お知らせ - 2019年

【学長通信】若者はどんなメディアにアクセスしているのか?


この30年、いや、この10年をとっただけでも、人々のメディアへのアクセスは大きく変化しました。朝、大学に出てくると、学生のほとんどは、スマホに一心に見入っています。何をやっているのかなあ、とちょっと聞いてみると、多いのがLINEとInstagram、次いで、Twitter、Youtube、あとはゲームで、ソーシャルメディア系のサービスやアプリが、活発に利用されています。友達同士の情報交換、自己情報の発信、世の中の出来事や趣味・娯楽に関するニュースの入手などに、スマホが日々使われているのです。


昔は、メディアといえば、まず新聞でした。今、毎日、新聞を読む人の割合はどのくらいでしょうか。総務省やNHKなどのいくつかのアンケート調査からみると、新聞を毎日読んでいる人は、全体の半分強とのことですが、年代による差が著しく大きくなっているのが最近の特徴です。10代、20代は、新聞を読むのは10%以下、ほとんど読んでいません。30代、40代も10~20%で、新聞を読むのは圧倒的な少数派です。60代以上は、あいかわらず半数以上が新聞を毎日読んでいます。以前は、30代、40代で新聞を毎日読む人が50~60%いましたから、この世代の変化が大きいことがわかります。


新聞と並ぶ主要メディアのテレビはどうでしょうか。新聞ほどではないといえ、こちらも年代による差は大きいようです。一日の間に少しでもテレビを観たことのある人(平日)は、全年代平均で80.8%(2017年)と新聞よりはかなり高いのですが、年代別にみると、50代、60代が90%以上であるのに対して、10代は60%、20代は64%と、若年層では、4割近くが全くテレビを観ていないのです。


では、どこから情報を得ているのか、どんなメディアにアクセスしているのかといえば、予想通りといえば予想通りですが、10代、20代の人たちの情報源はインターネットです。総務省「平成29年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(平成30年7月)には、「目的別の利用メディア」という項目があります。そこでは、利用目的を、①「いち早く世の中のできごとや動きを知る」、②「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」、③「趣味・娯楽に関する情報を得る」という3項目に分類して、それぞれ年代別の利用状況を抽出しています。これを見ると、全年代平均では、①と②は、テレビが、それぞれ51.9%、54.1%と最も高いのですが、①を年代別に見ると、インターネットの利用率が10代57.6%、20代69.9%、30代60.7%となり、インターネットが一番利用されています。③では、全年代平均でインターネットが61.3%と最も高くなり、年代別では、10代82.0%、20代85.6%、30代74.5%とネット利用が圧倒的です。


項目中の、①や②はニュースの取得といってよいでしょう。若者たちは、ニュースも、ネットから得ているのです。ネットのニュースは、ポータルサイト、ソーシャルメディア、キュレーションサービスなどから配信されますが、Yahoo!ニュースなどのポータルサイトからの配信が、現在のところもっともよく見られているようです。なかでも、ソーシャルメディアは、テレビや新聞と違い、「自分が見たいものを探して見る」というところに特徴があります。その分、発信者の側にもクセや偏りがあり、受信する側も、自分の好みやニーズに合わないものは見ないということが起こりがちです。


ニュースに対する信頼度は、新聞やテレビの方が、ポータルニュースサイトやソーシャルメディアよりもかなり高いという調査結果(上の総務省調査)が出ています。この信頼度は、じつは年代によってもあまり変わりません。にもかかわらず、若い人たちは、ネットからニュースを得ています。ネットの信頼度が低いことは認識していながらも、「10代~20代は信頼性より即時性、生の声を重視」(2017年1月野村総合研究所調査)しているためだそうです。


今年の入学式で、「反証可能性」ということを話しました。「私がこう思うことは誰にとってもそうである」ことが必要である、別の人が同じ実験をしたら同じ結果が出なくてはならない、ということです。与えられた情報をそのまま受け入れる、入ってきたニュースはすべて正しい、と直ちに結論してしまうのではなく、少なくとも、複数の箇所から、そのソースの正当性や事実確認をする、そのうえで、自分の最終判断をしてほしいと思います。


 

学長  伊藤 正直