな競技の創出とその客観的評価を目指す。評価には実道具と制作デバイスの比較、生体計測や慣性センサ、映像分析へのAI活用を通じて、UI/UX開発と身体性の理解に貢献する。

安本 匡佑社会情報学部教授R7~R9
テーミングを用いたAR表示による体験の変化に関する研究

テーミングを用いたAR表示による体験の変化に関する研究

視覚的なAR(Augmented Reality)表示の際に,テーミングの技術・考えを用いることで,表示を見た人の行動・思考への影響があるのではないか?影響を活用できるのではないか?という考えのもと研究を進める.例えば,部屋内にゴミが落ちているAR表示をしたら非表示後も部屋が汚れている印象になるのではないか,廊下が濡れているAR表示をしたら非表示後も濡れているように見えた場所を避けて歩くのではないか,といった考えである.テーミングとは特定のテーマやコンセプトに基づいて,製品,サービス,イベント,空間,デザインなどを統一的にデザインする手法のことである.

磯山 直也社会情報学部専任講師R7~R9
世代を跨るコミュニケーションを促進する情報ゲートウェイ

世代を跨るコミュニケーションを促進する情報ゲートウェイ

遠隔コミュニケーションにおける世代間のツール利用格差は顕著である。新しい魅力的なコミュニケーションツールが若者を中心に受け入れられると、以前のツールからコミュニケーションの場が置き換わり、メッセージ表現も変わる。旧来のツールしか利用できない高齢者をはじめとするユーザはコミュニケーションの外に置かれ、取り残されてしまう。
本研究では、様々なツール間のメッセージを相互流通し世代間のコミュニケーションを促進する仕組みについて検討する。具体的にはメッセージ伝達の過程に新たに構築する情報ゲートウェイを配置し、メッセージを変換して、受け手に適切に伝わるメッセージ表現に再構成する仕組みを実現する。

田中 清社会情報学部教授R7~R9
旧英領カリブの「白人」のエスノグラフィー: 少数派としての白人性構築過程の究明

旧英領カリブの「白人」のエスノグラフィー: 少数派としての白人性構築過程の究明

白人性とは時と場所により異なる意味を持つ流動的な概念であり、多くの場合、非白人に対する根拠のない差異と優越性の信仰、社会的・経済的特権を含意する白人の意識である。本研究は、旧英領カリブ3島(トリニダード・バルバドス・ジャマイカ)における白人性が異なることを解明した先行研究に基づき、歴史・文化的な類似点、地理的な共通点を持つ上記3島で「なぜ」「どのように」異質な白人性が構築されているのかを明らかにする。本研究はヨーロッパ系市民のクレオール化の過程に着目し、参与観察と複合的な社会階層・階級、ジェンダー、人種間の軋轢などをテーマに据えた、ヨーロッパ系市民個人による経験の語りの分析を行う。

伊藤 みちる国際センター准教授R7~R10
小・中学校を連携した理科教員の養成を目指した基礎研究

小・中学校を連携した理科教員の養成を目指した基礎研究

小学校教員が理科に対して苦手意識が強いことが問題となっている。そのためには、子どもの側から小中学校の理科の学びのつながりを考えて授業を構想できる教員の養成が求められる。そこで、すでに中学校理科の教員養成を行っている本学の理科の基礎実験や理科教育法と理科指導法を結び付ける科目内容の見直しを図ることを行っていく。
この研究を通して、義務教育における理科を中心としたカリキュラムの見直しを図り、小学校においては理科に自信をもって授業づくりを行ったり、中学校において小学校との学びを意識したりした授業づくりを行える教員を養成できることを期待している。

笹川 康子家政学部教授R7~R10
意識障害のある特養入居者に対する生理的指標を用いた離床ケア評価手法の構築

意識障害のある特養入居者に対する生理的指標を用いた離床ケア評価手法の構築

本研究は、意識障害がある特別養護老人ホーム(以下、特養)入居者に対する離床ケアを、生理的指標を用いて見直す評価手法の構築をめざしている。我々は、意識障害がある特養入居者のストレスに焦点を当て、ケアの前後で唾液アミラーゼの値を測定してきた。検定の結果、有意なストレス上昇がみられたのは、離床ケアであった。しかし、離床によるストレス上昇の理由は、さまざまなストレス要因が想定されたものの、個別のストレス要因を特定できなかった。また、唾液量の少ない方に対する測定の限界にも直面した。そこで、唾液アミラーゼ値に加えて心拍変動の測定を併用して、意識障害のある特養入居者の離床ケアの評価を行うこととした。

井上 修一人間関係学部教授R7~R10
談話・テクストの意味の理解に関わる構文的知識の研究

談話・テクストの意味の理解に関わる構文的知識の研究

構文的知識が、一文の意味の理解のみならず一文を越えた連文・談話・テクストの意味の理解に貢献することを明らかにする。構文の中でも、意味の理解に先行文脈の情報が不可欠な《格述語構文》の①容認度の低い主格名詞述語構文、②主格動詞構文・対格動詞構文の格の接続詞化、③従属節で文が終了する後置構文・中断節構文の三種を考察する。また、③の他、文が終わらずに節のまま連鎖していく《節連鎖》現象を考察し、日本語学研究において「連接構文」と呼ばれ歴史的に和文の特徴とされた現象が、現代日本語にどのように引き継がれているかを明らかにする。「連接構文」の理論的考察を行うとともに、最終的に一般言語学的な構文理論を深める。

福島 みどり文学部教授R7~R11
若手研究ポスト#MeToo時代におけるジャーナリズム―メディア労組の取り組みを中心に

ポスト#MeToo時代におけるジャーナリズム―メディア労組の取り組みを中心に

本研究は、東アジア地域におけるポスト#MeToo時代のジャーナリズムの変容を、実証的かつ理論的に分析するものである。日本と韓国は、男女格差の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」で似通っており、ジェンダー平等に向けた課題を共に掲げている。#MeTooをきっかけとした、両社会におけるメディア労組の新たな議論と取り組みを資料調査および聞き取り調査を通じて実証的に分析する。また、近代自由主義思想を基にした既存のジャーナリズムに対する、グローバルかつデジタル時代における「公共/公共性」、「ジャーナリズム」の営為のもつ意味の変容を理論的に考察する。

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李 美淑文学部准教授R3~R7
日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

本研究では、第二次世界大戦後に書かれた日本文学のなか、戦争捕虜(POW)をテーマにしたものを時期別にまとめる。戦後文学には、戦場や占領地で捕虜になった帝国日本の兵士や、日本軍の捕虜となった連合国の兵士が多く登場する。本研究では、捕虜の存在に注目した通史的な研究を行うことによって、個々の作品分析からは見えにくい、日本文学の特徴を明らかにし、戦後文学研究に新たな視点をもたらす。また、戦争捕虜を描いた文学が形成する主題のなか、とりわけ国際法への理解とレイシズムの問題を検討する。

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金 ヨンロン文学部准教授R3~R7
<日本型コンフルエント・ラブ>の文化社会学的研究

<日本型コンフルエント・ラブ>の文化社会学的研究

現代社会では、平均初婚年齢が上がり、結婚までの期間が長期化している。こうしたなか、親密で排他的な愛情関係や性関係のあり方を従来の諸研究のように「結婚」という枠組みのなかで捉えるだけでは不十分である。本研究では、新しい親密な関係性としての「コンフルエント・ラブ」(Giddens 1992)の議論を踏まえ、必ずしも結婚を前提としない恋愛関係の行動様式を文化社会学の観点から明らかにする。具体的には雑誌資料のドキュメント分析と若者を対象にしたインタビュー調査を行いながら、現代社会の恋愛関係を<日本型コンフルエント・ラブ>として捉え返し、その理論的解明を目指す。

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木村 絵里子人間関係学部准教授R3~R7
新規大卒者の職業能力形成を促す要因に関する縦断的研究

新規大卒者の職業能力形成を促す要因に関する縦断的研究

本研究の目的は、初期の職業能力形成に対して、個人の仕事に対する意識・行動が及ぼす影響およびその影響のプロセスを入社前からの連続性を踏まえて明らかにすることである。
入社前の就業意識や行動が初期の職業キャリアや職業能力と関連するのか、また、社会人3年目時点での職業能力に影響を及ぼす要因は何かといった問いを、4年間にわたる追跡調査から得られたデータのの分析によって明らかにする。
最終的には、社会人として活躍するために大学までの教育課程において育む能力について、また社会への移行後に必要な能力開発などの支援についての示唆を得ることを目指す。

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高崎 美佐データサイエンス学部准教授R3~R7
アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

近年、リアル店舗を持たないメーカーがネット店舗経由で直接消費者に販売するビジネス、すなわちD2C(Direct to Consumer)事業が活況を呈している。本研究では、D2Cのネット店舗にてアパレルを購買する消費者(D2Cショッパー)の知覚リスク低減に影響を及ぼす情報内容やその購買行動を体系的に整理・解明すると共にD2Cに取り組む企業、特に国内の縫製メーカーに向けたマーケティング施策の提案をすることを目的とし、実証研究を行う。本実証研究では、複数の企業が運営するネット店舗やSNSを対象とした分析、連携するリアル店舗調査、そして調査会社を経由したインターネットでのアンケート調査等を行う。

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吉井 健家政学部教授R4~R7
(期間延長)
オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

本研究では19世紀末から20世紀初頭に的を絞り、イギリスとアメリカでオーストラリア文学がどのように受容されたのか考察する。一方の国で売れ行きを伸ばした書物が、他方の国では、出版を拒否されたケースが存在しており、オーストラリア文学に対して英米が示した「異なる態度」の原因を明らかにすることを目指す。この問題を考えることは、当時のイギリスやアメリカを特徴づける文化的・時代的な様相を、「北半球の外」から捉えなおす営為であり、それは南半球との関係という視点の弱い、世紀転換期の英米のモダニズム研究に新たな方法論を提示することにつながるため、学術的意義があると考える。

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加藤 彩雪比較文化学部准教授R4~R8
米粒内部の糊化の可視化・定量化に基づく新しい米飯評価方法の確立と食感制御への活用

米粒内部の糊化の可視化・定量化に基づく新しい米飯評価方法の確立と食感制御への活用

食感は米飯の美味しさを決める重要な因子で澱粉の糊化状態の影響を受ける。炊飯による澱粉の糊化は,米外周部から内部に向けて進行するため,炊飯過程の粒内糊化状態は均一ではない。申請者は一粒を機器で一定厚さに圧縮した米飯粒の顕微鏡観察による画像解析情報から,粒内部の性状を評価する手法(圧縮米飯粒法)を独自に考案した。本研究では,糊化度と相関性の高い画像解析条件を見出し,米粒内の糊化の進行や不均一さなど,炊飯過程から炊飯後までの一連の変化を可視化・定量化する新しい方法を確立する。さらに,圧縮米飯粒法で取得した糊化情報と米飯食感の関係を明らかにする。

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大田原 美保家政学部教授R5~R7
教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究:教科書分析を通して

教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究:教科書分析を通して

統計的知識は様々な教科・科目で現れるものの,それらの関連付けはほとんど図られておらず,一貫性のない統計教育カリキュラムになっている。本研究は,教科・科目横断的な統計教育の実現に向けた基礎的研究として,次の3つの問いに取り組む:1. 各教科・科目ではどのような統計的な知識や活動がどのように位置づいているか,2. 各教科・科目で扱われる統計的な知識や活動にはどのような特徴があるか,3. 各教科・科目の統計的な知識や活動をどのように関連付けることができるか。

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大谷 洋貴家政学部専任講師R5~R7
近世後期の日朝外交―幕府対外政策の統合的理解―

近世後期の日朝外交―幕府対外政策の統合的理解―

幕府の対外関係の関心が欧米列強へと移り、「日朝外交への関心を失った」ように見える近世後期を対象にして、
(Ⅰ)対馬藩による日朝交渉の実態を、具体的に掘り起こしながら明らかにする。
(Ⅱ)対外関係を担った幕閣およびその官吏集団における朝鮮外交の位置を見極める。
(Ⅰ)で明らかにされる実態が(Ⅱ)にどのように反映されているのか、あるいはその逆はどのように影響しているのかといった、相関関係に着目しながら、幕府の対外政策とくに日朝外交政策を統合的に考察する。

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酒井 雅代比較文化学部准教授R5~R8
里親家庭の子どもの支援に関する包括的研究

里親家庭の子どもの支援に関する包括的研究

本研究は、2016年の児童福祉法改正等により、様々な政策が進められてきている里親制度における子ども支援に着目した研究を行う。これまで国内の里親支援に関する研究や実践は主に里親に対する支援が中心であり、里親家庭の子どもの支援の検討は十分に行われていない。本研究において、国内外の他分野や他領域で行われている子ども支援の取り組みを調査し、里親家庭で生活した経験者へのインタビュー調査をすることによって里親家庭の子どもの必要な支援を明らかにすることを目的とする。多角的な視点から子ども支援を俯瞰することにより、他領域の支援を里親家庭の子どもの支援に応用し新たな支援方法を明らかにすることを目指す。

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山本 真知子人間関係学部准教授R5~R8
高等教育機関でのメイカースペースの主体的利用につながる学生の興味発展過程の解明

高等教育機関でのメイカースペースの主体的利用につながる学生の興味発展過程の解明

本研究では、日本の高等教育機関(大学、高等専門学校)におけるメイカースペースの設置状況を調査したうえで、メイカースペースを自主的に利用している学生に対してインタビュー調査を行う。それによって、学生が授業やクラブ・サークル活動、趣味等のどんな経験を通して、メイカースペース利用につながる興味を発展させているのかを明らかにする。得られた結果をもとに、今後、学生の興味発展とメイカースペース利用を促すために、高等教育機関にどのような取り組みが求められるのかを考察し、ものづくり教育やアントレプレナーシップ教育への示唆をまとめる。

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杉山 昂平社会情報学部専任講師R6~R8
資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を引き起こすメカニズムの解明

資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を引き起こすメカニズムの解明

社会ではしばしば自集団の中に存在する異質な人々を排除しようとする風潮が強まり、それが暴動や紛争に繋がることもある。従来の研究はこうした現象の背後に資源不足の影響があることを示唆している。しかしそれらは資源不足時に人が異質な他者を排除したいという欲求を高めることを示すにとどまり、それが集団内葛藤や集団間紛争まで導くのか、導くならばどのようなメカニズムによるのかは未解明である。そこで本研究では、資源不足が集団内葛藤・集団間紛争を導くメカニズムを解明する。このメカニズムを解明し、それを基にした介入方法を検討することで、現実社会で生じている暴動・紛争を改善・予防する糸口が得られることが期待される。

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竹部 成崇文学部専任講師R6~R10
(期間延長)
研究活動スタート支援メディア経験・実践論に基づくメディア記憶の構築過程の分析と太平洋戦争の記憶

メディア経験・実践論に基づくメディア記憶の構築過程の分析と太平洋戦争の記憶

本研究では、人々の経験や実践の多くがマス・メディアやソーシャル・メディアを経由する現代社会において、メディア経験・実践による集合的記憶(過去の出来事に関する社会的に共有されたイメージ)の構築過程を明らかにする。
具体的には、人々のメディア経験・実践の多様性と多層性を分析するメディア論的な視点と集合的記憶論を理論的に接合したうえで、アジア・太平洋戦争の記憶の構築過程を実証的に分析する。戦後75年以上が経過した現在でも、アジア・太平洋戦争の記憶はさまざまなメディアを通じて構築されている。この構築過程を実証的に分析することが、本研究の実証的な課題である。

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佐藤 信吾社会情報学部専任講師R5~R7
(期間延長)

短期大学部

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研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(C)大規模スクリーニングで得た出芽酵母局在化RNA、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの解析

大規模スクリーニングで得た出芽酵母局在化RNA、MSA1 mRNA及びEGD1 mRNAの解析

遺伝情報は、遺伝子の本体であるDNAからRNAに写し取られて発現する。したがって、RNAの細胞内局在化は、遺伝情報を空間的に制御するための重要な現象である。RNAの局在化により、細胞内では情報の偏りが生じ、細胞の極性形成や分化が誘導される。我々は、真核生物のモデル系である出芽酵母を用いて、細胞内で特異的な局在を示す新規の局在化RNAを多数発見した。本研究では、これらの新規局在化RNAのうち、細胞周期に関わるMSA1 mRNAとタンパク質の安定性に関わるEGD1 mRNAについて解析する。将来、RNAの局在化制御が可能となれば、医療分野や農業分野等への幅広い応用が期待できる。

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竹内 知子家政科教授R5~R7
アメリカ公立図書館児童サービスに関する批判的・歴史的研究と失われた記憶の再生

アメリカ公立図書館児童サービスに関する批判的・歴史的研究と失われた記憶の再生

アメリカ公立図書館における児童サービスの形成・確立・発展期である19世紀末から20世紀初頭を中心に、(研究課題1)児童サービスの思想、(研究課題2)児童サービスの実践、(研究課題3)児童サービスの組織・指導者という3つの研究領域を設定し、児童サービス全体にジェンダー、階級、人種、権力関係が浸透していた現実を探究する。それらの成果を土台として「児童サービスの理想と現実の確執」の解明を目指す。その結果、児童サービスの研究にジェンダー、階級、人種、権力関係の考察が不可欠なことを示し、現在及び、将来に向けて児童サービスの理論と実践に寄与することを研究目的とする。

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中山 愛理国文科准教授R6~R8

※大学および短期大学部の過去の採択状況は、科研費 過去の採択状況をご覧ください。

全国学校別 採択件数・配分額一覧表 令和7(2025)年度

※文部科学省ホームページ 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

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