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食物・川口教授と太陽化学株式会社との共同研究でグアーガム分解物がおなかの不調に有効と判明

川口教授

家政学部食物学科・川口美喜子教授と太陽化学株式会社による共同研究グループが、水溶性食物繊維グアーガム分解物(Partially Hydrolyzed Guar Gum 以下PHGG)の摂取試験をアスリートに実施した結果、下痢と関連する症状が和らぎ、ビフィズス菌が増加するなど腸内細菌叢(そう)が改善することが明らかになりました。


近年、腸内細菌叢が健康に大きく影響することが明らかにされつつあり、運動と腸内細菌叢の関わりについても関心が高まっています。過度な運動は腸管バリア機能や免疫などにダメージを与える可能性が示唆されており、実際、30〜60%のアスリートがおなかの不調を有すると報告されています。

アスリート53人を対象としたPHGGの摂取試験を共同で実施。その結果、PHGGの摂取により、下痢と関連する症状が和らぎ、ビフィズス菌が増加するなど腸内細菌叢が改善することが判明しました。今後、消化管にダメージを受けやすいアスリートのコンディション維持に役立つことが期待されます。


<試験の概要>

・健康なアスリート53人(主にサッカー選⼿)を対象に、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験(注1)を実施。PHGGを6g/日、4週間摂取してもらい、おなかの症状についてアンケート調査を行った。また、選抜した被験者の腸内細菌叢を調査。それぞれ、PHGGの代わりにプラセボ食品(注2)を摂取していた時の値と比較した。

・PHGG摂取時はプラセボ食品摂取時に比べ、下痢や急激な便意などの症状が改善した(下図)。

・PHGG摂取時はプラセボ食品摂取時に比べ、有用菌であるBifidobacterium(ビフィズス菌)比率が有意に上昇し、有害菌であるClostridium XI比率が有意に低下するなど、腸内細菌叢に良い変化が見られた。


PHGGグラフ

(注1)被験者、試験実施者いずれもが、試験食品とプラセボ食品のどちらが割りつけられているかを知らない形で、同⼀被験者に時期を変えて試験食品かプラセボ食品を摂取させる試験。

(注2)見た目や味などは同じだが、機能性成分を含まないコントロール食品。


なお、この研究成果は、学術雑誌『Journal of Functional Foods』 (2020年9⽉号)に掲載されています。


論文題目:

Lifestyle related changes with partially hydrolyzed guar gum dietary fiber in healthy athlete individuals – A randomized, double-blind, crossover,placebo-controlled gut microbiome clinical study

論文著者:

Mahendra P. Kapoor, Masaaki Koido, Mikiko Kawaguchi, Derek Timm, Makoto Ozeki, Mari Yamada, Takayuki Mitsuya, Tsutomu Okubo


※グアーガム分解物(PHGG)について

グアーガム分解物は、グァー豆(インド・パキスタン地方に自生するマメ科植物)に含まれている主成分の中性多糖類のガラクトマンナンを酵素で処理することにより、種々の食品に応用されている。太陽化学株式会社ではグァー豆のガラクトマンナンの生理作用に着目し、酵素処理で低粘度化する生産技術を確立。「サンファイバー(Sunfiber)」として商品化している。



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