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BGMがオペレーターのストレス低減などに寄与する可能性を示唆 本学、USEN、トランスコスモスの共同研究

人間関係学部人間福祉学科・尾久裕紀教授、同学部人間関係学科・堀洋元准教授、本田周二准教授は、USEN-NEXT GROUPの株式会社 USEN、トランスコスモス株式会社とBGMがコールセンターで働くオペレーターに与える影響についての共同研究を実施しました。
この研究は、BGMの使い分けによって、コールセンターで働くオペレーターのストレスなどに違いが見られるかを調査したものです。対象者をフロアごとの3群に分けて各フロアの執務室とリフレッシュルームおよび廊下とで異なるBGMを放送しました。

なお、本研究の詳細は、株式会社 USENが展開する学術研究コラムサイト「音空間デザインラボ」に掲載されています。


<研究概要>
「BGMがコールセンターのオペレーターに与える影響」

<日程>
観察期間 ① 2021年1月18日(月)~2月7日(日)
観察期間 ② 2021年2月8日(月)~3月7日(日)
観察期間 ③ 2021年3月8日(月)~4月4日(日)

<対象者>
トランスコスモスのコールセンターに勤務するオペレーター[観察期間 ①94人 ②88人 ③88人

<放送したBGM>
A群:執務室 → 鎮静的BGM、リフレッシュルーム・廊下 → 覚醒的BGM
B群:執務室 → 覚醒的BGM、リフレッシュルーム・廊下 → 鎮静的BGM
C群:執務室・リフレッシュルーム・廊下 → 鎮静的BGMと覚醒的BGMのミックス

<内容>
プレ調査期間[観察期間①]を設けたあと、約2カ月間にわたり群ごとにBGM環境(BGMの種類)を変えて観察期間の切り替わるタイミングで、一時的気分尺度 (「生き生きしている」「だるい」など)、室内の印象(「自分の働いているフロアの印象」)、就業継続意思(「今後も現在の仕事をつづけていきたいかどうか」)、ワークエンゲージメント(「自分の仕事に誇りを感じる」「仕事の生産性が上がったように感じる」)といった項目をアンケートしました。また勤務日数や、一時間当たりの平均処理件数(CPH)、オペレーターの感情といったデータを含めてBGMの効果を検証しました。

<結果>
(1)一時的気分尺度
A群において、観察期間全体を通して「緊張」の項目が有意に低下しました。
一時的気分尺度の結果
(2)一時間あたりの平均処理件数(CPH)
C群の女性において、 観察期間①よりも観察期間②、③の方が上がりました。
一時間あたりの平均処理件数
(3)室内およびBGMの印象と、気分やパフォーマンスとの関連性
・A群:BGMが好きな程度が高いほど、怒りや抑うつが低く、ワークエンゲージメントや就業継続意思が高い。また、室内の印象による影響が大きい。
・B群:室内の印象による影響が大きい。
・C群:執務室のBGMについては 、前述の通りCPHと正の相関が認められた。また、執務室のBGMが好きな程度が高いほど、怒りや抑うつが低く、ワークエンゲージメントが高い。

【人間関係学部人間福祉学科・尾久裕紀教授、同学部人間関係学科・堀洋元准教授、本田周二准教授 コメント】
2カ月もの間、実際の勤務している場所を使ってのフィールド研究において、いくつかの有意な結果が得られたことは意義深いと考えている。ワークエンゲージメントや勤務時でのポジティブ感情に関して、女性の方が高いという結果は、相対的に女性の方が多い職場であるコールセンターにとって良い結果だと考えられる。一方で、男性オペレーターのワークエンゲージメントやポジティブ感情を高めるためにはどうしたらよいのかについて検討する必要があるだろう。また、覚醒的BGMだけを流すよりも鎮静的BGMやミックスしたBGMにおいてストレス低減やパフォーマンスの向上との関連が見出されたことは、コールセンター内でどのようなBGMを採用することが望ましいのかを考えるヒントになると考えられる。