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科研費 過去の採択状況 令和2(2020)年度

採択課題一覧

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研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(B)臭いの快不快評価定量化の試みと在宅介護不快臭対策への応用

臭いの快不快評価定量化の試みと在宅介護不快臭対策への応用

我が国の高齢者人口は、2016年3459万人で総人口に占める割合が27.3%となり、2065年には約4割を占めると予想され、日本は高齢化が急速に進んでいる。近年、75才以上で介護が必要な人数が増えて高齢者施設の需要が急増している。しかし、介護保険法の改定によって特別養護老人ホームへの入所は原則要介護3以上とされ入所を制限されている。また、平成24年に行われた内閣府の調査では、60歳以上の男女を対象として日常生活を送る上で介護が必要となった場合、どこで介護を望むかという質問に対して、男女共に自宅での介護を望むが一番多い結果であった。これらのことから、今後は在宅介護が中心になると予想される。
在宅介護現場、病院および高齢者施設では、においが問題視されている。においが原因で、介護に負担を与え、被介護者と家族の家族関係を悪化させることがある。一方、在宅介護は、閉ざされた環境下で家庭の生活状況に応じてにおいが異なり、様々な生活臭と介護臭とが混合した状態で存在すると考えられる。高齢者施設や病院では、においに対して換気扇、消臭カーテン、消臭壁紙など大規模な設備を用いて対策が講じられている。しかし、家庭での介護では、悪臭除去のための設備に限界があり、市販の消臭剤を用いた簡便な消臭方法で対策をしているのが現状である。
本研究は、実際に在宅介護家庭の臭気を収集して不快臭の種類と原因物質を調べることを目的とした。在宅介護における被介護者の居室に捕集材を一週間放置後、捕集された成分を抽出してGC-MSに供した。その結果、尿臭、排泄物臭、加齢臭のような身体から発生する不快臭で、汗や加齢臭を想起させる脂肪酸類やノネナール、尿などの排泄物を想起させるフェノール類が検出された。

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水谷 千代美家政学部教授H29~R2
経験的概念としての「ポジショナリティ」の実証的研究

経験的概念としての「ポジショナリティ」の実証的研究

2018年度は、様々な社会的権力関係を実証的に分析することを通じて、ポジショナリティに纏わる①齟齬・係争、②当事者性、の2点を中心に研究を行なった。
日本と沖縄の関係については、基地問題をめぐる運動論的争点の一つである「県外移設論」「基地引き取り論」への批判的言説を分析することによって、「沖縄人」「日本人」というポジショナリティおよびその権力関係を浮き彫りにできた。また梶田孝道らの「受益圏/受苦圏」概念が、ポジショナリティの整理において一定程度有効であることも確認された。同時に「沖縄人」のポジショナリティは現在の権力性と歴史性の双方によって規定され、東アジア周辺地域との歴史的関連性、琉球列島諸島の差異の考察が、必須であることを再確認した。さらにこれらの沖縄に関わる分析と、在日外国人や昨今のヘイトスピーチをめぐる議論に表出するポジショナリティの構造を比較し、共通性を発見することができた。またDV被害女性を支援するNGO支援者の分析過程で、公的機関の一部にはDV被害当事者及びNGOのポジショナリティを軽視する傾向があり、支援の際に齟齬や対立があることや、外国人市民の権利獲得支援運動等において性差に基づくポジショナリティの軽視が、齟齬や当事者性の混乱を惹起している状況も確認できた。
これらの分析から、社会運動等の現場で、多様なアイデンティティ(国籍・性・エスニシティ等)を有する参加者が協働し合っている事実を、ポジショナリティの無効化と混同する傾向が強いことが確認された。総じて、ポジショナリティをめぐっては、コミュニケーション水準における齟齬と、集団責任についての認識水準における齟齬の、二つの水準の齟齬があることが明らかになった。また当事者性という概念も、ポジショナリティとの関連による複層性に留意する必要が確認できた。またポジショナリティの量的調査法についても基礎的検討を行った。

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池田 緑社会情報学部准教授H30~R2
ミャンマー135民族の民族服製作技術の残存調査と技術学習過程の最適化方法論の開発

ミャンマー135民族の民族服製作技術の残存調査と技術学習過程の最適化方法論の開発

  • 東南アジア諸国の博物館等には多様な少数民族の民族服が保存展示されているが、民族服の製作技能保有者、継承者は全域的に激減しつつある。
    彼らの社会の殆どが無文字社会の為に学習マニュアルや文字資料が残されておらず消失が危惧されている。本研究ではミャンマーの135全民族の伝統的正装・民族服の製作技術を保存し、継承者の学習を容易にする為に教育科学的合理性をもつ学習過程の開発・提案を行い、その製作技術と民族服文化を後世に継承する為の基礎研究を行う。
  • 初年度である2018年度は、4月に国内メンバーによる準備会を開催し、役割分担を確認するとともに、「調査員調査手引き」を作成した。これを使用して5月にミャンマーの協力機関(大学)において調査協力者、調査員を対象とした研修と標本資料収集に向けた準備を開始した。次いで7月には、135全民族の伝統的正装・民族服(男女計270)の現物標本資料の収集を開始した。収集した標本は番号を付し、収集時の情報(収集日、収集場所、収集者、資料提供者、製作者等)を文字情報として保存した(標本整理)。さらに詳細な調査(標本資料の寸法計測、製図、民族服の特徴を固有属性(糸の種類・織り方・文様の種類・形状の特徴等)の抽出)のための準備を行った。
  • 民族服製作技能保有者と継承者・学習者を探し出し、民族服製作に関する経歴に関する実態調査(性別・年齢・居住地・製作可能な民族服(正装)の種類・保有技術の種類等)を開始した。
  • 2月、調査研究の拠点であるミャンマーの協力機関(大学)において、次年度に向けた調査研究の打合せを行った。
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下田 敦子人間生活文化
研究所
准教授H30~R3
社会・自然環境と子どもの身体技術能力(生活技術を含む)の発達過程の相互作用

社会・自然環境と子どもの身体技術能力(生活技術を含む)の発達過程の相互作用

人の身体技術・能力の獲得と発達過程に関する理論・評価基準は欧米や東アジアを中心として19世紀末~20世紀に形成されたが、それ以前の時代に生きた人や、周辺地域・民族のデータを欠いたまま現在に至っている。それ故、狩猟採集社会や未開な社会、産業化されていない社会の人の身体技術の発達過程は全く未知であり、多くの課題が残されたままである。この研究では現在でも原始的な生活(ライフスタイル)様式を残しているアジアの諸民族から現代の都市的社会に生きる民族までのスコープで、人類の文明化の各発展段階(5段階に区分)に生きる人々を対象として、身体技術の発達過程の諸相を社会・自然環境との関係から解明する。

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大澤 清二人間生活文化
研究所
特別研究員H31~R3
微生物による燃料デブリの劣化溶解促進作用の解明研究

微生物による燃料デブリの劣化溶解促進作用の解明研究

福島第一原子力発電所(1F)の事故により、溶融燃料とコンクリートとの反応(MCCI)生成物を対象として、MCCI生成物の微生物による劣化機構を明らかにすることを最終目的とする。そのため、SiO2、ZrO2などが溶融・固化したMCCI生成物と同様のマトリックス構造を有する模擬体デブリを微生物と共に培養液中に添加し、各元素の溶出濃度変化を調べる。さらに、模擬デブリのマトリックス構造の変化や損傷や漏出するU等元素の化学状態を電子顕微鏡、放射光分析により明らかにする。結果に基づき、MCCI生成物の微生物により劣化し易いマトリックスを明らかにし、マトリックスの劣化によるUなどの漏出機構を解明する。

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大貫 敏彦人間生活文化
研究所
特別研究員H31~R3
ゲーミフィケーション・機械学習を利用した幼児の自己身体認識評価課題の開発と評価

ゲーミフィケーション・機械学習を利用した幼児の自己身体認識評価課題の開発と評価

鏡を見て鼻を触るとき、見えない身体部位の位置を把握する固有感覚ベースの身体地図が働く。その発達過程の検討は、これまで観察主体でしか行われてこなかった。本研究では、ゲーミフィケーションを取り入れ、幼児の身体地図の発達を定量的に評価できる新たな課題を開発、評価する。具体的には、自己映像の身体各部位に拡張現実(AR)を用いてマークを表示し、幼児が実物の自己身体に対応づけて当該部位を定位できるかを評価する。また、自己映像身体部位定位における他者身体への参照の役割も検討する。幼児期初期に特有の自己/他者身体表現獲得の発達過程と獲得メカニズムに迫る。

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宮崎 美智子社会情報学部准教授H31~R4
二言語を同時習得する日系国際児の日本語作文力の発達過程の解明

二言語を同時習得する日系国際児の日本語作文力の発達過程の解明

平日は現地校に通い週末に補習校で日本語を学習する児童が、日本語で書く力(作文力)を習得することは容易ではなく、補習校教育の重要な課題になっているが、補習校通学児の作文力の発達過程は明らかになっていない。本研究では、現地語(優勢言語)が異なる国際児(①ドイツ語を優勢言語とする独日国際児、②中国語を優勢言語とする台日国際児)を対象に、3時点(小2→小4→小6)での縦断的作文調査を行い、二言語の同時習得が日本語作文力の形成に及ぼす一般的な影響と、優勢言語や現地校の作文教育による固有の影響を解明する。これにより優勢言語によって伸びにくい側面を予測でき、補習校の作文指導改善に役立つ知見を提供できる。

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柴山 真琴家政学部教授H31~R5
少子化時代の子育ちの社会関係資本を再構築する住まい・道・住区の形態に関する研究

少子化時代の子育ちの社会関係資本を再構築する住まい・道・住区の形態に関する研究

ここでは外遊びを中心にした自律的成長を住居・道・住区の形態と社会関係資本との関係からみて、少子化時代の対策となる住環境のあり方を考える。そのため先進事例を有す欧州の事例も含めてコウハウジング等の住居、歩車共存道路や遊び場道路開放等の道、子どもの遊び環境を意図した新住宅地および既成市街地にて、観察や半構造化・構造化面接、配票調査などの調査から、子どもの外遊びを中心とした子育ちと社会関係資本の関係を成り立たせる空間形態や他の要因を明らかにする。得られた空間形態、社会関係資本、子育ちの関係を名付ける(パタン・ランゲージ化)作業を経て、「子どもを育てる住まい・道・まちづくり型録」として社会に発信する。

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木下 勇社会情報学部教授R2~R4
基盤研究(C)十九世紀の絵入本における画文一体構成に着目した書物(メディア)史研究

十九世紀の絵入本における画文一体構成に着目した書物(メディア)史研究

今年度は、手元で見られる浮世絵の図録や展覧会のカタログなどから、填詞入り浮世絵を見出し、主として填詞とその書き手に関するデータベース化を進めてきた。ただ、管見に入る資料の多くは揃物の端物が多く、揃物の全貌を知るための所在調査が不可欠であり、手間暇を費やす必要があったが、発見できないことも多かった。消費された商品としての浮世絵は、完全な保存が期待できるのは、主として海外のコレクションで、幕末から明治初期に来日した西欧人が、浮世絵の芸術的文化的価値を見出してくれなければ、壊滅していた文化資源であることを痛感した。一方、フィールドワークとしては、国内調査として三重県の石水博物館へ出向いた。未だ広く一般に公開されているわけではないが、川喜田家の旧蔵コレクションは稀覯本の宝庫である。近年中には正式な目録が公開される由であるが、幸いにも他に所蔵の知られていない馬琴の中本型読本『敵討枕石夜話』の改題本『讎同士石與木枕』の早印本などの調査が出来た。海外では、昨年調査へ行ったアメリカ合衆国のサンフランシスコ州立大学バークレイ校とスタンフォード大学へも、本研究課題以外の研究経費で出向くことができたので、昨年の調査データで不明の点を確認してきた。また、フランス国立ギメ東洋美術館図書室蔵の填詞入り浮世絵と大量の絵入本の調査をした。調査資料は目下整理中であるが、最終的なデータに活かせる資料の閲覧が出来た。
今年度の調査を通じて、絵入本とりわけ地本と浮世絵の関係を明らかにするためには、今少し十九世紀の絵入本に関する調査も不可欠であることを
認識しつつあり、今後の研究の方向として留意していきたいと思う。

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髙木 元文学部教授H29~R2
17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

17・18世紀フランスにおける文献資料に見るモリエールと古典ラテン喜劇作家の受容

1643年の王位継承から1715年の死までフランスの歴史の中で最も長い治世の中で、ルイ14世は対外的な行動力と内政においてヨーロッパの頂点を極めた。そしてその功績は現在もパリの至る所に記されている。
絶対王政確立におけるルイ14世の政治的手腕の一つとして文化政策があげられるが、その中で国王のイメージ戦略を含む演劇というライヴ・パフォーマンスは欠かせない。そこにはルイ14世のもとで彼の要望に応え続けた喜劇作家モリエールの存在がある。彼の古典ラテン喜劇作家から受け継いできた理想の喜劇を作り続ける劇作法、為政者と観客が求めるものを提供した作品は、「愉しませながら教え諭す」という喜劇の理論を具現化し、21世紀の我々に娯楽としての魅力と17世紀のフランス社会を写しだした文化史としての魅力を提示している。
モリエール劇団の一員ラ・グランジュの『帳簿』と、彼によって劇作家の死後出版された全集、アンドレ・フェリビアンによるヴェルサイユ宮殿における祝祭の公式報告書、モンティニ神父やバラールによる報告書、『ガゼット』、シャルル・ロビネの書簡、財務省に呼ばれたオランダ人ホイヘンスの報告書などがそれらを証明している。モリエールが古典ラテン喜劇作家の後継者であることは、第一に彼の作品がその死後も評価され続けていることに見て取れる。同時に、世紀末になって古典ラテン喜劇作家が再び仏訳され、テレンティウスの作品が翻案されたことにより、フランス喜劇の神髄に古典ラテン喜劇作家が息づいていることが明らかとなった。

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榎本 恵子文学部准教授H29~R2
(期間延長)
高齢期に対応した多世代共生型集住(コレクティブハウス)の有用性に関する研究

高齢期に対応した多世代共生型集住(コレクティブハウス)の有用性に関する研究

本研究は、継続的な人間関係と居住環境の中で、日常的な安心が担保され、住棟内に居住者間の交流と生活の一部を協働するシステムをもつ共生型集住(コレクティブハウス)を対象として、高齢期まで住み続けることができる自立期に有用な住運営システムの在り方について検討することを目的としている。
居住後25年が経過した先進事例、スウェーデンにある熟年コレクティブハウス「フェルドクネッペン(以下FK)」を対象とした、居住者へのアンケート、訪問ヒアリング調査を実施し、生活・住運営実態から、高齢期まで自立して住み続けられる条件を分析した。その結果、良好で安定した共生環境の継続には、①長期的な課題を整理し、性別や年齢構成、運営上の役割の観点からの慎重な入居者選定 ②住運営の組織化および運営方法のマニュアル化 ③運営の中心となる次代の人材育成 ④入居希望者を含む外部サポーターによるコレクティブ活動の支援 ⑤居住者相互の共助意識、が必要であるとの知見を得た。
上記の結果を、住総研「研究論文集」にて論文発表、日本建築学会学術講演梗概集に論文を投稿済みで、今年9月に口頭発表する予定である。
また、日本の自立期の高齢期に対応した共生型集住(グループリビング)の生活・運営実態の把握のために、「COCO湘南台」「COCOたかくら」の運営者にヒアリング調査を行った。その結果、①調査を実施した2つの事例は居住者の年齢や身体状況に差があること ②現在は居住者による主体的な生活運営はほとんどみられない。③生活や精神面を支え、物理的な介護のサポートなどを行うライフサポートアドバイザーの存在が大きいこと、がわかった。コレクティブハウスにおいても、ライフサポートアドバイザーの役割を担うしくみ(居住者の中から選出など)の導入も考えられる。
この調査結果についても、上記の住総研「研究論文集」にてまとめて発表した。

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大橋 寿美子社会情報学部教授H29~R2
(期間延長)
住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究

今年度は2年目であり、住宅市場における賃貸併用住宅の建築動向の把握を行った昨年度(住宅展示場の調査など)に引き続き、賃貸併用住宅の建築動向に関するデータの収集の一環として、既存統計調査での取り扱いについて検討を行った。住宅メーカー各社の建築実績の概要が把握できたものの、定量的な把握は困難であることが確認できた。さらに、賃貸併用住宅の建築がこれまでの東京23区外延部から、郊外部へと広がっていることや、それらの地域へ向けた営業が徐々に行われていることが分かった。
また、D社の建築した賃貸併用住宅の平面図・配置図の分析を行い、これらの住宅建築の建築設計上および敷地や立地上の特性についての検討を行い、敷地の広さや接道条件などとの関係により、住宅平面が異なることも分かった。
近年、賃貸住宅の空き家化が問題視されるなか、賃貸併用住宅の建築が活発な要因をさぐるとともに、地域的課題を明らかとする必要があり、賃貸
住宅建築のなかでの賃貸併用住宅の比重、オーナー住宅との関係などが重要な点であることが確認された。
さらに、賃貸併用住宅としての特殊性や、その他の賃貸住宅と比較して有利な点を明らかとすべく、賃貸併用住宅の管理を行っているD社の管理部門他へのヒアリングを実施し、建築企画段階および建築後の入居者管理・建物の維持管理における問題を把握することができた。比較的敷地が広く、その地域に定住意向の強い持家層の建築が多いことや、賃貸住宅経営の経験があるなどの、賃貸併用住宅建築を行った居住者像をより明らかにした。

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松本 暢子社会情報学部教授H29~R2
(期間延長)
日本の出産文化の歴史社会学的研究―リプロダクティブヘルスと助産所の機能を中心に

日本の出産文化の歴史社会学的研究―リプロダクティブヘルスと助産所の機能を中心に

2018年度は研究代表者、研究分担者、研究協力者間の研究交流を深めるとともに、それぞれの研究を深めた。京都府助産師会と大阪府助産師会には資料の電子化とリスト修正作業終了後に、返却をおこなった。特に京都府資料は、図書・雑誌類は少なく、その多くが産婆会時代の事務にかかわる様々なタイプの資料だったことから、資料リストを修正する必要が増えた。このため、資料返送の際に研究代表者大出と研究協力者の岡本が京都府助産師会館にて立ち会い、修正リストと資料との照合作業をおこなった。
当初の予定された電子化作業とは別に、大阪府助産師会で保管されていた戦前期の助産カルテについて(2017年度段階では電子化の対象外としていた)、劣化が著しいことから、資料の電子化の依頼があり、郵送にてこれを受け取った。また京都府助産師会からは1936年に実施された大日本産婆会(京都大会)にかかわる資料が会館内で保管されているとのことで、すでに電子化済みの資料に加えて、これらの資料の電子化の依頼を受け、作業を継続している。
大阪府助産師会が保管していた「堺市赤ちゃん審査会写真帖(帳)」資料をもとに日本社会学会にて学会発表(ポスター)を行った。また戦前期の産院について19世紀末期からおよそ半世紀にわたる法律の変遷を整理し制度的に跡づけ、これを日本助産学会学術集会にて学会発表(ポスター)を行った。
2018年度は研究代表者が戦前期の産婆会の全国組織化にかかわる産師法制定運動についてまとめた論文を中心に『産婆と産院の日本近代』という単著を出版した。著書がきっかけになり日本助産師会出版から2019年2月号の依頼原稿と出産ケア政策会議主催のシンポジウムにおける基調講演の依頼を受け実施した。
戦前期産婆会関連資料リストの修正、電子化資料の確認作業(ページの漏れ、ページレイアウトの統一など)を進めた。この作業は今年度も継続中である 。

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大出 春江人間関係学部教授H29~R2
(期間延長)
スーパーヴァイザー養成のためのメタ・スーパーヴィジョンに関する研究

スーパーヴァイザー養成のためのメタ・スーパーヴィジョンに関する研究

以下の組み合わせでメタ・スーパーヴィジョンの実践とそのプロセスおよび効果の分析、検討を進めている。
スーパーヴァイジー(Svee)4名:20歳代の臨床心理士もしくは大学院生、スーパーヴァイザー(Svor)4名:30歳代から40歳代でSvorの経験が初めてかもしくは少ない臨床心理士。これらに対してメタSVor(50歳代の臨床心理士でSVor経験20年以上、メタSvor経験5年以上)1名。スーパーヴィジョンの対象となった事例は、医療機関や大学の心理相談室、公的機関の従業員相談室等の事例であった。
すべての事例と組み合わせに関して、まずメタSV無しのSV数回をおこない、カウンセラー自己効力感測定の後に、2,3回のSVごとにメタSVの実施を3回繰り返す。そして再びカウンセラー自己効力感測定と振り返り用紙の記入を求めた。また、すべてのセッションを録画・録音し、さらに毎回のSVとメタSV終了直後にSV満足度尺度、SV作業同盟質問紙を実施した。
結果としては、まずSVを受けたSVeeからは、以下に代表される振り返りが得られた。「SVorが私の考えを理解しようと寄り添ってくれるようになった」「メタSV以前は、SVorの見立てや方針に沿わなくてはいけない、そしてSVorの求める正解があって、それを理解しなければいけないような気がしていたが、メタSV開始後はそれらの気持ちが薄れて自由に考え、それを自由に伝えられるようになった。」「メタSV以前は、約束しているから行くという受動的な面もあったが、最近は意識的に考えたとことをもっていくようになりVorの意見を聞きたいと思うことが増えた。」。また、メタSVを受けたSVorからは「SVee理解の深まり」「SVeeに応じた介入」「介入スキルの増加」「自身の臨床の非言語的な部分の振り返り」等に大きな効果があったと報告された。

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福島 哲夫人間関係学部教授H29~R2
(期間延長)
育児期の女性の精神的社会的要因や地域・家族の支援と子どもの食環境や発達との関連

育児期の女性の精神的社会的要因や地域・家族の支援と子どもの食環境や発達との関連

国立成育医療センターで実施されている「成育母子コホート研究」の生後6年後の調査を子の母親・父親を対象に質問紙法により実施した。調査の内容は、子の食習慣、しつけ、世話について、母親・父親それぞれの食習慣についてである。これらの調査とあわせて簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食事調査の実施を行った。来年度も引き続き調査対象者の数を増やしデータ構築をすることによって、出産後うつ、不安障害、健康度等の子どもの栄養や発達、あるいは母親、父親の食事への影響について明らかにする予定である。特に、妊娠中および出産後の母親の栄養摂取状況を、エネルギー栄養素摂取量を算出して摂取量の過不足について評価することのみならず、食事バランスガイド、食事の多様性、食事パターンを用いた新しい評価方法によって把握するための検討を行い、出産後うつ、不安障害、健康度等の子どもの栄養や発達、あるいは母親、父親の食事への影響について関連を明らかにする。
また、これらの関連に出産・育児に関するソーシャルサポート、家族のサポートが与える影響について明らかにする予定である。

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小林 実夏家政学部教授H29~R3
子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造と倫理的基盤形成のメカニズムに関する研究

子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造と倫理的基盤形成のメカニズムに関する研究

2018年度は、本研究の基盤となる子どもの権利の視点について、それを子ども支援における単なる理念としてではなく、子どもを取り巻く児童福祉の課題を解決するための具体的な手段として生かすために、その方法論についての研究に取り組んできた。具体的には、①子どもの権利の視点に立つNPO団体へのヒアリング調査と参与観察調査をとおして、各団体が子どもの権利の視点をどのように位置付け、児童福祉実践に生かし、課題解決に取り組んでいるのか、子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造についてのデータ収集と予備的考察を実施したこと。合わせて、②人権概念に基づく当事者主体の社会福祉理論に関する文献研究に取り組み、上記実践内容に関する理論的背景・基盤についての検討を行った。
本研究の意義は、子育て支援や児童福祉の法定サービスが整備されてきた一方で、子ども虐待、貧困、いじめ、子ども・若者の自死、子どもが犠牲となる事故など、数多の問題が発生し、悪化している中で、サービスありきではなく、「子どもの権利に基づく、子どもを主体としたつながりの支援」の方法とその要件を明らかにすることである。こうした課題に応えるために、2018年度は、子どもの権利の視点に立つNPOの支援構造として、①子どもを主体としたつながりを、「子どもの最善の利益」の配慮(条約3条)を軸とした支援によってつくり出すこと、②子どもを主体としたつながりの対象として、「子どもの権利条約」に規定された子どもの総合的な権利内容を活用できることを、データ分析と考察を通して導き出したことである。

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加藤 悦雄家政学部准教授H30~R2
電気自動車を接続したスマートグリッドの構築に関する制度設計の経済学的研究

電気自動車を接続したスマートグリッドの構築に関する制度設計の経済学的研究

近年、太陽光発電などの再生可能エネルギーや電気自動車の活用が環境政策の重要課題となっている。本研究は、スマートグリッドと電気自動車との効率的な接続により太陽光発電と電気自動車の双方の普及・活用を目指す政策の効果を解明する。そのため、スマートグリッドを効率化する税制や料金体系に関する経済理論を構築し、太陽光発電と電気自動車の普及・活用のための政策立案と、その効果の実証的分析を行う。H30年度は、太陽光発電システムの普及を促す政策の効果の解明を目的として、太陽光発電システムの需要構造を分析した先行研究を概観することで、効率的な普及を実現するための要因を把握するとともに、普及政策の効果を検討した。その結果、太陽光発電システムへの投資には大きな不確実性を伴うため、固定価格買取制度などの固定的な金銭的インセンティブとともに、リースなどの不確実性を低下させる取引形態の普及促進が効果的であることがわかった。また、太陽光発電システムの導入におけるピア効果のため、その普及においてコミュニティーの役割が重要視されていることもわかった。この成果については、論文「太陽光発電システムの需要構造と普及政策の効果」にまとめ、大学紀要に掲載した。また、電気自動車とガソリン車が混在する過渡期の最適な自動車税制の解明を目的とし、2006年から2015年までのデータを用いて、Berry et al. (1995)のランダム係数ロジットモデルにより自動車の需要構造を分析し、得られた需要構造をもとに、走行距離に応じた課税が導入された場合のシミュレーションを行った。この成果を論文「Consumer Valuation of Future Costs versus Purchase Prices: A Study of Japan's Auto Market」にまとめ、日本経済政策学会の国際会議で報告した。

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荒川 潔社会情報学部准教授H30~R2
ミャンマー連邦共和国における基礎教育学校の適正規模・適正配置に関する研究

ミャンマー連邦共和国における基礎教育学校の適正規模・適正配置に関する研究

平成30年度の研究計画では、次の2本の研究の柱を考えた。
1.年度・種類の異なるデータセットを組み合わせたビッグデータの構築に関しては、計画書作成時に存在していた2013年、2014年、2016年に加え、新たに、2017年、2018年のデータを得て、これらも加える作業を行った。ただ、47,000校のデータについて5年分を一つのファイルに管理することはコンピュ-タソフトの能力を超えるため、分析目的に応じて、変数、年度を減らして分析する事とした。
2.学校位置情報の分析に関しては、2017年度のデータを元に学校統廃合による教員数削減効果を分析した。データの利用可能性なども考慮し、人口密度が比較的小さなKayar州、人口密度が比較的大きなAyeyawady管区を例に取り分析した結果、概ね同じような結果が得られた。即ち、相互の直線距離が最大距離3 Kmまでの学校は統合する事にすれば、小学校教員を中心にして現実的な基準教員数を約25%削減でき、1 Kmまでであっても約10%の削減が可能である。3Kmまでの統合では学校規模のメディアンは現在の3倍程度になるが、それでも1学年2学級程度でちょうど良い。教員数については、現員と比較しても、全体として教員不足は十分解消し、複式学級も解消し、余裕まで生まれる。教員数を10%削減できる意味は2017年度で35.8千名の削減となり、その年間給与分66.7ビリオン・チャットを学校建設に回せば30ft×30ftを4個つなげた標準的な校舎を年間637校舎建設するだけに相当する。また必要教員数を削減できる事は教育制度改革による今後の教員需要増加への対策として、大きな期待が出来る事を示した。

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牟田 博光人間生活文化
研究所
特別研究員H30~R2
后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究

后妃・女院の儀礼と生活様態の変容にみる中世上流住宅の復原的研究

本研究は、平安時代から南北朝時代頃の后妃・女院の儀礼と生活様態の変容を住宅史の視点から明らかにすることを目的とする。今年度は、前課題より推進してきた、儀礼空間における女性の座を示す打出という舗設の変遷を明らかにするために、指図に示された打出を収集した。大日本古記録・史料大成・続史料大成等に所収された指図を複写する作業を行った。具体的に打出の図が示された、廣義門院御産愚記(延慶 4 年(1311)4 月11 日条、姫宮御五十日(『公衡公記』所収)、『花園天皇宸記』 齋場御覧 公卿淵酔(正慶元(1332)年11月12日条)を見出した。これにより打出の舗設は、南北朝時代まで継承された。室町殿まで継承されることが予見され、次年度の課題としたい。
また、国文学・服飾史との共同研究により、2回の口頭報告等を実施した。(1)天徳4年(960)内裏歌合の場や、皇后宮寛子春秋歌合の場(天喜四年(1056)の復原を推進し、和歌文学会の例会で発表した。春秋歌合は、里内裏である一条院が会場とされた。渡殿を公卿座、簀子を殿上人、廂の御簾内を女房座とする構成は、天徳内裏歌合に準じるが、左右の女房装束を互い違いにするなど、創意に富んだ演出が生み出された。この場合、左右女房は歌合の趣向に合わせて左・春、右・秋の装束を着用しているが、几帳にはあやめ草模様が用いられ、季節に即した夏仕様であった点を示した。
(2)頼通水閣歌合の復原を推進し、平泉文化フォーラムにおいて報告した。国際的な成果の発信として、米国メトロポリタン美術館の源氏物語展に際
して、源氏物語の六条院研究の成果を、英文図録にまとめた。

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赤澤 真理家政学部専任講師H30~R3
コンピュータプログラミング学習の神経基盤に関わる基礎研究

コンピュータプログラミング学習の神経基盤に関わる基礎研究

新学習指導要領では、「プログラミング的思考」の育成を目指して、小中高等学校の全ての段階でプログラミング学習が必修化される。しかし、コンピュータプログラミング学習には、言語や数学など記号の操作力,論理的思考力,目標達成など、ヒトの認知機能を支える能力が関わっていると考えられるが,「プログラミング的思考」に比較的特異的な能力あるいは神経基盤が存在するのか,あるいは記号の操作力など他の認知能力の基盤を流用しているのかは、過去に神経科学的研究がほとんど存在しないため明らかでない。そこで本研究では、コンピュータプログラミング学習が脳の神経可塑的変化に及ぼす影響及び学習過程が脳活動に与える影響をMRI等により測定し、これら一連の研究成果を通して、プログラミング教育の教育的意義や指導法を考察する基礎資料の収集を試みる。
本年度は、30名のプログラミング未学習者を集め、うち実験群(22名)は15回の授業に加えて11回の講習会を受け、プログラミングの中間試験および事後試験、さらに最終作品の提出を義務付けた。プログラミング学習をしない統制群は8名であった。実験群は学習の前・中・後の3回、統制群は学習の前後の2回、脳構造(T1、拡散強調画像)、脳機能(安静時脳機能活動)を撮像した。さらに、学習の前後に学習やプログラミングに関する興味・関心等に関するアンケート、学習前の知的機能検査を行った。その結果、知的機能検査および統制群と実験群の脳構造の比較(横断分析)では有意な差は見受けられなかった。これは統制群の人数が少数であったためと考えられる。一方、昨年度の実験群のデータと合わせた34人の学習前後の変化(縦断分析)では、脳構造に有意差傾向がみられる部位のあることが明らかになった。

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本郷 健社会情報学部教授H30~R3
学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

学童期小児における運動器発達と食事・生活状況との関連

平成28年度~29年度に都内小学校2校において5、6年生を対象として測定したデータ(414名)について集計・分析を行った。その結果、身長、体重、肥満度、骨格筋量、体脂肪率においては、東京都心部と山間部の小学校では測定値に違いはなく、骨密度は、男子において山間部のほうが有意に高かったことから、校庭の広さ等の運動環境は子どもの骨密度に影響する可能性が考えられたが、筋肉量や体脂肪率には影響をあたえないと考えられた。
性別で比較すると、体脂肪率は6年生で男子よりも女子のほうが有意に高かった。
また、学年別に比較すると、骨格筋量および全体筋肉量は男子において5年生よりも6年生のほうが多く、体脂肪率は女子において5年生よりも6年生のほうが高いことがわかった。これらのことから、小学6年生ころから第二次性徴にともなう身体構成の変化を確認することができた。
以上の結果を含めてさらに調査・測定を進めるため、来年度からの測定にむけて機器整備、補修をおこない、新規に購入した骨密度については測定バイアス軽減のために測定トレーニングを実施した。また、対象校の選定については運動環境等を考慮しながら研究協力依頼をすすめている。

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上杉 宰世家政学部准教授H30~R4
対話的アプローチを用いた発達障がい児に対するチーム支援プログラムに関する研究

対話的アプローチを用いた発達障がい児に対するチーム支援プログラムに関する研究

平成27年12月中央教育審議会答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」(以下「チーム学校」答申)が出されたが、家庭、地域、関係機関との連携・協働についての検討は十分とはいえない。
本研究では、発達障がい児への教育、支援における「チーム学校」について、チーム支援プログラムの検討、開発を行うことを目的とする。具体的には子どもの支援関係者チームと家族のチームを想定し、社会ネットワークの視点と社会文化的視点からチームメンバー間の対話を促すアプローチを実践し、検討する。本研究の成果は、「チーム学校」実現と機能の強化、そして地域とともに子どもの成長を支える体制の構築になると考える。

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高橋 ゆう子家政学部教授H31~R3
日本近現代文学におけるメロドラマ的想像力の展開に関する多角的研究

日本近現代文学におけるメロドラマ的想像力の展開に関する多角的研究

近現代の日本において、メロドラマの物語はどこで・どのように語られ、どんな世界を表象し、どんな文化政治的機能を担ってきたのか。本研究では、日本近現代文学作品とその関連テクストを「メロドラマ的想像力」という見地から方法的に捉え返すことで、その時系列的な展開とメディア環境との相関を考究する。合わせて、メロドラマの物語空間を複数のイデオロギーが葛藤・抗争する混淆的な言説の場と位置づけ、日本近代文学研究の知的蓄積を、大衆的な物語の形式で提示された文化表象の歴史性・政治性に批判的に介入する学知として発展させることを目指す

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木戸 雄一文学部教授H31~R3
企業ーステイクホルダー関係における媒介者の機能・パワー・正当性に関する研究

企業ーステイクホルダー関係における媒介者の機能・パワー・正当性に関する研究

企業とステイクホルダーとの関係において、両者を仲介する媒介者(intermediary)はなぜ必要か、いかなる機能を担っているのか、機能を果たすうえでパワー・正当性をいかに獲得していくのか、媒介者を通じて企業‐ステイクホルダー関係がいかに形成展開変革していくのか、媒介者と当事者との関係がいかに構築されるのかを明らかにすることを目指している。音楽業界、映画業界、飲料業界、自動車業界を対象に研究を展開する。

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山倉 健嗣社会情報学部教授H31~R3
ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

ジョブコーチの知識及びスキルの明確化と職能評価基準の開発に関する研究

障害者就労支援の専門職員である「ジョブコーチ」は、その効果と必要性が認められているにもかかわらず、職務内容及び必要な知識・スキルは明確になっていない。そこで本研究では、先ず、インタビュー調査を通してジョブコーチに必要な知識・スキルを質的に把握する。次に、インタビューで得られた知見をもとにジョブコーチの職能要素に関わる質問紙調査を作成し、ジョブコーチ約400人を対象に量的調査を行う。それにより、ジョブコーチに必要な知識及びスキルの要素と構造を明らかにすると共に、支援対象者の障害種、ジョブコーチの種別等による違いを明確化する。また、ジョブコーチ養成カリキュラムで修正すべきポイントを明らかにする。

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小川 浩人間関係学部教授H31~R3
日本関係の近世ラテン語文学 - 成立の文脈と未校訂写本の研究 -

日本関係の近世ラテン語文学 - 成立の文脈と未校訂写本の研究 -

本研究は日本を扱った近世ラテン語文学作品のうち、未出版手稿で現存するもの数点をとりあげ、(1)作品の日本情報がどのように記録され、ヨーロッパに伝されたのか、(2)作品が制作された環境においてその情報がどのように受容、選択、加工、再発信されたのかを包括的に明らかにする。内容が未知である日本関の近世ヨーロッパのラテン語一次史料を発掘し、その生成の文脈をたどることは、西洋古典学やキリシタン文化学のみならず比較文学、文化史、思想史、海外交流史等他分野にも新たな研究の可能性をもたらすことが期待される。

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渡邉 顕彦比較文化学部教授H31~R3
日本中の4年生が星の観察ができる指導法の開発-星座カメラ i-CANを活用して-

日本中の4年生が星の観察ができる指導法の開発-星座カメラ i-CANを活用して-

小学校第4学年で位置づけられている星の動きの学習は、実際の星空を観てその観察記録を基に学習を展開することが望まれている。しかし、多くの学校現場では星を実際に観察し、観察結果をもとに星の動きを捉えることができていない。そのための教材の開発と指導法の開発が求められる。
本研究では、星座カメラi-CANを用い、今夜実際の星空で見られる星の集まりを昼間の授業時間に観て、記録の練習を行う。その学習を受けて、児童は各自の家で夜に星を実際に観察し記録し、それらの記録を用いて、児童が問題を解決していくという指導法を開発する。また、星の学習をいつの時期に、どの星の集まりを使うかについても検討し教材の開発も行う。

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石井 雅幸家政学部教授R2~R4
ネパールの村落における社会関与型アートプロジェクトと芸術教育

ネパールの村落における社会関与型アートプロジェクトと芸術教育

「現代アート」の分野でアートの社会的な機能に着目した活動は「社会関与型アート」(Socially Engaged Art) と呼ばれ、近年、国内でも地域の発展とアートを結び付けたさまざまな活動が行われるようになっている。本研究では、ネパールの山村において継続中の自然素材を活用した「社会関与型アート」プロジェクトを発展させ、その意義を芸術実践および芸術教育の視点から考察し、持続可能な村落開発につながる「社会関与型アート」プロジェクトのモデルを提示する。「現代アート」における最先端の動向を「現代アート」という言葉から最も遠く離れた地域で実践するという画期的な試みでもある。

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金田 卓也家政学部教授R2~R4
保育者の成長プロセスに応じた専門性向上の機会のあり方に関する研究

保育者の成長プロセスに応じた専門性向上の機会のあり方に関する研究

本研究は、保育者の専門性開発(発達)の段階、およびそれを区分けする要因を詳しく特定すると共に、保育者に学びの機会を具体的に明らかにし、園組織で実践可能な具体的な手立てを明らかにすることを目指した研究である。
以前に実施した調査では、キャリア初期においては、保育者間の関係性において専門性を獲得する(育てられる)ことが多く、経験が豊かになると自身の実践経験や外部の研修などを通じて新しい知見を獲得しながら学ぶ傾向に変化していくことがわかっている。
この経過についてより詳細に明らかにするべく、本研究では先行研究を整理し組み合わせつつ、保育現場を数多く訪問し実践者の証言を多く収集しつつモデル化を図る。

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坂田 哲人家政学部専任講師R2~R4
災害報道における放送メディアの役割に関する実証的研究

災害報道における放送メディアの役割に関する実証的研究

2011年の東日本大震災以降,「テレビ報道における『災害報道』は,これまでの『平時のジャーナリズム活動』から『防災・減災活動』へと変化させつつある,のではないか?」との仮説を,東日本大震災以降のテレビおける災害報道の内容分析を行うことで検証するのが本研究の主題である.
また,研究期間中に起こった災害について,被災地調査,該当放送局に対するヒアリング調査を行い,放送メディアが防災,減災に果たした役割について実証的に研究を進めていく予定.

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桶田 敦文学部教授R2~R4
仮名本『曽我物語』の後期本文の変容とその意味

仮名本『曽我物語』の後期本文の変容とその意味

『曽我物語』仮名本諸伝本中重要な位置を占める武田本の本文を紹介し注釈を施す。仮名12巻本の形態となった早い段階の武田本の解明は、仮名本生成の環境・時代や文化的背景を明らかにすることになる。一方、流布本の本文策定は、その最終形態としての『曽我物語』を確認することとなる。このことは、ただ『曽我物語』だけの問題ではなく、『義経記』『平家物語』等の軍記文学の本文生成についても、示唆を与えてくれるはずである。また、『曽我物語』の作品世界を支えた様々な言説の解明は、説話文学のあり方についても明らかにしていくことになる。また、『曽我物語』から切り出されていった、能・幸若等の芸能のあり方についても考えていく。

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小井土 守敏文学部教授R2~R4
子育て・子育ち環境としての開かれた共生型集住に関する研究

子育て・子育ち環境としての開かれた共生型集住に関する研究

近年、家族の小規模化や近隣関係・交流の希薄化によって、家族や近隣関係のなかにあった子育て・子育ちの機能が著しく低下している。安心して生み育て、豊かな人間性や社会性を育む子育て・子育ちのための居住環境の再構築は我が国の喫緊の課題である。
そこで本研究は、日本初の居住者自身で運営するセルフワーク型多世代コレクティブハウス(かんかん森)の入居から16年間の運営方法の変化を分析し、子育て・子育ちの住まいとしての有用性の検証と課題を明らかにする。さらに、子育て・子育ちのための、開かれた共生型集住コレクティブハウスのあり方(事業方式・暮らしの運営方法・空間構成)を示すものである。

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大橋 寿美子社会情報学部教授R2~R4
身近な食と連携した新たな体験型の海洋教育「海育(うみいく)」の提案

身近な食と連携した新たな体験型の海洋教育「海育(うみいく)」の提案

学習指導要領改訂により、文部科学省は2025年までに全ての市町村で海洋教育を実践することを目指しているが、実践例は未だに限定的である。
本研究では、海洋教育を教育現場で充実・普及させるために、新たに「生活体験」の重要な要素である「食」と関係づけた体験型の海洋教育を提案する。具体的には、地域の魚介類を題材に、子どもたちによる「うみいくカード」作成を行う。さらに、取り組みの前後で海洋リテラシーとセルフエフィカシーの調査を行い、取り組みの効果を検証する。
本研究の成果は、地域連携型の海洋教育の先駆的なモデルとして、他の地域にも波及的な効果を持ち、海洋教育の充実・普及に大いに寄与すると確信する。

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細谷 夏実社会情報学部教授R2~R4
戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

戸建住宅市街地の住宅更新における世代間継承と住宅・住環境の管理に関する研究

東京西部の戸建住宅市街地の住宅更新は、家族のライフサイクルに応じた増改築、経年変化による建替えが行われ、住宅は資産として継承されてきた。しかし、敷地の小規模化や道路条件等から原位置での建替えは難しく、空き家化が懸念されている。空き家問題が社会問題化しているが、大都市部の戸建住宅市街地の空き家化の経緯に関する調査では、その要因分析が十分に行われていない。
そこで本研究は、東京西部の住宅地を対象として、①長期に住み続けている事例、②資産運用型の建替事例、③空き家化した事例を分析し、戸建住宅市街地の持続可能な住宅管理および余剰空間の利活用を含めた住環境マネジメントのあり方を検討する。

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松本 暢子社会情報学部教授R2~R4
地域活性化に資する効果的な農福連携プログラムモデルの構築に関する研究

地域活性化に資する効果的な農福連携プログラムモデルの構築に関する研究

本研究は、障害者の農業分野での活躍を通じて農業経営の発展とともに、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する取り組みである農福連携を地域の中で定着させ、地域活性化に資する取り組みの一つとして効果的なプログラムを構築する研究である。
プログラムの構築には、CD-TEP評価アプローチ法をもちいる。CD-TEP評価アプローチ法は、プログラム理論・エビデンス・実践家の円環的対話による効果的福祉実践プログラム形成のための評価アプローチ法として大島らによって開発されたプログラムである。

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藤本 優人間関係学部助教R2~R4
現代台湾文学・映画におけるLGBT文化の影響―ジェンダー表象に注目して

現代台湾文学・映画におけるLGBT文化の影響―ジェンダー表象に注目して

2019年に台湾はアジアで初めて同性婚が合法化された。現代台湾映画・文学によりLGBT文化が醸成され始めたのは四半世紀前のことである。1990年代、現代台湾映画では、李安監督や蔡明亮監督がLGBTを主題とする作品を公開し国際的な映画賞を受賞した。現代台湾文学も、白先勇に続き邱妙津や紀大偉などがLGBT文学を発表し文学賞を受賞し、多くのLGBT文学の誕生を誘発した。今やLGBT文学や映画はマイノリティではなく主流派である。
LGBT文化の成熟の先にどのようなジェンダー認識の世界が展開されているのかを現代台湾文学・映画を例として分析する。

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赤松 美和子比較文化学部准教授R2~R4
中国「元代」茶詩の全収集と解析研究

中国「元代」茶詩の全収集と解析研究

「元代」は中国茶文化の大事な転換期であり、日中両国茶文化の分岐点でもある。本研究は元代の茶詩を網羅的に収集し、解析を行うことで、元代茶文化の全貌を解明していく。また、喫茶文化の「伝承」的な性格に着目し、「史料解読→関連地域現地調査→現代喫茶実態と史料の検証及び解析→史料通り再現実験」という研究手法を取っていく。

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徳泉 方庵国際センター准教授R2~R4
学校における児童生徒の突然死の実態解明と発生予防に向けた疫学研究

学校における児童生徒の突然死の実態解明と発生予防に向けた疫学研究

日本スポーツ振興センターの災害共済給付データと総務省消防庁の救急蘇生統計とを結合したデータベース『SPIRITS』を用いた疫学研究を実施する。各年度に本データベースに新規データを追加し、以下の課題について研究を行う。
①現場に居合わせた市民がAEDを使用するかどうかに関わる要因の探索
②市民が行う心肺蘇生術の種類が救命率に与える影響の検証
③運動中に起こる心臓震盪の実態把握
④救命行為の実施状況と救命率の長期的経年変化の把握
本研究により、学校におけるAEDの適正配置や心肺蘇生講習のあり方など、児童生徒の突然死予防に向けた対策立案や次回の蘇生ガイドライン改訂に貢献するエビデンスを提供する。

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清原 康介家政学部専任講師R2~R5
都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の公共空間の利用のための風速と体感の関係と風に関するソーシャルマップの試作

都市の風環境を評価するにあたり、確率的に評価する風環境評価尺度とともに、風に対する人の感じ方や風の事物への影響も重要な情報であると考えられる。しかし、風に対する人の感じ方に関する研究は非常に少ない。
本研究では都市の公共空間の利用の視点から、風速と体感の関係を調査し、風速と体感との関係の基礎資料を整備する。また都市の公共空間を対象とした利用状況の調査や風速測定を行い、都市の公共空間の利活用への展開を目標とした風に関するソーシャルマップを試作する。

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白澤 多一社会情報学部准教授R2~R5
分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

分散型電源によるマイクログリッド構築のための社会的相互作用とビジネスモデルの研究

近年、地球温暖化対策や電力供給の安定化のために、再生可能エネルギーなどの分散型電源の普及と活用が重要課題となっている。本研究では、分散型電源を効率的に普及させ、災害に強い電力インフラの整備を実現するビジネスモデルとは何かを解明する。そのため、分散型電源の導入と運用管理に影響する社会的相互作用や社会経済的要因を特定し、分散型電源の普及に最適なビジネスモデルの立案と効果の実証的分析を行う。

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桑島 由芙社会情報学部専任講師R2~R5
社会的養護の比較歴史社会学的研究――日韓比較を通じた分析枠組みと指標の構築

社会的養護の比較歴史社会学的研究――日韓比較を通じた分析枠組みと指標の構築

社会的養護は主に「施設/里親」という枠組みと里親委託率という指標を用いて研究が行われてきた。しかし、これらの枠組み・指標は、社会的養護の現状や今後の方向性を構想するうえで充分かつ適切な枠組み・指標とはいえない。2010年代以降、日本で社会的養護の脱施設化の動きが加速しており、里親委託が政策的に推進されている。今後の政策をミスリードしないためにも、社会的養護を分析する新しい枠組みと指標が求められる。
そこで、本研究は日韓の社会的養護を比較歴史社会学の視点から分析することで、新しい分析枠組みと指標を提案し、現在日本が陥っている隘路を指摘することを目的とする。

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野辺 陽子人間関係学部准教授R2~R5
拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

拡張した節構文の意味及び構文的知識の言語理解過程に果たす役割に関する研究

実際の言語使用場面では、様々な逸脱文が出現している。本研究は、そうした逸脱文の意味を母語話者が同じように理解するのはなぜかを、「構文の鋳型」という観点から明らかにする。
また、母語話者と日本語学習者(非母語話者)で、日本語の逸脱文についての意味理解が異なるかどうかを調査し、異なりがある場合、その理由を考える。「構文の鋳型」に関する慣習的知識があるかどうかが、逸脱的意味の理解に関わることが、この調査で明らかになると予測している。
本研究の結果は、構文的知識の重要性を明らかにし、その知見は言語教育分野にも一定の貢献があると考える。

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天野 みどり文学部教授R2~R6
挑戦的研究(萌芽)車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

車両用座席シートの審美的快適性の研究―白色化防止座席シート開発への提言―

電車で白色化している座席シートをよく目にする。白色化が大きくなると経年劣化が感じられ、車両の審美性にまで大きな影響を与える。車両は、当然、安全、安心が優先されているため、審美的な快適性は、二の次になる。多くの車両用座席シートには、カットパイル織物が使用されている。
研究代表者の研究から、カットパイル織物は糸の断面と側面の光の反射光量の違いから色の見え方に違いを生じることを経験している。これらの研究を踏まえ、座席シートの白色化が生じるメカニズムを解明するとともに、白色化が生じない素材や構造、色、柄などを提言し、これまで見過ごされてきた座席シートの審美的快適性を追求する。

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平井 郁子キャリア教育
センター
教授H31~R3
若手研究(B)里親養育における里親と実子の意識とその支援のあり方

里親養育における里親と実子の意識とその支援のあり方

平成30年度の計画と実績の概要は以下のとおりである。
1.インタビュー項目の作成・協力者の選定:国内のインタビュー調査のインタビュー項目、大学内の倫理審査の認定、協力者の選定を行った。インタビュー項目の作成は、里親・実子それぞれのインタビュー項目を作成した。また、大学内の倫理審査では、科学研究費の執行・倫理に沿った審査を行っている。
2.インタビュー調査の実施:里親と実子へのインタビュー調査の実施の計画を行ったが、平成30年度はプレ調査を含む里親への4件の調査を行った。プレ調査では、里親家庭の実子にも面会することができ、年齢が計画よりも低いためインタビューは行わなかったが実際の里親家庭で考えたことなどを聞き取ることができた。インタビューでは実子と委託児童の養育においての課題や実子支援に関する内容を聞き取ることができた。
3.平成28年に行った海外視察オーストラリアのフォスタリング機関(里親支援機関)への調査報告についてまとめ、実子支援についてのプログラムの内容や現状の実子支援についてまとめた。このまとめに関しては2019年7月に発行予定の論文に掲載する予定である。

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山本 真知子人間関係学部専任講師H28~R2
(期間延長)
若手研究ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品情報の探索と購買行動の研究

携帯端末の発展により、アパレル商品の購買行動も多様化してきたが、リアル店舗とネット店舗の融合等のオムニチャネル戦略を構築する企業では、消費者行動への理解が求められる。本研究では、ショールーマーとリバース・ショールーマーのアパレル商品の購買行動の解明に目的を置き、それらにおける、①情報探索と購買のプロセス、そして、それらの購買商品・価格帯、満足するサービス傾向、②SNS等の情報への満足度傾向、③ビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)への満足度傾向の実証研究を行う。本研究は、小売研究や消費者行動研究等の学術面への貢献のみならず、企業のプロモーション施策案の提示等、実務面での貢献も期待出来よう。

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吉井 健家政学部准教授H31~R3
公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

公民権運動期以降のアフリカ系アメリカ文学における身体的経験としての痛みと親密性

本研究は、身体的経験としての痛みがどのように言語化されてきたか、という問題意識にもとづいてアフリカ系アメリカ文学の読み直しを図るものである。 公民権運動時代以降に活躍している作家トニ・モリスン、ジェイムズ・ボールドウィン、マヤ・アンジェロウなどの作品における身体的な痛みの表象を、近年の脳科学や臨床医学において主張されている「記憶する身体」という視点から分析する。心と身体のつながりや記憶の身体的な側面を作家たちが正確に見抜き、表現してきたことを明らかにしつつ、トラウマティックな記憶からの癒しにおける他者との身体的接触や親密性の重要性を理論化することを目的とする。

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石川 千暁文学部専任講師H31~R3
不況の知覚が内集団の範囲を狭めて曖昧成員への攻撃を促進するプロセスの解明

不況の知覚が内集団の範囲を狭めて曖昧成員への攻撃を促進するプロセスの解明

近年、反グローバリズム的な風潮が世界的に見られ、それに伴う暴動が発生している地域もある。心理学領域の研究は、こうした現象の背後に、不況の知覚の影響があることを示唆している。しかしこれらの研究は、不況の知覚が内集団の範囲を狭める認知傾向を引き起こすという現象の「存在」を示すにとどまっており、そのプロセスおよび社会的帰結は明らかでない。そこで本研究では、不況の知覚が内集団の範囲を狭め、内集団成員か外集団成員か曖昧な人物への攻撃を促進するプロセスを解明する。これを解明し、各段階での介入方法を検討することで、昨今の反グローバリズム的風潮とそれに伴う暴動を改善・予防する糸口が得られることが期待される。

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竹部 成崇文学部専任講師H31~R3
学校建築の社会学的研究

学校建築の社会学的研究

本研究では、長らく建築学上の関心に留まり、教育現場および人文・社会科学上看過されることの多かった学校建築のあり方について、その技術、推奨される空間構成、学校建築を通して目指される教育のあり方が歴史的にどのように変遷してきたのかについて、学校建築学および実作上の展開の追跡と、学校建築関係者へのインタビューを通して、技術・社会・言説をめぐる総合的な分析を行う。分析対象資料は学校建築計画学を中心とした学校建築に関する書籍・政府刊行物、博士論文、雑誌特集記事を中心とする。

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牧野 智和人間関係学部准教授H31~R4
理想的観賞者説の改訂・展開による、複合文化的な美的経験論の構築

理想的観賞者説の改訂・展開による、複合文化的な美的経験論の構築

研究は、従来の理想的観賞者説を改良することで、現代における多様な美的経験や多元化した価値観を説明するための、新たな美的経験論を構築する。
まず、1)価値観の多様性、2)理想的な美的経験を想定する意義、3)美的主張の規範性、の3つの点に着目しつつ、従来の美的経験論の論点整理を行い、改良すべき点を明らかにする。
それをふまえ、現代の多様な美的ふるまいを説明するための分析枠組みを提出する。目標は、美的判断の正当性/不当性を明確に説明すること、数ある美的経験の中からより尊重に値する美的経験を弁別する基準を提出すること、そして、その美的経験をどのていど尊重すべきかの度合いを明示化すること、である。

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森 功次国際センター専任講師H31~R4
研究活動スタート支援福島第一原発事故のリスク報道の伝達と受容に関する実証的研究

福島第一原発事故のリスク報道の伝達と受容に関する実証的研究

2020東京オリンピックは「復興五輪」と銘打たれているが,原発事故からの復興が半ばである「福島」を在京および当該地域の放送局が,「原発事故」と「復興」をどのように報じるのかを,放送の内容分析を行って明らかにする.更に,各局の報道担当者にインタビューを行い,キー局と在福島局との間の伝え方の差=議題設定の差などについての比較検討も同時に行う.
テレビ報道における原発事故の内容分析は,事故直後のものがほとんどであり,かつ,事故からの復旧,復興期における民放キー局と在福島局の差異を明らかにする研究は他にはなく独自性のあるものである.

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桶田 敦文学部教授H31~R2
度量衡から見るベトナムの植民地統治及び社会構造とその地域性

度量衡から見るベトナムの植民地統治及び社会構造とその地域性

本研究は、フランスによるベトナム植民地統治の実態、植民地期ベトナムの社会構造や地域性について、度量衡(計量器、計量単位)の観点から分析・解明するものである。フランスの対ベトナム植民地統治はあいまいで局地的・部分的なものであったとされるが、具体的な事例から実証的に検討されてはいない。また、植民地社会の構造や地域性については、植民地政権により区分された行政区画の枠組みの中で、異なる研究分野によって個別に研究が進められてきた。本研究では、こうした研究史の限界に対して、植民地政権の行政区画の枠を超え、ベトナム一国を同じ比較軸(度量衡)で検討するという新しい手法でアプローチする。

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関本 紀子文学部専任講師H31~R2
特別研究員奨励費現代中国における日本のグローバル経済戦略と広告メディアのジェンダー・ポリティクス

現代中国における日本のグローバル経済戦略と広告メディアのジェンダー・ポリティクス

本研究は現代中国における日本の広告、特に化粧品広告(ヘアケア商品を含む)の女性イメージを対象に、その構築過程とグローバル経済戦略の関係に着眼する。また、近年のSNSの発達によりテクストを積極的に消費し多様な意味解釈を提示する読み手が出現している状況にも焦点を当てる。
これらを検証する上で、まず広告のジェンダー表象それ自体を問題視するだけでなく、それが構築されローカルで流通していくメカニズムにも注目する。そして、テクストの読み手を能動的で活動的なオーディエンスとして捉えその言説空間を重視する。グローバルとローカルに働くさまざまなポリティクスをジェンダーを切り口に多面的に解明する。

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上村 陽子文学部特別研究員H31~R3

短期大学部

※研究課題名をクリックすると課題詳細がご覧いただけます。

研究種目等研究課題名研究代表者所属職名研究期間
(年度)
基盤研究(C)自律的な積み上げ学習につながる授業内・外学習時のメタ認識出現条件

自律的な積み上げ学習につながる授業内・外学習時のメタ認識出現条件


本研究は,学習者自身の学習に対するメタ認識が活性化される条件を探ることにある。授業で目標に向かって積み上げていく学習について,また,授業外で日々機械的に積み上げていく学習において,学習者自身が自律的に学習を活性化させていく条件を検討するものである。学習プロセスを観察し,学習者の認識を観察することで,学習におけるメタ認識が意識される条件を特定することを目指している。その最終目的は,どのような学習環境を教室で教師が作るのが,学習者の支援となるのかを確認することにある。また,その後の自律的学習につなぐ観点を探ることにある。
研究方法としては,期間,目標,内容,教員の異なるいくつかの授業の流れと,授業とは関係なく,学習者が授業外で自律的に進める学習プロセスと意識を観察し,授業参加者,授業外学習継続者の意識を分析することで,学習者のメタ認識条件を探ろうと考えている。具体的には次のように実施する。
授業内の学生の関心点を観察するため,授業後に,授業課題に対して関心を覚えた点とそれに対してどのような行動をとったかを記述に残すように指示し,その記述内に見られる学生の認識が,メタ認識に関わるものか,個人的関心のものか,個人的に見たテーマに関連するものかをラベル付けして,分析する準備とする。また,学期の開始時,途中,終了時に内省した授業への個々人の参加状況を,学期末に並べて比較し,学習者の意識,メタ認識に関する言及回数,場面,対象を調べ,それらに関する考えや意識を質的に分析する準備とする。
授業外の学生の関心点,継続の動機を確認するために,教職者に,授業外で授業とは関係ないが必要だと考える学習を続ける動機と,継続,結果に関する意識を調べる。
これらの調査の結果を総合して,自律学習のための教師の支援のポイントを探る。

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中尾 桂子国文科准教授H30~R2
挑戦的研究(萌芽)英語テクストから見直す近代日本仏教像

英語テクストから見直す近代日本仏教像


  1. 第17回Hawaii International Conference on Arts and Humanitiesにおいて、岡倉天心の未公開オペラ台本についての研究発表(The White Fox as a Work of World Literature)を行った。The White Foxと「信太妻伝説」「阿倍清明伝説」との関わりについて考察し、岡倉のオペラ台本が、日本の伝統的芸能(説教節、浄瑠璃、歌舞伎、読み本、黄表紙、仮名草子、浮世絵、地歌、狐会、地歌、清元、落語、盆踊り)・現代小説・アニメにみられるストーリーに比べいかに独自性が際立っているかを、近代仏教研究の争点になっている「涅槃」の表象の視点から明らかにした。
  2. ラオスにおいて、ラオス国立大学、国立中央図書館、仏教博物館などにおいて英語著作の文献調査を行った。訪問した仏教寺院に所蔵されている資料はほぼ仏教経典に限られているが、そこで修業している少年僧侶たちの教本が英語であることは近年の変化の一つである。
  3. ヨーロッパにおける日本学の拠点大学であるハイデルベルク大学日本学研究所において、日本近代仏教研究に関する資料調査を行なうと共に、プロジェクト”Japanese Buddhism and their Contribution to Academic Knowledge on Buddhism in 19th Century Europe(「ヨーロッパにおける大乗仏教―19世紀ヨーロッパの仏教をめぐる学術知識への日本人僧侶の貢献」)の主要メンバーであるClara Boehnne氏(プロジェクトリーダーはハンス・マーテイン・クレーマー教授)から、プロジェクトの進行状況をうかがい、意見交換をすることができた。さらに、ユデイット・アロカイ教授はじめ日本学研究所の研究者らと交流した。
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大平 栄子英文科教授H30~R2

全国学校別 採択件数・配分額一覧表

※文部科学省ホームページ「 科学研究費助成金 配分結果」にて公表された資料を基に本学が作成しました。

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