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令和4年度後期集中授業「地域文化理解Ⅱ」を開講しました

2月6日(月)から2月10日(金)に後期集中授業「地域文化理解Ⅱ」が5日間行われ、協定を締結している京都女子大学から6名、本学から25名、合計31名の学生が受講した。昨年度、コロナ禍を理由に開講を見送ったことから、今回が初めての授業となる。5日間で5名の講師が、それぞれの分野について、歴史的背景を含めた基礎知識を身につけるための講義、実演、実習を行った。

【1日目】
三國清三シェフによる講義と実演・実習。「フランス料理の真髄」というテーマで、これまでの経験を交えて、フランス料理の歴史と日本料理の食文化について講義が行われた。続くデモンストレーションで扱ったのは「カプチーノシャンピニオン」、調理のポイントと注意点について説明があり、学生は8グループに分かれて、実習を行った。この「カプチーノシャンピニオン」は、かつて三國清三シェフがある国の大統領に提供した食事の一品で、今回のような機会なしには、学ぶことができない。

世界的に有名な三國清三シェフを招いての調理講習がスタート

カプチーノシャンピニオン

午後からは、浅井拓也講師によるパティシエの基本技術の説明、実習及び試食を行った。当初、シュークリームを作る予定であったが、直前にメニューを変更した。この日、浅井拓也講師が選んだメニューは「Oeuf a la naige(ウ・ア・ラ・ネージュ)」。フランス語で、oeuf(ウフ)は卵、neige(ネージュ)は雪を意味する。粉は使用せず、卵白と砂糖できめ細かく泡立てたメレンゲを、沸騰させない湯で時間をかけて中までしっかり火を通したもの。今回のメニュー変更について浅井拓也講師は、「流行りのお菓子を作ることは簡単だが、それだけしか作ることができないようでは意味がない。応用力が身につくように、基本技術がいくつも必要とされるこのお菓子を選んだ」と説明した。

作業を見守る浅井拓也講師

<講師紹介>
三國清三 講師
20歳で駐スイス日本大使館の料理長就任。その後も三つ星レストランで修行を重ね、1985年オテル・ドゥ・ミクニを開店。2013年、フランスの食文化への功績が認められ、フランス・トゥールにあるフランソワ・ラブレー大学にて名誉博士号授与。2015年、フランス共和国よりレジオン・ドヌール勲章シュヴェリエを受勲。

浅井拓也 講師
オテル・ドゥ・ミクニ専属パティシエ。2017年、フランスアルザス地方の銘店「ジャック」、パリのプラザアテネで1年間研修。

【2日目】
平塚未来講師による日本料理の歴史とだし汁についての授業。日本料理を食べるときの作法を含め、日本料理の変遷を学んだ。実習では、普段、あまり意識することのない昆布、鰹節などのだし汁の違い、米の正しい研ぎ方とご飯の美味しい炊き方を学んだ。また、水菜の浸しでは、日本料理に必要とされる空間の美を意識した器の盛り付け方について詳しい説明があった。

日本料理のエキスパート、平塚未来講師と後藤晃太助手によるだし汁の講義

空間の美を意識した日本料理

<講師紹介>
平塚未来 講師
服部栄養専門学校・日本料理専任教授。服部学園で教鞭をとりながら、食育活動や日本料理のイベントでのデモンストレーションにも積極的に取り組む。三國とともに、東京都市大学附属小学校で5年生の授業を長年受け持つ。

【3日目】
本道佳子講師によるヴィーガンの講義。ヴィーガンを研究し始めた経緯に始まり、ヴィーガンのメリット、種類について説明があった。実習で作った料理は、すべて野菜でできており、色鮮やかで食欲をそそるものばかりであった。「ヴィーガン料理において、代わりにどんな材料を使えばよいのか」という点について興味を持ち、講師に熱心に質問する学生がおり、後日、実際に作ってみようという姿勢を伺うことができた。

本道佳子講師によるヴィーガン料理の素材講義

ヴィーガン料理をビュッフェスタイルでいただきました

<講師紹介>
本道佳子 講師
和ヴィーガン料理人。NPO法人「国境なき料理団」代表。サンマリノ共和国晩餐会でシェフ、東北、熊本他炊き出し隊長として活躍した。2018年ミラノにて世界ヴィーガン選手権第2位。

【4日目】
この日は終日フィールドワーク、大手町のTOKYO TORCH常盤橋タワーに集合した。谷沢直紀講師と井上友美講師による講義では、食を通じたまちづくり事業について三菱地所株式会社が行っているプロジェクトの紹介、その後、TOKYO TORCH常盤橋タワーを中心に丸の内エリアの視察が行われた。グループワークにおいては、「ワーク・イン・ライフの時代に『東京の都心』に求められる役割や機能について考える」というテーマで、女性が働きやすい環境とは何かを考えた。ディスカッションを通して、自分の考えをまとめ、発表することで、女性が活躍する支援事業について理解を深めるきっかけとなった。

食を通じたまちづくりについて討論

<講師紹介>
井上友美 講師
2007年三菱地所株式会社入社、商業部門にて新丸ビルなど商業施設の企画運営、PR、ブランディング事業に携わる。

谷沢直紀 講師
三菱地所株式会社、TOKYO TORCH事業部において、企画ユニットのユニットリーダーとして活躍。

【5日目】
最終日は、井上祐子講師による管理栄養士の立場からみたスポーツ選手の食事の調理について。実習では、栄養素を計算した上で、炊き込みご飯(主食)、簡単ナムル(副菜)、みそ汁(汁物)を作った。献立のコンセプトは、「スポーツ前後にも最適」「手軽に作れる(乾物・缶詰の活用)」「食材を生かして減塩効果」の3つ。いずれも健康を考えたメニューで、日常の食事を見直すよい機会となった。

スポーツ選手の食事の調理について説明する井上祐子講師

スポーツ前後にも最適な食事

<講師紹介>
井上祐子 講師
株式会社タイアップ・管理栄養士。管理栄養士として、三笠宮家、ホテルオークラ東京、ソシエテミクニに携わる。中央区立小学校教育課程に沿った食育授業、セブン&アイ カタログ商品監修、Jリーグ選手の体調管理や育成選手たちの身体作りを支えている。

午後は、これまでの講師が集まり、総括を行う予定であったが、東京都の大雪警報により、残念ながら中止となった。

<学生の感想>
・非常に有意義で充実した5日間だった。このような授業は今しか学べないと思うので、これからもこの授業を開催してほしい。
・去年、コロナの影響で参加できず、4年生になってからの参加でしたが、内容の濃い、勉強になる5日間でした。1~3年生は就活前にこの講義を受講できてとてもうらやましかったですし、私自身も将来に活かせそうだと感じることが数多くあったので、参加して本当に良かったです。今後も継続していくべき集中講義であることを私が保証します。私と同様に、この講義で多くの人が楽しんでほしいと感じました。ありがとうございました。
・今まで触れたことのない分野の料理を学んだり、先生方の技術を間近で見たりなど、とても貴重な経験をすることができました。今回、班は学年や学部の異なるメンバーから構成されていましたが、一緒に料理を作ったり、食べたりしたことで会話が増え、関係が深まり、実習を楽しむことができたことがとても嬉しかったです。
・二度とないような貴重な経験をさせていただけたこと、本当に嬉しかったです。先生方もすごい方ばかりで、お会いできてお話を聞けて良かったです。
・これまで正直食にそれほどこだわりがなく、スーパーマーケットでお買い得品ばかりを選んでいたが、今後は全体の食事バランスや、具材、調理方法などいろいろと考えながら食事を準備していこうと思う。本講義では、ライフデザイン学科とはまた違った観点から人の生活について考え直すことができ、とてもためになった。5日間ありがとうございました。
・大学4年間で学んだことと同じくらい、貴重で価値のあることをこの1週間で学ぶことができました。この1週間で学んだことや得たことは、今後の人生に間違いなく良い影響があると思います。このプロジェクトに参加することができて、本当に良かったです。このプロジェクトを企画してくださった方や携わってくれた全ての人に感謝します。5日間ありがとうございました。
・とても楽しく学べるいい授業だった。私は食の学部ではないので不安だったが、それでも楽しむことができた。ぜひ、食物学科の方はもちろん、いろいろな学部の方に学んでほしいと思った。また、京都女子大学からきた方ともお話しすることができて良かったので、来年以降もやってほしいと思う。
・初対面の人とも協力し合って、ケガなく、大きな失敗もなく、料理を完成させ、笑顔で美味しくいただくことができて、とても楽しい授業でした。先生方の講義はどなたも興味深く、実演ではちょっとしたコツを伺ったり、初めての調理技法を間近で拝見できたり、中味の濃い5日間でした。この授業に参加させていただき、ありがとうございました。
・この地域文化理解での5日間の集中講義では、想像以上の経験と知識を得ることができました。私はこの講義を受けて食とは何なのか、食というワードを切り取ってみてもなかなか食について深く考えたことはありませんでした。今回の授業を通して、深く学ぶことができたし、食の世界は知れば知るほど奥行きがあり、多様性であることを身にしみて感じることができました。今回の経験は私の中で大きく響いており、受講できたことを本当に誇りに思います。
・素晴らしい講師の方々を招いていただき、本当に実りある講義を受けさせていただきました。会おうと思っても会えない方に直接ご指導いただいた経験は、今後の自分の人生の糧になると確信しています。来年以降も、もしこの講義が開講されるならば、ぜひ後輩たちにもふるって応募をしてほしいと自信を持って言うことができます。これから先の人生、避けることはできない「食」という行為がより楽しく、豊かなものになりそうです。
・直接先生方と関わることができ、調理に対する熱意と多くの刺激を受けました。実演からは調理の自由さに驚き、状況や状態を見極めることがより大切なのだと気がつき、料理に対する概念が変わりました。また、初めて触れる食材も多く、代用食材や食感を増すためなどの工夫の際の選択肢が広がりました。工夫できることや、調理の原理などから料理への面白さを感じ、より食に興味がわき、学びたい熱意があふれました。
・本当に貴重な体験をありがとうございました。盛りだくさんの5日間で、たくさんのことを感じ、学ぶことができました。プロの料理人の方々の手元を目の前で見ることができ、いろいろなことを教えていただけで、普段なら経験できないことばかりでわくわくし続けていました。食に対する興味がより一層深まりました。これから勉強するときや、管理栄養士の資格を取って働くときにも、今回の経験はずっと忘れないと思います。