お知らせ - 2011年

【OGインタビュー】 NPO副理事長・岡村珠美さん ,

岡村珠美さん 岡村珠美さん(写真、旧姓加藤)は、NPO法人「ジョイントT・M(JTM)」(東京・世田谷区)の副理事長。実は、大妻高校を経て1974年大妻女子大学家政学部被服学科卒のOGです。JTMは、相談者の『悩みをどこで相談したらいいの?』をサポートし、その相談内容と要望を聴いて適切なカウンセリング機関へつなぐ活動を行っています。どうして今のNPOのお仕事に従事されるようになったのか、岡村さんに伺いました。

 ――「ジョイントT・M」って何ですか。

 岡村 悩みを抱えている方をやさしい気持ち(Tender Mind)でカウンセリング機関につなげたい(joint)という願いを込めて名づけたNPO法人です。「自分が悩みを相談するとしたら、どこを選ぶだろうか」という視点に立って、カウンセリング機関の実態を訪問取材する一方、「どこで相談したらいいか分からない」という方の話を聞いて、その方に合ったカウンセリング方法・機関を紹介しサポートしています。相談は無料です。ほかにカウンセリング普及のための講演やカウンセリング体験講座・講習会を開催しています。
 日本では、さまざまなカウンセリング機関がありますが、インターネットで調べても玉石混交で、適切なカウンセリング機関をなかなか見つけられません。そこで団体を設立し、カウンセリング機関を直接訪問して調べ、2007年、カウンセリング機関ガイドブック『扉をあけて』を自費出版しました。おかげさまで、東京新聞で取り上げられ(2008年4月16日付)、私たちの活動も次第に知られて、これまでテレビ神奈川、日本テレビに出演しました。
 諸外国と比べ、日本ではカウンセリングはまだまだ認知されておらず、料金も高額で、他人に知られたくないといった理由からカウンセリングの敷居は高くなっているのが実情です。それだけに、この仕事には取り組みがいがあります。

 ――つまり岡村さんは、カウンセリングの普及や「つなぐ」コーディネートのお仕事に力を入れていらしゃるわけですね。朝日新聞は、今年「孤族の国」を連載し、日本社会は「個」から「孤」へ変わり、もはや家族にも周囲にも頼れない国になったと言っています。震災被災者への心のケアも急務ですよね。

 岡村 認定カウンセラー資格を持っていますが、今は直接カウンセリングをするというよりも、法人の企画・運営・Web管理などに専念しています。Webデザイナーでもあるので…。

電話相談の様子 被災者支援ですが、JTMでは、6月からカウンセラー約80人を結集した「震災こころのサポートセンターJTM」プロジェクトを立ち上げました。ばらばらに被災者のケアに取り組むのではなく、団体の垣根を越えて多くのカウンセラーに集まっていただき、心のケアを必要としている方とつなげ、被災者や家族をサポートしていきたいと、これまでのJTMの経験から考えて取り組んだプロジェクトです。
 震災復興期には、家族、友人、親しい人を失った悲しみ、人生が変わってしまった悔しさ、家や職場が流された無念さ、今後の生活に対する不安、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など、心の健康に関する問題が顕在化してきます。センターでは、話しやすいカウンセラーが気軽に電話の話し相手=写真=になり、あるいはメールで心のサポートをして、少しでも相談者の気持ちが軽くなるよう活動しています。被災者が住む宮城・石巻市へ出かけ、心のケアの対面カウンセリングも行います。

 ――岡村さんのこれまでの人生の歩みを教えてください。

 岡村 大妻女子大を卒業して、私立高校の家庭科教諭になり、「家庭一般」「被服」「食物」などを教えました。他の教科と違い、実習などで生徒と話す機会が多くあり、家庭内の悩み、恋愛といった相談を受けてお姉さん的な役割も担っていたと思います。今思うとカウンセリングの道へ進む原点かもしれませんね。
 10年目に息子が病気にかかったので退職してわが身を振り返った時、これまでの自分は、親や周囲の言うとおりに、引かれた線の上を歩んできただけではないかとの感覚にとらわれ、自分探しのために新宿の朝日カルチャーセンター「心理学講座」に2年間通ったのを皮切りに心理学を学び始めました。
 ある時、講座の講師から配られた書類の中にベネッセの「カウンセラー募集案内」が入っていて、どんな採用面接なのだろうかという好奇心で受けてみたら採用枠に「教員」があり、「教員+カウンセラー」との位置づけで、「進研ゼミ教育電話相談室」の相談士として採用され、小学生を持つ父母を対象に電話相談を行いました。多くのご父母から子どもの学習方法の質問や子育ての不安を聴くとともに、ご当人の悩みまで話が及ぶことがしばしばあり、現代人がいかに精神的な悩みを抱えているのかを日々感じ、また悩んでいる方たちがカウンセリングとはどういうものかを知らず、どこで相談すればいいのか分からないという実態にも触れました。
 でも2000年に電話相談室は廃止されることになり退職、しばらく都立高校講師を務めた後、電話相談室で一緒だった相談士仲間と2人で2006年にジョイントT・Mを設立、翌年にはNPO法人格を取得して、今日に至ります。

 ――大妻には高校・大学と7年間通われたのですね。高校の卒業証書は、卒業直前に大妻コタカ校長が亡くなられて、次の内藤誉三郎校長の名前入りと2枚いただいたとか…。

 岡村 そうです。創立者大妻コタカ先生が1970年1月3日に亡くなられ、同窓会の皆さまの尽力で、3月に2枚受け取ることができました。1月14日に大妻講堂で行われた学内葬に参列したことは忘れられません。
 コタカ先生の「もっと自分を試みるべきだったと、悔やむことがたくさんあります。可愛(かわい)い子供たち、うんと張り切って…」という言葉を肝に銘じて、これからもNPOのボランティア活動をライフワーク、生きがいとして社会とつながっていきたいと思っています。いま還暦を迎える歳となりましたが、先生から見たらまだまだ私も可愛い子供なので…(笑)。
 社会人になってしみじみと有り難みを実感しましたが、高校時代の朝礼でコタカ先生から教わった「約束の時間より10分前には行って呼吸を整え、お待ちする」などのちょっとした“人として、女性として”の心得が今も私には息づいています。「恥を知れ」と校訓が記された鏡を記念品として学校からいただき、それからは毎朝、自分に恥じない生き方をしようと鏡を見ながら誓うなど、ちょっとした日々の行いが先生からの学びだったことに今も気づかされます。その教えは、私から娘へとこれからも受け継がれていくことでしょう。

 岡村 振り返ると、教諭から始まり、心理カウンセラー、そしてNPO法人副理事長と、仕事の幅が広がりました。その時々で、必要となるスキルを身につける機会があり、その経験が必ずどこかで役立ちました。趣味であれ、必要に迫られてであれ、学んだことは枝を広げ、つながっていく可能性があることを肌身で感じました。あれこれ周りのせいにしたり、言い訳をしないで、どんな環境にあっても時間を生かして学んでください。
 これから社会に出て、職場の人間関係や仕事と子育ての両立などの問題と直面すると思います。もし心が沈み込んでしまうことがあったら、カウンセリングを受けてみてください。自分の考え方の癖(傾向)を見いだすと、考え方・とらえ方も変わります。身体がこわばったらマッサージをするのと同じように、気持ちがふさいだら心のサポートの専門家に相談してください。心の病に陥るのを事前に食い止めることは必要です。カウンセリングを身近なものとし、心の重荷を軽くすることが大切です。そして自分らしく生きやすい生活を送ってほしいと願います。

 岡村 振り返ると、教諭から始まり、心理カウンセラー、そしてNPO法人副理事長と、仕事の幅が広がりました。その時々で、必要となるスキルを身につける機会があり、その経験が必ずどこかで役立ちました。趣味であれ、必要に迫られてであれ、学んだことは枝を広げ、つながっていく可能性があることを肌身で感じました。あれこれ周りのせいにしたり、言い訳をしないで、どんな環境にあっても時間を生かして学んでください。
 これから社会に出て、職場の人間関係や仕事と子育ての両立などの問題と直面すると思います。もし心が沈み込んでしまうことがあったら、カウンセリングを受けてみてください。自分の考え方の癖(傾向)を見いだすと、考え方・とらえ方も変わります。身体がこわばったらマッサージをするのと同じように、気持ちがふさいだら心のサポートの専門家に相談してください。心の病に陥るのを事前に食い止めることは必要です。カウンセリングを身近なものとし、心の重荷を軽くすることが大切です。そして自分らしく生きやすい生活を送ってほしいと願います。

左画像は、カウンセリング機関ガイド『扉をあけて』の表紙、右写真は、日本テレビ「ご存じですか~カウンセリングで自殺予防~」(内閣府提供、2010年2月12日)に出演した岡村さん(左)とJTM理事長・相川雅子さん