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科研費 過去の採択状況 令和4(2022)年度

採択課題一覧

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研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(B)ミャンマー135民族の民族服製作技術の残存調査と技術学習過程の最適化方法論の開発

ミャンマー135民族の民族服製作技術の残存調査と技術学習過程の最適化方法論の開発

  • 東南アジア諸国の博物館等には多様な少数民族の民族服が保存展示されているが、民族服の製作技能保有者、継承者は全域的に激減しつつある。
    彼らの社会の殆どが無文字社会の為に学習マニュアルや文字資料が残されておらず消失が危惧されている。本研究ではミャンマーの135全民族の伝統的正装・民族服の製作技術を保存し、継承者の学習を容易にする為に教育科学的合理性をもつ学習過程の開発・提案を行い、その製作技術と民族服文化を後世に継承する為の基礎研究を行う。
  • 初年度である2018年度は、4月に国内メンバーによる準備会を開催し、役割分担を確認するとともに、「調査員調査手引き」を作成した。これを使用して5月にミャンマーの協力機関(大学)において調査協力者、調査員を対象とした研修と標本資料収集に向けた準備を開始した。次いで7月には、135全民族の伝統的正装・民族服(男女計270)の現物標本資料の収集を開始した。収集した標本は番号を付し、収集時の情報(収集日、収集場所、収集者、資料提供者、製作者等)を文字情報として保存した(標本整理)。さらに詳細な調査(標本資料の寸法計測、製図、民族服の特徴を固有属性(糸の種類・織り方・文様の種類・形状の特徴等)の抽出)のための準備を行った。
  • 民族服製作技能保有者と継承者・学習者を探し出し、民族服製作に関する経歴に関する実態調査(性別・年齢・居住地・製作可能な民族服(正装)の種類・保有技術の種類等)を開始した。
  • 2月、調査研究の拠点であるミャンマーの協力機関(大学)において、次年度に向けた調査研究の打合せを行った。
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下田 敦子人間生活文化
研究所
准教授H30~R4
(繰越延長)
社会・自然環境と子どもの身体技術能力(生活技術を含む)の発達過程の相互作用

社会・自然環境と子どもの身体技術能力(生活技術を含む)の発達過程の相互作用

人の身体技術・能力の獲得と発達過程に関する理論・評価基準は欧米や東アジアを中心として19世紀末~20世紀に形成されたが、それ以前の時代に生きた人や、周辺地域・民族のデータを欠いたまま現在に至っている。それ故、狩猟採集社会や未開な社会、産業化されていない社会の人の身体技術の発達過程は全く未知であり、多くの課題が残されたままである。この研究では現在でも原始的な生活(ライフスタイル)様式を残しているアジアの諸民族から現代の都市的社会に生きる民族までのスコープで、人類の文明化の各発展段階(5段階に区分)に生きる人々を対象として、身体技術の発達過程の諸相を社会・自然環境との関係から解明する。

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大澤 清二人間生活文化
研究所
特別研究員H31~R4
(繰越延長)
微生物による燃料デブリの劣化溶解促進作用の解明研究

微生物による燃料デブリの劣化溶解促進作用の解明研究

福島第一原子力発電所(1F)の事故により、溶融燃料とコンクリートとの反応(MCCI)生成物を対象として、MCCI生成物の微生物による劣化機構を明らかにすることを最終目的とする。そのため、SiO2、ZrO2などが溶融・固化したMCCI生成物と同様のマトリックス構造を有する模擬体デブリを微生物と共に培養液中に添加し、各元素の溶出濃度変化を調べる。さらに、模擬デブリのマトリックス構造の変化や損傷や漏出するU等元素の化学状態を電子顕微鏡、放射光分析により明らかにする。結果に基づき、MCCI生成物の微生物により劣化し易いマトリックスを明らかにし、マトリックスの劣化によるUなどの漏出機構を解明する。

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大貫 敏彦人間生活文化
研究所
特別研究員H31~R4
(繰越延長)
ゲーミフィケーション・機械学習を利用した幼児の自己身体認識評価課題の開発と評価

ゲーミフィケーション・機械学習を利用した幼児の自己身体認識評価課題の開発と評価

鏡を見て鼻を触るとき、見えない身体部位の位置を把握する固有感覚ベースの身体地図が働く。その発達過程の検討は、これまで観察主体でしか行われてこなかった。本研究では、ゲーミフィケーションを取り入れ、幼児の身体地図の発達を定量的に評価できる新たな課題を開発、評価する。具体的には、自己映像の身体各部位に拡張現実(AR)を用いてマークを表示し、幼児が実物の自己身体に対応づけて当該部位を定位できるかを評価する。また、自己映像身体部位定位における他者身体への参照の役割も検討する。幼児期初期に特有の自己/他者身体表現獲得の発達過程と獲得メカニズムに迫る。

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宮崎 美智子社会情報学部准教授H31~R4
二言語を同時習得する日系国際児の日本語作文力の発達過程の解明

二言語を同時習得する日系国際児の日本語作文力の発達過程の解明

平日は現地校に通い週末に補習校で日本語を学習する児童が、日本語で書く力(作文力)を習得することは容易ではなく、補習校教育の重要な課題になっているが、補習校通学児の作文力の発達過程は明らかになっていない。本研究では、現地語(優勢言語)が異なる国際児(①ドイツ語を優勢言語とする独日国際児、②中国語を優勢言語とする台日国際児)を対象に、3時点(小2→小4→小6)での縦断的作文調査を行い、二言語の同時習得が日本語作文力の形成に及ぼす一般的な影響と、優勢言語や現地校の作文教育による固有の影響を解明する。これにより優勢言語によって伸びにくい側面を予測でき、補習校の作文指導改善に役立つ知見を提供できる。

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柴山 真琴家政学部教授H31~R5
少子化時代の子育ちの社会関係資本を再構築する住まい・道・住区の形態に関する研究

少子化時代の子育ちの社会関係資本を再構築する住まい・道・住区の形態に関する研究

ここでは外遊びを中心にした自律的成長を住居・道・住区の形態と社会関係資本との関係からみて、少子化時代の対策となる住環境のあり方を考える。そのため先進事例を有す欧州の事例も含めてコウハウジング等の住居、歩車共存道路や遊び場道路開放等の道、子どもの遊び環境を意図した新住宅地および既成市街地にて、観察や半構造化・構造化面接、配票調査などの調査から、子どもの外遊びを中心とした子育ちと社会関係資本の関係を成り立たせる空間形態や他の要因を明らかにする。得られた空間形態、社会関係資本、子育ちの関係を名付ける(パタン・ランゲージ化)作業を経て、「子どもを育てる住まい・道・まちづくり型録」として社会に発信する。

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木下 勇社会情報学部教授R2~R4
ファミリービジネスの企業家活動と地域創生に関する実証的研究

ファミリービジネスの企業家活動と地域創生に関する実証的研究

日本社会は、経済の再生と活性化による地域創生が課題であり、企業家活動によって旧来の制度やビジネスシステムを再構築して新たな価値を創造するイノベーションの創出が必要である。地場産業の仕組みや地域の資源を環境に応じて変換し、価値を創造するには地域で長く存続する中小企業の主流であるファミリービジネスの理論を包含した視座から、地域の変革を一過性ではなく持続させる要因を明らかにする必要がある。本研究は、ファミリービジネスの社会情緒的資産が企業家活動にいかに関連し、その企業家活動が地域創生にいかに貢献するかについて、実地調査を基礎に公表資料を併せて内容分析・テキストマイニングで比較分析を試みて考察する。

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山田 幸三社会情報学部教授R2~R5
経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

経験的概念としての「ポジショナリティ」の発展的研究

本研究では、帰属集団の相違によって発生する権力関係、意識の齟齬、係争等について、これまで理論的に議論されてきたポジショナリティという概念を用いて分析する。実際に齟齬や係争が発生している事例を調査することにより、経験的な概念としてポジショナリティを再検討し、ポジショナリティに意識的であることが、帰属集団の違いを超えた協働を可能にする条件であることを示したい。そのため、日本と沖縄などの集団関係、ジェンダー、外国人問題、障がい関連の4つの領域で、文献調査、聞き取り調査、アンケート調査を組み合わせた調査を実施する。また日本と韓国でアンケート調査を行い、ポジショナリティに対する意識の国際比較も行う。

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池田 緑社会情報学部准教授R3~R6
日本の産婆史料のデジタル化と出産記録に基づく助産の歴史社会学的研究

日本の産婆史料のデジタル化と出産記録に基づく助産の歴史社会学的研究

本研究は、戦前期の産婆雑誌の収集、助産所に保管されている助産録、日誌等のデジタル化と収集をおこなう。この作業を通じ、産婆・助産婦が果たしてきた役割と実践を位置づけるとともに、日本の出産の記録として保管し、歴史社会学的に評価し位置づけることを目的とする。産む女性と助産者との相互作用によって成立する<正常>な出産を成立させる社会的環境を考察し、それを通して、現代社会の出産環境を捉え直す。本研究によってデジタル化された収集資料を「日本の産婆・助産婦データベース」(仮)として構築する。それを通じ国内外に向けて女性と助産者と研究者が広く活用できる文化資源として整備し、次世代に継承することをめざす。

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大出 春江人間生活文化研究所特別研究員R3~R5
基盤研究(C)17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

1643年の王位継承から1715年の死までフランスの歴史の中で最も長い治世の中で、ルイ14世は対外的な行動力と内政においてヨーロッパの頂点を極めた。そしてその功績は現在もパリの至る所に記されている。
絶対王政確立におけるルイ14世の政治的手腕の一つとして文化政策があげられるが、その中で国王のイメージ戦略を含む演劇というライヴ・パフォーマンスは欠かせない。そこにはルイ14世のもとで彼の要望に応え続けた喜劇作家モリエールの存在がある。彼の古典ラテン喜劇作家から受け継いできた理想の喜劇を作り続ける劇作法、為政者と観客が求めるものを提供した作品は、「愉しませながら教え諭す」という喜劇の理論を具現化し、21世紀の我々に娯楽としての魅力と17世紀のフランス社会を写しだした文化史としての魅力を提示している。
モリエール劇団の一員ラ・グランジュの『帳簿』と、彼によって劇作家の死後出版された全集、アンドレ・フェリビアンによるヴェルサイユ宮殿における祝祭の公式報告書、モンティニ神父やバラールによる報告書、『ガゼット』、シャルル・ロビネの書簡、財務省に呼ばれたオランダ人ホイヘンスの報告書などがそれらを証明している。モリエールが古典ラテン喜劇作家の後継者であることは、第一に彼の作品がその死後も評価され続けていることに見て取れる。同時に、世紀末になって古典ラテン喜劇作家が再び仏訳され、テレンティウスの作品が翻案されたことにより、フランス喜劇の神髄に古典ラテン喜劇作家が息づいていることが明らかとなった。

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榎本 恵子文学部准教授H29~R4
(期間再々延長)
住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

今年度は2年目であり、住宅市場における賃貸併用住宅の建築動向の把握を行った昨年度(住宅展示場の調査など)に引き続き、賃貸併用住宅の建築動向に関するデータの収集の一環として、既存統計調査での取り扱いについて検討を行った。住宅メーカー各社の建築実績の概要が把握できたものの、定量的な把握は困難であることが確認できた。さらに、賃貸併用住宅の建築がこれまでの東京23区外延部から、郊外部へと広がっていることや、それらの地域へ向けた営業が徐々に行われていることが分かった。
また、D社の建築した賃貸併用住宅の平面図・配置図の分析を行い、これらの住宅建築の建築設計上および敷地や立地上の特性についての検討を行い、敷地の広さや接道条件などとの関係により、住宅平面が異なることも分かった。
近年、賃貸住宅の空き家化が問題視されるなか、賃貸併用住宅の建築が活発な要因をさぐるとともに、地域的課題を明らかとする必要があり、賃貸
住宅建築のなかでの賃貸併用住宅の比重、オーナー住宅との関係などが重要な点であることが確認された。
さらに、賃貸併用住宅としての特殊性や、その他の賃貸住宅と比較して有利な点を明らかとすべく、賃貸併用住宅の管理を行っているD社の管理部門他へのヒアリングを実施し、建築企画段階および建築後の入居者管理・建物の維持管理における問題を把握することができた。比較的敷地が広く、その地域に定住意向の強い持家層の建築が多いことや、賃貸住宅経営の経験があるなどの、賃貸併用住宅建築を行った居住者像をより明らかにした。

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松本 暢子社会情報学部教授H29~R4
(期間再々延長)
子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造と倫理的基盤形成のメカニズムに関する研究

子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造と倫理的基盤形成のメカニズムに関する研究

2018年度は、本研究の基盤となる子どもの権利の視点について、それを子ども支援における単なる理念としてではなく、子どもを取り巻く児童福祉の課題を解決するための具体的な手段として生かすために、その方法論についての研究に取り組んできた。具体的には、①子どもの権利の視点に立つNPO団体へのヒアリング調査と参与観察調査をとおして、各団体が子どもの権利の視点をどのように位置付け、児童福祉実践に生かし、課題解決に取り組んでいるのか、子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造についてのデータ収集と予備的考察を実施したこと。合わせて、②人権概念に基づく当事者主体の社会福祉理論に関する文献研究に取り組み、上記実践内容に関する理論的背景・基盤についての検討を行った。
本研究の意義は、子育て支援や児童福祉の法定サービスが整備されてきた一方で、子ども虐待、貧困、いじめ、子ども・若者の自死、子どもが犠牲となる事故など、数多の問題が発生し、悪化している中で、サービスありきではなく、「子どもの権利に基づく、子どもを主体としたつながりの支援」の方法とその要件を明らかにすることである。こうした課題に応えるために、2018年度は、子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造として、①子どもを主体としたつながりを、「子どもの最善の利益」の配慮(条約3条)を軸とした支援によってつくり出すこと、②子どもを主体としたつながりの対象として、「子どもの権利条約」に規定された子どもの総合的な権利内容を活用できることを、データ分析と考察を通して導き出したことである。

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加藤 悦雄家政学部准教授H30~R4
(期間再延長)
電気自動車を接続したスマートグリッドの構築に関する制度設計の経済学的研究

電気自動車を接続したスマートグリッドの構築に関する制度設計の経済学的研究

近年、太陽光発電などの再生可能エネルギーや電気自動車の活用が環境政策の重要課題となっている。本研究は、スマートグリッドと電気自動車との効率的な接続により太陽光発電と電気自動車の双方の普及・活用を目指す政策の効果を解明する。そのため、スマートグリッドを効率化する税制や料金体系に関する経済理論を構築し、太陽光発電と電気自動車の普及・活用のための政策立案と、その効果の実証的分析を行う。H30年度は、太陽光発電システムの普及を促す政策の効果の解明を目的として、太陽光発電システムの需要構造を分析した先行研究を概観することで、効率的な普及を実現するための要因を把握するとともに、普及政策の効果を検討した。その結果、太陽光発電システムへの投資には大きな不確実性を伴うため、固定価格買取制度などの固定的な金銭的インセンティブとともに、リースなどの不確実性を低下させる取引形態の普及促進が効果的であることがわかった。また、太陽光発電システムの導入におけるピア効果のため、その普及においてコミュニティーの役割が重要視されていることもわかった。この成果については、論文「太陽光発電システムの需要構造と普及政策の効果」にまとめ、大学紀要に掲載した。また、電気自動車とガソリン車が混在する過渡期の最適な自動車税制の解明を目的とし、2006年から2015年までのデータを用いて、Berry et al. (1995)のランダム係数ロジットモデルにより自動車の需要構造を分析し、得られた需要構造をもとに、走行距離に応じた課税が導入された場合のシミュレーションを行った。この成果を論文「Consumer Valuation of Future Costs versus Purchase Prices: A Study of Japan's Auto Market」にまとめ、日本経済政策学会の国際会議で報告した。

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荒川 潔社会情報学部准教授H30~R4
(期間再延長)
后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究

后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究

本研究は、平安時代から南北朝時代頃の后妃・女院の儀礼と生活様態の変容を住宅史の視点から明らかにすることを目的とする。今年度は、前課題より推進してきた、儀礼空間における女性の座を示す打出という舗設の変遷を明らかにするために、指図に示された打出を収集した。大日本古記録・史料大成・続史料大成等に所収された指図を複写する作業を行った。具体的に打出の図が示された、廣義門院御産愚記(延慶 4 年(1311)4 月11 日条、姫宮御五十日(『公衡公記』所収)、『花園天皇宸記』 齋場御覧 公卿淵酔(正慶元(1332)年11月12日条)を見出した。これにより打出の舗設は、南北朝時代まで継承された。室町殿まで継承されることが予見され、次年度の課題としたい。
また、国文学・服飾史との共同研究により、2回の口頭報告等を実施した。(1)天徳4年(960)内裏歌合の場や、皇后宮寛子春秋歌合の場(天喜四年(1056)の復原を推進し、和歌文学会の例会で発表した。春秋歌合は、里内裏である一条院が会場とされた。渡殿を公卿座、簀子を殿上人、廂の御簾内を女房座とする構成は、天徳内裏歌合に準じるが、左右の女房装束を互い違いにするなど、創意に富んだ演出が生み出された。この場合、左右女房は歌合の趣向に合わせて左・春、右・秋の装束を着用しているが、几帳にはあやめ草模様が用いられ、季節に即した夏仕様であった点を示した。
(2)頼通水閣歌合の復原を推進し、平泉文化フォーラムにおいて報告した。国際的な成果の発信として、米国メトロポリタン美術館の源氏物語展に際
して、源氏物語の六条院研究の成果を、英文図録にまとめた。

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赤澤 真理家政学部専任講師H30~R4
(期間延長)
コンピュータプログラミング学習の神経基盤に関わる基礎研究

コンピュータプログラミング学習の神経基盤に関わる基礎研究

新学習指導要領では、「プログラミング的思考」の育成を目指して、小中高等学校の全ての段階でプログラミング学習が必修化される。しかし、コンピュータプログラミング学習には、言語や数学など記号の操作力,論理的思考力,目標達成など、ヒトの認知機能を支える能力が関わっていると考えられるが,「プログラミング的思考」に比較的特異的な能力あるいは神経基盤が存在するのか,あるいは記号の操作力など他の認知能力の基盤を流用しているのかは、過去に神経科学的研究がほとんど存在しないため明らかでない。そこで本研究では、コンピュータプログラミング学習が脳の神経可塑的変化に及ぼす影響及び学習過程が脳活動に与える影響をMRI等により測定し、これら一連の研究成果を通して、プログラミング教育の教育的意義や指導法を考察する基礎資料の収集を試みる。
本年度は、30名のプログラミング未学習者を集め、うち実験群(22名)は15回の授業に加えて11回の講習会を受け、プログラミングの中間試験および事後試験、さらに最終作品の提出を義務付けた。プログラミング学習をしない統制群は8名であった。実験群は学習の前・中・後の3回、統制群は学習の前後の2回、脳構造(T1、拡散強調画像)、脳機能(安静時脳機能活動)を撮像した。さらに、学習の前後に学習やプログラミングに関する興味・関心等に関するアンケート、学習前の知的機能検査を行った。その結果、知的機能検査および統制群と実験群の脳構造の比較(横断分析)では有意な差は見受けられなかった。これは統制群の人数が少数であったためと考えられる。一方、昨年度の実験群のデータと合わせた34人の学習前後の変化(縦断分析)では、脳構造に有意差傾向がみられる部位のあることが明らかになった。

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本郷 健社会情報学部教授H30~R4
(期間延長)
学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

平成28年度~29年度に都内小学校2校において5、6年生を対象として測定したデータ(414名)について集計・分析を行った。その結果、身長、体重、肥満度、骨格筋量、体脂肪率においては、東京都心部と山間部の小学校では測定値に違いはなく、骨密度は、男子において山間部のほうが有意に高かったことから、校庭の広さ等の運動環境は子どもの骨密度に影響する可能性が考えられたが、筋肉量や体脂肪率には影響をあたえないと考えられた。
性別で比較すると、体脂肪率は6年生で男子よりも女子のほうが有意に高かった。
また、学年別に比較すると、骨格筋量および全体筋肉量は男子において5年生よりも6年生のほうが多く、体脂肪率は女子において5年生よりも6年生のほうが高いことがわかった。これらのことから、小学6年生ころから第二次性徴にともなう身体構成の変化を確認することができた。
以上の結果を含めてさらに調査・測定を進めるため、来年度からの測定にむけて機器整備、補修をおこない、新規に購入した骨密度については測定バイアス軽減のために測定トレーニングを実施した。また、対象校の選定については運動環境等を考慮しながら研究協力依頼をすすめている。

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上杉 宰世家政学部准教授H30~R4
対話的アプローチを用いた発達障がい児に対するチーム支援プログラムに関する研究

対話的アプローチを用いた発達障がい児に対するチーム支援プログラムに関する研究

平成27年12月中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(以下「チーム学校」答申)が出されたが、家庭、地域、関係機関との連携・協働についての検討は十分とはいえない。
本研究では、発達障がい児への教育、支援における「チーム学校」について、チーム支援プログラムの検討、開発を行うことを目的とする。具体的には子どもの支援関係者チームと家族のチームを想定し、社会ネットワークの視点と社会文化的視点からチームメンバー間の対話を促すアプローチを実践し、検討する。本研究の成果は、「チーム学校」実現と機能の強化、そして地域とともに子どもの成長を支える体制の構築になると考える。

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高橋 ゆう子家政学部教授H31~R4
(期間延長)
子育て期後の共働き家族における妻のキャリア形成と夫の家庭役割、勢力関係

子育て期後の共働き家族における妻のキャリア形成と夫の家庭役割、勢力関係

研究の概要として、第1に、末子中学生以上の子育て期後の共働き家族において、妻の就業およびキャリア形成は、夫の家庭役割の分担、家族要因、妻自身の意識によってどのように影響を受けるのか、妻の職場の要因、サポート環境も含めて、妻の子育て・家事のゲートキーピング概念を用いて明らかにする。第2に、妻の就業による収入や勤続年数、役職などキャリア要因を含む勢力が、夫婦間の勢力関係や家計管理にいかなる影響を及ぼすのかを明らかにする。第3は、子育て期後の夫の子育て・家事参加および妻の就業が、中学生以上の子どもの職業観や社会化にどのような影響を及ぼすのかについて明らかにする。

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中川 まり家政学部准教授H31~R4
(期間延長)
ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

障害者就労支援の専門職員である「ジョブコーチ」は、その効果と必要性が認められているにもかかわらず、職務内容及び必要な知識・スキルは明確になっていない。そこで本研究では、先ず、インタビュー調査を通してジョブコーチに必要な知識・スキルを質的に把握する。次に、インタビューで得られた知見をもとにジョブコーチの職能要素に関わる質問紙調査を作成し、ジョブコーチ約400人を対象に量的調査を行う。それにより、ジョブコーチに必要な知識及びスキルの要素と構造を明らかにすると共に、支援対象者の障害種、ジョブコーチの種別等による違いを明確化する。また、ジョブコーチ養成カリキュラムで修正すべきポイントを明らかにする。

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小川 浩人間関係学部教授H31~R4
(期間延長)
日本関係の近世ラテン語文学 - 成立の文脈と未校訂写本の研究 -

日本関係の近世ラテン語文学 - 成立の文脈と未校訂写本の研究 -

本研究は日本を扱った近世ラテン語文学作品のうち、未出版手稿で現存するもの数点をとりあげ、(1)作品の日本情報がどのように記録され、ヨーロッパに伝されたのか、(2)作品が制作された環境においてその情報がどのように受容、選択、加工、再発信されたのかを包括的に明らかにする。内容が未知である日本関の近世ヨーロッパのラテン語一次史料を発掘し、その生成の文脈をたどることは、西洋古典学やキリシタン文化学のみならず比較文学、文化史、思想史、海外交流史等他分野にも新たな研究の可能性をもたらすことが期待される。

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渡邉 顕彦比較文化学部教授H31~R4
(期間延長)
独日バイリンガル児の継承日本語での書く力を伸ばす「国語教科書活用法」の開発

独日バイリンガル児の継承日本語での書く力を伸ばす「国語教科書活用法」の開発-

在ドイツ日本語補習校で学ぶ独日バイリンガル児の日本語で書く力を伸ばす指導方法を開発する。バイリンガル児が優勢なドイツ語で身につけた文章の構成力やスキルを日本語でも活用させる一方、語彙・構文等の伸びが緩やかなため、複雑な内容の表現が難しいという弱点の補強を目指す。「書くこと」に重点がある現地校のドイツ語科のカリキュラムと教授法、また補習校で用いる国語教科書の指導事項を分析し、現地校の作文指導に合わせて、「書くこと」を軸に国語教科書の指導事項を組み合わせ、学習効果を高める「国語教科書活用法」を開発する。これにより補習校の実践を支援し、また他の日本語学習者の書くことの指導への応用可能性も提示する。

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ビアルケ 千咲人間生活文化研究所研究員H31~R4
日本中の4年生が星の観察ができる指導法の開発-星座カメラ i-CANを活用して-

日本中の4年生が星の観察ができる指導法の開発-星座カメラ i-CANを活用して-

小学校第4学年で位置づけられている星の動きの学習は、実際の星空を観てその観察記録を基に学習を展開することが望まれている。しかし、多くの学校現場では星を実際に観察し、観察結果をもとに星の動きを捉えることができていない。そのための教材の開発と指導法の開発が求められる。
本研究では、星座カメラi-CANを用い、今夜実際の星空で見られる星の集まりを昼間の授業時間に観て、記録の練習を行う。その学習を受けて、児童は各自の家で夜に星を実際に観察し記録し、それらの記録を用いて、児童が問題を解決していくという指導法を開発する。また、星の学習をいつの時期に、どの星の集まりを使うかについても検討し教材の開発も行う。

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石井 雅幸家政学部教授R2~R4
ネパールの村落における社会関与型アートプロジェクトと芸術教育

ネパールの村落における社会関与型アートプロジェクトと芸術教育

「現代アート」の分野でアートの社会的な機能に着目した活動は「社会関与型アート」(Socially Engaged Art) と呼ばれ、近年、国内でも地域の発展とアートを結び付けたさまざまな活動が行われるようになっている。本研究では、ネパールの山村において継続中の自然素材を活用した「社会関与型アート」プロジェクトを発展させ、その意義を芸術実践および芸術教育の視点から考察し、持続可能な村落開発につながる「社会関与型アート」プロジェクトのモデルを提示する。「現代アート」における最先端の動向を「現代アート」という言葉から最も遠く離れた地域で実践するという画期的な試みでもある。

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金田 卓也家政学部教授R2~R4
保育者の成長プロセスに応じた専門性向上の機会のあり方に関する研究

保育者の成長プロセスに応じた専門性向上の機会のあり方に関する研究

本研究は、保育者の専門性開発(発達)の段階、およびそれを区分けする要因を詳しく特定すると共に、保育者に学びの機会を具体的に明らかにし、園組織で実践可能な具体的な手立てを明らかにすることを目指した研究である。
以前に実施した調査では、キャリア初期においては、保育者間の関係性において専門性を獲得する(育てられる)ことが多く、経験が豊かになると自身の実践経験や外部の研修などを通じて新しい知見を獲得しながら学ぶ傾向に変化していくことがわかっている。
この経過についてより詳細に明らかにするべく、本研究では先行研究を整理し組み合わせつつ、保育現場を数多く訪問し実践者の証言を多く収集しつつモデル化を図る。

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坂田 哲人家政学部専任講師R2~R4
災害報道における放送メディアの役割に関する実証的研究

災害報道における放送メディアの役割に関する実証的研究

2011年の東日本大震災以降,「テレビ報道における『災害報道』は,これまでの『平時のジャーナリズム活動』から『防災・減災活動』へと変化させつつある,のではないか?」との仮説を,東日本大震災以降のテレビおける災害報道の内容分析を行うことで検証するのが本研究の主題である.
また,研究期間中に起こった災害について,被災地調査,該当放送局に対するヒアリング調査を行い,放送メディアが防災,減災に果たした役割について実証的に研究を進めていく予定.

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桶田 敦文学部教授R2~R4
仮名本『曽我物語』の後期本文の変容とその意味

仮名本『曽我物語』の後期本文の変容とその意味

『曽我物語』仮名本諸伝本中重要な位置を占める武田本の本文を紹介し注釈を施す。仮名12巻本の形態となった早い段階の武田本の解明は、仮名本生成の環境・時代や文化的背景を明らかにすることになる。一方、流布本の本文策定は、その最終形態としての『曽我物語』を確認することとなる。このことは、ただ『曽我物語』だけの問題ではなく、『義経記』『平家物語』等の軍記文学の本文生成についても、示唆を与えてくれるはずである。また、『曽我物語』の作品世界を支えた様々な言説の解明は、説話文学のあり方についても明らかにしていくことになる。また、『曽我物語』から切り出されていった、能・幸若等の芸能のあり方についても考えていく。

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小井土 守敏文学部教授R2~R4
子育て・子育ち環境としての開かれた共生型集住に関する研究

子育て・子育ち環境としての開かれた共生型集住に関する研究

近年、家族の小規模化や近隣関係・交流の希薄化によって、家族や近隣関係のなかにあった子育て・子育ちの機能が著しく低下している。安心して生み育て、豊かな人間性や社会性を育む子育て・子育ちのための居住環境の再構築は我が国の喫緊の課題である。
そこで本研究は、日本初の居住者自身で運営するセルフワーク型多世代コレクティブハウス(かんかん森)の入居から16年間の運営方法の変化を分析し、子育て・子育ちの住まいとしての有用性の検証と課題を明らかにする。さらに、子育て・子育ちのための、開かれた共生型集住コレクティブハウスのあり方(事業方式・暮らしの運営方法・空間構成)を示すものである。

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大橋 寿美子社会情報学部教授R2~R4
身近な食と連携した新たな体験型の海洋教育「海育(うみいく)」の提案

身近な食と連携した新たな体験型の海洋教育「海育(うみいく)」の提案

学習指導要領改訂により、文部科学省は2025年までに全ての市町村で海洋教育を実践することを目指しているが、実践例は未だに限定的である。
本研究では、海洋教育を教育現場で充実・普及させるために、新たに「生活体験」の重要な要素である「食」と関係づけた体験型の海洋教育を提案する。具体的には、地域の魚介類を題材に、子どもたちによる「うみいくカード」作成を行う。さらに、取り組みの前後で海洋リテラシーとセルフエフィカシーの調査を行い、取り組みの効果を検証する。
本研究の成果は、地域連携型の海洋教育の先駆的なモデルとして、他の地域にも波及的な効果を持ち、海洋教育の充実・普及に大いに寄与すると確信する。

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細谷 夏実社会情報学部教授R2~R4
戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

東京西部の戸建住宅市街地の住宅更新は、家族のライフサイクルに応じた増改築、経年変化による建替えが行われ、住宅は資産として継承されてきた。しかし、敷地の小規模化や道路条件等から原位置での建替えは難しく、空き家化が懸念されている。空き家問題が社会問題化しているが、大都市部の戸建住宅市街地の空き家化の経緯に関する調査では、その要因分析が十分に行われていない。
そこで本研究は、東京西部の住宅地を対象として、①長期に住み続けている事例、②資産運用型の建替事例、③空き家化した事例を分析し、戸建住宅市街地の持続可能な住宅管理および余剰空間の利活用を含めた住環境マネジメントのあり方を検討する。

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松本 暢子社会情報学部教授R2~R4
地域活性化に資する効果的な農福連携プログラムモデルの構築に関する研究

地域活性化に資する効果的な農福連携プログラムモデルの構築に関する研究

本研究は、障害者の農業分野での活躍を通じて農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取り組みである農福連携を地域の中で定着させ、地域活性化に資する取り組みの一つとして効果的なプログラムを構築する研究である。
プログラムの構築には、CD-TEP評価アプローチ法をもちいる。CD-TEP評価アプローチ法は、プログラム理論・エビデンス・実践家の円環的対話による効果的福祉実践プログラム形成のための評価アプローチ法として大島らによって開発されたプログラムである。

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藤本 優人間関係学部助教R2~R4
現代台湾文学・映画におけるLGBT文化の影響―ジェンダー表象に注目して

現代台湾文学・映画におけるLGBT文化の影響―ジェンダー表象に注目して

2019年に台湾はアジアで初めて同性婚が合法化された。現代台湾映画・文学によりLGBT文化が醸成され始めたのは四半世紀前のことである。1990年代、現代台湾映画では、李安監督や蔡明亮監督がLGBTを主題とする作品を公開し国際的な映画賞を受賞した。現代台湾文学も、白先勇に続き邱妙津や紀大偉などがLGBT文学を発表し文学賞を受賞し、多くのLGBT文学の誕生を誘発した。今やLGBT文学や映画はマイノリティではなく主流派である。
LGBT文化の成熟の先にどのようなジェンダー認識の世界が展開されているのかを現代台湾文学・映画を例として分析する。

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赤松 美和子比較文化学部教授R2~R4
中国「元代」茶詩の全収集と解析研究

中国「元代」茶詩の全収集と解析研究

「元代」は中国茶文化の大事な転換期であり、日中両国茶文化の分岐点でもある。本研究は元代の茶詩を網羅的に収集し、解析を行うことで、元代茶文化の全貌を解明していく。また、喫茶文化の「伝承」的な性格に着目し、「史料解読→関連地域現地調査→現代喫茶実態と史料の検証及び解析→史料通り再現実験」という研究手法を取っていく。

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徳泉 方庵国際センター教授R2~R4
学校における児童生徒の突然死の実態解明と発生予防に向けた疫学研究

学校における児童生徒の突然死の実態解明と発生予防に向けた疫学研究

日本スポーツ振興センターの災害共済給付データと総務省消防庁の救急蘇生統計とを結合したデータベース『SPIRITS』を用いた疫学研究を実施する。各年度に本データベースに新規データを追加し、以下の課題について研究を行う。
①現場に居合わせた市民がAEDを使用するかどうかに関わる要因の探索
②市民が行う心肺蘇生術の種類が救命率に与える影響の検証
③運動中に起こる心臓震盪の実態把握
④救命行為の実施状況と救命率の長期的経年変化の把握
本研究により、学校におけるAEDの適正配置や心肺蘇生講習のあり方など、児童生徒の突然死予防に向けた対策立案や次回の蘇生ガイドライン改訂に貢献するエビデンスを提供する。

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清原 康介家政学部准教授R2~R5
都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の風環境を評価するにあたり、確率的に評価する風環境評価尺度とともに、風に対する人の感じ方や風の事物への影響も重要な情報であると考えられる。しかし、風に対する人の感じ方に関する研究は非常に少ない。
本研究では都市の公共空間の利用の視点から、風速と体感の関係を調査し、風速と体感との関係の基礎資料を整備する。また都市の公共空間を対象とした利用状況の調査や風速測定を行い、都市の公共空間の利活用への展開を目標とした風に関するソーシャルマップを試作する。

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白澤 多一社会情報学部准教授R2~R5
分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

近年、地球温暖化対策や電力供給の安定化のために、再生可能エネルギーなどの分散型電源の普及と活用が重要課題となっている。本研究では、分散型電源を効率的に普及させ、災害に強い電力インフラの整備を実現するビジネスモデルとは何かを解明する。そのため、分散型電源の導入と運用管理に影響する社会的相互作用や社会経済的要因を特定し、分散型電源の普及に最適なビジネスモデルの立案と効果の実証的分析を行う。

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桑島 由芙社会情報学部准教授R2~R5
拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

実際の言語使用場面では、様々な逸脱文が出現している。本研究は、そうした逸脱文の意味を母語話者が同じように理解するのはなぜかを、「構文の鋳型」という観点から明らかにする。
また、母語話者と日本語学習者(非母語話者)で、日本語の逸脱文についての意味理解が異なるかどうかを調査し、異なりがある場合、その理由を考える。「構文の鋳型」に関する慣習的知識があるかどうかが、逸脱的意味の理解に関わることが、この調査で明らかになると予測している。
本研究の結果は、構文的知識の重要性を明らかにし、その知見は言語教育分野にも一定の貢献があると考える。

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天野 みどり文学部教授R2~R6
19世紀日本文学史における仮名垣魯文の史的位置に関する研究

19世紀日本文学史における仮名垣魯文の史的位置に関する研究

仮名垣魯文に関する研究は、近代文学の濫觴と見做された『安愚楽鍋』などの小説に集中してきた。しかし、魯文が書き遺したテキストは雑多な非文学的なものが圧倒的に多く、これらの網羅的な蒐集と整理とが不可欠である。本研究の最終的な目的は、明治維新という政治経済構造の変革に則して近世と近代とに分断して記述されてきた日本文学史を、19世紀という時間的枠組みに拠って通史的に記述し直すことにある。

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高木 元文学部教授R3~R5
小学校教員のための「教科としての英語」指導研修プログラム開発

小学校教員のための「教科としての英語」指導研修プログラム開発

2020年度から実施されている新学習指導要領では小学校5・6年生に「教科としての英語」指導が求められ、児童に英語の4技能の力を身につけさせる必要がある。多くの小学校教員は英語力不足・指導力不足に直面していると同時に、早期英語教育指導者に必要な第二言語習得に関する知識も不足している。本研究では英語を教えるために教員が直面する不安要因を特定、解消すると共に、動機づけ等の第二言語習得における様々な学習者要因、および早期英語教育の理論的根拠である臨界期仮説について考察し、第二言語習得理論に基づいた教員研修プログラムの開発を行う。

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服部 孝彦英語教育研究所教授R3~R5
ミャンマー連邦共和国基礎教育学校における平等性と卓越性に関する実証研究

ミャンマー連邦共和国基礎教育学校における平等性と卓越性に関する実証研究

ミャンマー連邦共和国では、「誰も取り残さない教育」、「国を豊かにする21世紀にふさわしい教育」という、教育の平等と卓越性の実現をめざし、特に基礎教育分野での改革がめざましい。しかし、必要な学校施設の拡大、質の高い教員の供給は追いついていない。さらに、学区制がなく、評判の高い学校に高資質の児童生徒が集中する現象が加速されている。本研究では、平等性、卓越性を適切な指標群で表現し、それらが民主化政権後どう変化したか、その変化を支えた要因は何であり、将来展望はどうか、について明らかにすることにより、就学が保証され質が高く、しかも平等性が担保される教育政策のあり方を提案する。

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牟田 博光人間生活文化研究所特別研究員R3~R5
オンライン実験で活用できる教育用IoT機器の作製とその波及効果について

オンライン実験で活用できる教育用IoT機器の作製とその波及効果について

コロナ禍の影響で、教育現場では、オンライン授業が行われている。教科指導をどのように進めていけばよいのか試行錯誤している状態である。特にオンラインでの実験指導は、非常に難しく、それは、家庭では実験器具の環境が全く整っていないのが大きな原因の1つと言える。本研究は、安価な小型コンピュータに多種類のセンサを搭載した教育用IoT機器を作製する。これにより、自分専用のIoT機器をもつことができれば、家庭内でも定量的な実験を行うことができる。教育用IoT機器を新しい理科教育機器として活用することで、家庭内での自主的な実験を促し、オンラインでの実体験を伴った実験指導が可能となる。

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高橋 三男家政学部教授R3~R5
環境DNAを用いた魚類多種同時遺伝的多型分析法の開発と淡水魚類メタ群集研究の実践

環境DNAを用いた魚類多種同時遺伝的多型分析法の開発と淡水魚類メタ群集研究の実践

本研究は、環境水中に存在する魚類DNAの塩基配列を多種同時並列的に決定するメタバーコーディング法を基盤として、魚類群集の遺伝的多様性を網羅的に評価する手法を開発する。また、開発した手法を用いて淡水魚類メタ群集の構成種とその遺伝的多型の空間分布を同時に評価し、メタ群集の空間構造とその決定プロセスを解明することで、広域的に分布・分散する大型生物のメタ群集動態を理解するとともに、地域の生物多様性保全に資する科学的知見を提供する。

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小関 右介家政学部准教授R3~R6
旧英領カリブの多文化共生を実現する少数派としての白人性とその構築過程の解明

旧英領カリブの多文化共生を実現する少数派としての白人性とその構築過程の解明

本研究は、多文化共生が実現されている旧英領カリブ3島(トリニダード・バルバドス・ジャマイカ)において異なる白人性が構築されている背景を明らかにする。その目的に向けて、これまで系統的な研究の蓄積が未着手であった、上記3島の少数派であるヨーロッパ系市民を対象に、個人の経験の語りを収集し、異質なものへの対応法という視点で分析する。本研究の独自性は、クレオール、ジェンダー、アイデンティティ、多文化共生などの研究に重要な事例を提供するとともに、白人性という切り口で上記3島の社会を俯瞰しながら、多文化共生社会を可能とする異文化への寛容の姿勢を上記3島の事例として明らかにする点にある。

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伊藤 みちる国際センター准教授R3~R6
読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

読解を経由する記述力向上プログラムの実証的研究

本研究は、文章を正確に読み解き、目的や所与の条件等に応じて的確に記述する、「読解を経由する記述力」の向上を図ることを実証化して示すものである。
記述力の向上は、国内外の学力調査や学力に関わる試験がコンピュータを使った試験方式(CBT)へ移行していく時勢においても重要な価値がある。
我が国のPISA 調査におけるCBT 対応の遅れが指摘される中、その基盤となる読解を経由する記述力の向上は喫緊の課題である。
本研究は、小学校段階における記述力向上プログラムの開発を図り、それを全国の小学校で試行し実証することにより、成果を波及させていくことを意図している。

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樺山 敏郎家政学部教授R4~R6
『竹取物語』を中心とした9世紀文学圏における仏教受容の研究

『竹取物語』を中心とした9世紀文学圏における仏教受容の研究

物語文学の誕生について明らかにするためには、現存最古の物語である『竹取物語』の典拠の徹底的な調査が必要となる。特に、『竹取物語』成立のための必須の教養であった仏教の受容に関する研究は不可欠といえる。
本研究は、『竹取物語』を中心に、同時代テクストにおける仏教の受容について調査するものである。物語文学が創造された9世紀において、その作者層がどのような仏教的教養を身につけ、それをどのように創作に活かしていたのかを明らかにし、物語文学誕生の背景に光を当てたい。

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久保 堅一文学部教授R4~R6
最新科学データを用いた立体天文教材の開発

最新科学データを用いた立体天文教材の開発

学校教育では、天文学の最先端の科学成果についてほとんど触れられていない。最新の研究成果を基に、児童・生徒に宇宙の中の我々の位置を理解させることができれば、人類と地球の持続可能性を宇宙的視点から考えさせることも可能である。本研究では、教員志望の学生を対象に、最新の天文学データに基づく教材を作成する。

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下井倉 ともみ社会情報学部准教授R4~R6
ギリシア神話に回収されるキリシタン:近世擬古典ラテン語文学における日本の受容

ギリシア神話に回収されるキリシタン:近世擬古典ラテン語文学における日本の受容

近世ラテン語文献は大量の学界未見史料が世界各地に散在しているが、本研究はその内、日本情報をギリシア・ローマ神話と融合させ受容している諸作品を扱う。具体的には1628年スペインで刊行された金羊毛伝説とザビエルおよび日本人殉教者達を重ねた書籍1点と、ほか17~18世紀中東欧で作成されたギリシア・ローマ神話の神々が登場する英雄叙事詩や古典劇の形式で日本宣教史を語った2点のラテン語作品を調査し、内容、日本情報の同定や伝達の経緯、成立の文脈を明らかにする。

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渡邉 顕彦比較文化学部教授R4~R6
挑戦的研究(萌芽)車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

電車で白色化している座席シートをよく目にする。白色化が大きくなると経年劣化が感じられ、車両の審美性にまで大きな影響を与える。車両は、当然、安全、安心が優先されているため、審美的な快適性は、二の次になる。多くの車両用座席シートには、カットパイル織物が使用されている。
研究代表者の研究から、カットパイル織物は糸の断面と側面の光の反射光量の違いから色の見え方に違いを生じることを経験している。これらの研究を踏まえ、座席シートの白色化が生じるメカニズムを解明するとともに、白色化が生じない素材や構造、色、柄などを提言し、これまで見過ごされてきた座席シートの審美的快適性を追求する。

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平井 郁子キャリア教育
センター
教授H31~R4
(期間延長)
若手研究戦後日本社会における和服の歴史社会学的研究

戦後日本社会における和服の歴史社会学的研究

本研究では戦後日本社会における和服の具体的な形象の変化とともに、この変遷における人間と衣服の関係性をめぐる理論的な意味について研究することを目的としている。本年は後者の全体的な議論に関して、京都大学大学院東南アジア地域研究研究所が発行する『装いと規範3』に「衣服をめぐる人間との関係――現代社会における和服の変容より」を寄稿することができた。しかしながら、やはり全体としてはcovid-19の影響もあり、研究の調査・分析・執筆をほとんど実施することができなかった。来年度以降もこの影響が続くと推察するが、出来れば理論的な全体像の再考について実施するとともに、具体的なある時代の和服についても発表・執筆していきたいと考えている。

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小形 道正家政学部専任講師H30~R4
(期間延長)
ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

携帯端末の発展により、アパレル商品の購買行動も多様化してきたが、リアル店舗とネット店舗の融合等のオムニチャネル戦略を構築する企業では、消費者行動への理解が求められる。本研究では、ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品の購買行動の解明に目的を置き、それらにおける、①情報探索と購買のプロセス、そして、それらの購買商品・価格帯、満足するサービス傾向、②SNS等の情報への満足度傾向、③ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)への満足度傾向の実証研究を行う。本研究は、小売研究や消費者行動研究等の学術面への貢献のみならず、企業のプロモーション施策案の提示等、実務面での貢献も期待出来よう。

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吉井 健家政学部教授H31~R4
(期間延長)
公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

本研究は、身体的経験としての痛みがどのように言語化されてきたか、という問題意識にもとづいてアフリカ系アメリカ文学の読み直しを図るものである。 公民権運動時代以降に活躍している作家トニ・モリスン、ジェイムズ・ボールドウィン、マヤ・アンジェロウなどの作品における身体的な痛みの表象を、近年の脳科学や臨床医学において主張されている「記憶する身体」という視点から分析する。心と身体のつながりや記憶の身体的な側面を作家たちが正確に見抜き、表現してきたことを明らかにしつつ、トラウマティックな記憶からの癒しにおける他者との身体的接触や親密性の重要性を理論化することを目的とする。

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石川 千暁文学部専任講師H31~R4
(期間延長)
不況の知覚が内集団の範囲を狭めて曖昧成員への攻撃を促進するプロセスの解明

不況の知覚が内集団の範囲を狭めて曖昧成員への攻撃を促進するプロセスの解明

近年、反グローバリズム的な風潮が世界的に見られ、それに伴う暴動が発生している地域もある。心理学領域の研究は、こうした現象の背後に、不況の知覚の影響があることを示唆している。しかしこれらの研究は、不況の知覚が内集団の範囲を狭める認知傾向を引き起こすという現象の「存在」を示すにとどまっており、そのプロセスおよび社会的帰結は明らかでない。そこで本研究では、不況の知覚が内集団の範囲を狭め、内集団成員か外集団成員か曖昧な人物への攻撃を促進するプロセスを解明する。これを解明し、各段階での介入方法を検討することで、昨今の反グローバリズム的風潮とそれに伴う暴動を改善・予防する糸口が得られることが期待される。

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竹部 成崇文学部専任講師H31~R4
(期間延長)
ドイツ・ゴシックにおける王権表象の変遷――建築・彫刻・版画

ドイツ・ゴシックにおける王権表象の変遷――建築・彫刻・版画

本研究は、ドイツ・ゴシック(ここでは、神聖ローマ帝国の文化圏における14~16世紀の芸術を指す言葉として用いる)の多様性を評価すべく、その多様性をもたらした原動力と予想される王権表象(ここでは、君主の権威を示すための芸術的表現を指す言葉として用いる)に着目するものである。王権表象という動機の下、建築だけでなく、彫刻や絵画を含め、貪欲なまでに多様な表現を追求してきた情熱こそが、ドイツ・ゴシックの本質であるとの仮説を立て、本研究ではこの仮説を検証してゆく。

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岩谷 秋美比較文化学部准教授H31~R4
(期間延長)
学校建築の社会学的研究

学校建築の社会学的研究

本研究では、長らく建築学上の関心に留まり、教育現場および人文・社会科学上看過されることの多かった学校建築のあり方について、その技術、推奨される空間構成、学校建築を通して目指される教育のあり方が歴史的にどのように変遷してきたのかについて、学校建築学および実作上の展開の追跡と、学校建築関係者へのインタビューを通して、技術・社会・言説をめぐる総合的な分析を行う。分析対象資料は学校建築計画学を中心とした学校建築に関する書籍・政府刊行物、博士論文、雑誌特集記事を中心とする。

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牧野 智和人間関係学部准教授H31~R4
近世日朝通交システムの「終焉」-対馬藩朝鮮通詞の視点から

近世日朝通交システムの「終焉」-対馬藩朝鮮通詞の視点から

本研究は、1850~80年における幕藩制的(近世的)外交システムから中央集権的(近代的)外交システムへの移行を、朝鮮王朝との外交関係の変容に焦点を絞って分析し、日朝関係史における近世から近代への史的展開を再構築しようとするものである。とりわけ折衝の最前線を支えた通訳官(朝鮮通詞・倭学訳官)に着目し、近世から近代にかけての日朝間の外交折衝事案を掘り起こしながら、通訳官の諸活動から、近世から近代への日朝関係の変容/継承の様相を明らかにする。

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酒井 雅代比較文化学部専任講師H31~R4
理想的観賞者説の改訂・展開による、複合文化的な美的経験論の構築

理想的観賞者説の改訂・展開による、複合文化的な美的経験論の構築

研究は、従来の理想的観賞者説を改良することで、現代における多様な美的経験や多元化した価値観を説明するための、新たな美的経験論を構築する。
まず、1)価値観の多様性、2)理想的な美的経験を想定する意義、3)美的主張の規範性、の3つの点に着目しつつ、従来の美的経験論の論点整理を行い、改良すべき点を明らかにする。
それをふまえ、現代の多様な美的ふるまいを説明するための分析枠組みを提出する。目標は、美的判断の正当性/不当性を明確に説明すること、数ある美的経験の中からより尊重に値する美的経験を弁別する基準を提出すること、そして、その美的経験をどのていど尊重すべきかの度合いを明示化すること、である。

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森 功次国際センター専任講師H31~R4
事実婚・内縁の生活史調査による戦後家族史研究

事実婚・内縁の生活史調査による戦後家族史研究

本研究の課題は「事実婚・内縁の生活史調査による戦後家族史研究」である。生活史という質的調査法を用い、戦後日本における家族の近代化/脱近代化のプロセスを明らかにする。文書資料と口述資料を組み合わせた総合的な事実婚の戦後史を描こうという試みであり、日本社会において実際に法律婚の外部で共同生活を営む人々に注目し、彼らの生活上の経験や実践に立脚するかたちでこの課題にアプローチしていくものでもある。

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阪井 裕一郎人間関係学部准教授R3~R5
1980-90年代を通じたレンタルビデオ店の生成・普及をめぐる歴史社会学的研究

1980-90年代を通じたレンタルビデオ店の生成・普及をめぐる歴史社会学的研究

1980年代以降、ビデオ機器が普及し、かつソフトを安価に供給するレンタルビデオ店が大量に開店することで、大量の映像コンテンツを容易に視聴できるようになり、映像文化は根底的に変容した。そこで本研究は、1980年代を通じて日本にレンタルビデオ店が生成・普及する過程に焦点を当て、その要因ならびに利用者の経験を考察する。具体的には、(1)初期レンタルビデオ店をめぐる政治経済学的条件、(2)レンタルビデオ店普及期におけるロードサイド文化との関係、(3)両時期における利用者の実態を解明する。そうすることで、現在では当たり前になっている、「様々なコンテンツを繰り返し視聴する経験」の歴史的文脈を明らかにする。

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近藤 和都社会情報学部准教授R3~R6
日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

日本文学に描かれた捕虜(POW)の通史的研究:国際法とレイシズム問題を中心に

本研究では、第二次世界大戦後に書かれた日本文学のなか、戦争捕虜(POW)をテーマにしたものを時期別にまとめる。戦後文学には、戦場や占領地で捕虜になった帝国日本の兵士や、日本軍の捕虜となった連合国の兵士が多く登場する。本研究では、捕虜の存在に注目した通史的な研究を行うことによって、個々の作品分析からは見えにくい、日本文学の特徴を明らかにし、戦後文学研究に新たな視点をもたらす。また、戦争捕虜を描いた文学が形成する主題のなか、とりわけ国際法への理解とレイシズムの問題を検討する。

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金 ヨンロン文学部専任講師R3~R7
アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

アパレルを対象としたD2Cショッパーの情報探索と購買行動の研究

近年、リアル店舗を持たないメーカーがネット店舗経由で直接消費者に販売するビジネス、すなわちD2C(Direct to Consumer)事業が活況を呈している。本研究では、D2Cのネット店舗にてアパレルを購買する消費者(D2Cショッパー)の知覚リスク低減に影響を及ぼす情報内容やその購買行動を体系的に整理・解明すると共にD2Cに取り組む企業、特に国内の縫製メーカーに向けたマーケティング施策の提案をすることを目的とし、実証研究を行う。本実証研究では、複数の企業が運営するネット店舗やSNSを対象とした分析、連携するリアル店舗調査、そして調査会社を経由したインターネットでのアンケート調査等を行う。

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吉井 健家政学部教授R4~R6
オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

オーストラリア文学は英米でどう受容されたのか?-19世紀末から20世紀初頭まで

本研究では19世紀末から20世紀初頭に的を絞り、イギリスとアメリカでオーストラリア文学がどのように受容されたのか考察する。一方の国で売れ行きを伸ばした書物が、他方の国では、出版を拒否されたケースが存在しており、オーストラリア文学に対して英米が示した「異なる態度」の原因を明らかにすることを目指す。この問題を考えることは、当時のイギリスやアメリカを特徴づける文化的・時代的な様相を、「北半球の外」から捉えなおす営為であり、それは南半球との関係という視点の弱い、世紀転換期の英米のモダニズム研究に新たな方法論を提示することにつながるため、学術的意義があると考える。

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加藤 彩雪比較文化学部専任講師R4~R8
研究活動スタート支援度量衡から見るベトナムの植民地統治及び社会構造とその地域性

度量衡から見るベトナムの植民地統治及び社会構造とその地域性

本研究は、フランスによるベトナム植民地統治の実態、植民地期ベトナムの社会構造や地域性について、度量衡(計量器、計量単位)の観点から分析・解明するものである。フランスの対ベトナム植民地統治はあいまいで局地的・部分的なものであったとされるが、具体的な事例から実証的に検討されてはいない。また、植民地社会の構造や地域性については、植民地政権により区分された行政区画の枠組みの中で、異なる研究分野によって個別に研究が進められてきた。本研究では、こうした研究史の限界に対して、植民地政権の行政区画の枠を超え、ベトナム一国を同じ比較軸(度量衡)で検討するという新しい手法でアプローチする。

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関本 紀子文学部専任講師H31~R4
(期間再延長)
学芸員養成課程で養成すべき教育普及活動に関するコンピテンシーの明確化

学芸員養成課程で養成すべき教育普及活動に関するコンピテンシーの明確化

現在我が国の大学には学芸員養成課程が設置され(全体の4割293大学)、毎年1万人もの修了者は博物館の館種(総合博物館、人文系博物館、自然系博物館)に関わらず門職員(学芸員)として就業しうる資質・能力の修得が目標となっている。本研究では先行研究により、多様な博物館種に共通する学芸員の資質・能力として最も注目されているものの、未だその内実が明確でない「対市民教育活動=教育普及活動に関する資質・能力」に焦点を当て、その具体的な資質・能力要素を計量的に明らかにする。最終的には大学における学芸員教育の質的な向上と博物館が行う市民への教育普及活動に貢献できる。

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高橋 舞人間生活文化研究所助手R3~R4

短期大学部

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(C)自律的な積み上げ学習につながる授業内・外学習時のメタ認識出現条件

自律的な積み上げ学習につながる授業内・外学習時のメタ認識出現条件


本研究は,学習者自身の学習に対するメタ認識が活性化される条件を探ることにある。授業で目標に向かって積み上げていく学習について,また,授業外で日々機械的に積み上げていく学習において,学習者自身が自律的に学習を活性化させていく条件を検討するものである。学習プロセスを観察し,学習者の認識を観察することで,学習におけるメタ認識が意識される条件を特定することを目指している。その最終目的は,どのような学習環境を教室で教師が作るのが,学習者の支援となるのかを確認することにある。また,その後の自律的学習につなぐ観点を探ることにある。
研究方法としては,期間,目標,内容,教員の異なるいくつかの授業の流れと,授業とは関係なく,学習者が授業外で自律的に進める学習プロセスと意識を観察し,授業参加者,授業外学習継続者の意識を分析することで,学習者のメタ認識条件を探ろうと考えている。具体的には次のように実施する。
授業内の学生の関心点を観察するため,授業後に,授業課題に対して関心を覚えた点とそれに対してどのような行動をとったかを記述に残すように指示し,その記述内に見られる学生の認識が,メタ認識に関わるものか,個人的関心のものか,個人的に見たテーマに関連するものかをラベル付けして,分析する準備とする。また,学期の開始時,途中,終了時に内省した授業への個々人の参加状況を,学期末に並べて比較し,学習者の意識,メタ認識に関する言及回数,場面,対象を調べ,それらに関する考えや意識を質的に分析する準備とする。
授業外の学生の関心点,継続の動機を確認するために,教職者に,授業外で授業とは関係ないが必要だと考える学習を続ける動機と,継続,結果に関する意識を調べる。
これらの調査の結果を総合して,自律学習のための教師の支援のポイントを探る。

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中尾 桂子国文科准教授H30~R4
(期間再延長)
挑戦的研究(萌芽)英語テクストから見直す近代日本仏教像

英語テクストから見直す近代日本仏教像


  1. 第17回Hawaii International Conference on Arts and Humanitiesにおいて、岡倉天心の未公開オペラ台本についての研究発表(The White Fox as a Work of World Literature)を行った。The White Foxと「信太妻伝説」「阿倍清明伝説」との関わりについて考察し、岡倉のオペラ台本が、日本の伝統的芸能(説教節、浄瑠璃、歌舞伎、読み本、黄表紙、仮名草子、浮世絵、地歌、狐会、地歌、清元、落語、盆踊り)・現代小説・アニメにみられるストーリーに比べいかに独自性が際立っているかを、近代仏教研究の争点になっている「涅槃」の表象の視点から明らかにした。
  2. ラオスにおいて、ラオス国立大学、国立中央図書館、仏教博物館などにおいて英語著作の文献調査を行った。訪問した仏教寺院に所蔵されている資料はほぼ仏教経典に限られているが、そこで修業している少年僧侶たちの教本が英語であることは近年の変化の一つである。
  3. ヨーロッパにおける日本学の拠点大学であるハイデルベルク大学日本学研究所において、日本近代仏教研究に関する資料調査を行なうと共に、プロジェクト”Japanese Buddhism and their Contribution to Academic Knowledge on Buddhism in 19th Century Europe(「ヨーロッパにおける大乗仏教―19世紀ヨーロッパの仏教をめぐる学術知識への日本人僧侶の貢献」)の主要メンバーであるClara Boehnne氏(プロジェクトリーダーはハンス・マーテイン・クレーマー教授)から、プロジェクトの進行状況をうかがい、意見交換をすることができた。さらに、ユデイット・アロカイ教授はじめ日本学研究所の研究者らと交流した。
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大平 栄子英文科教授H30~R4
(期間再延長)

全国学校別 採択件数・配分額一覧表

※文部科学省ホームページ「 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

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